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当会紙300号に!
10年前の06年5月13日に澤地久枝さんを迎え、県下の九条の会が和歌山県民文化会館大ホールで「輝け!憲法9条 平和のつどい」を開催。2500人の参加で大成功でした。ところが毎日新聞和歌山版の小さな報道のみで、他は完全に無視でした。そこで私たちは「メディアが沈黙するなら、私たちが九条の会の活動を伝えなければなりません」と、約1カ月後の6月20日に創刊号を発行。会紙は和歌山県内で取り組まれている9条を守る活動や全国の動き、「九条の会・わかやま」の呼びかけ人の方々の活動などを、「平和のつどい」で出来上がったネットワークを通じて伝えています。
100号は09年5月3日に、200号は12年9月14日に、300号は10年目の6月12日発行となったものです。今後もみなさんのお役に立つ情報を提供し続けていきたいと思います。是非、ご愛読いただくとともに、多くの方にお勧めください。
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会紙300号発行に寄せて
当会呼びかけ人・副島昭一さん(和歌山大学名誉教授)
本紙200号の発行は2012年9月でしたが、その後3年有余の間に安倍政権によって憲法9条をめぐって決定的変化がありました。閣議決定という方法による集団的自衛権の承認、安保法制化=戦争立法の強引な採決強行、これらは憲法に基づく政治そのものの否定として、立憲政治の危機として現れています。「立憲政治」という言葉自体、最近まであまり目にしたり耳にしたりすることはありませんでした。これまで保守層も含めて、それはあまりにも当り前のことであり、あえてこの言葉を用いる必要もなかったからでしょう。その意味でこの言葉の再登場は憲法に基づく政治が危機に瀕していることの表れといえるでしょう。さらに今画策されている「緊急事態条項」は議会政治そのものを否定する危険性を持っていると思います。
この間に進んだ顕著なこととしてメディアの劣化があります。とりわけNHKニュースの、安倍政権の広報機関化したとしか思えない報道ぶりは多くの人が指摘しているとおりです。「アンダーコントロール」の嘘と裏金での五輪招致、この問題にもメディアは及び腰ですが、日本の恥として世界史に残ることになるのではないかと危惧されます。
他方で安倍首相の強権政治に対抗して心ある人々の声により野党の共闘が進みつつあり、ここに私たちは希望を見いだしたいと思います。私たちの会も微力ながらこの流れに貢献できたらと思います。
数十年後に歴史が書かれるとき、今進行しつつある事態はどのように書かれることになるでしょうか。憲法が破壊され、ファシズムへの道を突き進んだと書かれるか、それとも多くの人々の力でこれを阻止したと書かれるか、その分岐点に立っているといえるでしょう。
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「九条の会・わかやま」─おめでとう300号!
当会呼びかけ人・江川治邦さん(元和歌山ユネスコ協会事務局長)
もう300号だ! この偉業に驚くとともに、編集者や事務局の皆様方に謝意を表します。本紙は人類生存に欠かせない空気・水・光に次いで必要で、人類に平和共存をもたらす日本国憲法のエッセンスを解説し続けてくれています。日頃はその有難さに気付かない読者を指導し、情報を与え、勇気付けてくれています。私たちはこれに学び、職場、地域社会、趣味の会の友人たちと日本国憲法の目指すべきところを語り合えます。今や会紙「九条の会・わかやま」は、日本国憲法を護るオピニオンリーダーとも言えます。
経済発展を盾にして推し進めるアベノミクスもほころび、盾の後ろに存在する戦争のできる「改憲」が見え隠れし始めています。自己矛盾をはらんだ3本の矢が、達成不可能なお題目「アベノミクス」で自らを自滅に導き、安倍政権の本能寺である「憲法改正」が見え見えになりつつあります。増税の再延長を、「これまでの判断と異なる新しい判断」とうそぶき、次の増税時期を安倍総裁任期の後回しとする無責任ぶりであり、今度は「一億総活躍社会」で新アベノミクスをフル回転させると、厚顔で駄法螺を吹いている。騙されてはいけない! 今度の参院選は楽しみだ。
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【九条噺】
当会紙が300号になった。「九条噺」でこの10年間を振り返ると、06年10月20日の9号では北朝鮮の核実験を取り上げた。「改憲派の言動を見ると北朝鮮の数々の暴挙は常に最大の口実にされてきた。安倍首相の周辺では、かつて安倍氏自身が主張したこともある『日本核武装論』に加えて、東京発『先制攻撃論』すら出始めている」▼09年5月3日の100号では元米海兵隊員アレン・ネルソン氏を取り上げた。「氏は病と闘いながら、各地へ講演に出向き、自らの体験を通して戦争の残忍さ・愚かさを語り、平和の尊さを訴え続け、憲法9条こそ世界の希望だと強調した」▼12年9月14日の200号では「慰安婦」問題を取り上げた。「最近は安倍元首相や野田首相までもが、従軍慰安婦強制の事実に確たる証拠はないと、『河野談話』まで実質否定する異常な事態になっている。この『河野談話』は、慰安所の設置や慰安婦の管理・強制などでひろく軍の関与を認め、日本政府として『おわびと反省』を表明したものだ」▼そして300号の今は安倍政権の憲法破壊と明文改憲の企みだ。この10年間を見ると、一時期を除き、安倍政権の「戦争できる国」づくりと立憲主義・民主主義の破壊に対して、平和と憲法9条を守る我々のたたかいとのせめぎあいであったことが分かる。安倍首相は選挙戦になるとアベノミクス一本で戦い、選挙が終ると憲法破壊を繰り返す。これに騙されず、早く安倍政権を終らせたい。(南)
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安保法反対 全国50カ所超 国会前4万人
安全保障関連法の廃止を訴える市民団体が5日、全国各地で抗議行動をした。主催者によると、50カ所以上で開かれ、東京の国会周辺には約4万人が集まった。22日公示の参院選に向け、安保法に反対する野党への支持を呼びかけた。
学生団体のSEALDsメンバーや学者らでつくる団体「市民連合」と、「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」の主催。各地の団体にも開催を呼びかけた。
国会前では、「ママの会@日野」の星野さなえさんが「参院選で平和を願う国民の意思を示そう」と主張。1人区の全32選挙区で、民進や共産など野党4党の候補が一本化されたことを踏まえ、SEALDs大学院生奥田愛基さんは「選挙結果によっては憲法が変わってしまうかもしれない。1人区でそんなに勝てるかわからないけど、ひっくり返そう」と訴えた。
野党の民進、共産、社民各党の幹部も参加し、「選挙に行こう」「政治を変えよう」などと声を上げた。東京のほか、大阪・梅田でも約1千人(主催者発表)が集まり、「立憲主義を回復させよう」と訴えた。名古屋市や長崎市でもデモや集会があった。
野党共闘を支援する市民連合は昨年末に発足した。参院選ではすでに、全32の1人区で野党候補が一本化され、市民連合は約半数の候補と政策協定を結んだ。今後は市民に広く選挙参加を促していくという。
「投票するだけでなく、応援する候補を勝たせるために選挙に参加しよう」。4日、市民連合の集会で、メンバーの山口二郎・法政大教授は訴えた。
4月にあった衆院北海道5区補選の報道各社の出口調査では、無党派層の約7割が野党統一候補に投票した。この補選では野党候補は敗れたものの、市民連合は無党派層の動き次第で、参院選の流れが変わるとみている。(6月6日朝日新聞デジタル)
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絶対得票率10数%で8割の議席がおかしな政治の原因
5月14日、和歌山市民会館での小林節氏講演「政治の暴走を止めるために」の要旨をご紹介しています。今回は3回目で最終回。
小林 節氏 ③
TPPは日本の市場をアメリカに開放し、日本の農業は採算が合わなくなって終ってしまう。一旦なくなった農業は回復出来ない。医療も保険も金融もアメリカに開放しようとしている。日本は属国のようにアメリカにしゃぶりつくされる。これは安倍首相の言う「日本を取り戻す」ではなく「日本を黙って差し出す」だ。
北朝鮮は絶対に攻めてこない。もし、攻めてきたら、日本は個別的自衛権で、在日米軍は集団的自衛権で反撃し、1~2週間で消滅するとのアメリカのシミュレーションがあり、北朝鮮当局者も知っている。中国は南シナ海問題があるが、人の喧嘩には介入しない方がよい。安倍首相は石油の輸送ルートを言うが、いざとなればフィリピンの東側を通ればよいだけの話だ。
中国は建国以来領土を3倍にしている。ウイグル、チベットだが、彼らが非武装の平和主義者だったから中国が入ってきた。ベトナムと台湾へは軍事侵攻を試みたが弾き返された。そういう国だが、日本には言葉だけだ。これは専守防衛と日米安保によるプレゼンスで手が出し難い。だから中国と北朝鮮の脅威論は「狼少年」だ。騒いで別の目的を達しようとしている。
消費税は再増税しないプロセスに入った。選挙対策だ。消費税再増税を計画したのは安倍首相で、再増税をやめたということはアベノミクスの失敗ということで、褒められたことではない。景気が回復したら再増税するということだ。新自由主義の本質は弱肉強食で、古典的な乱暴な資本主義、国家全体ブラック企業化ということだ。1%の人が90%の富を独占する社会で、中流はなくなってしまった。主権者国民が社会に貢献して働いて報酬をもらい自分の家族を養って、残りを納税してこの国をみんなで支えていく構造なのに、1%の人がみんなの自立を奪い、タックスヘイブンに逃げている。
最初に来るのはまず言論弾圧で、最後は憲法改正だ。今の憲法では憲法尊重擁護義務は民間人には課されていない。自民党案は全国民が憲法を守る義務があると書かれている。その上で国防は国民の協力を得て遂行すると書かれている。協力義務とは徴兵制だ。緊急事態条項も総理大臣が宣言したら、総理大臣は立法権と財政権も持ち、首長に対する命令権を持ち、一般国民はそれに従う義務がある。それがないと熊本の事態に対処できないのか。むしろ逆だ。事情が分からない者が対処出来る訳がない。あるべき災害対策は現場の首長に権力を集中し、国と県はバックアップすることだ。
このおかしな政治が起きている原因は、絶対得票率10数%で8割の議席を持っていることにある。参議院でも憲法に手をかけると宣言している。今回は1人区で統一候補が進み、この地域でも由良さんが統一候補になっている。比例区では野党が小さく分立しているから死票がたくさん出る。野党が大同団結すれば、どうせ政治は変わらないと思っていた3~4割の無党派層が、自分の一票で政治が変わると投票する。「自民党は怖い。民主党の失敗は許せない。共産党はちょっと…」と思っている人がいる中で、大同団結すれば比例区でも野党が広がって政権交代が早まる。勝てば3分の2は止められ、政権交代につなげられる。それで「国民怒りの声」の旗を上げてしまった。決して投票依頼はしないし、媚は売らない。眠っている人に起きてほしいという仕組みを追及しているだけだ。(おわり)
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