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自民党の憲法論議は常にどうやって9条2項を突破するかだ
5月14日、和歌山市民会館での小林節氏講演「政治の暴走を止めるために」の要旨をご紹介しています。今回は2回目。
小林 節氏 ②
冷戦が始まり、朝鮮戦争が起り、米軍が朝鮮半島に出て行き、その間日本が留守になっている間にソ連が入って来るのを止めるために、軍隊は作れないから警察予備隊を作った。国内問題だから警察で対処できる。これが自衛隊の仕組みだ。憲法9条2項があるのでこんなややこしい仕組みになっている。だから、自民党の憲法論議は常にどうやって9条2項を突破するかになっている。
存立危機事態とは、海外で同盟国が攻撃されたら即我が国が沈没するので、助けに行くという。こんなケースが本当にあるのかはひとつも説明できていない。何が何でもアメリカ言い分で出て行きたいための屁理屈だ。重要影響事態とはアメリカが海外で戦争に巻き込まれると我が国の安全保障に重要な影響を及ぼす事態になるので後方支援をするという。これは何とでも言えるものだ。後方支援とは後から参戦するものだ。これでは自衛隊に出来ないことはたったひとつ、それは最前線で突撃することだけになる。戦争では最前線と後方はセットで動いており、この法制はとにかく自衛隊を海外に行かせるというものだ。
憲法とは、主権者国民がたまたま一時的に権力を預かったに過ぎない公務員に与えた、「少なくともこの枠組は守れ」、その範囲内で法律や予算を調整して国をうまく動かせというものだ。憲法とは国の骨格という意味だ。それをどうして「雇われマダム」に過ぎない者が外すのか。9条は日本の憲法の3大原則のひとつだ。国民主権とは、国民全員が一株株主のようなもので、選挙権も含めて全ての人に対等な発言権がある。襲われたら自衛はするが、我が国は他国との国際関係で軍隊は決して出さないという選択を憲法9条で行った。人権尊重とは「全ての私が、私であることが大事にされる」ということだ。憲法というと我々の生活に関係がないような気がするが、我々の自由で民主的な社会は全部憲法に基づいている。ところが安倍首相になって自民党は変質してしまった。その根っこは小泉首相にあるが。
政治の目的は、主権者国民を幸福にすることだ。我々主権者国民は、船に例えれば乗客で、同時に船会社の一株株主だ。閣僚たちは乗組員で、船長の任についているのが総理大臣だ。船長は乗客を安全・快適に運ぶ義務がある。国民の幸福の条件は自由であることで、私らしく生きることが自由だ。個性や価値観は人によって違う。それを国家権力は邪魔をしないで、安全に放っておいてくれることが自由だ。安倍首相は、政権に対して異論を言う者を不公平と言っている。安倍政権は政治の使命である自由と豊かさと平和を確保しなければいけないのに、言論の自由、メディアの表現の自由と我々の知る権利を封殺している。外交や防衛など、国に秘密は必要だが、特定秘密保護法は永遠に秘密に出来る。アメリカの特定秘密保護法は30年経ったら自動的に公開され、歴史の評価にさらされる。政治に秘密はあり得るが、後で点検出来るように国民の知る権利に従えというのが普通の民主主義の制度だ。安倍首相は世界に稀に見る特定秘密保護法を作った。明らかに我々の自由は狭まっている。
豊かさの問題で言うと、「アベノミクス」と口先で6本の矢を飛ばしたそうだが、景気回復は実感出来ない。安倍政権が考えていることは行財政改革で、使いすぎた国家財政を消費税で立て直す。それでいて企業には減税だ。儲かっている企業への減税はどこへ行くのか。半分は内部留保、半分は株主への配当で、株主の多くはアメリカのハゲタカファンドだ。(つづく)
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科学者は自覚せよ 技術は戦争にも使われる
5月24日付「東京新聞」に掲載されたノーベル物理学賞受賞者・益川敏英さんのインタビュー記事をご紹介します。
ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さん(76)は23日、本紙のインタビューで、科学技術は常に政府に軍事利用される恐れがあり、科学者にはその自覚が求められると訴えた。オバマ米大統領が27日、被爆地の広島を訪問することに関し、原爆を開発した米国の科学者たちが71年前、投下に反対しながら防げなかった例を挙げ、「科学技術が戦争に使われるのか、平和利用されるのかは紙一重。技術は一度、公になれば軍事利用はたやすくできる」と語った。
益川さんは名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長を務める。子どものころ名古屋で空襲に遭った経験から、科学者が戦争にどう加担したのか強い関心を抱いていた益川さんは、科学者になってからも、米国で進められた原爆開発計画「マンハッタン計画」を主導した、物理学者ロバート・オッペンハイマーに注目してきた。
オッペンハイマーは、米国が核を持てば「抑止力」になると信じていた。それは戦争を未然に防ぐ手段としてだった。しかし、当時の米政府は科学者の反対意見を押し切って日本に投下した。そのため、オッペンハイマーは原爆より威力のある水爆開発に反対。米政府からスパイ容疑をかけられ、研究者として活動できなくなった。
「科学者たちはナイーブ(うぶ)だった。自分たちが作ったのだから、言うことを聞いてくれると思ったが、政府はそういうものではない。米国の政治家は、広島、長崎が目標ではなく、原爆の開発を進めていたソ連を念頭に置いていた。米国は原爆を誇示する必要があった」と指摘した。
オバマ大統領の広島訪問に関し「任期も終わりが近づき、平和の問題で業績を残したかった。原爆についても何か言いたかったのだろう」と述べた。大統領の広島訪問によって米国民の原爆使用への意識が変わるかどうかは「政治だからそう簡単ではない。米国は巨大な軍事産業を抱えている」との見方を示した。
日本で最近、軍事技術の開発に向けて政府が大学や研究機関と連携を深めている。科学者に問われる責任については「自分だけの世界にこもってはいけない。世の中がどう動いているか、もっと知るべきだ」と強調した。
◆原爆使用中止の訴え実らず
【マンハッタン計画】
第2次世界大戦中、米国が極秘に進めた原爆開発計画。当時科学先進国だったナチス・ドイツが先に製造することを恐れ、ルーズベルト大統領が指示、オッペンハイマー博士など多くの科学者が参加した。ニューメキシコ州のロスアラモス研究所が中心主体となった。
1945年7月に初の核実験に成功。翌月、広島と長崎に原爆を投下。同年末までに計約21万人の命が奪われた。終戦間際になって、ドイツには核兵器の開発能力がないことが分かり、マンハッタン計画に参加した科学者たちは原爆を使わないよう政府に申し入れたが、聞き入れられなかった。米政府に核開発を進言した物理学者のアインシュタインは、戦後渡米した湯川秀樹と会い、原爆を止められなかったことについて泣いてわびたと伝えられる。
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【九条噺】
オバマ大統領の広島訪問が話題になる中、原爆開発「マンハッタン計画」のNHK番組を見た▼ナチスが巨大なエネルギーを手に入れると恐ろしい兵器を作るに違いないと、42年8月ルーズベルト大統領はドイツより先に原爆を完成させる計画をスタートさせた▼しかし、44年6月アメリカ諜報部隊がドイツは原爆を作っていないとの情報を入手した。原爆開発の目的は消え失せたのに、日本投下を検討する。科学者の一部に日本投下は望ましくないとの意見があり、砂漠や無人島でデモンストレーションをする提案をしたが、リーダーの物理学者オッペンハイマーは「我々は科学者として原子力利用を考える機会を得た数少ない市民だが、我々には政治的、社会的、軍事的問題を解決する能力はない」という許し難い言い訳をして日本投下を認めた。45年7月トリニティで爆発実験が行われ、翌8月に広島・長崎に原爆が投下された▼実験跡地「トリニティ・サイト」には記念碑がある。NHK映像では、今それを楽しそうに見学する人たちが大勢いた。原爆ドームは、手を合わす人はいても、楽しそうに見る人はいないだろう。強い違和感を感じた▼朝永振一郎氏は「科学者は法則を発見するだけで仕事は終らない。その結果として社会にどういう影響を与えるかを伝え、社会が間違った選択をしないように意見を述べる役割がある」という。アインシュタインは原爆開発を促す手紙に署名したことを死ぬまで悔やんだという。これが科学者のあるべき態度だろう。(南)
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言葉 参議院選挙比例区の「非拘束名簿式」
参院選に向け全国32の1人区の全てで野党統一候補が出揃いました。和歌山県でも「市民連合わかやま」擁立の統一候補・由良登信弁護士を、民進党の推薦も得て4野党統一候補としたいものです。6月11日の「サウンドウォークデモ」は「選挙に行こう」「投票しよう」と呼びかけています。
参院選は「選挙区」と「比例区」の2つがあります。「選挙区」は、得票数の多い順に定員までが当選となります。5月14日、和歌山市民会館で講演された小林節氏は「国民怒りの声」で「比例区」に参加するとのことでしたが、「比例区」の仕組みはどうなっているのでしょうか。
ところで、衆院選も「(小)選挙区」と「比例区」がありますが、参院選と衆院選の「比例区」の仕組みは同じではありません。参院選の「比例区」は全国1区で「非拘束名簿式」であるのに対して、衆院選の「比例区」はブロック別で「拘束名簿式」です。参院選「比例区」の「非拘束名簿式」について説明すると、参院選の「比例区」では政党名でも候補者名でも投票できます。その2つの得票数を足したのが、その政党の得票数となります。その得票数によりドント方式(ここでは説明を省略)でその政党の「比例区」の当選者数が決まります。誰が当選者かというとその政党の中で候補者名での得票数の多い順に当選者が決まります。これが「非拘束名簿式」です。それに対して「拘束名簿式」では政党から提出された名簿に前もって当選順位がつけられており、その順で当選者が決まります。参院選の場合は、「選挙区選出」と「比例代表選出」の重複立候補はできません。(「メルマガ金原」を参考に)
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DVD紹介 沖縄ニューズリール
『速報 辺野古のたたかい』
№13:2015年10月13日
№14:2015年 8月~11月
映画「アメリカばんざい」の藤本幸久監督らが撮影した辺野古のたたかいのドキュメンタリー映像で、285号で紹介したものの続編です。集会・学習会などで自由に映写できます(複製不可)。
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