「九条の会・わかやま」 311号を発行(2016年11月25日付)

 311号が11月25日付で発行されました。1面は、和歌山市ひがし9条の会「平和コンサート」開催、「駆け付け警護」を閣議決定、南スーダン・PKOへの自衛隊派兵に反対します 九条の会の声明、九条噺、2面は、第29回「ランチタイムデモ」実施、南スーダン派遣の陸自 先発隊現地到着、朝日新聞世論調査(11月22日)、言葉 憲法審査会  です。

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[本文から]

和歌山市ひがし9条の会「平和コンサート」開催



 和歌山市ひがし9条の会は、10月30日14時から東部コミュニティセンター・多目的ホールで、第3回「平和コンサート」を開催しました。
 今回は47人の参加で、今までの中で最高の盛り上がりでした。トップは昨年も出演した松阪さんが、尺八奏者の川﨑さんとコンビ「松風」を結成、遊女のはかない身の上を唄った、地唄「楫枕(かじまくら)」を演奏。2番手はフォーク&カントリーをこよなく愛する若林さん、最初の曲は中川五郎さんの反戦フォークで「腰まで泥まみれ」。この歌は、ノーベル文学賞のボブ・ディランの歌にも通じる内容だそうです。あと、「死んだ男の残したものは」など。最後に「18才と81才の違い」を軽快に歌ってくれました。3番手はうたごえオールスターズによる「沖縄に心寄せて」のコーナーです。オリジナル曲「かぞえうた」「辺野古崎の風に吹かれて」など5曲を披露し、新基地反対に連帯するうたごえを響かせました。
 15分の休憩の後、高齢協紀和庵いっぷく亭の皆さんによる「安来節」が披露されました。みんなで歌おうでは、うたごえオールスターズのリードで、歌詞はプロジェクターを使用してまるでカラオケ、座席の後ろからはコカリナとギターの伴奏も入り、ペットボトルを使った手作りマラカスも登場して、最高潮の内に2時間が過ぎました。(会の事務局長・石垣保さんより)



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「駆け付け警護」を閣議決定

 安倍内閣は11月15日、南スーダンのPKOに派遣する陸上自衛隊の部隊に、昨年国民の多数の反対世論を無視して制定が強行された安全保障関連法に基づき、新任務「駆け付け警護」などを付与することを盛り込んだ実施計画を閣議決定しました。武器の使用を前提にした「駆け付け警護」などは、憲法9条が禁止している「武力の行使」に他なりません。日本国憲法を最も乱暴に蹂躙し、戦後71年間、日本が海外で戦争しなかった平和の秩序を自ら突き崩すものと言わなければなりません。

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南スーダン・PKOへの自衛隊派兵に反対します
九条の会の声明




 安倍政権は、10月25日の閣議で、自衛隊が南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に従事する期間を来年3月まで延長しました。そして、この11月から南スーダンへ派兵予定の青森駐屯地の陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊を中心とした部隊に、2015年9月に強行制定された「戦争法」(「安保関連法」)により「改正」された「PKO法」に基づいて、他国PKO要員などの救出を行う「駆け付け警護」と、国連施設などを他国軍と共に守る「宿営地の共同防護」の任務を新たに付与しようとしています。
 自衛隊のPKOへの参加は、武力行使を禁じた憲法9条に反するとの反対の声におされて、1992年に成立したPKO法には、参加の条件として、①紛争当事者間での停戦合意の成立、②受入国を含む紛争当事者の同意、③中立的立場の厳守、④上記原則が満たされない場合の撤収、⑤武器使用は要員防護のための必要最小限に限るという、「PKO5原則」がつけられました。
 しかし、南スーダンでは大統領派と前副大統領派との対立と衝突はやまず、7月には両派で大規模な戦闘が発生し、前副大統領は国外に逃れ、PKO隊員や国連職員が死亡していることは国連も認めているとおりです。そのため国連安保理は今年8月、アメリカ主導で、南スーダン政府を含めたいかなる相手に対しても武力行使を認める権限を付与した4000人の地域防衛部隊を追加派遣する決議案を採択しました。この決議には、主要な紛争当事者の同意というPKOの原則に反しているという理由で南スーダンの代表自体が当初反対を表明し、ロシアや中国なども棄権しています。
 こうした状況は、とてもPKO参加5原則を満たしているとはいえません。安倍首相や稲田防衛大臣は、7月の戦闘を単なる「衝突」だとし、この10月に現地に赴いた稲田大臣はたった7時間の視察で、「比較的安定している」と報告していますが、首都ジュバ近郊では、大統領派と前副大統領派との間での戦闘が拡大し、多数の死者が出ています。こうしたウソをついてまで南スーダンに自衛隊を派兵するならば、政府軍相手の戦闘や市民を巻き込んだ戦闘の危険すら否定できません。それは自衛隊の海外での武力行使=海外派兵に本格的に踏み込もうとするものです。
 このような違憲、違法かつ危険な「任務」に自衛隊員をさらすことは許されません。九条の会は、自衛隊の南スーダンへの派兵と新任務の付与に断固として反対するとともに、憲法違反の「戦争法」の廃止を強く求めます。
  16年11月10日 九条の会

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【九条噺】

 15日、安倍内閣は南スーダンのPKOに派遣する陸上自衛隊に、「駆け付け警護」などを付与することを閣議決定し、自己保存型と武器等防護を超える武器使用を可能とした▼政府のQ&Aによれば、「南スーダンの治安情勢は厳しく、首都ジュバも、本年7月に大規模な武力衝突が発生するなど、今後の治安情勢は楽観できない状況です」と言いながら、「しっかりとした任務と権限を付与し、事前に十分な訓練と準備を行った上で、『駆け付け警護』を適切な場合に行う体制を整えることは、自衛隊員のリスクの低減にも繋がることになります」と根拠のない理屈を展開している▼また、『駆け付け警護』は、PKO参加5原則がすべて満たされる場合に限られます」と言うが、南スーダンは政府軍と反政府軍が内戦状態で、「紛争当事者の間での停戦合意」の破綻は今や明白だ▼60カ国もやっているから「我が国も、国際社会の責任ある一員として、国際社会の努力に貢献するため、自衛隊の派遣期間を延長することとしました」と言う▼「自衛隊が近くにいて助ける能力があるにもかかわらず、何もせずにこれらの邦人などが危険に晒されてしまう事態を放っておいて良いというわけにはいきません」に至っては、泣き落しと言わなければならない▼日本の国際貢献は武力で内戦に介入することではない。非軍事の人道・民生支援の強化こそ求められる。憲法9条違反の海外での武力行使「駆け付け警護」は即刻中止しなければならない。(南)

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第29回「ランチタイムデモ」実施



 11月9日、未明からの雨も止み、晴天となったものの、強い風が吹き荒ぶ中、第29回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」が行われ、80名が参加しました。11月に陸上自衛隊が「駆け付け警護」などの新任務を与えられて南スーダンに派遣されますが、「殺し殺される」事態が懸念されます。自衛隊の海外派兵を許さない運動の強化も必要です。寒さが厳しくなりますが、さらに多くの参加が期待されています。
 第30回は太平洋戦争開戦の日・12月8日(水)です。

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南スーダン派遣の陸自、先発隊現地到着



 南スーダンのPKOに参加し、新任務の「駆け付け警護」と「宿営地の共同防衛」に対応する陸上自衛隊11次隊の先発隊が21日、首都ジュバの空港に到着した。ジュバでは7月に政府軍と反政府勢力との間で大規模な戦闘があり、今も治安情勢は不安定だ。国連安保理が武器禁輸の制裁を議論するなど国際社会は対応に苦慮している。内戦状態が続き、平和を確立する見通しが立たない中で新任務に臨む。
 11次隊の約350人のうち先発隊約130人は民間航空機2便に分かれてジュバ入り。今後、12月中旬にかけて残りの隊員も順次ジュバ入りする。
 11次隊は、新任務を主に担う第5普通科連隊(青森市)中心の警備部隊約60人と、道路補修などインフラ整備に当たる施設部隊などで構成。日本政府は、他国軍の救援は想定外とするなど駆け付け警護の運用は「極めて限定的」になると説明するが、不測の事態が生じる可能性があることも認めている。(東京新聞11月21日付)

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朝日新聞世論調査(11月22日)



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言葉 憲法審査会

 衆院憲法審査会は11月17日、1年5カ月ぶりに審議を再開しました。憲法審査会とは何かを見てみます。
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 「憲法審査会」とは、第1次安倍内閣の07年、憲法改正手続法(国民投票法)の成立を受けて出来たもので、衆参両院それぞれにあります。00年に出来た「憲法調査会」がその前身です。90年の湾岸危機以来の自衛隊の海外派遣をめぐる論争などが背景にあり、国会に憲法を専門的に議論する機関がなかったので、97年に超党派の議員連盟が議論の場が必要だと動き出しました。ただ、新たな機関を設けることは憲法改正につながるとの警戒もあり、憲法改正原案の審査はせず、憲法の「調査」に限ることを条件にスタートしました。05年に報告書をまとめていますが、憲法改正に向けた方向性を打ち出すものにはなりませんでした。
 「憲法調査会」と「憲法審査会」の最大の違いは、「憲法審査会」が憲法改正原案の審査が出来るようになったことです。原案が提出された場合、衆参の審査会で採決され、賛成が過半数なら可決されて本会議に提出されます。衆院憲法審査会での昨年6月4日の参考人質疑で、3人の憲法学者がそろって安保法案を「違憲」と指摘し、これで法案反対の機運が広がったことが政府与党内で問題視され、実質的審議はその直後に1回開いたきりで、その後審議が止まっていました。参院も今年2月以降は衆院と同様の状況です。
 これに対し、参院選の結果、衆参両院で改憲勢力が3分の2の議席を占めたので、憲法改正を進めたい安倍首相が、再度審査会を動かすようネジを巻いているのです。安倍首相は憲法審査会で改憲案を示すことが「国会議員の責任」であるかのように言っていますが、国民が切実に改正を求めるような不備は現行の憲法にはありません。改憲のために「憲法審査会」を動かす必要性は全くありません。安倍首相が言うのは、国民不在の「改憲のための改憲論」です。(朝日新聞10月16日付より)

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(2016年11月25日入力)
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