「九条の会・わかやま」 245号を発行(2014年5月2日付)
245号が2日付で発行されました。1面は、「和歌山障害者・患者九条の会」広川町で防災学習 、国際的孤立を招いている安倍政権(森英樹氏③)、九条噺、2面は、「立憲デモクラシーの会」設立、みなべ「九条の会」過半数署名57% 、朝日新聞(4月22日)全国世論調査 です。
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「和歌山障害者・患者九条の会」広川町で防災学習
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4月13日、「和歌山障害者・患者九条の会」は、「防災学習&広村堤防見学ハイキング~濱口梧陵の足跡を訪ねて」を27名の参加で開催しました。10時半から「稲むらの火の館」を見学し、館内では2本の映画を鑑賞しました。津波が来たら「より早く、より高い場所に、勝手に逃げる」が「津波てんでんこ」の教えです。その実行には家族内の信頼と約束が最も大事だと、災害時避難3原則、①想定にとらわれない②あきらめない③率先避難者になる─を教わりました。
濱口梧陵は復興と防災をやり遂げた功績が偉大ですが、今の耐久高校の前身を築くなど教育に力を注いだ人でもあることはあまり知られていません。会館から徒歩5分の広村堤防は濱口梧陵が村人を雇って4年間の歳月を費やして1858年に造り上げたもので、工事は津波対策と失業対策でした。強く自然にやさしく、合理的に造られていると実感しました。現に1946年の昭和南海地震の時は広村を津波から守っています。
昼食交流会では「広川憲法9条の会」「九条の会ゆら」のみなさんと自己紹介をしながら語り合いました。平和なくして防災なし、平和を守る運動とともに災害に備えることが大事だと。とりわけ障害者の避難の際は「補装具の型のメモ、服用薬の処方箋」を防災袋に入れておくことが必要と、実際の東日本大震災の救援の経験を教えていただきました。交流し合い、防災意識も高め、充実の一日となりました。駅からの送迎や手引きや昼食弁当の準備、交流会場の公民館の手配など最後までサポートをしてくださった広川・由良の「9条の会」の皆様方には心よりお礼申しあげます。(野尻誠さんより)
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国際的孤立を招いている安倍政権
3月30日、和歌山市で「守ろう9条 紀の川 市民の会」の第10回総会が開催され、名古屋大学名誉教授・森英樹氏が「『国家安全保障基本法』は戦争体制を作りあげるもの」と題して記念講演をされました。その要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は3回目で最終回。
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森 英樹 氏 ③
安倍首相は予算が成立したので集団的自衛権行使合憲化を軸に進める計画だが、消費税増税後のアベノミクスの失速で高支持率が急激に落ちるという不安が高まっている。責任野党という維新・みんなの両方が危なくなってきた。安倍自民党に協力する政党が2つともおかしくなってきたので、一日も早く集団的自衛権問題をクリアしたいと焦り始めている。その前のめりさが自民党内の批判も呼び起している。「安保法制懇」に遅くとも連休明けに報告書を出させて、集団的自衛権行使合憲の閣議決定に持ち込みたいとしている。この「安保法制懇」は私的な諮問会合だからどうということはないはずだが、メディアがその点を全く批判しない。仮に解釈変更の閣議決定が出来ても、それだけでは自衛隊は動かない。法的根拠がないので、具体化法として「国家安全保障基本法」を今年の秋に成立させて、これに基づく関連法を成立させて、法令を整えて、ガイドラインも改定して、初めて「合法」的に海外に出動出来る。
アメリカの今の戦略はリバランス(再均衡)だ。その部分で日本の役割を厳しく求めている。リバランスとはアメリカが軍事力で均衡をとる重点地域を中東から東アジアに移すこと。その背後には中東でのアフガン戦争、イラク戦争で金を使いすぎアメリカの財政が破綻に向かい、アメリカ国民の厭戦気分の充満がある。そこでオバマ政権は戦略場所を中東から東アジアに移し、東アジアの軍事戦略の人・物・金の大幅な分担を日本に求める戦略に切り替えてきた。だから、アメリカに使われる立場の安倍首相が、東アジアの同盟形成を妨げる靖国参拝に走っていることは非常に困るので、アメリカは介入して、あの路線だけはやめろと圧力をかけてきている。
次の焦点は、法的には「国家安全保障基本法」が制定できるかどうかだ。これは自民党が野党時代の12年7月に党の決定として作ったものだ。まずこれが「基本法」だということに注目する必要がある。「基本法」とは憲法に定められている領域の個別の法律をリードする法律だ。憲法→基本法→個別法という3段構えになっている。60年代以降、憲法改定がなかなか出来ないものだから、先に憲法を破壊するための基本法を制定して、これに従う個別法を作っていくという手法に切り替えた。現在の「教育基本法」がその典型だ。下の法律は憲法を見ないで、基本法を見て作られるという形になっている。「国家安全保障基本法」は国家安全保障という領域、つまり戦争法の領域の親法として予定されている。「親が右を向けば、子も右を向く」という役割を持たせている。集団的自衛権の行使を日本もすると決め、その具体化を10条でこと細かに定めている。11条では「国連安保理決議等で行う措置等」にも参加するとしている。要するにアメリカを主軸とする多国籍軍型の戦争にも参加するということだ。その内容には秘密保護法など既に先行して実現していることがあるので、これらを削ぎ落した基本法になって出てくるかもしれない。
安倍首相を揺さぶる国際的な波はひたひたと迫っている。その波とは「戦後レジームからの脱却」という発想への批判だ。「レジーム」とは「体制」を意味するフランス語だが、フランスでは「旧体制」として罵倒対象のマイナスイメージの用語として使われている。安倍首相は打倒すべきものとして「戦後レジーム」を当てた。その対象は日本国憲法だ。だから、戦前は取り戻すべき美しい過去となる。戦争責任は拒絶するし、英霊を尊崇することになる。日本の侵略を受けた被害国・植民地国からは当然批判を浴びることになる。この異様さは自民党の政府の中でも際立っており、安倍首相には皇国史観・靖国史観と対米従属絶対という異質のものが2つある。このスタンスはポツダム宣言、戦後民主化、国際軍事法廷、国連憲章、日本国憲法という一連の流れでつくられてきた戦後国際秩序を拒絶することに他ならない。だから、安倍政権の最近の言動はアジアのみならず、アメリカを始め旧連合国、国連、EU諸国からも警戒、批判され、徹底した国際的孤立を招いている。ここに安倍路線の根底的な矛盾が潜んでいる。これに国内からの批判を合体させ、外と内とで挟み撃ちをすれば安倍首相はもう一度退陣することになる。靖国神社は天皇のために死んだ戦死者を英霊として別格に扱い、彼らの死は正しかったとする神社で、そこに参拝することは、言ってみれば世界に喧嘩を売っているに等しい。中国、韓国はもとより、連合国が怒るのも当り前で、最近ますますそういう状況になりつつある。米議会調査局の報告書は「安倍首相の歴史観は第2次大戦に関する米国人の認識とぶつかる危険性がある」「首相や閣僚が歴史に関する発言や行動を重ねるのは、首相が強固な政治基盤を持っていることに起因している」と、私たちの力でこの政権を変えなければならないことも指摘している。安倍首相が追い込まれていることも尋常ではない。私たちの課題は内と外からの挟み撃ちで安倍退陣に力を尽くすことだ。(おわり)
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【九条噺】
いわゆる〝うたごえ喫茶〟ができて60年あまり経つそうだ。〝うたごえ喫茶〟はわが青春にも欠かせぬものだった。初めて話に聞いた時から引き付けられて京都の「炎」、梅田の「こだま」、そして道頓堀の「どん底」へと走った。〝うたごえ喫茶〟などと言っても、ただコーヒーを飲んで好きな歌を歌うという、それだけのことだ。けれども、そうして一緒に歌い、お互いに楽しみあううちに、やがてはお互いの胸のうちにある不安や苦しさや寂しさなども共有する大切な仲間にも育っていくのである▼「ぜひ和歌山でも」ということで、ある喫茶店主から相談を受けて諸準備に。最大の難関と思われた「伴奏者の確保」だが、アコーディオンを自在に演奏できる青年が意外に早くみつかり、しかも乗り気だったので、あとはいかようにもと気楽になれたのだった。歌集は、「炎」や「こだま」などをアレンジして我流のものを用意したが、ロシア民謡全盛の頃だけにその影響も色濃く出ていたように思う。参加費は各飲み物に10円上乗せすることにして勘定は喫茶店側にまかせた▼特別に宣伝したようなことはなかったが、毎回満員で、歌うことの楽しさに酔いしれるようなひとときだった。〝うたごえ喫茶〟は音楽を媒介にする人生の交差点だという人がいる。なるほど、そうやなぁと、当時のあれこれを思い出しつつ、得心する。(佐)
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「立憲デモクラシーの会」設立
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4月18日、集団的自衛権の行使を憲法解釈の変更で認めようとする安倍首相の姿勢に危機感を抱く学者たちが「立憲デモクラシーの会」を設立しました。法学や政治学、社会学、哲学など幅広い分野から約50人が呼びかけ人になり、安倍政権は憲法と民主主義を変質させかねないと国民に警鐘を鳴らしています。
共同代表は奥平康弘東大名誉教授(憲法学)と山口二郎法政大教授(政治学)の2人で、呼びかけ人には、上野千鶴子立命館大特別招聘教授(社会学)、金子勝慶応大教授(経済学)、内田樹神戸女学院大名誉教授(哲学)らが名を連ねています。
設立趣意書では「一時の民意に支持された為政者が暴走しないよう、歯止めを組み込んでいるのが立憲デモクラシーだ」と強調。解釈改憲への動きを「安倍政権は憲法と民主政治の基本原理の改変に着手した」と批判して「われわれは運動しなければならない。後の世代に対する責務だ」と表明しています。
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みなべ「九条の会」過半数署名57%
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みなべ「九条の会」は3月23日、署名活動に取り組みました。今回の活動の目的は、安倍内閣の「改憲」「集団的自衛権行使」等の動きを訴えつつ会話を広げ、住民の意識を少しでも知ろうということもありました。町内から14名の会員、町外から8名の支援を受けての取り組みでした。
住民との対話では「戦中戦後の体験があるので戦争は反対だが、北朝鮮問題など、日本はもっと強くならなあかん。アメリカにももっと毅然としていくためにも憲法を変えねばならんと思うから署名はせん」という声もありましたが、「力と力の対決や殺し合いは憎しみが増えるだけで何も残らない。やはり今の時期だからこそ、軍備を持たずに話し合いの外交が大事だと思う」と、全体的に年齢を問わず好意的に受けとめてくれました。
この日は135筆が集まりました。23日現在の累計は3393筆で、町内過半数の6000に対して56.56%となりました。(平野憲一郎さんより)
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朝日新聞(4月22日)全国世論調査
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(2014年5月4日入力)
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