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一旦海外に出ると切れ目のない活動に
11月3日に「守ろう9条 紀の川 市民の会」が「第12回憲法フェスタ」を開催し、関西大学教授(憲法学)・高作正博(たかさく・まさひろ)さんが「『戦争法制』で日本はどんな国になるのか~私たちはどう対抗するべきか~」と題して講演をされました。その要旨を4回に分けてご紹介しています。今回は3回目。
高作正博さん ③
集団的自衛権の問題では、いきなり集団的自衛権の行使はないと思う。最初は国際貢献ということで自衛隊をソフトに海外に出す。行き着く先は前線まで行けるので、戦闘が始まってしまう。従来の政府見解では、もし相手が国家なら、そこで自衛隊は個別的自衛権で対応するというものだ。一旦海外に出て行き、そこで攻撃を受けると、いよいよ有事法制がスタートする。今回集団的自衛権まで容認したので、海外に展開中に、他国軍が襲われたら自衛隊は集団的自衛権を発動することになる。従っていきなり集団的自衛権ではなく、一旦海外に出してしまうと、そこから根拠法令が変わり、まさしく切れ目のない活動になっていく。そうなると一歩出だしが重要になり、突然集団的自衛権の行使とは想定し難い。集団的自衛権を容認したと言われる理由は自衛権行使の要件の内、「日本に対する急迫不正の侵害がある」を変更し、「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」としたからだ。この条文が集団的自衛権に該当する部分だ。そもそも何故集団的自衛権が必要なのかは最後まで説得力ある説明は行われなかった。尖閣諸島の防衛は個別的自衛権で対応、ホルムズ海峡の機雷は現実みがなくなった、「米艦に乗って避難中の母子を助けるため」は、米艦は民間人を乗せない、アメリカに向う弾道ミサイルは日本上空を飛ばないなど、想定は非現実的なので、どんなに事例をあげても全部成り立たない話になった。最終的には必要性すら説明出来ていない法律になってしまった。
百歩譲って必要だと考えたとしても、解釈で変更することが許されるのか。論理でガチガチに積み上げてきた政府見解は、憲法改正をしないと変更できないと政府は繰り返し答弁してきた。また、合理性、一貫性が保てる説明が必要とも繰り返してきた。それで2つの理屈を持ち出した。ひとつは砂川判決で自衛の措置は認められているから集団的自衛権はOKだと最高裁は言っているという議論をしていたが、あり得ない発言だ。砂川事件自体が集団的自衛権を問うものではなく、個別的自衛権の問題だった。砂川判決は集団的自衛権を排除していないと言うが、そのことを取り扱っていないのだから明文で排除していないのは当り前だ。明文で排除していないから許されるなら何でも合憲になる。もうひとつは、1972年の政府見解に「自衛の措置は排除していない」という文言が入っており、自衛の措置に集団的自衛権が入っているというものだが、この見解の結論は「だから集団的自衛権は憲法違反である」というものだ。72年見解は集団的自衛権を違憲とする文書だ。従って、必要性もなければ理屈もないのが集団的自衛権を巡る大きな問題点だ。
さらに、「国会に歯止めを作った」という政府の考えだが、「我が国の存立を脅かされる状況は、状況によって変わる」という見解で、政府が判断し、何でも入る話になる。「特定秘密保護法」で十分な秘密事項が国会に提供されるかは保障がない。政府が「明白な危険」があると言っているのなら国会はOKだと言う可能性が高い。今の状況では歯止めが歯止めにならない危険性が高い。さらに深刻なのは自民党内の反対者は1人だけだ。自民党執行部が政権を担っている状況では自民党議員は反対できない。次の選挙の公認が得られないことと政党助成金の配分が得られない。人事と金を握られているので反対できない。国会の中で反対の声が出なければ歯止めにはならず、歯止めの議論は説得力がない。憲法の拘束を外してしまい、国会の拘束で行こうとしたからこんな問題が起るので、憲法の拘束に戻す必要がある。今からでも法律を抹消する形に進めていかなければならない。(つづく)
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みなべ「九条の会」、「町民のつどい」開催
みなべ「九条の会」の「町民のつどい」開催に関する紀伊民報(12月3日付)の記事をご紹介します。
和歌山県のみなべ「九条の会」(柳田孝二代表世話人)は29日、みなべ町芝の町公民館で同会の結成10周年記念として「第6回平和を願う町民のつどい」を開いた。町内外から約100人が参加してこれまでの取り組みを振り返るなどし、柳田代表世話人が今年9月に安全保障関連法が成立したことを踏まえ「何が何でも憲法9条を守り抜く、戦争法(安保関連法)を廃止させる」などと決意を述べた。
「九条の会」は、憲法9条の理念を守るために、作家の大江健三郎さんや哲学者の鶴見俊輔さん(故人)ら9人が呼び掛け人となり2004年6月に結成した団体で、それに呼応する形で全国各地で九条の会が発足。みなべ「九条の会」も05年10月23日、「戦争出前噺」として自身の戦争体験を全国各地で1314回語り続けた本多立太郎さん(故人)を初代の代表世話人として発足した。
これまで憲法9条改定に反対する署名活動に取り組んだ他、2年ごとに「町民のつどい」を開催したり、基本的に毎月1回の街頭宣伝活動「ピースアピール」を続けたりといった活動に取り組んでいる。
この日は、同会の10年を振り返るDVDを見た後、主催者を代表し、柳田代表世話人が「結成10年だが、何の因果か今年、安倍内閣が戦争法を強行成立させた。強行成立はされたが、その日から法を廃止する運動が日に日に高まりと広がりを見せてきている。2千万人の署名を集めるなどの取り組みがなされており、われわれも全国の仲間と一緒になって戦争法廃止に向けての運動をさらに大きなものにしていかなければ」と強調。「これまでの仲間内だけではなく、もっと幅広く、青年や若いお母さんたち、いわゆる保守と言われている方々にも積極的に働き掛け、理解と支持をしていただけるような取り組みをしなくてはならない」などと訴えた。
来賓の小谷芳正町長も「一番大事なのは戦争体験者の話を戦争を知らない若者に聞かせてあげること。町民を預かる立場として二度と戦争を起こしてはいけないし、悲惨さを若者に語る機会を増やせればと考えており、ご協力をお願いしたい」などと述べた。
引き続き「子どもたちが命を奪われたり、奪ったりするようなことにしてはならない」などとして「9条ママnetキュッと」をつくって活動しているソプラノ歌手の前田佳世さんが歌とトークを行い、「おひさま」「いのちのリレー」「多喜二へのレクイエム」「アヴェ・マリア」などの歌を披露。「10年継続されてきたのはすごいこと。子どもたちの未来のために何があっても負けないという気持ちでやっていきたい。平和の種を一緒にまいていきましょう」などと呼び掛けた。
その後の総会では、会員の拡大や2千万人の署名に取り組むことなどを決めた。
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10周年記念で冊子作成
みなべ「九条の会」は10周年記念事業として、町民有志41人の憲法9条への思いをまとめた冊子を作った。06年から毎年、憲法記念日(5月3日)に町民有志の9条への思いをつづったチラシを作成。新聞折り込みなどで町民に訴えてきたが、それを冊子化したもの。
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【九条噺】
12月2日、辺野古代執行訴訟で翁長知事が意見陳述を行い、「この裁判で問われるのは取り消しの是非に加え、沖縄への過剰な基地負担や地方自治・民主主義のあり方であり、国民すべてに問いかけたい」と強調。一歩も引かない姿勢を見せた▼就任当初の、先ではブレるのではとの心配の声に、知事は「ボクは裏切る前に自分が死にますよ。それくらいの気持ちを言わないと沖縄の政治はできないですよ。その時は『死んでみせます』と言うね。そのくらいの決意」と述べていたという▼11月8日付の琉球新報は、「辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前に7日、翁長知事の妻・樹子(みきこ)さんが訪れ、基地建設に反対する市民らを激励した。市民らの歓迎を受けてマイクを握り、翁長知事との当選時の約束を披露した。『(夫は)何が何でも辺野古に基地は造らせない。万策尽きたら夫婦で一緒に座り込むことを約束している』と語り掛けると、市民からは拍手と歓声が沸き上がった。『まだまだ万策は尽きていない。世界の人も支援してくれている。これからも諦めず、心を一つに頑張ろう』と訴えた」と報じている▼県民とともに強い抵抗の姿勢を示す知事夫妻。県民から絶大な支持を集めて当然だろう。国民全体の支持も高まっている。政治的には完全に国に勝っていると言える。国が裁判をおこしたのは、知事や県民への安倍政権の傲慢で陰険なイジメだろう。法廷での勝利のために私たちも一層支援を強めなければ。(南)
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「憲法違反の安保法制を許さない!11・28集会」開催
11月28日、和歌山城西の丸広場で、9条ネットわかやま、憲法9条を守るわかやま県民の会など9団体が呼びかけた「やっぱり違憲!憲法違反の安保法制を許さない!11・28集会」が行われ、250人が参加しました。
民主党・永野裕久和歌山市会議員、日本共産党・下角力県委員長、憲法9条を守る和歌山弁護士の会共同代表・豊田泰史弁護士、安保関連法に反対するママの会@わかやま・多田寿江さんらが舞台からスピーチをしました。寒さが厳しい中、集まった参加者は、「安倍政権に真っ向から立ち向かい、選挙で勝とう」「戦争法を一日も早く廃止させよう」「戦争法廃止の政府を実現させよう」「戦争法の危険を知らせる2000万人署名に全力で取り組もう」「各国はテロ組織に武器を売るのはやめようというのが、9条をもつ日本の本来の立場だ」「戦争法を廃止させるため、今年の年賀状に『安倍政権を倒そう』と書こう」「だれの子どもも殺させない。子どもたちの未来に戦争はいらない」などの訴えに共感の拍手を送りました。
集会後、参加者は「戦争する国絶対反対」「戦争したがる総理はいらない」とコールしながら、JR和歌山駅前までパレードし沿道にアピールしました。
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