「九条の会・わかやま」 236号を発行(2014年1月10日付)

 236号が10日付で発行されました。1面は、よびかけ人挨拶(要旨)B奥平康弘さん 9条をないがしろにする秘密保護法、国家安全保障基本法は戦争プログラム法 集団的自衛権とは何か(由良登信さんB)、九条噺、2面は、国家安全保障基本法案の危険性A、安倍首相 靖国神社参拝強行  です。

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[本文から]

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よびかけ人挨拶(要旨)B 奥平康弘さん
9条をないがしろにする秘密保護法


 11月16日に開かれた「九条の会第5回全国交流討論集会」での、よびかけ人のあいさつ(要旨)を紹介します。

 憲法の全文改正は55年以来の自民党の念願で、去年4月に出された自民党の「憲法改正草案」もそうです。その中で、国家の安全保障体制をどうするか、どのように国家の活動を国民に知らせないで自分たちだけでやっていくか、そういう考えにたって出てきているのが特定秘密保護法案です。
 アメリカの国防総省で71年にベトナム戦争がどのような構造でどのように戦われてきたかを本にした報告文書が作られた。内部で情報分析をしていた官僚が、こんなふうにアメリカ軍がベトナムで戦っているのは国民として許せないと、彼は新聞に発表するためにこの報告文書をコピーし、いくつかの新聞社にそれを送った。それがまずニューヨーク・タイムズに載った。これを載せなかったら国民を愚弄したことになる。断固載せようと決意して、まず第1回を出した。びっくりしたニクソン政権は、大統領の名で差し止め請求をした。最高裁の9人の判事は、これは秘密か秘密でないかという問題ではなく、連載中のものをストップさせることは表現の自由や報道の自由に反するという一点に絞って差し止め訴訟を認めなかった。その結果、ある本屋が文庫本で出版した。それで国家の大混乱が生じたかというと、何も生じていません。国家がこれは秘密で明らかにしたら大問題になると言っていた内容は、国防総省から見たベトナム戦争のある一定の歴史の分析、特に軍隊の命令系統等々の問題です。ベトナム戦争を進めていること自体が非常に困難になっていたことに加えその文書が発表されたことが、ベトナム戦争の終結をまねく一因になったことは確かです。
 日本の場合も特定秘密保護法案が法律になったら大変なことになる。微に入り細を穿った法律を作ろうとしている。アメリカから情報をもらえないのは、アメリカから見れば日本はスパイ王国であるというようなことを言っている。
 80年代の国家秘密保護法案は5年かかって廃案になりました。それは軍事の秘密だけに中心を置いた法案でしたが、今回は様々なものが秘密になるような道筋をつけている。その秘密を最終的に主権者には30年以上経っても、未来永劫秘密にするという構えも見せている。この法案は、80年代のものに比べたら問題にならないほどに強烈なものです。それが持っている深刻な意味は、9条をないがしろにするということです。9条改正と直結していると考えるべきです。これは「あそこを直す、ここを直す」という種類のものではなくて、まさに憲法改正のための内堀が埋められるものです。われわれは何としてもここで踏ん張って、これを無き者にしなければなりません。

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国家安全保障基本法は戦争プログラム法
集団的自衛権とは何か


 12月7日、由良登信弁護士が「集団的自衛権とは何か」と題して学習会の講師を務められました。その要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は3回目で最終回。

由良登信さんB

 憲法改正を今出すと否決されるかもしれないと思い、NSC法、秘密保護法を通した。安保法制懇は憲法解釈を変更して集団的自衛権行使の意見書を出し実現を狙っている。内閣法制局長官を集団的自衛権容認の、これまで内閣法制局にいなかった外交官に首を挿げ替えた。歴代の長官は全体を見ることができる内閣法制次長が次の長官になることが踏襲されてきた。内閣法制局は国家の憲法の番人のように、憲法と法律・政令・省令が整合性を持つかをチェックしその枠内に収めていく役割を持っている。その首を挿げ替えるのは法治国家でなくなるということだ。法律に基かない「無法国家」「独裁国家」だ。根本的に政治家としてやってはいけない、国民は許してはいけないことをやろうというのが解釈改憲だ。
 解釈を変えてもそれをルール化する必要があり、それをするのが国家安全保障基本法だ。10条には「我が国あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態」に自衛権を行使するとあり、これは集団的自衛権の定義そのもので、集団的自衛権を認める法律だ。3条には「秘密が保護されるよう法律上・制度上必要な措置を講じる」とあり、これが秘密保護法で、先に作った。6条には安全保障基本計画というものがあり、別途「安全保障会議設置法改正」をすることになっているが、これがNSCの設置だ。戦前の大本営に当たるところを作った。国家安全保障基本法は次々といろんな法律を作れと命じる法律だ。教育を始めとする各分野で安全保障上必要な配慮を求めるとなっており、教育内容も「戦争をする国」体制を児童・生徒に教え、戦争に向かう子に育つように各分野に指示している。これは戦争をする軍事法制だ。憲法改正が出来なければこれを作ってやってしまえというのが安倍氏だ。もし、これが法案通り制定されたら、憲法9条は死んだも同然だ。秘密保護法より何倍も危険なこの基本法を次の通常国会に出してくる構えでいるが、絶対に通させないことが必要だ。
 特定秘密保護法は改憲案と基本法の中に予告しており、それを作ってしまった。第2次大戦に突き進むときは2つの法律で情報管理をした。軍機保護法と国防保安法だ。憲兵が国民を監視し、何が秘密かを言わず、何が秘密かを限定しない。特定秘密保護法と瓜二つだ。共謀、教唆で処罰するためにはそれを裁判で立証する材料を揃えなければいけないが、そのために盗聴などの監視が常時行われる。国会は国権の最高機関で行政をコントロールし、判断して法律を作り、政府は作られた法律を執行するだけだ。この法律は秘密指定した情報を国会に出すかどうかも分からない。出したとしても秘密会で聞いた議員は党にも秘書にも言えない。国会議員も対象で言えば懲役5年だ。国の根幹に関わる大事なことに国会議員は何も出来なくなり、国会は機能しなくなる。どうして国会議員がこんな法律に賛成するのかと思わざるを得ない。憲法で権利に関わる裁判は公開法廷と決まっている。被告・弁護士・裁判官にも出さないのでは裁判にならない。憲法違反がいくつもあり、何が犯罪かも分からない。適性評価制度によるプライバシー侵害も大問題だ。
 戦争法は今ほぼ完成している。有事法制で、武力攻撃事態法、国民保護法、周辺事態法は既に出来ており、この中に秘密法制がなかったので今回の秘密保護法がそれを補完していくことになる。基本法では自衛隊派兵一般(恒久)法、集団的自衛事態法も作ることになっている。
 九条の会を大きくして、今大変なことが進行しようとしているということを知らせていかなければならない。憲法違反のクーデター、無法国家、独裁国家を許してはならない。自民党支持者でも法治国家ではなくなるのは困るという人は圧倒的だと思う。集団的自衛権行使を認める基本法が出てきたら、これは秘密保護法の反対運動の何倍もの運動が起ると思うし、起さなければならない。その時には安倍政権は倒れるだろうし、早く倒さねばならない。(おわり)

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【九条噺】

 元サッカー日本代表監督の岡田武史さんが1月1日の朝日新聞のインタビューで語っている。岡田さんはW杯に日本代表監督として出場する等の活躍を経て、2012年から13年11月末頃まで中国・杭州緑城(浙江省)の監督を勤めた▼記者は、尖閣諸島をめぐる日中の「対立」や中国での「反日デモ」等もあり、岡田さんも辛いめにあったのではないかと聞いた。岡田さんは「デモで日本車を壊し、日系スーパーを襲ったのは一部の中国人だ。僕は身の危険なんて感じたことはない。街ではサインや写真の撮影を求められたり、『頑張れ!』と声をかけられた」「僕はどんな問題があっても自分の子どもを戦場に送りたくない。中国の親も同じだ。答えは簡単だ。話し合いしかない」「中国の人たちは決して傲慢じゃない。もちろん反日的でもない。むしろ、サッカーなどは明らかに日本が進んでいると思い、憧れ、尊敬の気持ちをもってくれている」▼岡田さんはさらに言う「中国の人は、日本は嫌いだけど日本人は嫌いじゃないし、あなたは好きだと言う。日本人も漠然とした中国を好きか嫌いかでなく、リアルな中国を知って、好きなものや人がいれば、考え方に幅ができるよ」。とても大事なことをわかりやすく指摘されていると思う▼「地球儀を俯瞰する外交」などと大言壮語しても正直なところ空しくなりませんか安倍総理。「隣の国々のことすらきちんと見られないのにナニが地球儀や」との声も飛んでます。(佐)

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国家安全保障基本法案の危険性A

 自民党は12年7月6日に「国家安全保障基本法案(概要)」を発表、衆・参両選挙で制定を公約し、戦争ができる国づくりをめざして成立を狙っています。この法案の危険性を自由法曹団の「国家安全保障基本法制定に反対する意見書」などから要約してシリーズでご紹介しています。今回は2回目。

C自衛隊が国民を監視する

 第8条3項は、「自衛隊は…必要に応じ公共の秩序の維持に当たる」と規定しています。「公共の秩序の維持」とは「治安出動」です。現在、自衛隊の情報保全隊が無断で国民の様々な活動を監視し、情報を収集し、いわゆるブラックリストを作成したことが明らかになっていますが、こうした違法な人権侵害行為が正当化されることも考えられます。さらに、「公共の秩序の維持」の名目で自衛隊が実力を用いて国民の言動などを抑圧することをも可能になってしまいます。国民に銃口が向けられることにもなりかねません。
 また、1項には「その他の脅威に対して」とあり、自衛隊の活動範囲は無限に広がります。

D軍事法制を次々と整備する

 第5条は、「政府は、本法に定める施策を総合的に実施するために必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない」と規定しています。これは、集団的自衛権行使の全面解禁、海外での武力行使などという憲法9条に反する施策を強行するために必要な法律(下位法)を次々と整備せよということです。
 「秘密保全法(第3条3項)」「安全保障会議設置法改正(日本版NSC設置)」はこの法案に先駆けて成立させられてしまいましたが、自衛隊の海外派兵や、海外における武力行使を前提とした体制を整備することが目的の「集団自衛事態法」「自衛隊法における『集団自衛出動』的任務規定」「武器使用権限に関する規定」「国際平和協力法(自衛隊海外派兵恒久法)」などが列挙されています。ますます軍事国家化が強化されることになります。

E軍事費が増大する

 法整備による軍事国家化にともなって、軍事費の増大も不可避となるでしょう。第5条には「財政上の措置を講じなければならない」とも規定していますので、増税や社会保障等に必要な費用の削減を通じて、軍事費を増大させることも可能となってしまいます。(つづく)

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安倍首相、靖国神社参拝強行

 安倍首相は12月26日靖国神社参拝を強行しました。安倍首相は憲法9条の明文改憲とともに、集団的自衛権行使容認に向けて解釈改憲も画策し、日本版NSC設置、特定秘密保護法の制定、武器輸出3原則の撤廃検討、国家安全保障基本法案の成立を目指し、そして靖国神社参拝と、「戦争をする国」に向けて暴走を続けています。
 米国務省は「日本の指導者が近隣諸国との関係を悪化させる行動を取ったことに、米政府は失望している」と、欧州連合(EU)外相は「近隣国との関係改善にはつながらない」と声明を発表しました。

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(2014年1月11日入力)
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