「九条の会・わかやま」 252号を発行(2014年8月13日付)

 252号が13日付で発行されました。1面は、若者よ 戦場へ行くな・[詩]なかにし礼さん「平和の申し子たちへ!泣きながら抵抗を始めよう」、いっしょにできることは沢山ある(大江健三郎さん)、九条噺、2面は、第3回「ランチタイムデモ」実施、集団的自衛権行使容認 若者の69%が反対  です。
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[本文から]

若者よ 戦場へ行くな

 7月30日付毎日新聞(東京夕刊)は、作家で作詩家のなかにし礼さんが7月10日付毎日新聞「特集ワイド」に発表した詩「平和の申し子たちへ! 泣きながら抵抗を始めよう」が、集会で、ラジオで、ツイッターで大反響と伝えています。その詩をご紹介します。

なかにし礼さん

平和の申し子たちへ!
 泣きながら抵抗を始めよう


二〇一四年七月一日火曜日
集団的自衛権が閣議決定された
この日 日本の誇るべき
たった一つの宝物
平和憲法は粉砕された
つまり君たち若者もまた
圧殺されたのである
こんな憲法違反にたいして
最高裁はなんの文句も言わない
かくして君たちの日本は
その長い歴史の中の
どんな時代よりも禍々(まがまが)しい
暗黒時代へともどっていく
そしてまたあの
醜悪と愚劣 残酷と恐怖の
戦争が始まるだろう
ああ、若き友たちよ!
巨大な歯車がひとたびぐらっと
回りはじめたら最後
君もその中に巻き込まれる
いやがおうでも巻き込まれる
しかし君に戦う理由などあるのか
国のため? 大義のため?
そんなもののために
君は銃で人を狙えるのか
君は銃剣で人を刺せるのか
君は人々の上に爆弾を落とせるのか
若き友たちよ!
君は戦場に行ってはならない
なぜなら君は戦争にむいてないからだ
世界史上類例のない
六十九年間も平和がつづいた
理想の国に生まれたんだもの
平和しか知らないんだ
平和の申し子なんだ
平和こそが君の故郷であり
生活であり存在理由なんだ
平和ぼけ? なんとでも言わしておけ
戦争なんか真っ平ごめんだ
人殺しどころか喧嘩もしたくない
たとえ国家といえども
俺の人生にかまわないでくれ
俺は臆病なんだ
俺は弱虫なんだ
卑怯者? そうかもしれない
しかし俺は平和が好きなんだ
それのどこが悪い?
弱くあることも
勇気のいることなんだぜ
そう言って胸をはれば
なにか清々しい風が吹くじゃないか
怖れるものはなにもない
愛する平和の申し子たちよ
この世に生まれ出た時
君は命の歓喜の産声をあげた
君の命よりも大切なものはない
生き抜かなければならない
死んではならない
が 殺してもいけない
だから今こそ!
もっともか弱きものとして
産声をあげる赤児のように
泣きながら抵抗を始めよう
泣きながら抵抗をしつづけるのだ
泣くことを一生やめてはならない
平和のために!

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いっしょにできることは沢山ある

 「九条の会発足10周年講演会・集団的自衛権と憲法9条」での呼びかけ人のスピーチ(要旨)をご紹介します。今回は大江健三郎さんです。

大江健三郎さん

 安倍首相はまず憲法96条の改正をすると言い、批判の声があがると引っ込めました。そして自分と親しいグループに案を出させ、それを内閣で決定する、そして国会で承認する手続きをとるといいます。もともと私たちが、この前の選挙、さらにその前の選挙で政権に過半数を与えたことが、集団的自衛権が閣議決定され、法律となるという危機として迫っているのではないかと思います。
 そして、いったん集団的自衛権なるものが現実に行使されるならば、日本人がアメリカ軍にくっついて、アジアで、あるいは別の場所で戦争をする、人を殺す、殺されることもある。そうなっても、政治家があるいは安倍首相が反省し、あるいはまちがっていたといって取り消すようなことは起らないと思う。かえって、政治家や安倍首相は集団的自衛権を行使しようとして国際的に働いて殺されたと言うと思います。集団的自衛権はこの国から動かせないものとなってしまう。そしてそれは安倍さんが忌まわしいものという戦後レジームが最後になることと私は考えます。
 ところが10年前、加藤周一さんは、非常に大きい根本的危機が訪れようとしていることを彼の確実な世界観で見抜いていました。そして加藤さんは自分の文学の仕事をやめられたのです。夫人の矢島翠さんは「加藤の最晩年には大きな事件が次々に起り、むしろ実践活動に比重が移るようになりました。それはとても大きな変化でした。加藤がよくこれだけ動くようになったものだと横で感じておりました」と語っています。私も驚きを感じました。そして何度か加藤さんと九条の会でお会いするうちに、いま加藤さんは九条の会の仕事にすべてをかけておられると感じました。その加藤さんは九条の会が発足して4年後に去っていかれました。
 自分は文学よりほかのことをしなくてはいけないと感じるようになりました。  加藤さんの言葉を引用します。「憲法を改正するのは戦争のためで、いきなり戦争をできるように、この国をするためです。…戦争の準備をすれば戦争になる確率が大きい。もし平和を望むならば戦争を準備せよではない、平和を準備したほうがいい。戦争を準備しないほうがいい」。「私たちの経験する歴史は、小さな偶然や、あるいは小さな、小さければ小さいほど自由な、決断の積み重ねであるほかはないのです。個人にとっては、個別の場合に応じる個別の自由を平和に向けて凝視するか、戦争に向けて凝視するかの問題になるでしょう。戦後60年、日本国の平和に向けた選択に憲法9条は大きく貢献してきました。今日そういう選択の自由を可能にした9条を改めて戦争への道を開けば、いずれ戦争か平和かの選択の自由そのものが失われるでしょう。平和な日本は、戦争か平和かを選ぶことができます。戦争をする日本では、戦争か平和かを選ぶことができません。九条の会は選択可能性の選択をよびかけているのです」。
 07年11月の九条の会全国交流集会での加藤さんのあいさつです。「第一は、おそらく長丁場であるということを意識して運動をやるということ。今年だけ運動が活発なのでは駄目で、長く活発にやる。拡大した組織は、ゆっくり大きくなる。劇的に大きくならないけれど、ゆっくり確実に大きくなるのだということをはっきり意識しなくてはならない。これは大きな仕事だと思います。しかし、意識的にそういう方向に動くべきではないかと、私は思います」。「あまり抽象的なことばかりではなくて、すべての問題を日常性に結びつけなければいけないということですね。憲法を改正しよう、改憲をしようという勢力の政治的方角は、福祉の縮小であり、対外的な戦争の容認です。彼らはそういう方角に目標を切り替えようとしていると思います。我々は日常生活であらゆる手段をとって、それに対して反対する。教育について、年金について、何についても反対すべき政策が非常に多いけれど、それらは相互に関連しています。その相互に関連したもの全体に反対することが大切で、つまるところそれこそが憲法を守るだけでなく積極的に生かしてゆくことではないでしょうか」。これは今、集団的自衛権の問題があり、アジアの危機が大きくなっているときに発せられた言葉ではないのです。加藤さんが亡くなられる一年前の言葉です。そしてどうするか。加藤さんは言います。「これから先、大変だと思います。でもどうか皆さん、一緒にできるだけのことをしましょう。一緒にできることはかぎりなく沢山あるのです」。
 そのように沢山のことは私にはできないかもしれません。しかし一つやりたい、それは今日、皆さんにお話することでした。

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【九条噺】

 内閣官房のホームページに、集団的自衛権行使容認の閣議決定に関係し、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備についての一問一答」がある▼その問いのひとつに「自衛隊員が、海外で人を殺し、殺されることになるのではないか?」がある。その答えは「自衛隊員の任務は、これまでと同様、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるというときに我が国と国民を守ることです」とある▼どうしてこれが「一答」と言えるのか。全く答えていない。「海外で人を殺し、殺されることになるのでは」と問うているのだから、まずYESかNOかを明確にしなければならない。答えはYESに決まっているが、まともにNOと言えないものだから、YESかNOかを一切言わず、よくわからない言葉ではぐらかしている。我が国の存立を守るため自衛隊員が海外で血を流すことになるということを、どうして率直に答えないのか。これを「子どもだまし」と世間では言うが、これでは子どもだって見破るだろう▼安倍首相はひとりよがりとはぐらかしがひどい。この「一問一答」は政権がやろうとすることをまともに説明せず、言葉の意味を歪曲して、屁理屈をこねて物事をごまかすという安倍首相の常套手段で出来上がっている。安倍首相らのこんなごまかしで若者が海外で殺し、殺されてはたまったものではない。(南)

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第3回「ランチタイムデモ」実施

 8月6日、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」主催の第3回「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」が行われ、厳しい炎天下110余名が参加しました。和歌山市役所から公園前交差点を経て京橋プロムナードまで、参加者は手作りのマイ・プラカードや横断幕を掲げて、「集団的自衛権の行使は許さない」とアピールを行いました。次回は9月9日の予定です。







集団的自衛権行使容認 若者の69%が反対

 共同通信社が8月2、3両日に実施した全国世論調査によると、集団的自衛権の行使容認に反対は前月から5.8ポイント増の60.2%、賛成は3.3ポイント減の31.3%になりました。特に20〜30代の若年層で反対が前月から17.9ポイントの大幅増で69.7%に上り、行使容認への不安感を強めている実態が浮かび上がりました。若年層でも女性は反対が76.8%と男性より多くなっています。

(東京新聞8月4日付より)

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(2014年8月14日入力)
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