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「戦争法廃止」、行動続ける
シールズ、渋谷で抗議集会
安全保障関連法成立から1カ月になるのを前に18日、シールズのメンバーらが東京・渋谷駅前に集まり、来夏の参院選を見据えて「あなたが持っている一票の権利は平等の権利です」などと訴えた。安倍晋三首相が米原子力空母ロナルド・レーガンに乗艦すると、空母配備に反対する関係者らから批判の声が上がった。
「主権者は私たち。自民党に任せたら暗くなるんじゃないかな。安倍さんに思い知らせてやろうじゃないですか」。シールズのメンバーは声を張った。
若者たちの街頭行動に民主、維新、共産、社民、生活の5野党の国会議員も参加してマイクを握り「共闘」を訴えた。福島瑞穂議員(社民)は「戦争法廃止、改憲案ノー。野党と、できれば与党にも食い込んで大きく手をつなぎ歩んで行こう」と呼び掛け、福山哲郎議員(民主)も「野党協力して、安倍政治を倒すために声を上げ続けなければならない」と語った。玉城デニー議員(生活)は野党が結集する「オリーブの木構想」を挙げ、「皆で(選挙名簿に)名前を連ねていこう」と提案。会場から自然と「共闘、共闘」とコールが起こった。
街宣には、高校生らのグループ「ティーンズ・ソウル」も参加。都立高3年の福田龍紀さんが「来年の参院選は僕たちにも選挙権がある。自分の一票を無駄になんか絶対にしない」と叫ぶと、拍手が湧いた。
若者に人気のラップグループ「スチャダラパー」も駆けつけ「民主主義って何だ?(これだ!)」とコール。スクランブル交差点を歩く若者も、しばし足を止めて聞き入っていた。(東京新聞・10月19日付)
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すべての戦争は嘘と宣伝で始まる
西谷 文和 氏
10月17日、和歌山県JAビルで「憲法9条を守る和歌山市共同センター」の「秋の憲法学習会」が開かれました。
まず、和歌山大学教育学部の学生から報告があり、彼は「7月頃より、ゼミで学習を進めていく内にシールズの活動を知った。9月10日の新宿のデモに初めて参加し、その後は和歌山市内でのデモや集会に参加するようになった。政治に無関心でいられるが、無関係ではいられないという言葉に励まされ、11月の学内でのシンポジウムにも取り組んでいる。焦らず一歩ずつ進めて行きたい」と話しました。続いて、フリージャーナリスト・西谷文和氏より「テレビがいわない戦争のリアル」と題した講演が行われました。
西谷氏は、まずシリアの位置と歴史を確認し、「1970年に現在のアサド大統領の父がクーデターで政権の座についた。00年に父が死亡し、世襲で現在に至っている。11年にアラブの春が起りシリアにも飛び火した。しかし、アサドはデモを徹底的に攻撃した。その結果『自由シリア軍』が結成され、内戦に発展した。そこに『イスラム国』が進出し、内戦は複雑な様相を呈している」と、レバノンに避難してきた怪我をしたシリア人たちの病院内の映像や、みんな避難して誰もいないアレッポの団地の映像などが映し出されました。「シリアの人口の半分に当たる1千万人が国内外で避難生活をしている」と、その後も各地の避難所の様子が映し出されました。
「すべての戦争は嘘と宣伝によって始まる。例えば1991年の湾岸戦争は、イラク軍がクウェートに入り残虐行為をしているとの女子高生の証言で始まったが、彼女はクウェートに行ったことがないことが戦争後に分かった。国家が戦争をしたい時は必ず嘘をつく。5年後の東京オリンピックの話題で、福島や沖縄のことが追いやられている。私たちはNHKをはじめマスメディアを批判的に見る必要がある。所得税見直しで、富裕層が恩恵を受けているし、消費税増税で大企業には減税を行なっている」と、安倍政権をパロディーで批判した「おらは死んじまっただ~」の替え歌を映像と共に流されました。「安倍政権はマスコミをコントロールすることに力を入れている。選挙前には各マスコミに要請文を送っている。しかし今、国民のたたかいが広がっている。福島でも、沖縄でも、原発でも権力がごまかそうとすればするほど互いに希望と輝く未来を求め続ける。もう私たちは騙されてはいけない」と話されました。
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【九条噺】
2015年9月19日未明の参議院本会議で安保法制が可決成立して1カ月余り、今も廃止を求める集会・宣伝行動が続き、安保法制とその内容を決めた閣議決定を廃止する政府をという提案、憲法学者らの違憲訴訟への準備も行われている。「国民は忘れやすい」と期待する与党にはストレスのたまる動向だろう▼組織動員によらず自発的に国会周辺や全国各地に集まった驚くほど多数の人びとの「戦争法反対」「憲法壊すな」という意思表示が、野党の奮闘と結び付いていた。これまでなかったタイプの民主主義のうねりだ▼しかし政権側も手を打ってくる。経済面で支持を得ようと努め、外国の脅威を強調する。その効果か、世論調査では、安保法制やその決定過程に批判が多いにもかかわらず内閣支持率が回復を見せている▼一内閣の閣議決定と1回の国会だけで憲法9条の不戦規定を破壊し、歴代内閣の専守防衛解釈を消去するという、許しがたい独裁政治を見過ごすのか▼集団的自衛権を含む安保法制を発動させるか、無効にし廃止するかは世論にかかっている。世論形成に当たっては、そもそも論の学習が必要だ▼憲法学者の小林節氏が6月に「シールズ」の国会前抗議行動を激励した際、揺らいでいけない出発点と指摘した「専守防衛が賢い」という点を深めたい。また、東アジアの平和協力を築くうえで歴史認識が不可欠だ。日本の戦争を美化した『大東亜戦争の総括』(展転社、1995年)の批判もしたい。(柏)
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総がかり行動実行委員会、国会前で抗議行動
安全保障関連法の成立から1カ月がたった19日、同法の廃止を求める抗議行動が国会正門前であり、参加者は「憲法違反の法律いらない」「みんなの力で発動を止めよう」などと、あらためて反対の声を上げた。
主催は、国会前で毎週、集会を開いてきた市民団体「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」。周囲が暗闇に包まれた午後6時半から1時間超にわたり、メンバーが相次いで登壇し、それぞれの思いを訴えた。沿道には9500人(主催者発表)が詰め掛け、口々に賛同の声を上げていた。
日弁連憲法問題対策本部長代行の山岸良太弁護士は、「安保法は平和主義、立憲主義に反しており、廃止すべきだ。どうやって法的にとがめることができるか、多くの法律家が考えている」と強調。戦争をさせない1000人委員会の藤本泰成さんは「日本社会をテロの脅威にさらしかねない。誰ひとり戦場に送っても、殺しても、殺されてもいけない」と訴えた。
民主、共産、社民の各党の国会議員もマイクを握り「法律を廃止するため、力を合わせていく」などと誓っていた。評論家の佐高信さんは「きょうから息の長い戦いが始まる。(国民が意思を表明できる)次の参院選まで、呼吸をするように抗議の声を上げていこう」と呼び掛けた。(東京新聞・10月20日付)
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和歌山でも「19日行動」
19日、「憲法9条を守るわかやま県民の会」は、JR和歌山駅前で戦争法廃止、安倍政権退陣を求める「19日行動」に取り組みました。行動には各団体から続々と参加者が駆けつけました。子連れのママが、マイクの訴えをじっと聞き、署名してくれ、また、途中で引き返し、署名をする若い女性もいました。「戦争法の廃止の運動に参加したいのですが、どこに連絡したらいいですか」と言われた勤め帰りの若い女性もありました。国民の8割が説明不十分と答え、6割近い人が戦争法成立を評価していないという実態を街頭宣伝行動でも実感しました。(「県民の会ニュース」より)
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5野党と市民団体、安保法廃止へ連携強化
集団的自衛権行使を容認した安保関連法に反対する市民団体などと野党5党は16日、国会内で意見交換会を開いた。来年夏の参院選で与党を過半数割れにして、安保法を廃止に持ち込むため、野党共闘や各種団体との連携強化を目指し、定期的に協議していくことを確認した。
民主党の枝野幹事長は「立憲主義、民主主義を守る戦いは、より力を込めて継続していかなければならない」と指摘。「国民の声を参院選の結果にしっかりと反映させるために、野党が共闘しなければいけない」と強調した。
会合では、保革が沖縄県名護市辺野古への新基地建設反対で共闘し、知事選や衆院選で勝利を続ける「オール沖縄」の取り組みも紹介。沖縄の成功例も参考に、安保法廃止に向けて、各種団体と野党5党が集会やデモなどを通して、関係を深めていくことで一致した。
参加団体は、各界の学識者でつくる「安全保障関連法に反対する学者の会」、乳幼児の母親らが結成した「安保関連法に反対するママの会」、学生グループ「SEALDs」、国会前の抗議行動で主導的な役割を果たした市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」、憲法学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」など。
政党側は民主、維新、共産、社民、生活が出席した。(東京新聞・10月17日付)
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朝日新聞世論調査(10月20日)
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