「九条の会・わかやま」 246号を発行(2014年5月15日付)

 246号が15日付で発行されました。1面は、「Happy Birthday 憲法 in Wakayama」開催 みんなで楽しく憲法の誕生日を祝う、安倍首相 当面は解釈改憲(半田滋氏@)、九条噺、2面は、「紀南ピースフェスタ2014」開催 です。

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「Happy Birthday 憲法 in Wakayama」開催
みんなで楽しく憲法の誕生日を祝う

 安倍首相の集団的自衛権行使容認への憲法解釈変更の企みによって憲法9条と立憲主義の危機が高まる中、5月3日の憲法記念日に和歌山城西の丸広場で「Happy Birthday 憲法in Wakayama」が開催されました。これは日本国憲法の67回目の誕生日をみんなで祝い、一日大いに楽しもうという趣旨のもので、広場の周りには、焼き鳥やビール、かすうどん、たこ焼き、スーパーボールすくい、プラ板作りなど多くの店舗(テント)があって、子どもから大人まで大いに賑わいました。舞台ではバンド演奏(4グループ)やアカペラ、ギター弾き語り、ハワイアンフラ(3グループ)、ウクレレ弾き語りから「どじょうすくい」まで、次々と演じられました。最後は景品付き「餅まき」で締めくくり。みんなで楽しい一日を過ごしました。

 今回の催しで目立ったことは、幼児から小学校低学年くらいの子どもたちの姿が非常に多かったことです。これは、子育て世代の人たちがたくさん参加していたことを示しているのではないでしょうか。この日は難しい(?)話はありませんでしたが、これを契機に若い人たち、子育て世代の人たちが憲法9条と立憲主義の危機を考え、行動に立ち上がってくれることを期待せずにはおれません。


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安倍首相、当面は解釈改憲

 4月25日、和歌山市で青年法律家協会和歌山支部の憲法記念行事「憲法を考える夕べ」が開催され、東京新聞編集委員/論説委員・半田滋氏が「集団的自衛権のトリックと安倍改憲」と題して講演をされました。その要旨を3回に分けてご紹介します。今回は1回目。

半田 滋 氏 @

 今回の日米共同声明には尖閣諸島は日米安保条約の範囲内だと書いている。しかしよく読むと無条件に守るのではなく、アメリカの憲法の規定と手続きに従って行うとなっており、アメリカの都合で武力を行使するかしないかをアメリカ側が考えるということだ。オバマ大統領は領土問題には関与しない、日中でよく話し合ってほしいと言っている。従って、尖閣が共同声明に出たことは日本にとって「勇気凛々、何をやってもいい」ということにはならない。これまでも国務長官、国防長官も今回オバマ大統領が言ったことと全く同じことを日本政府に伝えており、今回特段に新しいものが出てきたという訳ではない。安倍首相の「集団的自衛権行使の検討を始めた」ということにオバマ大統領は同意したが、アメリカが要求したのではなく、安倍首相の方からアメリカの戦争に自衛隊を差し出すと申し出た訳だから、それは要らないとは言わない。むしろ懸案のTPPをさらに加速させて結論を出す方向がよりはっきり出てきたのではないかと思う。
 今回の日米首脳会談の前にいろんな曲折があった。安倍首相が靖国神社を参拝し、これに中国や韓国が激しく反発、韓国は中国と関係を深めるという思わぬ方向に出てきた。あわてたアメリカ政府は日本に国務副長官を派遣し外相や防衛相と会談した。そこでアメリカ政府が「失望した」と述べたのは韓国との関係をよくしてもらわないと困るからだと言った。核開発を進める北朝鮮に対して日米韓が連携して抑止力を強めねばならない。アメリカには日本も韓国も同盟国であり、その仲が悪くなるとアメリカの国益にならないということだ。昨年の靖国参拝によるマイナスがかなり日本に出ている。例えば2月7日に高知県で自衛隊、米海兵隊、高知県庁による日米共同の災害訓練があったが、米軍は沖縄からオスプレイ、大型ヘリ、200人の隊員で参加の予定が、当日にキャンセルになった。2月頃からアメリカは日本と連携をしていかない、協力しないという姿勢を明確に出していた。日本では維新の会が慰安婦問題の見直しを主張し、安倍政権は河野談話の見直しをしようかという時期であった。アメリカのメッセージが伝わり安倍首相はこれをしなかったので、核サミットで朴大統領、オバマ大統領と安倍首相のたった45分の首脳会議が実現した。これで辛うじて繋がり、今回の日米首脳会談に結びついた。この程度のものだ。
 安倍首相の危なっかしいところは、彼が持っている歴史認識、ひとりよがりの考え方、そしてその考えを持った人たちだけで自分の周りを固めるやり方だ。第1次安倍内閣では、「お友だち内閣」と言われる人たちだけを集め、彼らが失言を繰り返し、国会で追及されて辞めて、政権基盤がガタガタになった時とあまり変わらない。今が当時と違うのは、何か問題があっても辞めさせないことだ。第1次安倍政権を振り返ると2つの道を進めていたことが分かる。1つは憲法を変える道、今1つは憲法改正が出来ない場合に憲法解釈を変えて集団的自衛権行使が出来るようにする道だ。 年に最初に取り組んだのが教育基本法の改正だった。学校教育の現場を通じて日本国憲法を国民に定着させるための法律が教育基本法だが、安倍首相にとってはこのままでは都合が悪い。彼は学校教育を通じて愛国心を育む、国やその時の為政者のために命を捧げるような国民にしようと考えた。「国旗国歌法」は強制ではないと言っていたにも拘らず、小中学校で掲揚・斉唱が義務付けられて、それをしない教職員が処分されるようになってきた。さらに、教科書に領土問題を必ず書き込むよう強要している。教育委員会は政治と教育を分離していたにも拘らず、今後は地方自治体の首長が任命できるようにしようと、政治と教育の一体化を進めている。これは憲法を変える道筋の1つだ。もう1つは防衛庁の省への昇格だ。これは国民に自衛隊を積極的に活用するというメッセージを発信することになった。最後にやったのは国民投票法の制定だ。そこで無理な国会運営が祟って07年7月の参院選で民主党に惨敗、ネジレが生じ、9月に政権を放り出した。一昨年の総選挙で自民党が政権政党になり、安倍氏が首相の座に戻ってきた。安倍首相の強みは2回目で学習効果が出ている。どんなことを言っても誰も辞めさせない。もうひとつは、やりたいことをガンガンやると見透かされることが分かり、今回は「アベノミクス」などを打ち出し、円安、株高を演出するところから入り、何となく安倍首相の人気が高くなり、いまだに50%を超える支持率を維持している。昨年の参院選で自民・維新・みんなの3党で3分の2を取れなかったので、憲法改正の発議はできなくなった。これは安倍首相にとって都合のいい事態となった。各新聞の世論調査では、去年は「憲法を変えた方がいい」が全社で上回った。ところが各論では、「国会議員の過半数での改憲発議」とか「国防軍の保持や海外での武力行使」とかは、「そうしない方がいい」という人の方が多くなる。そうすると、改憲した方がいいという声に従って国民投票をやると、肝心の9条改憲が否決される可能性がある。否決されれば国民から信任されなかったということで、憲法を変えたいという安倍首相が途中で再び退陣しなければならない。そこで彼は「どうせ憲法改正は出来ないのだから、当面は憲法解釈を変えることにしよう」と考えを変えた。(つづく)

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【九条噺】

 相思相愛≠ニいえば誤解も受けようが、長谷川三千子氏(46年3月生、埼玉大学名誉教授)と安倍晋三総理はさほどに近しいのだという。長谷川氏は「安倍晋三総理を求める民間人有志の会」の代表幹事を務め、安倍総理はその長谷川氏を「広い経験と見識を有する方」と絶賛してNHK経営委員に任命した。▼長谷川氏は、昨年10月、朝日新聞東京本社で拳銃自殺した新右翼の野村秋介に対して「神にその死を捧げた」との追悼文を某紙に寄稿した。主な著作には『本当は怖ろしい日本国憲法』『神やぶれたまはず昭和二十年八月十五日正午』等がある。長谷川氏は、南京大事件や元日本軍慰安婦問題にとどまらず、過去の日本軍によるアジア諸国への侵略そのものも否定する日本会議の代表幹事でもある。安倍首相にはまことに申し分のない人物なのであろう▼「安倍首相に近しい」といえば櫻井よしこ氏(45年10月生)の右に出る人もさほどいないだろう。櫻井氏は元ニュースキャスターとしても有名な保守論客の一人で、現在は、憲法改悪を主目的にする国家基本問題研究所理事長。安倍首相のブレーンの一人とされ、「安倍の言動は櫻井よしこの脚本によるもの」と発言する報道関係者すらある(BSプライムニュース)。また、櫻井氏も「安倍晋三は歴代の首相の中で一番戦略的でよい」と語る。憲法改悪を目標にするコンビなど、見たくもないが、メディアの援護を得ての策は注視しないと・・・。(佐)

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「紀南ピースフェスタ2014」開催

 今回で5回目となる紀南ピースフェスタは田辺市で、30を超えるグループや個人が参加し、平和や人権などに関わる展示、コンサート、DVD上映、講演会など、さまざまな企画が行われました。
 27日のプレイベント「ピース街かどコンサート」は会場いっぱいの約100名が来場。イングリッシュハンドベルの音や透き通ったソプラノの歌声に浸り切って楽しみました。
 5月3〜4日、紀南文化会館では中央部分にステージが設けられ、南紀こどもステーションの子どもたちによる「よさこいソーラン」に始まって、コーラス、「みんなで楽しむ沖縄の歌」、1日3回の和歌山に伝わるお話の紙芝居上演、総勢9名のアーティストによる演奏でのクロージングと、趣向もさまざまに多彩なステージが繰り広げられました。また紀南在住で山口県祝島と福島の取材を続ける東条雅之さんによるトークと映画ダイジェスト版上映会も行われ、それほどまで原発問題を真剣に考えている若い人を応援していきたい、との声も寄せられました。

 フリージャーナリスト・西谷文和さんによる講演会「日本を戦争する国≠ノさせないために〜アフガン・シリア等の取材を通して見える世界情勢ときり結んで」には約90名が参加。噺家さんのようなテンポのよい西谷さんの話に引き込まれつつ、戦争の現実、戦争と原発、メディアとの関係、紛争の裏側に見え隠れする大国や武器商人たちの思惑、格差社会が戦争の下地になるといった話を聞きました。とにかく私たちは為政者に騙されてはいけない、自分で考えることが大事だと改めて思った次第です。
 この他、「紙と森と生き物たちと」展、平和のためのコカリナコンサート、戦争体験を聞く会など、2日間では消化しきれないほどの企画がありました。これからもそれぞれが得意なこと、チャレンジしたいことを通して、平和や持続可能な環境について考えるきっかけとなるような草の根の集まりを続けられたらと思います。(木川田道子さんより)

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(2014年5月15日入力)
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