「九条の会・わかやま」 304号を発行(2016年08月22日付)

 304号が22日付で発行されました。1面は、「紀南ピースフェスタ2016」開催、「軍事同盟は血の同盟」と言う安倍首相(半田 滋 氏 ②)、九条噺、2面は、紀州おどり「ぶんだら節」「九条連」11年連続出場!、第26回「ランチタイムデモ」実施   です。

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「紀南ピースフェスタ2016」開催

 8月6~7日、7回目の紀南ピースフェスタが田辺市で開催され、平和や人権、環境などの課題に関わっている約20のグループによる展示、講演会、映画上映、アート展、バザーなどが行われました。オープニングは「琴の会しおん」のコンサート。代表・上野弥生さんの平和への思いが込められたお話とともに琴や尺八をみんなで楽しみました。



会場いっぱいの展示物は、「田辺の特攻基地と海兵団」「広河隆一写真展」「くるみくるまれるいのち(ハンセン病療養所の胎児標本問題に関する展示)」「原爆写真展」「沖縄の基地問題を考える」「アート&クラフト展」等々。今年はプレイベント「紀南の戦跡巡り」も行われ、その成果が展示「紀南の戦跡Map2016」に盛り込まれました。身近な戦争に関わる歴史を学び、次世代に引き継ぐことの大事さを感じました。



 6日午後はリレートーク「あなたの選挙への思い、聞かせてください」が行われました。遠方から来てくれた若い方もおられ、参院選への率直な感想、政治状況の分析、主権者としての意識をどう広げるかなど、少人数ながら濃い意見交換の場となりました。「立憲主義とは、小さな声、声なき声、『変わり者』の声を聞いていくこと」「話を聞いていて希望が持てた」という意見、感想がありました。その他の取り組みは、映画「広河隆一・人間の戦場」「みんなで考える〝電力自由化〟」「詩人・中村純さんのお話+交流会」などがありました。



 会場アンケートでは、「子どもたち、まわりの人たちに語り続けていくことが大切」「選挙では平和を脅かす人たちには入れない」「沖縄の基地や紀南の戦跡を見学をして、戦争の『馬鹿らしさ』が身に沁みました。政治家たちはもっと平和のことについてグローバルに考えてほしいです」などの意見がありました。(事務局・木川田道子さんより)

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「軍事同盟は血の同盟」と言う安倍首相

 7月30日、「2016戦争展わかやま」の講演会が開催され、東京新聞論説委員・半田滋氏が「安保法制後の安全保障・自衛隊はどうなる」と題して講演されました。その要旨を4回(予定)に分けてご紹介しています。今回は2回目。

半田 滋 氏 ②



 安倍首相が最初にやったのは教育基本法の改正だ。教育基本法は学校教育を通じて日本国憲法を国民に根付かせる特別な法律として生まれた。安倍首相には邪魔物でしかなく、愛国心、家族愛などを子どもたちに根付かせる法律に変えた。07年には国民投票法を与党の強行採決で通した。さらに集団的自衛権行使ができるように、07年5月に自分と同じ考えの人を集めて立ち上げた安保法制懇の報告書は集団的自衛権は行使、多国籍軍への参加は憲法解釈を変えてやるというものだった。再び首相になった翌13年に再び立ち上げた安保法制懇の報告書が安保法制の裏付けとなった。
 何故それほど集団的自衛権行使に拘るのか。安倍首相は「軍事同盟は血の同盟だ。日本の若者は血を流さない。これで対等なパートナーシップと言えるか」「日米安保を堂々たる双務制に引き上げる。それには集団的自衛権行使が必要だ」と言う。これが1つ目の理由だ。日米安保条約5条でアメリカには対日防衛義務があるが、日本は憲法9条で海外で戦争が出来ないのでアメリカを守れない。その代り6条で米軍基地の提供義務が定められている。日本政府は5条と6条で日米安保は双務制があると説明してきた。在日米軍はただの一度も日本のために戦争をしたことはない。他方、日本は31の都道府県に米軍基地・施設が置かれており、日本政府は日本の経費で自治体に固定資産税の4分の1を配っている。基地は必ず騒音被害がありその賠償も、さらに在日米兵が使用する電気、ガス、水道代や、日本人従業員2万5千人の給与も日本政府が払っている。これらの金は年間約2千億円で、日本政府は年間7千億円以上払っている。むしろ日本の負担が重過ぎると言わざるを得ない。
 2つ目の理由は外務省の思惑だ。外務省は、中国との間で尖閣諸島を巡り万一武力衝突のようなことになれば、間違いなく米軍を差し出してほしい。そのために日米安保だけでは不安だから、さらに自衛隊を差し出すと考えている。要するに安倍政権の中で力を持っているのは外務省だ。外務省は憲法より国際法が大事だと思っている。
 3つ目の理由はアメリカの影響だ。00年、07年、12年に日本政府にアーミテージレポートを突きつけた。「日本が集団的自衛権行使を禁止していることが正常な日米同盟の阻害になっている」と毎回書かれている。特に12年は、ホルムズ海峡への自衛艦の派遣、南シナ海への護衛艦の派遣、全原発の再稼働など、今安倍政権がやろうとしていることを提案している。安倍政権の水先案内人の役割をアーミテージは果たしている。彼らはアメリカ政府の人ではないのに安倍政権は何故か重大視している。
 第1次安倍政権はやりたいことを思い切りやり、墓穴を掘ってやめていった。第2次はとりあえず支持率を高めて、やりたいことは次にやる。それで出てきたのがアベノミクスだ。日銀の政策で株高・円安が一時的に成功した。この時、輸出産業が儲かれば中小企業にも金が行き渡り、働く人のすべてに富が行き渡ると言っていたが、大企業が儲けたら、それを蓄える、役員で分けるだけで、働く人全員が貧しくなるという結果だけだ。国の借金は増える、年金は減らされるなど弱者はどんどん切り捨てられるようになった。株価の下落を防ぐために年金積立金管理運用独立行政法人は年金で株を買っている。60兆円を株に注ぎ込んで5・3兆円も損をしている。国債に充てておれば黒字になっていた。株に注ぎ込んだことにより私たちの年金が目減りする可能性がさらに高まった。安倍首相の言いなりになる組織がみんな株に投資している。これはどこかで破綻するだろう。その時に私たちの年金は大丈夫なのか心配しなければならない。安倍政権は、年金を貰っているが十分な所得がない人に3万円を配った。今後2千2百万人に1・5万円を配るそうだ。下心があるから人気取りをするのだが、円安・株高で特定秘密保護法を制定し、消費税を上げない解散だと言って安保関連法をやった。要するに経済→安保→経済→安保で、今回は経済だから次にやるのは安保、これが憲法改正だ。安倍首相が今やっていることは独裁だ。(つづく)

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【九条噺】

 防衛大臣に就任した自民党きっての極右議員・稲田朋美氏は「国民の一人ひとり、みなさん方一人ひとりが、自分の国は自分で守る。そして自分の国を守るためには、血を流す覚悟をしなければならないのです!」「祖国のために命を捧げても、尊敬も感謝もされない国にモラルもないし、安全保障もあるわけがない。そんな国をこれから誰が命を懸けて守るんですか」などと発言しているという▼稲田氏は05年以降、行革担当相、自民党政調会長の時も8月15日と4月28日に毎年欠かさず靖国神社に参拝している。「靖国に参拝することの意味は『不戦の誓い』だけで終わってはなりません。『他国の侵略には屈しない』『祖国が危機に直面すれば、国難に殉じた人々の後に続く』という意思の表明であり、日本が本当の意味での『国家』であることの表明でなければならないのです」などと言っている▼今回はアメリカなどに気遣う首相官邸が、「ジブチ訪問」という姑息な手段で参拝を見送らせたが、稲田氏は記者団の質問に「安倍内閣の一員として適切に判断していきたい」と述べたが、目を潤ませ、言葉に詰まる場面もあったそうだ(読売8月12日)▼靖国に行って人殺しの戦争に参加を誓うべきと語り、国のために命を捧げるのが「真のエリート」だと言い切る。こんな考え方をする稲田氏なら、自衛隊員を徒死させることも厭わないだろう。戦争法で海外に派遣された自衛隊員に、もし戦死者が出たら、靖国に祀るつもりだろうか。(南)

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紀州おどり「ぶんだら節」
「九条連」11年連続出場!


 8月6日、第48回紀州おどり・ぶんだら節が開催され、今年も「九条連」は80名が参加し、平和を守ろうとアピールしました。「九条連」の参加は11回目となり、「九条連は平和を守りたいと訴える弁護士と市民の皆さんです。子どもさんのパフォーマンスにも注目してください」とアナウンスされました。正調の踊りで進む「九条連」の横断幕の前で、子どもたちが倒立や転回などダンスパフォーマンスをして注目を受けていました。



 

 

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第26回「ランチタイムデモ」実施



 8月8日、「第26回憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」が行われました。
 蒸し暑い炎天下でしたが、子ども連れの人も含めて90名の参加者は、市役所→公園前→京橋プロムナードのコースで「憲法9条を守ろう」「戦争進める総理はいらない」と声を上げてアピールしました。閉会の挨拶で主催者代表の藤井幹雄弁護士は「先日の内閣改造は憲法無視・戦争への道を進める考えの大臣が目立つ。この方向を許さず声を上げ続けよう」と訴えました。
 次回は9月12日(月)に行われます。

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(2016年08月22日入力)
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