「九条の会・わかやま」 281号を発行(2015年09月29日付)

 281号が29日付で発行されました。1面は、戦争法案 自公などの賛成多数で可決、和歌山でも廃止へ行動開始、「九条の会・わかやま」連続講座 戦争をしない国をいつまでも(花田惠子さん、森亮介さん)、九条噺、2面は、戦争法成立「評価しない」57% 毎日新聞世論調査   です。

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[本文から]

戦争法案、自公などの賛成多数で可決

 戦争法案は19日未明、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決され、成立しました。野党5党は18日、安倍内閣不信任決議案の提出などで採決に抵抗しましたが、与党は否決で押し切りました。これは、憲法の平和主義、立憲主義、民主主義を壊す、歴史的な暴挙と言わなければなりません。これをごり押しした自民・公明両党やそれに組みした次世代などの3党には歴史の審判を下さなければなりません。
 今回全国で自覚的・自発的な運動が広がりました。特に、若者、ママたち、そして多数の学者などかつてない新しい国民運動が広がりました。これは日本の未来にとっての大きな希望です。そして、このたたかいは決して止まらず、よりいっそう発展することはまちがいありません。

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和歌山でも廃止へ行動開始



「戦争法制絶対許さないぞ!9・23集会」が23日和歌山城西の丸広場で開催されました。集会は「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」「戦争をさせない和歌山委員会」「憲法九条を守るわかやま県民の会」などが呼びかけたもの。集会後、約500人の参加者はJR和歌山駅までデモ行進を行い、「戦争NO!」「9条守れ」などのプラカードを手に、「民主主義って何だ」「武器を持たすな、希望を持たせろ!」とシュプレヒコールをしながら行進しました。

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「九条の会・わかやま」連続講座
戦争をしない国をいつまでも


 9月12日、「九条の会・わかやま」は「連続講座『戦争しない国をいつまでも』」第3回を開催しました。当会呼びかけ人・花田惠子さん(有機認証協会副理事長)が「私と憲法」、森亮介さん(憲法9条を守る和歌山弁護士の会会員)が「戦争をする国とはどんな国か~自民党改憲草案の異常さに見る~」と題して講演をされました。その要旨をご紹介します。

今は誰もが黙っていてはいけない時代
花田惠子さん




 私は戦争について何も記憶がない。何も教えらず、高度経済成長期に育った。子どもが生まれてからは食の問題、環境の問題に関ったが、戦争や平和の問題には関心がなかった。湾岸戦争が始まり、ちょっと危ないという思いが起り、少し戦争や平和にも関心を持つようになった。私はオーガニックのカフェをやっており、環境ネットワークや有機認証協会の立ち上げに関ったり、戦争にちょっと関心が出てきた時に、たった2人で「平和を願う女性たちの会」を立ち上げた。店で憲法の勉強会や映画会などをするようになった。そうしているうちに「九条の会」の呼びかけ人にという話があったり、仲間と一緒にピースアクションというイベントや学習会をして、それが、「平和と憲法9条を守りたい市民の声」に発展し、仲間が増えた。「9条ネットわかやま」が出来てそこに入った。いろんなことをやってもなかなか若い人たちとの接点が生まれないので、まず楽しもう、それをきっかけに気付いてくれるかもしれないと、「ハッピーバースディ憲法イン和歌山」という集まりをした。来年も実施するので是非参加してほしい。
 遠くで起った惨事や紛争は自分と関係がないと思っている人がいっぱいいることに気付くようになった。2011年に福島原発の大惨事があり、3月16日から福島などから逃げてくる人の支援をした。日本人全てが福島を支援し、原発に反対するかと思ったが、影響もなく12年の衆議院選挙の投票率は59%、去年も53%で、今日の悪政につながる安倍政権の復活を許した。安倍首相の今年4月のアメリカ議会での演説は「アメリカは素晴らしい」という礼讃一本だ。彼の思想はアメリカのする通りにやっておれば日本の国益に適うというものだ。日本が命の危険を冒してアメリカについて行って、日本は存続していけるのか。今まで憲法9条を外交の切り札に出来たが、「普通の国」になったら、このカードを手放すことになる。日本が攻撃された時、アメリカは果たして守ってくれるのか。アメリカは自分の国の利益優先だから日本をいつ切るか分からない。憲法9条は戦前の日本の侵略の反省に立って生まれた、世界に誇れる憲法だ。これを守るには、諦めず「戦争NO!」の声を上げ続けるしかない。誰もが黙っていてはいけない時代が今だ。若者たちが街頭でどんどん声を上げ始めている。ともにがんばりたい。

改憲草案は国民を支配する道具
森亮介さん




 立憲主義とは多数派の権力行使に憲法で歯止めをかける意義を持つ。法律は国民の自由を制限して社会秩序を維持する歯止めである。憲法は国家権力を制限して国民の人権を保障する歯止めだ。法律と憲法は「守れ」という方向が逆になる。憲法はあくまで人権保障が目的だ。憲法の中に義務を規定すると憲法は法律に成り下がってしまう。改憲草案は新たに10個の義務を課している。国防義務、領土・資源確保義務、公益及び秩序服従義務等々を課し、憲法が国民を支配する道具に変質している。
 「全て国民はこの憲法を尊重しなければならない」と規定し、立憲主義を真っ向から否定している。現行憲法は憲法尊重擁護義務に「国民」を入れていないところに立憲主義憲法としての意味がある。改憲草案前文には「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重する・・・」と基本的人権尊重を国ではなく国民に求め、国を守ることを求めている。「日本国民は、よき伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するために、ここに憲法制定する」と憲法制定の目的を「伝統や国家を子孫に継承するため」としており、人権や平和を守るために国家権力を縛るという本質を外れたものになっている。
 現行憲法13条には「すべて国民は、個人として尊重される」とあり、誰もがかけがえのない価値を有するということだが、憲法の3原則、基本的人権の尊重、国民主権、恒久平和主義も13条がその根底にある。改憲草案は「人として」とあり、かけがえのない個人としては尊重されなくなってしまう。12条には「国民は、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」と規定し、人権が常に「国益や国が決めた秩序」の下に置かれることを意味する。21条の表現の自由の2項には「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と規定している。目的による制約が加えられ、目的を判断するのは権力側だ。言論に対する広範な規制が可能になる。
 改憲草案の憲法改正発議要件は過半数になっている。憲法に拘束される国会議員が自ら望む憲法へと改正しやすくなることを意味する。
 現行憲法9条は「戦争放棄」「戦力不保持」「交戦権否認」を決め、前文で「平和的生存権」が規定されている。自衛隊が果たす機能には厳しい制約がかけられている。「集団的自衛権は行使できない」「海外で武力行使は出来ない」「武力行使を目的とした海外派兵は行えない」「武力行使と一体の活動は出来ない」という一線は残されていた。改憲草案9条の2では「国防軍」が創設され、現行憲法の「戦力の不保持」「交戦権の否認」「平和的生存権」が削除されている。自国防衛なら自衛隊で十分なのだから、国防軍の真の目的は集団的自衛権の行使と国際的協力の名の下に戦争に参加することだ。「専守防衛」を根本から変更するものだ。
 「自衛権には集団的自衛権が含まれ、行使には何の制約もない」と述べている。自衛のためなら先制攻撃も可能で、戦争に対する歯止めは全くきかなくなる。敵戦力の破壊、兵士の殺害が原則できるようになる。自衛隊は人殺しは原則できない。原則が逆転してしまう。国防軍の統制は「法律の定めるところ」と憲法の制約を放棄し、法律に丸投げしている。こうなれば多数派・与党の意向が大きく働き、歯止めが効かなくなってしまう。「その他の統制に服する」は、急ぐ時は国会の承認なしで海外派兵が可能になる。多国籍軍に参加し武力行使も容易になる。
 軍事費が肥大化し、福祉教育予算は削減される。教育も変わってくる。徴兵制も検討される可能性が出てくる。テロの標的になる可能性もある。
 結論的に言えば、日本はアメリカとともに常に戦争ができる国になる。今、安保法案によって集団的自衛権の行使等を可能にしようとしている。安保法というたかが法律で憲法を改正して集団的自衛権の行使ができるようにする発想だ。国会の多数決で憲法を実質的に改正してしまうものだ。改憲草案の特徴は「非立憲主義」「戦争をする国」「国民主権の後退」「権利拡大に消極的、義務拡大に積極的」と言える。

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【九条噺】

 8月30日、天気予報が的中し朝から雨。何度空を見上げたことだろう。夕方4時、「国会10万人・全国100万人大行動」の一環で、私の住む河西地域の集会が始まった。傘をさして「戦争法案反対」「9条守れ」などのプラカードを持った人々が、パームシティ前に集まる▼お年寄り、壮年の人、和歌山大学有志の会の人と、スピーチは続く。赤ちゃんを抱いた若いお母さん、その夫のスピーチは感動的。近い将来、大きくなった我が子に「戦争のない世の中を作った力に、お父さんの力も入っているんだよ」と語るのだろうなぁ▼デモが始まる頃、雨は止んだ。元気なシュプレヒコールが途切れない。2列ながら隊列は伸び、堂々としたデモ行進。助手席から拍手をしてくれる車。びっくりしたような顔で立ち止まって見送ってくれる人。わざわざ店から出てきて拍手してくれる若い店主夫妻。2階の窓から手を振ってくれる人。和歌山の片隅にも、戦争法案反対の世論が確としてある実感▼翌日の新聞には、国会の周りを埋め尽くした人々の写真が大きく載った。「60年安保の時と違って労組や団体からの参加者でなく、一人一人の意思によると思われる参加者が多かった」と報じる新聞もあった。戦後70年の歩みは、私たち国民の胸に主権者意識を育てる歴史であったのだ。シールズの人のスピーチ、「民主主義は止まらない」。集会やデモ、宣伝はまだまだ続く。(真)

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戦争法成立「評価しない」57%
毎日新聞世論調査




 毎日新聞が安保関連法(戦争法)の成立を受けて19、20両日に行った緊急の全国世論調査では、成立を「評価しない」は57%で、「評価する」の33%を大きく上回っています。参院特別委員会で与党が強行採決したことに関しては「問題だ」が65%を占め、「問題ではない」は24%にとどまっています。関連法の成立を評価しない理由は、「審議が不十分だから」45%、「法律に反対だから」29%、「法律を修正すべきだったから」19%の順になっています。
 関連法が「憲法違反だと思う」は60%で、成立前の7月調査の52%より増加しています。

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(2015年09月29日入力)
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