「九条の会・わかやま」 289号を発行(2016年01月10日付)

 289号が10日付で発行されました。1面は、和歌山でも野党統一候補擁立を目指す、「戦争法を発動させない」弁護士グループが差し止め訴訟、九条噺、2面は、国会開会日に総がかり行動、「野党共闘を」市民連合が初街頭活動、「緊急事態条項」を突破口に 安倍首相改憲を明示   です。

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[本文から]

和歌山でも野党統一候補擁立を目指す



 安全保障法制の廃止に向けて、16年夏の参議院議員選挙の和歌山県選挙区で野党による統一候補の擁立を目指し、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」や「安保関連法に反対するママの会@わかやま」などでつくる「安保法制の廃止を求める和歌山の会」(仮称)が結成されました。12月24日、関係者が和歌山県庁で記者会見をし、先の国会で成立した安全保障関連法(戦争法)の廃止や、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回などに取り組んでくれる人を今年夏の参議院選挙和歌山県選挙区で野党の統一候補として擁立できるよう今後、民主、維新、共産、社民などの主な野党に働きかけていくことを明らかにしました。
 記者会見した豊田泰史弁護士は「いずれかの候補予定者、もしくは第三の統一候補を模索し、少しでも自民党に勝てる候補者を擁立できるよう野党だけでなく、さまざまな団体に働きかけていきたい」と話しました。
 会では、既に12月24日から28日にかけて県内の野党を回り、統一候補擁立に向けた合同会議の設置を求めることなどを申し入れています。
 また、会は和歌山県内の各団体に、「野党各党に対し、来年夏の参議院議員選挙の和歌山選挙区に、①先の国会で成立した安全保障関連法の廃止②集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回③日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すこと、を確約し、その実行を期待できる統一候補を擁立し、各党が協力して選挙に取り組むこと、そのために、野党各党とこの呼びかけに賛同する団体による合同会議を早急に開催することを求め、速やかに県内各野党に要請する」という取り組みへの賛同の表明を求めています。多数の団体の賛同が期待されます。賛同される団体は①団体名称②代表者氏名③連絡先住所④連絡先電話⑤FAX番号⑥メールアドレスを、「あすか綜合法律事務所」電話073・433・3980、FAX073・433・3981に連絡を。

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「ご賛同のお願い」のダウンロード
 http://home.384.jp/kashi/9jowaka/shinbun3/sando-onegai.pdf

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「戦争法を発動させない」、弁護士グループが差し止め訴訟



 弁護士で構成される「安保法制違憲訴訟の会」は12月21日、東京・永田町の衆議院第二議員会館で記者会見を開き、9月に国会で成立した安全保障法制が違憲・無効だとして、集団的自衛権行使の差し止めや、国家賠償を求める裁判を起こすことを発表した。
 同会は、高等裁判所がある8つの都市の地方裁判所に差し止め訴訟と国家賠償請求訴訟を起こすほか、その他の各地裁にも国賠請求訴訟を起こす予定。各地の訴訟を担当する代理人として、約300人の弁護士が名乗りをあげているという。
 「違憲訴訟の会」の共同代表は、伊藤真、内田雅敏、黒岩哲彦、杉浦ひとみ、田村洋三、角田由紀子、寺井一弘、福田護、堀野紀の各弁護士。今後、安保法制に反対する国民が原告となる形で、訴訟の準備を進めていく。

●「訴訟のゴールは、立憲主義と国民主権の回復」

 訴訟では、安保法制の中で、特に違憲性が顕著な活動として、①集団的自衛権の行使(存立危機事態における防衛出動)②重要影響事態における後方支援活動③国際平和共同対処事態における協力支援活動の3点を中心に、差し止めを求める。
 このほか、国家賠償請求として、安保法制の制定によって平和的生存権や人格権などが侵害されたとして、精神的損害に対する慰謝料を求める。
 共同代表の伊藤真弁護士は「この訴訟のゴールは、立憲主義と国民主権の回復だと考えている。そのためには、この違憲の安保法制を発動させず、廃止することが必要だ」と意義を強調。「憲法を守ることが、国会議員の最大のコンプライアンス(法令遵守)だ。その当たり前のことを、この国に根付かせなければならない」と訴えた。
 「安保法制違憲訴訟の会」によると、今回の裁判の原告としては、戦争被害者や体験者、基地や原発の周辺住民などをはじめ、広く国民に参加してもらうことを想定しているという。申し立て費用や弁護士費用の負担を無償として、気軽に参加できるようにする予定だ。
 元裁判官の田村洋三弁護士は会見で、「戦前も、誰もが民主主義を目指していたはずだ。ただそれが、どこかで曲がり角があって、軍部独裁になっていった。そのとき、当時の国民が、マスコミが、議員が声をあげていれば、歴史は違った流れになっていたかもしれない。いま、日本がその曲がり角にいるのではないかという危機感がある」として、裁判への参加を呼びかけた。(「弁護士ドットコムニュース」12月21日付)

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【九条噺】

 朝日新聞は「安倍首相は夏に行われる参院選と同時に衆院選を行う同日選も選択肢に、今後の政権運営に臨む考えだ」と報じた。安倍首相は1日のラジオ番組で「解散・総選挙は全く考えていない」と否定したそうだが、首相の言うことが信じられるだろうか▼生活の党代表・小沢一郎氏は「衆参ダブル選挙が少しずつ現実のものになってきていると思う。私はほぼダブル選の可能性が強いのではないかという気がしてきている」と述べている。朝日が言うように「高い内閣支持率を維持できていれば、同日選で投票率を上げ、将来の憲法改正をにらんで参院の獲得議席を上積みする狙いがある」というのが首相の本音だろう▼だが、高支持率といっても38%(朝日12月27日付)だ。第二次安倍内閣発足時は59%(朝日12年12月)だった。さらに、10%へ消費税増税は反対56%・賛成30%、1人3万円の給付金は反対54%・賛成34%、子育て給付金廃止は反対70%・賛成20%だ。安倍内閣の不支持理由では「政策の面」が65%と圧倒的だ。この支持率と「政策に反対」とのネジレは、まだ自公政権に代わる連合政権構想が野党間で明確に合意されていないことにあるのだろう▼小沢一郎氏は「何とかして野党の大同団結を実現したい。ダブル選挙になっても野党が団結すれば全く怖くない。むしろ政権交代の最大のチャンスだと私は思っている」と言う。今「野党は共闘」こそ最も望まれることなのだ。(南)

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国会開会日に総がかり行動



 通常国会が召集された4日、東京・永田町の国会周辺では、安全保障関連法の廃止を求める市民らの大規模(3800人)な抗議集会が今年初めて行われた。市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の主催。昨年9月の安保法成立から3カ月以上になるが、この日も集会が進むにつれて参加者が増え、議員会館前の歩道を埋め尽くすほどの人だかりができた。参加者たちはプラカードや横断幕を掲げ、国会に向かって「戦争法はいますぐ廃止!」「安倍政権の暴走を止めよう!」と声を上げた。
 野党の幹部らもマイクを握り、共産の山下芳生書記局長は「国家の暴走で、個人の尊厳を踏みつぶす政治だ。真剣に誠実に国会論戦と野党共闘を努力する」、社民の福島瑞穂副党首は「戦争法を廃止するための国会にしていこう。戦争法を作動させないための闘いもやっていきましょう」と訴えた。民主の福山哲郎幹事長代理は「安倍政権は国民の声を聞かない、何でも問答無用に切って捨てる。安倍政権の姿勢を正していくために、さらなる市民の輪を広げていただければ」と声を張り上げた。(「毎日新聞」1月4日付)

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「野党共闘を」市民連合が初街頭活動



 今夏の参院選で、安全保障関連法の廃止を掲げる候補を支援しようと、市民団体などでつくる「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が5日、東京・新宿駅前で、結成後初めての街頭活動を行った。市民団体側が「一緒に前に向かっていかなくては」と呼びかけたのに対し、野党各党の議員らも「共闘を実現したい」と訴えた。
 新宿駅西口前に設けられたステージ前には約5千人が集まった。市民団体のメンバーが「全国で野党共闘のうねりを」などと呼びかけると、拍手が湧いた。
 すでに発表された野党統一候補擁立にかかわった熊本県の市民団体「安保法制に反対するパパ・ママの会」に加わる滝本知加さんは、「必要なのは、平和の大切さを理解する議員。野党統一候補が、全国の多くの選挙区に広がってほしい」と訴えた。
「立憲デモクラシーの会」に参加する中野晃一上智大教授は、安保法成立を阻もうとした昨年の市民の動きに触れ「市民社会側は、お互いを尊重しながら、一緒にできる問題に手をつないでいくことができるようになった。新年になっても、まだ、野党共闘の枠組みはできていない、何をやっているのか」と議員側に早急な動きを求めた。(「東京新聞」1月5日付)

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「緊急事態条項」を突破口に、安倍首相改憲を明示

 安倍首相は4日の記者会見で、「憲法改正は参院選でしっかり訴えていく」と語りました。改憲の突破口が「緊急事態条項」です。国会議員は憲法45条、46条で任期が延長できないため、大災害時に空白ができないように対応するというのが理屈です。これなら各党の支持を得やすいという読みがあり、これを突破口に9条などの本丸に切り込むのが本音の「お試し改憲」です。
 「緊急事態条項」は自民党改憲草案にあるように、日本有事、内乱、大規模自然災害の時に内閣総理大臣が緊急事態を宣言し、法律と同じ効力を持つ政令を制定し、地方自治体に指示し、基本的人権を制限するもので、「戒厳令」や「独裁国家」に相当するものです。

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(2016年01月11日入力)
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