「九条の会・わかやま」 282号を発行(2015年10月17日付)

 282号が17日付で発行されました。1面は、戦争法との戦いをやめない 「総がかり行動集会」開催、「オールジャパン平和と共生」総決起集会開催、九条噺、2面は、「戦争法案反対」の活動の中で得たもの 和歌山大学教育学部の一学生からの寄稿、弁護士グループ 「安保法は憲法違反」年内にも一斉提訴へ   です。

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[本文から]

戦争法との戦いをやめない
「総がかり行動集会」開催




 安全保障関連法に抗議する「10・8戦争法廃止!安倍内閣退陣!総がかり行動集会」が8日、東京都文京区の文京シビックホールであった。1750人が参加し、野党の国会議員や学識者、市民団体メンバーらが「成立してしまったが、引き続き戦おう」と訴えた。
 主催は、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。学識者や弁護士から「国会による憲法へのクーデター」「成立しても、憲法違反は憲法違反」との批判が相次いだ。全国で起きた反対デモについて、SEALDsの本間信和さんは「次の選挙に反映させないといけない。このつながりは絶対に力になる」と訴えた。
 紛争地で援助活動をするNGO「日本国際ボランティアセンター」の熊岡路矢さんは「紛争地では、軍隊と武装した市民らが入り交じり、混乱する」と指摘。「武装した隊員が行くと、紛争を悪化させる可能性がある。日本に直接、関係のない戦争に自衛隊を送るべきではない」と述べた。 (10月9日付・東京新聞)

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「オールジャパン平和と共生」総決起集会開催



 幅広い市民や政治家、学者ら著名人が賛同する超党派の市民団体「オールジャパン平和と共生」の総決起集会が8日、憲政記念館(東京・千代田区)で開かれました。政治経済学者の植草一秀氏や鳩山由紀夫元首相、憲法学者の小林節氏ら18人の著名人が安倍政権打倒を訴えるとともに、日本共産党の小池晃副委員長も登壇し、選挙協力を視野に入れた連帯を確認しました。  集会には700人を超える市民が詰め掛け、小池氏のほか、篠原孝・鈴木克昌両衆院議員(いずれも民主)らが登壇し、多数の元国会議員も駆け付けました。
 集会宣言は、安倍暴走政治を「立憲主義に反し議会制民主主義を一顧だにしない政治手法は、一種のクーデターによる憲法体制の破壊」だと糾弾。戦争法の「早期の廃止」を強調し、主権者の連帯で国政選挙に勝利し、「一日も早く安倍政権を打倒して日本政治を国民の手に取り戻す」と呼びかけました。
 政治学者の白井聡氏は、先の抗議デモを念頭に「今まで目にしたことのない政治の高まりが起きている。敵は政官、メディアの権力中枢部で自己の既得権益を確保したい人たちで、この国の富を最後の一片まで多国籍資本に売り渡そうとしている」「われわれがやることは非常に簡単。抵抗しなければ」と訴えました。共産党の志位委員長が言及した「国民連合政府」に触れ、「重大な提案があった。共産党が本当に変わったのか、変わってきていてほしい。あらゆる団体で下から抵抗の動きが起こらなければならない」と期待感を示しました。
 植草一秀氏は、「今、日本の主権者は怒りに打ち震えている。安倍首相はヒトラーの『国民は理解力に乏しく、忘却力に富んでいる』との言葉をうのみにしていると言われるが、この言葉があてはまるのは、ポツダム宣言を知らず、立憲主義を理解できず、総理の職を無責任に投げ出したことまで忘れている安倍首相自身ではないか」と批判し、昨年12月の総選挙の比例区で自民党は17.4%の得票率しかなかったことを示し、「議席は多いが、主権者から支持されていない」と指摘。「与党勝利は自公の結託」として、1選挙区に1人の対立候補を主権者主導で立てる運動を提唱しました。
 鳩山由紀夫元首相は、「小沢さんは『普通の国』を求めていた。今の安倍さんも同じことを言うが、質が全然違う。どうも、戦争ができる『普通の国』にしたいようだ。そんな国より、できない『珍しい国』であり続けるべき」と安全保障政策の転換を批判。「武力で平和を創るのは不可能。憎悪の連鎖を生む。最低限守るための防衛力は否定しないが、それ以上の積極的平和主義と言っているような武力を積極的に使って中東を平和に導くために、自衛隊をいろんな所に派遣するのは大きな誤り」と主張、「私たちは5つの大きな政策をまとめ、それらを実現する政治の流れを作っていこうとしている。共産党さんもそれに協力するとおっしゃっているわけだから、大きな流れができると信じている」と述べました。
 小池晃氏は、「史上最悪の安倍政権を前にして、やるべきことははっきりしている。戦争法では軍事的に米国の属国となり、TPPで経済的な属国となる。何が『1億総活躍社会』だ。政治家が『1億』などと言う時はろくなことがない。『1億総火の玉』に『1億総ざんげ』。まさに上から目線の全体主義」と揶揄し、「憲法の上に自分を置く、個人の上に国家を置く。民主主義の否定であり、独裁政治以外の何者でもない。安倍政権は打倒するしかない」と訴え、「あの国会を取り巻く数万人の闘いの中で、日本共産党も脱皮させていただいた。この声に応えるのは、政党政治家の責任。個人の尊厳が最も尊重される当り前の国を創ろうではないか」と述べました。
 小林節氏は、「幾つかの政党の偉い方が『基本政策の違う党とは一緒にやれない』と言っていた。実にばかばかしい。万年野党の一つでいる方が政策と言って何をするの」と挑発し、「連合の幹部が『共産党とやると乗っ取られるから嫌だ』と言う。私は『乗っ取られたらいいじゃないの。強さを学ぶためにも』と返した。『運動論・組織論からすれば、弱いから負けるんだろう』と。目の前の憎き共産党より、国を乗っ取っている安倍ちゃんの方が問題では」と投げ掛けました。(ブログ「高橋清隆の文書館」より抜粋)

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九条噺



 9月1日に発足した防衛装備庁のロゴが物議を醸しているそうだ。地球を取り巻く3本の線はどう見ても、戦闘機、戦車、軍艦だ。まさに「死の商人」のロゴだ。防衛装備庁は昨年4月に「武器輸出3原則」を撤廃し「防衛装備移転3原則」という武器輸出解禁措置に沿った新組織だ▼「武器輸出3原則」は、67年に①共産圏②国連決議で禁止された国③国際紛争の助長の恐れのある国─への武器輸出を禁止し、76年に三木内閣が対象地域以外も「憲法の精神に則り武器の輸出を慎む」として原則禁止にしたものだ。国是とも言われ、憲法9条とともに「平和国家・日本」を支えてきたものだ▼それを今、米国だけでなくオーストラリアや英国、フランスなどとも武器の共同開発の推進を合意し、さらに相手国を増やそうとしていると言う。日本の武器輸出が加速したり、開発段階から技術協力が進めば、日本と各国間の武器の仕様や部品などが共通化し、自衛隊と他国部隊の一体的な運用がしやすくなると言われている。自衛隊を多国籍軍に参加させる布石にも見える。そして、経団連が「防衛装備品の海外移転を国家戦略として進めるべきだ」と言うように、財界の要求でもある▼政府・自民党と財界が一体となり、「死の商人」のロゴを掲げて突き進もうとする「戦争国家・日本」作りだ。そんな日本にさせてはならない。(南)

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「戦争法案反対」の活動の中で得たもの
和歌山大学教育学部の一学生からの寄稿


 学ばなければならないこと、それを学ぶ意義。当事者であること、その意識を持つこと。それがどういうことなのかを考えたとき、政治に限らず、我々は生きていく上で起こる問題に常に向き合い、答えのない答えを模索していかなければなりません。それは、哲学のようなこと。それを繰り返すことで個人としての思想を捻出する。これは学ぶことを怠っては機能しません。様々なことに触れ、知識を得て、そこから自分の言葉を作っていく。途方もない作業です。そしてそれは凝り固まってしまってはいけません。学び続け、動き続け、考え続けて得られる、生きた言葉でなくてはいけません。
 SEALDsのシュプレヒコールの一つに「民主主義ってなんだ?」「これだ!」というものがあります。これは、端的にデモで声を上げる瞬間を民主主義と表すのではないと思います。生きた言葉で語り合う、考え方をアピールする、それを反映した社会。それこそが民主主義である。この過程の中にデモがあるから、そこでこのコールがなされているのではないでしょうか。そう考えると、日常の会話も充分「民主主義」になります。
 何気ない会話の中で、政治の話をタブーとせず、普段から少しでもいいから、語り合う。こうして沢山の考え方に触れ、学ぶ意識を持つ機会を得る。そうやって当事者として学ばなければならないことに対面することを主体性と呼び、それはこのような過程で生まれるのだと思います。それを持てばそれは止まることを知らないと思います。
 私はそんな主体性の芽をこの夏で得ることができたと感じています。これからはそれを育てていくことが大切。先に述べましたが主体性は止まりません。どこまでも成長させていきます。デモだとか勉強会だとかそんな格式張ったものでなくても、普段から本を読んだり、話したり、考えたりすることを、習慣にするだけでいいと思います。そうやって個人で息長く活動することで、社会はゆっくり変化すると信じています。



(彼も参加した東京・新宿の集会)

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弁護士グループ、「安保法は憲法違反」年内にも一斉提訴へ

 安全保障関連法に反対する集会が8日夜、東京都内で開かれ、弁護士のグループは「法律は憲法違反だ」として年内にも全国で一斉に裁判を起こす準備を進めていることを明らかにしました。これは安全保障関連法に反対の立場で活動を続けている内田雅敏弁護士が8日夜、東京・文京区で開かれた集会などで明らかにしました。集会で内田弁護士は、「この法律は私たちが平和に暮らす権利や人格権を侵害しており、立憲主義を否定する」として少なくとも全国の8か所の裁判所で「法律は憲法違反だ」として国に対して損害賠償に加え、法律を施行しないように求める訴えを起こす方針だと述べました。また、すでに弁護士のグループを作り、年内にも一斉に提訴する方針で準備を進めていることを明らかにしました。
 安全保障関連法に対しては複数の個人や団体がすでに訴えを起こしたり提訴の準備を進めたりしていて法律の合憲性は各地の裁判所で争われることになります。また、8日の集会では、9月19日に安全保障関連法が成立したことから、今後は毎月19日に法律に反対する行動を続けていく方針も確認しました。(10月8日・NHKニュース)

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(2015年10月20日入力)
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