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「九条の会・わかやま」 247号を発行(2014年5月28日付)

 247号が28日付で発行されました。1面は、安倍首相 集団的自衛権の制約なき行使へ 安保法制懇「報告書」提出、安倍首相の説明は 嘘と誇張の感情論(柳澤協二氏 @)、九条噺、2面は、集団的自衛権行使容認「反対」が「賛成」を圧倒(朝日新聞世論調査)、3面は、集団的自衛権は本格的なアメリカの戦争に参加するためのもの(半田滋氏A) です。

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[本文から]

安倍首相、集団的自衛権の制約なき行使へ
安保法制懇「報告書」提出


 15日、安保法制懇は集団的自衛権行使について、発動の条件を列挙し、「必要最小限度」のものに限定するという報告書を安倍首相に提出しました。同日、安倍首相は記者会見で、集団的自衛権について「限定的に行使することは許されるという考え方で、さらに研究を進めていきたい」と説明しました。従来の政府の憲法解釈は、「自国に対する攻撃がないのに他国防衛のために武力を行使する集団的自衛権の行使は許されない」としてきました。「限定的に行使」が「これまでの政府の基本的立場を踏まえる」というのは、あたかも自分が抑制的な立場に身を置くかのように見せるごまかしです。しかも、どのような場合に集団的自衛権を発動するかは、「政府が総合的に勘案しつつ、責任をもって判断すべき」とされ、時の政権の判断によって、海外での武力行使は際限なく拡大でき、何の「歯止め」にもならないものです。一旦、「海外で武力行使をしてはならない」という憲法上の歯止めを外せば、集団的自衛権行使の可能性は無限定に広がることになるのは明らかです。
 発動の条件として「密接な関係にある国が攻撃される」「わが国の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある」など6項目をあげています。しかし、それには地理的な制限はなく、自衛隊が米軍とともに「地球の裏側」を含めて、世界のあらゆる紛争に出向いて武力行使することになりかねません。他の条件も当り前の内容で、歯止めにならないものばかりです(2面参照)。判断基準として「国民の生命や権利が著しく害されるか」のほか「日米同盟の信頼が著しく傷つき、その抑止力が大きく損なわれ得るか」などを考慮するとしています。この基準に従えば、米国から行使を求められた場合、拒否することは難しく、必ず参戦することになってしまいます。
 安倍首相は何が何でも集団的自衛権を行使したいようですが、政府がこの方向で閣議決定をすることは、一内閣の判断で憲法解釈を自由勝手に変えることであり、立憲主義の否定にほかならず、決して許されるものではありません。

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安倍首相の説明は、嘘と誇張の感情論

 5月17日、「5月の風に We Love 憲法 5・17県民のつどい」がプラザホープ(和歌山市)で開催され、元内閣官房副長官補・柳澤協二氏が「海外で戦争する国にしない〜安倍首相の集団的自衛権容認に異議あり!〜」と題して講演されました。その要旨を3回に分けてご紹介します。今回は1回目。

柳澤協二氏 @

 私は実際の防衛実務を経験した中で、基本的には自衛隊シンパであるし、日米安保条約もうまく使っていく限りでは必要だと思っている立場だ。安倍首相から論理性のない話が出ているのに、何故支持率が落ちないのかを考えると、若い人たちの発想が変わってきていると思う。戦争を経験した政治家では戦争を二度とやってはいけないというのが暗黙の了解になっていた。その「時代精神」がなくなって、雰囲気が変わってきているのは間違いがない。


       (安倍首相の記者会見での説明パネル)

 安倍首相の15日の記者会見を見て、最初は「やられた」と思った。集団的自衛権と関係のない話をしているのだが、「全く嘘ではいけないが、多少の真実を含ませながらその一部をうんと誇張するとか、多少嘘で味付けをする」というやり方で世論を誘導している。そういう形で世論形成をしていくのが典型的なポピュリズム政権のやり方だ。安倍首相は理性ではなく感情に訴え、説明パネルの避難する母子たちを運んでいるアメリカの船が襲われた時に助けないでいいのかと言う。それは助けない訳にはいかないとなる。それを突き崩すのは容易ではないが、如何に非現実的な話か正面から崩すのが私の仕事と思ってNHKでも話した。韓国に日本人は観光客も含めて10万人ほどがいる。朝鮮半島有事でも、今どき北朝鮮軍の動きは必ず情報で分かる。そうした兆候が出た時は韓国にいる日本人を民間機でどんどん帰す。軍艦は戦争が始まれば民間人を乗せるようなスペースはない。そういう意味でアメリカの軍艦で日本人を運ぶなどは全く現実性がない。そもそも北朝鮮がソウルを占領するような能力などあり得ないと専門家は考えている。朝鮮半島有事を考えること自体が非現実的だ。今政府与党は邦人保護のための武器使用権限を拡大しようとしているが、それも非合理的だ。自衛隊が武器を使用しながら、アルジェリアの人質事件のように海から1千qも離れた内陸の日本人を助けに行くとすれば、給油も出来ないし、民間人を運ぶことが正しい選択かを考えたら、それはやってはいけないことだ。だから、今の法律では警護の安全が確保されていることを前提に自衛隊は邦人輸送ができることになっている。今後は武器使用が拡大すれば警護の安全が必ずしも確保されていなくてもやろうと言う。まさにこのケースだ。これはアメリカの船だから集団的自衛権が必要だと安倍首相は言うが、本質はアメリカの船を守るのではなく、中にいる日本人を守るということだから、輸送手段がどこの国のものかは本質的な問題ではない。法律改正をするのだったら自衛隊が守れるようにすればいい。これは自衛権でも何でもなく、法律上は警察権だ。警察官職務執行法では犯罪が起きようとしている時に犯罪を制止すること、市民への危険を排除することは認められているし、正当防衛に該当する時は武器を使用してもいいことになっている。
 「尖閣が危ない、北朝鮮からミサイルが飛んでくる、だから集団的自衛権」という話になっているが、それはおかしい。尖閣は日本の領土なのだから、それが侵略されたらそれを守るのは正に個別的自衛権だ。北朝鮮からノドンが飛んできたら日本を守るのは個別的自衛権だ。何故集団的自衛権が出てくるのか。確かに折よく南シナ海で中国が乱暴なことをやっているから、集団的自衛権で対応しないと日本も同じ目に遭うのではないかと言う。それならそれをきちんと理屈で説明しなければならない。それをしないで、脅威ばかりを強調する。オバマ大統領が来た時に、尖閣は日米安保5条の適用範囲だと言った。5条は日本防衛の条項だから、日本は個別的自衛権、アメリカは集団的自衛権で守る対象だと言っている。そういう当り前の論理的な話になっていない。
 何故そういう話が出てくるのか。安倍首相は何がやりたいのか。まさか、アメリカの船を守りたいということではないだろう。何故アメリカの船を守るのか。たどり着いた私の結論は「やりたいからやるのだ」ということだ。安倍首相は04年に政治評論家・岡崎久彦氏との対談本『この国を守る決意』を出し、その中に「祖父・岸首相が60年安保改定でアメリカが日本を防衛する義務を書いてくれて安保の双務制を実現した。自分の世代には新たな責任があり、それは日米安保を堂々たる双務制にしていく。日米同盟は『血の同盟』でアメリカの青年が血を流すのであれば、日本の青年も血を流さなければ対等な関係は出来ない」と書いている。やりたいことはこういうことだ。だけど、日本の青年とは自衛隊だ。その頃、自衛隊はイラクに派遣され、宿営地に砲弾が飛んでくる状況で、自衛隊は必死の思いで一発の弾も撃たないで復興支援をやっていた。その時、政治家は隊員が一人でも怪我をしたら内閣が潰れるから何もするなと言う。つまり、これはアメリカへの付き合いでやっているだけで、政治がそれ以上のことを望んでいない。こういう状況の中で「血の同盟」と言っている政治家がいたのだ。(つづく)

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【九条噺】

 沖縄の稲嶺進名護市長が5月半ばに訪米し、政府関係者や各界の人たちに沖縄の米軍基地、とりわけ普天間基地の辺野古移転問題について訴えた。米国務省のヘムシュ日本部副部長は「国と国の間で決めたこと」とつれない応対だったが、ジム・ウェッブ元上院軍事委員会委員は「自分は今でも辺野古移設は難しいと思っている」と回答。ケイトー研究所のダグ・バンドー上級研究員は「島の20%が70年近くも占拠されているのは明確な不公平だ。ワシントンと東京は真摯に向かい合わなければならない」と語った▼この問題で稲嶺市長が訪米するのは2度目になる。再度の訪米は、知事が態度を豹変させ、この案件を認めて埋め立てにも同意したからである。琉球新報社の世論調査でも、「知事の承認は公約違反」とみなす回答が72.4%になっている。一方で「辺野古移設反対」は73.6%に上っており、知事の理不尽さを物語る。稲嶺市長は、こうした世論調査にみる県民の総意がアメリカの各界にもさまざまな影響をもたらしていると実感したと語る▼沖縄の辺野古では漁協の一角にテント村が設置されてほぼ8年前から座り込みが続けられてきた。かつての沖縄戦では県民の4人に1人が亡くなった。戦後は、在沖米軍がベトナムで、湾岸戦争で、アフガンで、イラクで多くのアジア人を殺傷してきた。沖縄の人々は「戦争加担者であること」を拒否し、辺野古新基地建設に反対しているのである。(佐)

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集団的自衛権行使容認「反対」が「賛成」を圧倒
(朝日新聞世論調査)


 朝日新聞は26日に全国世論調査結果を発表しました。安倍首相の憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認は「反対」が55%で、「賛成」の29%の倍近くになっています。憲法改正の手続きを経ず、内閣の判断で憲法解釈を変える首相の進め方については「適切ではない」は67%で、「適切だ」の18%を圧倒しています。また、集団的自衛権を行使できるようになったら、周辺の国との緊張が高まり「紛争が起こりやすくなる」は50%で、抑止力が高まり「紛争が起こりにくくなる」は23%です。アメリカなどの同盟国の戦争に巻き込まれる可能性が「高まる」は75%で、「そうは思わない」の15%を大きく引き離しています。




集団的自衛権を行使する条件と問題点

      (東京新聞 5月16日付朝刊より)
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集団的自衛権は本格的なアメリカの戦争に参加するためのもの

 4月25日、和歌山市で青年法律家協会和歌山支部の憲法記念行事「憲法を考える夕べ」が開催され、東京新聞編集委員/論説委員・半田滋氏が「集団的自衛権のトリックと安倍改憲」と題して講演をされました。その要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は2回目。

半田 滋 氏 A

 安倍首相が解釈改憲に向けてまず行ったのが内閣法制局長官の人事だった。内閣法制局は、内閣の様々な法律や政策が違憲にならないかをチェックするという重要な役割を果す。「集団的自衛権を我が国は持っているがその行使は許されない」「自衛隊は海外で武力行使出来ない。自衛隊が武力行使が出来るのは日本が侵略を受けた時だけだ」という見解を示してきたのも内閣法制局だ。内閣法制局長官は過去例外なく15年程勤め、第1部長から内閣法制次長になった人が長官になっている。ところが小松一郎氏の前職はフランス大使で、ただの1日も内閣法制局で働いたことはない。安倍首相が07年、憲法解釈変更のために安保法制懇をつくり、4類型を示して議論させたが、その時外務省から委員として出ていた人物で、集団的自衛権は今の憲法でも認められると主張していた。安倍首相はそれを覚えていて長官に指名した。
 今安保法制懇では第1次の時と同じようなテーマを議論している。例えば、公海でアメリカの艦船が攻撃を受けたら守るということの例え話として、「隣にいる友達が殴られた時に見捨てて逃げるのか」と言うと、何となく国民は喧嘩に参加しなければいけないのかと思う。こんなトリックを上手く利用している。よく考えると何故殴られるかの原因を考えなければいけないし、また、相手の体格や武器を持っているかなども考えなければならない。実際に集団的自衛権を行使した場合はどうなるか、集団的自衛権を無条件に発動したらどうなるのかはよくよく考えて判断しなければならない。アメリカが同じような条件の時に自衛隊の艦船を無条件で助けてくれるかを考える必要がある。アメリカ軍は国防長官か大統領の指示がないと武力行使はしない。現場で艦長が条件反射のように助けたりは決してしない。何故ならアメリカは日本以上に文民統制が徹底しているからだ。うかつに武力を行使して、次に本格的な戦争になることも考えなければならない。だからアメリカはそう簡単に武力は行使しない。日米共同行動でアメリカの艦船が攻撃を受けた場合、日本が守るのは物理的に難しい。共同行動をする時はミサイルや魚雷を防ぐために15qほど離れて行動するので、日本が守るのは無理だ。アメリカが自国の艦船を守るために84隻もあるイージス艦を出し惜しみすることを前提に話を作ること自体が嘘っぽい。これはトリックだ。つまり、アメリカの艦船を日本が守ってやらなければアメリカは守れないなどということはあろうはずもない。むしろ、アメリカが日本を守る方が自然だ。アメリカに飛んでいく弾道ミサイルを迎撃しなければいけないと言うが、日本はその時ミサイルを撃たれない状況にあるのか。ミサイル防衛対応イージス艦を使わなければならないが、日本には4隻しかない。アメリカは30隻持っている。しかもアメリカに飛んでいくミサイルは日本を横切らない。北海道の西やシベリア上空を飛んでいく。アメリカを守るためにイージス艦を日本海に配備したら日本国民を見捨てることになる。さらに、イージス艦が対応できるかもしれないのは1300q程度の射程距離のものだ。アメリカまで飛んでいくには1万qの距離になり速度・高度がイージス艦の射程距離を出てしまい守りようがない。だからアメリカはカリフォルニアとアラスカに自国を守るためのミサイル防衛システムを置いている。もうイージス艦の世界ではない。軍事技術的・安全保障的にこのような議論をしても無駄なことだ。
 最近は限定容認などと、放置しておれば日本有事に発展しかねないような事態に集団的自衛権を発動すると言っている。安保法制懇では攻撃を受けている国から明示的な支援の要請があって、首相が決断して、国会の承認を得ると言っている。しかし、艦船を攻撃するのは魚雷やミサイルで分や秒の単位の話だ。そんな時間的余裕のある話ではない。限定容認論は党内の慎重派や公明党を取り込むためのみせかけだ。実際には限定容認論はあり得ないから、9・11でアフガニスタン攻撃をした時のように時間的余裕があって、正式にアメリカが手続きを取って戦争をし、日本に正式の要請をするという場面しか考えられない。本格的なアメリカの戦争に自衛隊を参加させるためにこそ集団的自衛権が使われると考えるのが極めて自然だ。実はアメリカ政府は、93年に北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)脱退を表明した際に寧辺の核施設を空爆しようと計画した。実行すればおそらく第2次朝鮮戦争になると考え、日本政府に対して50年の第1次朝鮮戦争の時のようにアメリカを支援してほしいと要請をしてきた。自衛隊の掃海艇の派遣、傷ついた米兵の救助、日本の空港・港湾を米軍が自由に使うことを認めるなど、1059項目の支援要請が日本に対して正式になされた。日本政府は、集団的自衛権行使は認められていないとゼロ回答をした。それで、日本政府の支援は得られず、米兵5万人が戦死するということで、アメリカはこれをやめた。最終的には米・北朝鮮の間で軽水炉の技術を提供するということで危機は去った。もしこの時日本が集団的自衛権行使を認めていたら、ひょっとしたら別の結論が出たかもしれない。93年は北朝鮮が核開発に乗り出そうという段階で現在とは違う。北朝鮮は06年10月に核実験を行い、その後2回成功させ、12年12月にはアメリカまでとどく長距離弾道ミサイルの試射に成功した。93年に比べれば今はアメリカにとって北朝鮮は危ない存在になっている。昨年、米国防総省が軍事レポートを出し、北朝鮮はアジアやアメリカにとって脅威だという言葉を初めて使った。だとすると、次にアメリカが北朝鮮攻撃を計画した時に日本が集団的自衛権行使の解禁に踏み切っておれば、今度こそ自衛隊を出せと要求してくると考える方が自然だ。(つづく)

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(2014年5月29日入力)
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