「九条の会・わかやま」 285号を発行(2015年11月27日付)

 285号が27日付で発行されました。1面は、私たちが対峙しているのは改憲勢力と反知性勢力(高作正博さん ①)、「安保法に国民怒るべき」憲法学者の小林節さん、九条噺、2面は、DVD紹介 沖縄ニューズリール『速報 辺野古のたたかい』   です。

    ――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]

私たちが対峙しているのは改憲勢力と反知性勢力

 11月3日に「守ろう9条 紀の川 市民の会」が「第12回憲法フェスタ」を開催し、関西大学教授(憲法学)・高作正博(たかさく・まさひろ)さんが「『戦争法制』で日本はどんな国になるのか~私たちはどう対抗するべきか~」と題して講演をされました。その要旨を4回(予定)に分けてご紹介します。今回は1回目。

高作正博さん ①



 参議院の委員会で採決したかどうか分からない状況で、戦争法制は成立したと言えるのか。仮に裁判になったらどうなるのか。裁判所は採決があったかどうかは審査しない。これは民主主義に基づく国会議員がやっているのだから、選挙で選ばれていない裁判所は立ち入らないという判決が最高裁で出ており、手続きで訴えても見通しは暗いのが現実だ。だから法制の内容を問題にすることが重要になる。
 法案審議で何が問題になり、何が明らかになったのか。1つ目は、これまでも日本政府はアメリカ政府にかなりの思いやりをしてきたが、今回それに輪をかけて非常に大きな思いやりをしてしまった。従来の日米安保条約は米国による日本の防衛、その見返りとしての日本の基地提供がその内容だった。70~80年代から顕著になったのが財政的な思いやりだ。基地には警察も入れないので国家主権すら一部分提供しているという状況にある。土地も予算も主権も放棄するのが従来の日米安保だ。
 ところが今回の安保法制の問題点として、手続き面でのアメリカ優先は、国内で法律の審査もやっていない段階で早々に首相がアメリカで「安保法制をこの夏までに成就させます」と約束をした。これは国会軽視の大問題のはずだ。にも拘らず成立を許してしまった。内容面でのアメリカ優先は、ガイドラインは1978年に制定され、日本が攻撃を受けた時の防衛協力を盛り込んでいるものだった。1997年の改定でアメリカ軍の行動範囲と日米の協力関係の行動範囲が日本を越えていわゆる周辺領域まで拡大された。今年の4月には「アジア太平洋地域及びこれを越えた地域」にまで拡大した。しかも日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動、いわゆる集団的自衛権を行うと盛り込まれた。これで安保法制と連動する形で内容が出来上がっていく。この一連の流れは従来の日米安保体制ではなく、主権・経済・土地に加えて自衛隊員の命をも差し出すものになった。日米安保体制が変質したことに注目する必要がある。ここまで本質的な変更をするなら条約の改定が必要だが、条約を変えず実質を変えるというやり方をした。これは解釈改憲と同じだ。さらに軍事的には無理をしている。国内にしわ寄せがかかり、特に基地負担が重い沖縄県の新基地建設が大きな問題として指摘されている。日米防衛協力の拡大で国内的には民主主義、法治主義を踏みにじる形で基地建設が強行されているのが大きな特徴だ。基地建設をさせないという、名護市長選挙、市議選挙、県知事選挙、衆議院選挙の結果で、沖縄県の中では新基地建設反対が民意として確定しているはずなのに、それを無視して強行するのは民主主義に反するものだ。抗議のカヌー隊が海上保安庁に拉致されているが、何故あれが出来るのかが問題だ。米軍基地に勝手に立ち入ると刑事特別法で刑事罰になる。オイルフェンスの中は基地だと勝手に線引きし、身柄を拘束しているが、そこは基地の中ではない。身柄を拘束する根拠がないので1件も起訴していない。身柄を拘束して陸上に連れて行って解き放つということを繰り返している。違法な公権力の行使で、法治主義を踏みにじるものだ。軍事面で突出すると国民に身柄拘束のような無理を強いることになり、それが最も強く現れているのが辺野古だ。
 私たちは何と対峙しているのか。ひとつは安倍政権で、安倍政権は「戦後レジームの転換」を旗印にして登場した。憲法体制を変えたいというのが「戦後レジームからの脱却」だ。改憲勢力が今の安倍政権を支えており、仮に安倍政権が倒れても次に出てくる勢力が同じなら改憲政権になる。今、目の前にいるのは安倍政権だが、安倍政権だけの問題ではない。戦後いろんな改憲論が出てきて、我々が潰してきた歴史がある。例えば、日本の占領が終了し日米安保条約の締結と自衛隊の発足時にも改憲の声はあったが、国民がそれを潰した経験がある。次に岸内閣の時、安保改定の後に改憲すると言っていたが、これも安保反対運動のあれほどの盛り上がりに押されて、安保を通す代わりに退陣するという形で改憲に行かせなかった歴史がある。さらに冷戦が終った後、国際的な平和に貢献しようと、自衛隊を積極的に海外に派遣したいという考えで改憲の議論が盛り上がったが、その時もPKO法反対運動の盛り上がりとともに、それも潰してきた。危機的な状況は何度もあったが、今回もそのひとつ、しかも大きな流れになっているので要注意だ。私たちが対峙しているのは、正面から行くと安倍政権だが、安倍政権に象徴される改憲勢力全体と対峙していると考えなければならない。
 もうひとつは「反知性」だ。「反知性」とは自分の望む社会や世界を実現するために気にいらないものを否定してかかるやり方の傾向だ。例えば歴史の否定が大手を振って歩き回っているのが現状だ。次は学問的な蓄積の否定だ。憲法学の観点から見過ごすことが出来ないのは、例えば自民党・稲田政調会長は「憲法に違反するかどうかという議論をこれ以上続けていくことはそんなに意味がないと思う」と言っている。高村副総裁は「憲法の番人は憲法学者ではない」と言っている。それは当り前の話で、憲法を守るのは最高裁だが、それが機能していないので憲法学者が言わなければならないという流れがある。究極的なのは礒崎首相補佐官の「法的安定性はいらない」との発言だ。憲法の規範的な内容とか法的安定性はいらないと言うのは究極的な「反知性」だ。私たちはこの流れに立ち向かうことを強く意識する必要がある。次に共生の否定がある。お互いに自由で平等な存在だということを認め合わないと社会は成立しない。ところが自分たちと違う目的の人たちに対して出て行けとか、人格を踏みにじる発言を繰り返す団体が非常に横行するようになった。一番はヘイトスピーチだ。これは表現の自由の問題ではなく、表現の内容の問題であると位置づけなければならない。規制する法律の作り方が重要になって、法律を作ってしまうとその牙が我々に向いてくる可能性があるので注意が必要だ。次は自由の否定だ。気にいらない言論を否定する政治家が登場するようになった。「マスメディアは懲らしめなければいけない」「沖縄の2紙は潰さなければならない」などの発言は、政治家は権力者だから到底許されるものではない。このように日本社会が「反知性」と対峙するようになった。一旦壊れたものを作り直すのは非常に難しい。何を言ってもいいとなると、まともなことを言っても広がらない。でも我々は理屈で対応しなければいけないので、どんな理屈を立てれば今回の法制の否定が出来るのかを考えたい。(つづく)

    --------------------------------------------------------

「安保法に国民怒るべき」憲法学者の小林節さん

 当会呼びかけ人の作家・宇江敏勝さんら21人が呼びかけた「小林節氏の講演会」が、11月21日に田辺市で開催されました。紀伊民報(11月23日付)の記事をご紹介します。



 憲法学者の小林節・慶応大学名誉教授の講演会が21日、田辺市新屋敷町の紀南文化会館小ホールであった。9月、安倍政権が集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法を成立させたことについて「憲法違反。われわれ国民は怒らなくてはならない」と語った。
 「小林節さんの講演会を成功させる会」(事務局・戦争する国づくりストップ!田辺・西牟婁住民の会)主催。立ち見や別室でモニターを通して聴講した人も含め、約500人が耳を傾けた。
 改憲論者として知られる小林さんは、6月にあった衆院憲法審査会で、ほかの2人の憲法学者とともに安保関連法は「違憲」であると断言。その後、全国各地で反対運動が大きく盛り上がるきっかけとなった。
 講演会では、安保関連法について「戦争法案」であると指摘。「(日本は)憲法9条2項で軍隊を持たない、交戦権の行使を認めないとしており、もっぱら守るだけの『専守防衛』の体制を維持してきた。集団的自衛権を行使しないというのは、歴代の自民党政権が言ってきたこと」と述べた。
 また「選挙で多数議席を取った政党は何をしてもいいというのは間違い」とも強調。「大前提として、憲法の枠を超えてはいけない、超えるときは国民に憲法改正を提案して承認を得ないといけない、という譲れない大枠がある」と話した。
 その上で「安倍さんは『丁寧に説明する』といいながら、その気がない。憲法9条と同時に議会制民主主義も踏みつけており、二重の憲法違反」と語気を強めた。
 共産党が提唱する「国民連合政府」構想については、野党が選挙協力して共に闘うべきだと締めくくった。

    --------------------------------------------------------

【九条噺】

 自衛隊の一般曹候補生の15年度の応募者は前年度比約2割減で、過去9年間で最少だったそうだ。防衛省の担当者は、「民間企業の高校新卒者に対する求人が大幅に増えた影響が大きい」と説明しているが、果たしてそうか。海外に出かけ、他国のために戦争するなど誰だって嫌だろう。戦争法で応募者が減るのは道理だ▼柳澤協二氏は「安保法による海外任務の拡大で、これまでの倍ほどの隊員数が必要だ」と述べている。それが確保できないとなると、囁かれるのは徴兵制だ。政府は「憲法上、徴兵制はあり得ない」と繰り返しているが、憲法で禁止されている集団的自衛権行使を簡単に解釈改憲で容認する安倍内閣だから、「徴兵制は合憲だ」と何時言うか分からない▼徴兵制をやめた米国では、増大した貧困家庭の子どもや、学費のローンに苦しむ学生に対して、奨学金や経済援助などを持ちかけてイラクやアフガニスタンなどの戦地に送り込む、いわゆる「経済的徴兵制」が常態化している。日本の労働者派遣法の改悪は、将来への布石にも見える▼ある大学生は言う。「政府は、そっとあなたに囁くでしょう。食事も住居も用意してくれる、学費も肩代わりしてくれる、そんな仕事があるよ、と。その仕事についたあなたは、他国の脅威から『日本を守る』ため、遠く離れた大地へと送り込まれることとなるでしょう。忘れないでください。あなたが守るはずの日本に、あなたは殺されそうになっているのだということを」と。(南)

    --------------------------------------------------------

DVD紹介 沖縄ニューズリール
『速報 辺野古のたたかい』





№ 6:2014年 7月
№ 7:2014年 8月
№ 8:2014年 9月
№ 9:2014年10月~12月
№10:2015年 1月~ 3月
№11:2015年 4月~ 5月
№12:2015年 6月~ 8月



「アメリカばんざい」の藤本幸久監督らが撮影した辺野古のたたかいのドキュメンタリー映像です。集会・学習会などで自由に映写できます(複製不可)。№9には菅原文太さんの最後のメッセージもあります。
-------------------------------------------------------------
影山あさこ事務所 1枚:1,000円(送料込み)
注文は FAX:011-206-4570
    メール:marinesgohome@gmail.com で

    ―――――――――――――――――――――――――――――
(2015年11月28日入力)
[トップページ]