「九条の会・わかやま」 261号を発行(2014年12月20日付)

 260号が20日付で発行されました。1面は、和歌山弁護士会の有志が集団的自衛権行使容認反対の意見広告、政府の積み重ねてきた解釈を一気にひっくり返した(清水雅彦さんA)、九条噺、2面は、「和歌山市ひがし9条の会」が平和コンサート、みなべ「九条の会」が街頭宣伝 、自民党が大勝?  です。
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[本文から]

和歌山弁護士会の有志が
集団的自衛権行使容認反対の意見広告

 和歌山弁護士会に所属する弁護士有志が集団的自衛権の行使容認に反対する意見広告を出しました。
 意見広告は、「私たちは和歌山弁護士会の弁護士有志一同です。政府の閣議決定に基づくこれまでの政府解釈の変更やそれに伴う法律改正により、憲法を実質的に改変することは、立憲主義に反する憲法違反の行為であり、私たちは法律家として断固として反対します」と述べています。
 当会呼びかけ人・月山桂弁護士を始め51人の弁護士が名を連ねておられます
。  意見広告は12月11日に毎日新聞、12日に朝日新聞、いずれも和歌山版に掲載されました。
(上は朝日新聞に掲載されたもの)

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政府の積み重ねてきた解釈を一気にひっくり返した

 11月8日の「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第11回憲法フェスタ」で日本体育大学教授(憲法学)・清水雅彦さんが「ちょっと待った!集団的自衛権〜日本を戦争する国にさせない〜」と題して講演されました。その要旨を4回に分けてご紹介しています。今回は2回目。

清水雅彦さん A

 自公の集団的自衛権の協議が5月から始まったが、グレーゾーンの問題から公明党が抵抗したので、個別の事例毎の交渉をやめ、一般的な基準作りに方針転換をした。6月13日に「3基準試案」を出し、「他国に対する攻撃」を加えたが、「他国」の幅が広いので「我が国と密接な関係にある他国」と変え、「幸福追求の権利が根底から覆されるおそれ」は「おそれ」が主観的概念でどのようにも解釈できるので、「明白な危険」に変えた。そして閣議決定は72年に政府が出した見解を悪用して行った。「憲法は前文で『平和的生存権』を規定し、13条で『幸福追求権』を規定しているので国民を守るために自衛の措置が取れる。しかし、それは『急迫、不正の事態』に対処する場合で、集団的自衛権行使は憲法上許されない」という結論が定着してきたのに、前半部分をつまみ食いし、結論部分を無視して、「自衛の措置」には集団的自衛権も入っているというのが今回の閣議決定だ。公明党は基本的には個別的自衛権の枠内だと言っているが、自民党は15事例全てで集団的自衛権が行使でき、集団安全保障にも参加できると説明しており、自公の説明が食い違っている。ガイドラインも関連法制も先延ばしになっているのは与党内でまとまっていないからだ。閣議決定だけでは法律がないから自衛隊は集団的自衛権行使はできない。来年の5月以降に集団的自衛権行使ができるようにするための法律改正や新しい法律が出てくると言われるが、まだその法律はない。私たちは閣議決定で諦めるのではなく、関連する法律を制定させない取り組みをしなければならない。
 集団的自衛権行使容認論のゴールにあるのは自民党改憲案だ。改憲案では国家主義が前面に出てくる。日本国憲法前文は「日本国民は」で始まるが、改憲案は「日本国は長い歴史と固有の文化を持ち、…天皇を戴く国家である」という形で始まる。現行憲法の人権規定は、「公共の福祉」で制限され、この言葉は誤解を受け易いが、これは人権と人権が衝突した場合の調整原理だが、改憲案はこれを「公益及び公の秩序」という言葉に変えようとする。自民党の本音は国家の安全が重要視される場合は国民の人権を制限してもいいという形に憲法の原理を変えようとしている。秘密保護法の時も国民の知る権利より国家の安全の方が大事だと言った。自民党が出してくるのは国家の安全であって国民の安全ではない。
 9条解釈は憲法学会では、1項は自衛戦争までは放棄していないが、2項で軍隊を持てないから、自衛隊は違憲だというのが多数派だとされる。政府解釈は2項で戦力は持てないが、戦力とは別の実力という概念を作って実力は持てるという解釈をする。国民が9条を変えたいと思っていないので、自衛隊を違憲とせず、憲法と両立させるために実力という概念を持ってきて、諸外国とは違うから自衛隊が行使できるのは個別的自衛権に止まり、集団的自衛権は行使できないとしてきた。政府の積み重ねてきた解釈を一気に閣議決定でひっくり返してしまった。
 20世紀は2度の世界大戦とその後の戦争で、「戦争の世紀」と言われる。それまでの戦争は軍隊同士がやっていたが、第1次世界大戦は科学技術が発達し戦車や毒ガスが誕生し、軍人だけでなく一般市民も大変犠牲者が多かった。そこで世界戦争はやめようという発想から、19年に国際連盟規約を作る。国際連盟規約は侵略戦争を制限する国際法になる。制限だけでは不十分なので28年に不戦条約を作り戦争一般が非合法化された。ただ、不戦条約は自衛戦争に手をつけていなかったので、第2次世界大戦が起きてしまう。45年に出来た国際連合憲章は自衛戦争を制限した国際法だ。これを推し進めれば自衛戦争の放棄が出てくる。憲法9条1項が自衛戦争をも放棄したと解釈すれば、日本国憲法は戦争違法化の最先端となる。かつて戦争はどんな戦い方も許されていたが、例えば一般市民が住んでいるところは攻撃してはならないなどのルール化をした。72年に生物兵器禁止条約、93年に化学兵器禁止条約、97年に地雷撤廃条約、08年にクラスター爆弾禁止条約によって兵器の制限をしてきている。今国連では通常兵器の規制についても議論している。この流れの中で、軍隊は不要だという発想があってもいいのであって、9条2項について自衛力も持てないと考えれば日本国憲法は戦争違法化の最先端と位置づけられる。(つづく)

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【九条噺】

 「特定秘密保護法」が多くの国民の反対を押しきって12月10日施行された。「特定秘密保護法」は戦前の「国防保安法」(41年3月制定)に酷似していると言われる。「国防保安法」は、「軍機保護法」「治安維持法」とともに、戦前・戦中の情報統制や思想弾圧の中核をなした弾圧法だ。3法とも最高刑は死刑だ。「軍機保護法」は軍事秘密を対象としたが、「国防保安法」は「外交、財政、経済その他に関する重要なる国務に係る事項」が対象で、秘密は無限定だ▼この「国防保安法」の犠牲者が和歌山県にいた。その人の名は「北林トモ」。41年9月28日、粉河町(現紀の川市)で「国防保安法」「治安維持法」違反で検挙される。容疑は「ソ連邦の対日諜報機関員として情報を調査し、和歌山や堺の情報を入手し、宮城與徳に報告した」とされた。これが「ゾルゲ事件」の端緒となる▼しかし、自立した女性としての道を選んだとしても、洋裁を生業とする58歳の「おばちゃん」がスパイもどきのことをするはずがない。日頃の生活の中で見聞きしたことを、アメリカ在住時代の知人・宮城に話しただけなのに、懲役5年で服役。病気で刑執行停止・仮出所。2日後に死亡。獄死に等しい状況だ▼彼女は自分が宮城に話したことが罪になるとは夢にも思わなかったことだろう。知らぬ間に犯罪者とされ、処罰される仕組みはまさに「特定秘密保護法」と同じだ。こんな悲劇を再び生まないためには廃止しかない。(南)

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「和歌山市ひがし9条の会」が平和コンサート

 「和歌山市ひがし9条の会」は12月6日、和歌山市東部コミュニティセンターで第1回平和コンサートを開き、55人が参加しました。尺八、チューバ、アルトサックス等の演奏と新婦人のフラダンスサークルの皆さんによるダンス、「うたごえオールスターズ」のみなさんの「うたごえ」、最後は参加者全員による歌と多彩な内容になりました。(石垣保さんより)

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みなべ「九条の会」が街頭宣伝

 みなべ「九条の会」は12月8日、太平洋戦争開戦日にちなんで町内4カ所で街頭宣伝を行い、「憲法9条を守ろう」と呼びかけました。
 会員10人が参加し、スーパーマーケット前などで「集団的自衛権行使はノー」と書いた横断幕やのぼりを手に、「今日12月8日は太平洋戦争が始まった日です。アジアの多くの人々に地獄の苦しみと不幸な犠牲を与えました。終戦後も犠牲者の家族はいまだに深い傷を負っています。憲法9条を守り、武力行使をせず平和国家として信頼されてきたが、安倍政権は集団的自衛権行使容認を閣議決定しました。集団的自衛権行使は戦争への道です」などと訴えました。また、車によるマイク宣伝も行われました。(平野憲一郎さんより)

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自民党が大勝?

 12月14日に投開票された総選挙は、集団的自衛権行使容認と憲法、消費税増税、経済、原発再稼働、沖縄基地問題などが争点なのに、安倍政権は専ら「アベノミクス」の信任を問うとして国民の批判の回避を狙いました。その結果、自民党は公示前から4議席減らして291議席となり、自公で326議席・3分の2以上を確保しました。これは、政党支持の状況を正確に表すという比例区得票率で自民党は33.1%なのに民意を歪める小選挙区制によって61.3%の議席になったものです。
 選挙結果について朝日新聞は「自公は大勝した」と書きましたが、自民党は議席を減らし、公明党と合わせて公示前の議席数と同じになったものです。
 16日付毎日新聞は、当選者アンケート(回答468人)の結果として、憲法改正賛成は83%(自民・維新95%、公明76%)と改憲発議要件を上回るが、一方、憲法9条改正賛成は57%(267人)で改憲発議要件を満たしていない。9条改正については12年の衆院選時には賛成72%を占めたが、今回賛成派は縮小したと報じています。
 安倍首相は15日、「憲法改正に向け努力して行く」と語り、集団的自衛権行使のための関連法制の整備についても「通常国会で成立させたい」などと表明しています。改憲に踏み込む安倍政権に対して、今、私たちは憲法9条を守り、集団的自衛権を行使させない活動を一層強めることが求められています。

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(2014年12月23日入力)
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