「九条の会・わかやま」 265号を発行(2015年02月22日付)

 265号が22日付で発行されました。1面は、史上初! 和歌山弁護士会がデモ 集団的自衛権行使容認に反対するアピールパレード、想定される「安全保障関連法案」とその問題点 A、九条噺、2面は、「9条壊すな!総がかり行動」呼びかけ 3団体で「総がかり行動実行委員会」を発足させる、言葉 「武力攻撃事態法」  です。
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史上初! 和歌山弁護士会がデモ
集団的自衛権行使容認に反対するアピールパレード


 2月16日、和歌山弁護士会主催の集団的自衛権行使容認に反対するアピールパレードが行われました。これは日本弁護士連合会が行う「全国一斉行動〜日弁連キャラバン月間〜」の一環として実施されたものです。日弁連の資料によれば全国で多数取り組まれていますが、デモまで実施したところは少なく、和歌山弁護士会には拍手喝采です。
 デモスタートに当り小野原聡史会長は、全国52の弁護士会のすべてが集団的自衛権行使容認に反対しており、これまでの憲法解釈を真っ向から否定するものだと批判しました。参加者は弁護士や一般市民の140人でした。
 和歌山市役所前を出発した隊列は、和歌山城とそのお濠を右手に、市内中心部を東西に走る目抜通り「けやき大通り」を東進し、「公園前交差点」を左折し、京橋プロムナードにゴールするという行程でした。車を運転する人、歩行者、沿道のビルで働く人たちなどに精一杯のアピールを行いました。当会呼びかけ人、事務局員も参加しました。





当会呼びかけ人も参加

  

  (副島昭一さん)      (花田惠子さん)

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想定される「安全保障関連法案」とその問題点 A

 安倍政権は昨年7月1日の「集団的自衛権行使容認」の閣議決定を踏まえた「安全保障関連法案」を今通常国会に提出しようとしています。想定される「安全保障関連法案」の内容とその問題点について、「戦争をさせない1000人委員会」のHPに掲載されている飯島滋明・名古屋学院大学准教授の論考を要約してご紹介します。今回は2回目。

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4.「グレーゾーン」への対応

 国連憲章は、国際法上違法な武力行使をする国に対して「集団安全保障措置」をとることを決めている。そして、「集団安全保障措置」がとられるまでの間、例外的に個別的自衛権や集団的自衛権を認めているにすぎない。国連憲章は各国の武力行使に制限を課している。ところが安倍政権は、自衛権行使に至らない事態を「グレーゾーン」と名付け、国際法上は自衛権行使の要件を満たさない「グレーゾーン」の場合でも自衛隊の武力行使を可能にするため、「領域警備法」のような法律を制定するか、「海上警備行動」や「治安出動」などの手続を簡略化する可能性が伝えられている。

5.「派兵恒久法」制定の動き

 自衛隊をすぐに海外に派兵できる「恒久法」を制定しようとする動きが伝えられている。米軍支援の法律としては既に「周辺事態法」があるが、「周辺事態法」で行われる対米支援は「後方地域支援」「後方地域捜索救助活動」など、「日本周辺の公海」である「後方地域」という「地理的制約」がある。そこで、「地理的・時間的・空間的制約なしのアメリカとの軍事的一体化」「海外での戦争」を可能にするため、「周辺事態法」を廃止、地理的制約のない「恒久法」の制定が主張されている。
 「周辺事態法」が廃止されなくても、安倍政権の下では、「周辺事態法」はかなりの箇所が改正される「大手術」がされることになるだろう。

6.「駆け付け警護」「任務遂行」「邦人救出」のための武器使用

 「閣議決定」では、「『駆け付け警護』に伴う武器使用及び任務遂行のための武器使用のほか、領域国の同意に基づく邦人救出などの『武力の行使』を伴わない警察的な活動ができるよう…法整備を進める」とされている。
 「駆け付け警護」は、「PKO法」には「駆け付け警護」任務を付与する規定が新設されよう。「派兵恒久法」にも「駆け付け警護」に関する規定が設けられる可能性もある。
 「任務遂行のための武器使用」は、日本の場合、海外での武力行使は憲法上認められないとの立場から、「PKO法」などでは「任務遂行のための武器使用」は認められないとされてきた。ところが「閣議決定」ではそうした立場が放棄され、「任務遂行のための武器使用」の法整備を進めるとしている。そこで、「正当防衛」「緊急避難」に限定されていた「武器使用」に関する規定、例えば「PKO法」24条、「周辺事態法」11条、「船舶検査法」6条1項などが改正されることになるだろう。
 「邦人輸送の際の武器使用」は、「在外自国民の保護・救出の一環としての救出活動や妨害排除に際しての武器の使用についても、領域国の同意がある場合には、そもそも『武力の行使』に当たらず、…憲法上の制約はない」という立場に立てば、「邦人救出」を理由とする自衛隊の海外派兵の際にも武器の使用要件が拡大・緩和される可能性も想定されるだろう。

7.「機雷除去」「船舶検査」(いわゆる臨検)について

 97年に改定された「ガイドライン」の別表には「機雷除去」「臨検」(「船舶検査」)が協力項目として挙げられている。97年の「ガイドライン」を具体化するために制定された「周辺事態法」や「船舶検査法」では、「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」という「地理的限定」がある。ところが「閣議決定」や「中間報告」で目指されているのは「地理的・時間的・空間的制約なしのアメリカとの軍事的一体化」「海外での武力行使」である。そこで「周辺事態法」「船舶検査法」は、日本周辺だけでなく世界中で「機雷除去」や「臨検」が可能になる規定に改正されることが想定される。
 臨検に関しては、04年に制定された「有事関連7法」の一つである「外国軍用品等海上輸送規制法」で、「武力攻撃事態…に際して、我が国領海又は我が国周辺の公海…における外国軍用品等の海上輸送を規制するため、海上自衛隊の部隊が実施する停船検査及び回航措置の手続」などについて定められているが、日本への武力攻撃事態だけではなく、アメリカへの武力攻撃を含む文言にされ、「我が国領海又は我が国周辺の公海」という地理的制約も取り払われるだろう。(つづく)

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【九条噺】

 最小限の正当防衛として日本が攻められたときに自衛するのではない「集団的自衛権」行使。他国の戦争でも政府が「日本の存立が脅かされる」と判断すれば遠くに派兵し他国軍と協力する。自衛ではなく他衛だと言われている▼安倍政権は昨年7月の閣議決定で集団的自衛権行使の「限定容認」を決め、年末総選挙で得た多数議席を使って今年から戦争関連法を成立させ、2016年夏の参議院選挙後に改憲発議と国民投票という日程を打ち出している▼これまで日本は70年にわたり戦争せず死傷者を出さずに来た。それを支えたのが日本国憲法前文の決意と対外約束、9条の戦争放棄条項だ。そして戦争しない国という姿を尊重した国民世論が基礎にあった。安倍政権の企図はこの伝統を壊そうとするものだ▼憲法9条の戦争放棄を宝にしていくのか、歯止めなく他衛に参加していくのか。大きな分かれ道に立つ今こそ多数の国民が、戦争のむごさと戦禍について改めて思いを致し学んで、憲法前文と9条の精神に共感すべきだと考える▼折しも朝日新聞が2月16日から「戦後70年・第2部・戦争のリアル」連載を開始した。19日まで4回の題が「@『戦地派遣』過酷な現実」「A空想の玉砕画に絶賛」「B近づく靖国と自衛官」「Cひめゆりたちの引退」である。自衛隊イラク派遣前の戦闘訓練、藤田嗣二の絵など、書き手の立場を出さないのがもどかしいが、考え込ませる重い事実の提示は貴重だ。(柏)

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「9条壊すな!総がかり行動」呼びかけ
3団体で「総がかり行動実行委員会」を発足させる


 2月5日、「戦争をさせない1000人委員会」「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」「戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター」の3団体であらたに「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」(略称「総がかり行動実行委員会」)を発足させ、「『戦争させない・9条壊すな!総がかり行動』をみんなの力で成功させましょう」との呼びかけを発表しました。
 呼びかけは、「安倍政権は、5月の連休明けには戦争関連法案の国会提出とガイドラインの再改定をセットで行おうとしています。すでに『密接な関係にある国』が先制攻撃した場合でも支援を否定せず、集団的自衛権の行使には『地理的限定はない』とし、また日本人人質の痛ましい殺害事件をも利用して『邦人救出に自衛隊派兵を』と発言するなど、危険きわまりない内容が想定されます。このため、5月、6月、場合によっては7月と、平和といのちと憲法を守り生かすための私たちの行動はヤマ場を迎え、連続行動も必要になるでしょう」と訴えています。

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言葉 「武力攻撃事態法」

 武力攻撃事態法は、我が国への武力攻撃が発生または明白な危険が切迫しているという「武力攻撃事態」、我が国への武力攻撃が予測されるという「武力攻撃予測事態」を定義し、わが国に対する武力攻撃に際して自衛隊をどのように使用するのかということ(対処基本方針)を定め、国会の承認を得る手続きなどを規定しており、自衛隊法とともに武力行使(自衛権行使)分野の法律の最も基本となる法律です。
 政府の従来の憲法9条解釈による自衛権行使は、@我が国に対する武力攻撃に対処するための個別的自衛権行使に限定した武力行使、A個別的自衛権行使以外の場面での武力行使の禁止を2大原則としています。自衛隊の活動での「他国の武力行使との一体化禁止」「非戦闘地域、後方地域での支援に限定」「武器使用は正当防衛、緊急避難に限る」などは2大原則から副次的に発生するものです。ここでいう武力攻撃はあくまで我が国に対するものであり、他国に対するものは含まれていません。
 今回、安倍首相が行おうとしているのは集団的自衛権の行使を可能にするため定義規定と対処基本方針の条文の「武力攻撃事態」へ「存立事態」を付加することです。「存立予測事態」も付加されることが考えられます。「存立事態」とは、日本と密接に関係する他国が武力攻撃などを受けて有事(戦争状態)になった時、日本が直接攻撃を受けていなくても、日本の存立や安全が脅かされたり、日本国民の権利が侵害されたりする危険があると、時の政府が判断すれば、自衛隊の武力行使や国民の権利制限が認められる状況を指しています。武力行使が無限定に拡大される恐れがあります。また、国連安保理決議による集団的措置(軍事的措置)への参加も可能にするものになります。閣議決定の「自衛の措置3要件」には地理的限定はありませんので、地理的限定もないということになるでしょう。

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(2015年02月22日入力)
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