「九条の会・わかやま」 232号を発行(2013年11月26日付)

 232号が26日付で発行されました。1面は、「憲法しゃべり場」を開催 和歌山障害者・患者九条の会、アメリカと一緒に戦争をする国 アメリカの肩代りをする国へ(羽柴修氏A)、九条噺、2面は、秘密保護法 廃案を!「特定秘密保護法」とはA、書籍紹介 『アベノ改憲の真実』   です。

    ――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]

「憲法しゃべり場」を開催
和歌山障害者・患者九条の会

 和歌山障害者・患者九条の会は11月10日、和歌山市ふれ愛センターで「憲法しゃべり場〜DVD鑑賞と憲法への思いを語り合う集い〜」を26名の参加で開催しました。
 まず、金原徹雄弁護士より「憲法とは何か」について話があり、憲法の伝道師・伊藤真弁護士が語りおろしたDVD『憲法ってなぁに?憲法改正ってどういうこと?』を上映。その後、「憲法しゃべり場」でDVDの感想や憲法への思いを語り合いました。参加者からの質問には金原弁護士が丁寧に答えられました。
 現憲法は「基本的人権の尊重」「恒久平和主義」「主権在民」の3大原則をもっているが、その根本にあるのは「個人の尊重」(第13条)。即ち一人一人を大切にするということ。それが自民党改憲案では、人格をもつ「個人」が抽象的な「人」に置き換えられ、個人よりも国家が優先される内容になっている。国民の人権を守り国家権力を縛るという立憲主義の精神を根こそぎ破壊するとんでもない内容であることに改めて驚きました。そして国防軍の創設について、「もし外国から攻められたらどうする?」と聞かれたら、「自衛隊があるじゃないか」と答えればよい。これは目からうろこで、参加者は一応に納得した様子でした。
 DVDは、盛り沢山の内容が55分にまとめられていて、とても判りやすいと思いました。日本語字幕があれば聴覚障害の方々にももっと見てもらえるのではと感じました。今日学んだことを周りの方々に伝え、知らせていきたいと思います。(野尻誠さんより)

    ------------------------------------------------------

アメリカと一緒に戦争をする国、アメリカの肩代りをする国へ

 11月3日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第10回憲法フェスタ」で兵庫県弁護士9条の会代表呼びかけ人・羽柴修さんが「安倍政権は憲法をどう変えようとしているのか」と題して講演されました。その要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は2回目。

 何故秘密保護法制が必要なのか。そんなことは100%ないと思うが、例えば北朝鮮のミサイルが飛んでくるといったことが仮に想定される場合はアメリカと協力してやらねばならない。アメリカと集団的自衛権を行使する場合は米軍の秘密の保護が決定的に重要になる。「改憲草案」の98条の緊急事態でも、そのことも明記されている。これは東日本大震災を契機に出てきたが、大本は自然災害ではなく戦時の有事が狙いだ。有事には国家安全保障上の要請が基本的人権に優先するということを基本法の中でも明記をしている。第4条では「国民は国の安全保障施策に協力し、我が国の安全保障の確保に寄与し、もって平和で安定した国際社会の実現に努めるものとする」と言っている。戦前「お国のために我慢せよ」と言ったのと同じことを、基本的人権を制限する目的で法律の中に国民の責務という形で書き込んだ。「改憲草案」の中にもそんなところはたくさんあって、国民は権利だけでなく義務もあるのだと、「公益及び公の秩序」に反してはいけない、それを配慮して行使しなければならないと言っている。その「改憲草案」をここでも先取りして国民の責務として安全保障問題は最優先して臨めと明記している。それ以外にも各章にこの法律で定める施策を実施するために必要な法制上、財政上の措置を講じなければならないと書かれている。「国家安全保障基本法」はあくまで基本法だから、この法律が出来ると、各章に対応する関連法令を国会に上程する。つまり、3つの法案が通ってしまうと、それを整備するための法令もこの3年間に一気に作られていく可能性がある。自衛隊の任務についても自衛隊法とは別に、外部からの軍事的手段による直接・間接の侵害その他の脅威に対し我が国を防衛するため、陸海空の自衛隊を保有するという規定まで、わざわざ第8条の中に明記している。
 安倍首相はこの法案を基本法として作り、関係法令も整備して何がしたいのかだが、安倍首相の言動を見ていると、戦前、中国や朝鮮に出て行ったのも侵略ではないと言いたいのだろう。だから、自分からは侵略とは言わず、定義には議論があると言っている。9条では侵略戦争はいけないのは間違いないはずなのに、また、国連憲章51条でも少なくとも攻められてもいないのに敵基地をたたくなどできるはずがないことははっきりしているのに、安倍首相が侵略の定義をはっきりさせないのは、彼が考える集団的自衛権行使には4類型ではない場合も行使できるという考えが見え隠れする。3法案は集団的自衛権という本来議論になるべきものを大きく越え、国の仕組みを変えていくことを考えている可能性が非常に強い。国家の安全保障が最優先という形で、何かが起きそうな時には国民に何でも従えという国の体制を作っていこうとしているのだ。基本法を定めて具体的にどう運用しようと考えているのかだが、総理大臣をトップにして、トップダウンで国家システムを変え、それに必要な法律をいっぱい作っていくという国家改造、あるいは戦争国家体制を作り上げようとしているのではないか。「改憲草案」はまさにそうであって、「国家安全保障基本法案」はアメリカと一緒に戦争する国づくりをするための国の組織を作り上げようとする骨格の法律だと考えられる。秘密保護法も軍機保護法、治安維持法に戻るもののひとつと考えるべきだ。
 集団的自衛権の行使を、安倍首相の手下とも言うべき人たちを集めた私的な諮問委員会で議論しているが、彼らは「憲法9条は自衛権を否定していないし、集団的自衛権も国連憲章51条で認められている。9条には集団的自衛権は行使してはいけないとは明記されていない。だから個別的自衛権とともに集団的自衛権も持っていて、9条には違反しないのだから解釈も変えて法制上の措置を取るだけで集団的自衛権行使をやろう」という論法だ。国連憲章51条の集団的自衛権に基いてやられた戦争はたくさんある。ハンガリー、チェコスロバキア、アフガニスタン、ベトナム等々もそうだ。集団的自衛権行使は同盟国に武力攻撃が行われた場合に「助けて」と言う同盟国を軍事援助するものだ。しかし今までの事例のほとんどは「助けて」と言っている国をいじめることしかやっていない。ハンガリーもそうだが、時の政府を打倒してその政府を攻撃するというのがほとんどだ。集団的自衛権の枠を飛び越えて、場合によれば北朝鮮の基地を先制攻撃するという考えや、自衛隊の侵略部隊化である海兵隊化なども、集団的自衛権を大きく越え、日本をアメリカと一緒に戦争をする国づくりや、アメリカの肩代わりをする国づくりという意味もある。安倍政権は日米同盟を基軸と言っているが、これはアメリカの言うがままという意味だと思う。(つづく)

    ------------------------------------------------------

【九条噺】

 コラムニスト天野祐吉さんが亡くなった。80歳だった。筆者は一方的に「文章(ことば)の師」と仰いできた。もうあのユーモアでくるんだ鋭い批評が拝見できないかと思えばとても残念で哀しい▼天野さんは、夜に原稿を書きあげて奥さんに読んでもらうようにしていたのだという。「専門家でない人が読んで、どう感じるかが大事」「妻に『わかりづらい』『面白くない』と言われれば書き直した」そうだ。天野さんは「こぶしを振り上げたような表現は届かない。面白いことを言ってるなと振り返らせないと」とも▼ところで、天野さんは「憲法はその国の広告だ。九条なんて最大の広告だ」という。「外国の人に日本がどういう国かと聞かれたとき、昔は『フジヤマ・ゲイシャの国』でしたが(笑)、今は『戦争を放棄した憲法を持つ国ですよ』というのが一番わかりやすいのです。そして前文は日本という国はこういうことをする国ですということを端的に広告する、見事なコピーになっています」▼自民党も「改定案」を出しているが、天野さんは「自民党のはあまりにもポキポキしていて、これじゃ世界の人に日本人って文学的センスに欠けると思われるんじゃないか」という。憲法問題は学者や一部の人たちだけで考え合うのではなく、もっと広くみんなが寄り集まって「9条はホンマに要るのか」とか、憲法について気楽に語ろうというのが天野さんの提案だ。(佐)

    ------------------------------------------------------

秘密保護法 廃案を!
「特定秘密保護法」とはA


■プライバシーがなくなる
 もう一つ重大な問題は、秘密を取り扱う人たちが国や都道府県警に調査・監視される「適性評価制度」です。情報を漏らす恐れのある人物かどうかを、本籍、親族、学歴・職歴、外国への渡航歴、犯罪・懲戒の経歴、信用状態、薬物・アルコールの影響、精神疾患などを調べて評価します。調査対象が、家族、恋人、友人へと際限なく広がっていくおそれがあります。
■マスコミの取材でも逮捕?
 処罰の対象になるのは公務員だけではありません。国や自治体から業務や調査を委託される民間企業や大学の研究者や技術者も秘密の取り扱い者とみなされます。こっそり秘密を漏らすいう場合だけでなく、関係者などへの報告、記事や論文の執筆も罪になります。秘密漏えいに至らない「未遂」も、誤って漏らしてしまった「過失」も対象です。市民運動などで情報に接近したり、報道機関の取材・報道も、「共謀」や「教唆」(そそのかし)と見なされる可能性があります。
 秘密と知らないまま取材した新聞記者が逮捕され、取材の相談が共謀とされ、取材を指示した上司が教唆の罪に問われ、新聞社が捜索される――という事態が起これば、国民の目と耳は奪われることになるでしょう。
■軍事一体化でアメリカが要求
 2010年秋、尖閣列島周辺での巡視船と中国漁船の衝突事件の映像公開問題をきっかけに、民主党政権のもとで「秘密保全法制」の検討が始まったとされていますが、実は自公政権の時、07年から準備は始まっていました。日米軍事一体化を進めるために、アメリカが情報の管理の徹底を要求したからです。安倍内閣は今年秋の臨時国会で、継続審議となっている「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」とともに「特定秘密保護法案」を成立させようとしています。政府はさらに集団的自衛権を行使できるようにと、「国家安全保障基本法」の制定や内閣法制局の長官を代えて、憲法解釈の変更をもくろんでいます。「アメリカとともに世界中で戦争のできる国」を目指す動きが着々と進められているのです。(おわり)
「Stop! 秘密保護法 共同行動」のリーフレットより転載

書籍紹介 『アベノ改憲の真実』

 今、憲法はかつてない危機にさらされています。憲法を根底から破壊し、国が国民を縛る憲法をつくり、この国を「戦争をする国」「人間らしく生きられない国」「自由と人権のない強権支配の国」にする「国家改造」の策動を許すのか。それとも憲法を守り、憲法を生かし、みんなが平和に、個人としての誇りをもって、人間らしく働き、生きる新しい日本にするのか。私たち一人ひとりの人生を左右し、文字どおり歴史の岐路を分かつ“せめぎ合い”が目の前に展開されているのです。
 今、足下に迫っている改憲濁流の本当の姿、その狙いとそれが私たちの人生に何をもたらし、この国をどう変えるかが明らかになれば、あなたをはじめとする99%のみなさんはこうした改憲に必ず反対されるに違いないと信じて、私は筆をとりました。(「はじめに」より)

2013年10月15日 第1刷発行
著 者:坂本修(弁護士)
発行所:本の泉社
    :03-5800-8194
定 価:本体800円+税

    ―――――――――――――――――――――――――――――
(2013年11月27日入力)
[トップページ]