「九条の会・わかやま」 262号を発行(2015年01月10日付)

 262号が10日付で発行されました。1面は、今年こそ「戦争する国」ストップを、日本国憲法は国連憲章の一歩先を行く(清水雅彦さんB)、九条噺、2面は、言葉「ガイドライン」、書籍紹介『すぐにわかる 集団的自衛権ってなに?』、書籍紹介『エスペラント対訳日本国憲法』  です。
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[本文から]

今年こそ「戦争する国」ストップを

 総選挙での自民党の291議席の獲得は小選挙区制によるもので、決して国民多数の支持を得たものではありません。選挙後の世論調査でも憲法改正反対は50.6%、集団的自衛権行使容認不支持は55.1%です。それなのに安倍首相は「憲法改正に向け努力して行く」と語り、集団的自衛権行使容認の閣議決定に基づく安全保障法制を「通常国会で成立させたい」などと表明しています。中谷防衛相は「閣議決定内容が全て盛り込まれる一括的な法案提出を目指す」と述べており、一気に立法措置を推進する構えです。
 閣議決定は「非戦闘地域」の考え方をなくすなど、自衛隊の海外での後方支援の範囲を拡大しています。新聞報道では自衛隊による米軍など他国軍への後方支援をいつでも可能にする恒久法を提出する検討に入ったとしています。これまでは自衛隊を海外派遣するたびに特別措置法を作ってきましたが、恒久法を作ることで自衛隊を素早く派遣し、アメリカ軍の「後方支援」を広げることを狙っています。さらに今年見直しが予定される日米防衛協力のための指針(ガイドライン)では、「周辺事態」の考え方もなくし、自衛隊の活動範囲の制約を少なくし、米軍に協力しやすくすることが狙われています。これらは、全世界どこへでも、例え戦闘地域であっても素早く自衛隊を派遣し、アメリカと一緒になって「戦争する国」づくりに他なりません。今、私たちは安全保障法制の成立を阻止し、集団的自衛権を行使させない活動を一層強めることが求められています。

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日本国憲法は国連憲章の一歩先を行く

 11月8日の「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第11回憲法フェスタ」で日本体育大学教授(憲法学)・清水雅彦さんが「ちょっと待った!集団的自衛権〜日本を戦争する国にさせない〜」と題して講演されました。その要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は3回目で最終回。(当初4回の予定でしたが、3回目、4回目をまとめました)

清水雅彦さん B

 国連憲章は加盟国に個別的自衛権と集団的自衛権を認めているが、野放しの自衛権は認めていない。行使の要件は、攻撃を受け、受けつつある場合で、安保理が必要な措置を取るまでの間、相手の攻撃に見合った形で反撃するとし、報復戦争や先制攻撃は許されない。この観点でアフガン戦争を見ると、要件以前の問題として、テロは犯罪だから戦争で対応するものではない。ビンラディンやアルカイダは国家ではない。私人の行為に対して他国を攻撃することは許されない。アフガン戦争は非常に違法性の高い戦争だ。さらに違法性の高いのがイラク戦争だ。イラクは一度もアメリカを攻撃していない。武力行使の要件を全く満たさない。大量破壊兵器はデッチ上げだった。日本で秘密保護法が施行されたら、アフガン、イラク戦争と似たような状況が日本でも起きかねない。大事な情報が隠されて政府の流す情報だけで日本が戦争をしかねない。秘密保護法と集団的自衛権がセットになると日本がこれまで以上に外国で戦争をしかねない状況になる。
 国連憲章にも日本国憲法にも「武力による威嚇と武力行使」という同じ文言があるが、国連憲章では「慎まなければならない」とあり、日本国憲法は「永久にこれを放棄する」としている。考え方が違い、日本国憲法は国連憲章の一歩先を行く、戦争違法化をさらに進めた憲法だ。今世界に軍隊がない国家は27カ国ある。今日本に問われているのは28カ国目の軍隊のない国家になることだ。憲法の規定通り正真正銘の軍隊のない国家になるのか、普通の国になるのかが問われている。「普通の国」とは憲法で軍隊を持ち、戦争をすることが認められている国家を指す。日本国憲法の平和主義は戦争違法化の最先端を行き、他の普通の国に比べれば優等国だ。わざわざレベルダウンして普通の国になる必要はないが、安倍政権は普通の国にしようとしている。
 国連憲章51条に加盟国は集団的自衛権を行使できると書いてある。憲章の元になったダンバートン・オークス提案には集団的自衛権は明記されていない。中南米諸国の要求に応えてアメリカ主導で国連憲章に集団的自衛権を明記した。小国が一国だけで守るのは不安だからと集団的自衛権を考えていたのに、米ソ冷戦が始まると国連憲章に集団的自衛権があることを理由にアメリカやソ連などが軍事同盟を作っていった。集団的自衛権行使は主に大国が侵略や侵攻する時に使ったのが実態だ。原点に返れば国連憲章から集団的自衛権は削除した方がいいと考えられる。各国の軍隊は時間をかけてなくし、とりあえずは国連軍に一元化していく。50〜100年と時間をかければ不可能ではない。少なくとも日本国憲法は規範として戦争はしない、軍隊も持たないと書いている。日本が憲法通りの軍隊のない国家になるということは国際社会にとっても歴史的にも非常に大きな意味がある。
 集団的自衛権行使容認は9条のどこを読んでもこんな解釈はできない。本来は96条の規定に則り憲法を改正しなければいけない。それをしないのは国民の意思を問わず、国権の最高機関・国会を全く無視した行為だ。54年に参議院は「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」を全会一致で行っているが、これを無視することにもなる。国民と議論もしないのは国民主権の無視にもなる。99条に公務員の憲法尊重擁護義務があるのだから、政府の側が率先して憲法に否定的なことをするのは許されない。憲法の中心は統治規定で、第3章の人権規定以外は、国家の組織・構造を書いている。国家にはどういう機関があってそれは何をするのかを書くということは、憲法に書いていないことはするなということだ。国家権力制限規範というが、結果、憲法によって国家を縛ることになり、これを立憲主義という。閣議決定は9条のどこを読んでも出来ない、憲法改正もしないということは正面から立憲主義を否定した行為になる。安保条約との関係でも問題がある。安保条約ではアメリカは日本が攻撃された時に集団的自衛権を行使できるが、日本は9条があるので集団的自衛権は行使できない。そういうアンバランスがあるので、日本はアメリカへの基地提供義務がある。日本も集団的自衛権を行使できるとなれば、本来は条約を改正して対等なものにするのが筋だし、基地提供義務は削除しなければいけない。安倍政権は安保条約を変えないばかりか、辺野古に新たな基地を押しつけようとしている。  集団的自衛権の実態は「他衛権」であり「侵略権」だ。アメリカが戦争する時に日本もそれに参加するという意味では対米追随だが、実際にはアメリカと対等になりたい、さらに対米自立をも狙っている節がある。これはオバマ政権の警戒の対象にもなる。日本がアメリカの戦争に参加することになれば、自衛隊が他国民を殺し自衛隊員が殺されるだけでなく、対テロ戦争なら日本国内でテロが発生し、国民も犠牲になる可能性がある。
 平和主義は憲法学では「消極的平和」と「積極的平和」という表現をする。「消極的平和」はあらゆる暴力がない状態を指す。「積極的平和」は戦争のような物理的暴力に限らず構造的暴力や文化的暴力を含むが、こういう観点からすると9条は戦争も軍隊も否定するという点で「消極的平和」を追求するものだ。これに対して前文の専制・隷従・圧迫・偏狭・恐怖・欠乏が構造的暴力の概念だ。構造的暴力は貧困・飢餓・抑圧・疎外・差別などを指すが、こういうものをなくそうというのが「積極的平和」だ。憲法前文が画期的なのは平和的生存権の主体が全世界の国民であり、日本国民ではない。一国平和主義ではなく、全世界が貧困をなくそうという積極的平和主義の立場に立っている。テロの背景には世界の貧困問題があるので、今日本に求められるのはアメリカの戦争に参加しないだけでなく、憲法前文の立場から貧困問題を解決することが求められる。しかし、自民党改憲案は憲法前文のこの部分を全部削除する。「九条の会」の人たちも9条には注目するが、前文には必ずしも注目していない。9条だけでなく前文の平和主義の部分にも注目し、世界の貧困問題をなくすという運動が私たちには求められている。(おわり)

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【九条噺】

 経済学界の大御所とも言うべき伊東光晴氏は言う。(全国革新懇ニュース1月号)▼安倍政権を批判するのは、「安倍政権は保守ではなく右翼だからです。我々の世代を戦地に追いやった、靖国神社・国家神道を支えとする政権です。許しがたい。しかも論壇に、うそを重ねた安倍政権の経済政策、アベノミクスをまともに批判する人もいない。黙ってはいられません」▼「安倍政権は、領土をめぐる中国や韓国との緊張を利用してナショナリズムを煽り、憲法9条を変えようとしています」「日本は・・・行き過ぎたナショナリズムと悲惨な戦争の時代を経て、武力で紛争は解決できないと学びました。その忠実な表現が憲法9条です」▼「二つの大戦を体験した後の世界では、武力によらない紛争解決をめざす憲法9条は理想主義ではなく、もっとも現実主義ではないか」「アメリカが侵攻していった国の人々の、アメリカに対する怨念は深まるばかりです。だから日本は、アメリカとの『集団的自衛権』などにくみしてはならないのです。憲法9条にもとづいて紛争の平和解決に努めるべき日本が、紛争に巻き込まれ、紛争の当事国になってしまう」▼「戦前の日本に戻ろうとするような安倍政権の考え方が、この21世紀にアメリカでも世界でも通用するはずがありません」「私は言いたい。『翻れ21世紀の道しるべ・憲法9条』と」▼87歳の老泰斗のほとばしる思いを受け止め、私たち「若者」は一層奮起しなければならないだろう。(南)

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言葉「ガイドライン」

 「日米防衛協力のための指針」のこと。78年に作られ、日本が他国に攻撃された時や周辺国が有事(戦争)になった時の自衛隊と米軍の具体的な役割分担を決めた文書です。97年に改定され、朝鮮半島有事など周辺事態での協力を盛り込んでいますが、日本有事の際には日本は個別的自衛権を行使し、米国は安保条約第5条で支援する、周辺事態では日本は米軍に対して軍事的支援を行うが、それは直接米軍の戦闘行為にかかわるものではない、それ以外には国際平和協力として、武力行使が禁止された自衛隊が非戦闘地域に派遣されるというものでした。
 今回の見直しは、周辺事態という地理的制約を伴う概念を取り払い、個別的、集団的自衛権行使にかかわる、平時から緊急時、さらに武力攻撃の事態をひとまとめにしています。つまり、自衛隊が地球の裏までも出掛け、平時から有事まで、集団的自衛権を行使して米軍に協力して軍事行動をする「グローバルな軍事同盟」にするものです。

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書籍紹介『すぐにわかる 集団的自衛権ってなに?』

わたしたちが願い、誓ってきた、人間と人間が殺し合う戦争はもう絶対にしない、国際的な紛争は粘り強く話し合いで解決する、という人類普遍の理想を、安倍政権は、なんの痛みも感じることなく捨て去ろうとしています。「戦争をさせない1000人委員会アピール」より

編著者:戦争をさせない1000人委員会
発行所:七つ森書館(03−3818−9311)
発 行:2014年8月15日(第2版第1刷)
定 価:本体1200円+税


書籍紹介『エスペラント対訳日本国憲法』

NUN-vortoj(広高正昭・柴山純一・山川修一)によるエスペラント訳「日本国憲法」。吟味されたもっとも信頼すべき訳文で憲法が読める。エスペラントと日本語を対訳で収録。
(江川治邦氏推薦)

発行所:日本エスペラント図書刊行会
    豊中市曽根東町1−11−46−204
    TEL:06−6841−1928
定 価:本体600円+税

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