戦争法案は分かり難い。理解できなくて当然だ。何故かというと、今回の法案は新しいものが1つ、残りは「平和安全法制整備法」という1本の法案にいろんな法案の改正点を羅列している。
「存立危機事態」は7月1日の閣議決定の要件を「武力攻撃事態法」の中に放り込む「存立危機事態」と認定すると、自衛隊に防衛出動命令が出せるようになる。その根拠を定めたものだ。それを日本が攻撃を受けていないのに、何でもありの防衛出動命令を出せるようした。集団的自衛権が行使できないという理屈に真っ向から挑戦する規定だ。
「周辺事態法は」97年のガイドラインを実行に移すために出来た法律だ。周辺とは我が国周辺の地域だ。朝鮮半島有事の場合に日本は米軍にどのような協力が出来るのかを決めている。この日本周辺を取り払い、第三国の領域内でもその国の同意があれば出来、「重要影響事態法」に名を変える。世界中、米軍のいるところどこでも、しかも、米軍だけでなく他国の軍隊も支援する。さらに、後方支援が出来るところは非戦闘地域の縛りを外し、現に戦闘が行われている現場でなければ支援が出来る。捜索・救助活動は戦闘地域でも出来るとしている。
今の法律は出来ることの中に、弾薬の提供は含まれないとなっているが、提供出来るようにする。「重要影響事態」とは「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至る恐れのある事態等、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」となっているが、意味があるのは「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」で、その判断は時の政府がする。後方支援活動は兵站活動で武力行使だから、この活動を自衛隊の任務として認めること自体が憲法違反だ。
アフガニスタンやイラクの戦争はアメリカの都合で戦争をしたのであって、日本の都合で始まったものではない。そうすると如何に「重要影響事態法」を全世界に展開できることにしても、日本の安全に関係がないというスキマができる。そのスキマをなくして支援をするためには「国際平和支援法」が必要となる。やることは後方支援活動とほとんど同じだ。国連決議が必要と一応は言っているが、国連加盟国に取り組みを求める決議でもよいと、ゆるやかなものになっている。問題なのは、従来の活動に加えて安全確保活動、駆け付け警護などが追加され、武器使用では任務遂行の武器使用を認めている。国連が統括する訳ではない、当該地域の国の要請での参加も追加している。これでは「重要影響事態法」とどこが違うのかが不明だ。
武力攻撃に至らない事態への対処では国会の事前・事後の承認は必要なく政府の判断だけ、或いは現場の判断だけでできる。
「切れ目なく」とはあらゆる事態に対応し、世界中どこへでも行けるということだ。この法案が通れば、自衛隊がアメリカ軍と一緒になって、先制攻撃をするのは無理だけれど、アメリカ軍が先に交戦しておれば政府の判断で出動が出来る。この法制ができると自衛隊ができないことはほとんどなくなる。
今の状況は日本の若者がアメリカの尖兵となり命を落とすことを食い止めてきた憲法9条を無視し、世界中どこへでもアメリカ軍の言うところへ自衛隊を派遣する法制だ。これを阻止しなくてどうするのか。そのために世論をどのように喚起するか必死に考えよう。
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【第2回】 7月19日(日)
【第3回】 9月12日(土)
いずれも、午後2時から 和歌山県JAビルで
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【九条噺】
「痛快」というか「溜飲が下がる」というか、「事件」が起った。6月4日の衆議院憲法審査会に招かれた参考人の憲法学者、自民・公明・次世代の3党推薦の早稲田大学教授・長谷部恭男氏、民主党推薦の慶応義塾大学名誉教授・小林節氏、維新の党推薦の早稲田大学教授・笹田栄司氏の3人全員が、「安全保障関連法案は憲法9条違反」と明言したという。自民・公明・次世代推薦の長谷部氏までもが「憲法9条違反」と明確に述べた。政府・与党は法案への国民の理解がなかなか深まらないことに焦りを強めていただけに、ショックは大きいと報じられている▼長谷部氏は特定秘密保護法の積極的な推進論者であった。衆議院の特別委員会で自民党推薦の参考人として特定秘密保護法に賛成の意見を述べていた。自民党は「安全パイ」と思って推薦したのだろう。その長谷部氏までもが「憲法9条違反」と述べ、自民党内には「重要影響事態どころか、存立危機事態だ」との声も出ているという▼小林節氏は改憲論を唱える憲法学者だが、安倍政権の解釈改憲路線に対する批判は鋭い。笹田栄司氏は維新の党の推薦であり、どんな見解を述べるのかよく分からない中で「憲法9条違反」との意見だ▼審査会では公明党の北側一雄副代表が「違憲」批判に反論したが、長谷部氏は「『他衛』まで憲法が認めているという議論を支えるのは難しい」と明言したという。拍手喝采するとともに戦争法案を廃案に追い込む決意を新たにしたい。(南)
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今、私たちは歴史的な時点に立っている
5月23日、「5月の風に… 県民のつどい」が開催され、小森陽一氏(「九条の会」事務局長)が、「草の根運動で九条の無効化阻止するとき」と題して講演されました。要旨を4回(予定)に分けてご紹介します。今回は2回目。
小森陽一氏 ②
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