「九条の会・わかやま」 318号を発行(2017年3月10日付)

 318号が3月10日付で発行されました。1面は、みなべ「九条の会」高校生にピースアピール、日弁連 共謀罪法案に反対する意見書提出、九条噺、2面は、共謀罪「一般市民 監視下に」 日弁連が勉強会、市民団体も集会、安倍首相「必ず憲法改正したい」、こんなことも共謀罪!(東京新聞2月24日付)、書籍紹介 『つながり、変える 私たちの立憲政治』  です。

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[本文から]

みなべ「九条の会」、高校生にピースアピール



 みなべ「九条の会」は、2月は観梅の人たちへ、3月は選挙権を得た高校生や一般の高校生向けにアピールチラシを作成し、南部駅前広場でアピールしました。3年生は1日が卒業式で、その後は1・2年生しか登校しないので、急遽卒業式前日の2月28日早朝に実施しました。
 「高校生のみなさんへ」と題するチラシは、平和憲法のことを命尽きるまで語り続けたアレン・ネルソンさんの言葉、70余年前に18歳の若さで沖縄上空での攻撃中に戦死した陸軍少年飛行兵・平野利男さんの「結局は、死に赴くより外になし。吾は世の為、己の為に、死するために生まれくるより外になし。家のことも考ふれば、雑念も又浮かびて、実に心苦しく感じるなり」という言葉を紹介し、「今、みなさんは自由に考え、語れる時代に生きています。政治家を選ぶ『選挙』を大事にしてください。みなべ『九条の会』の願いです」と訴えています。(会の平野憲一郎さんより)



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日弁連、共謀罪法案に反対する意見書提出



 政府が「共謀罪」の構成要件を厳しくして新設を目指す「テロ等準備罪」について、日弁連=日本弁護士連合会はかつて廃案になった「共謀罪」と実質的に変わらないなどとして、法案の提出に反対する意見書を出しました。
 「テロ等準備罪」は、かつて国会で廃案になった「共謀罪」の構成要件を厳しくして、「組織的犯罪集団」が重大な犯罪を計画し、さらに犯罪の「準備行為」を実行した場合に処罰するもので、政府が今の国会に法案を提出する方針です。
 これに対して、日弁連は法務省や国会などに、法案の提出に反対する意見書を出しました。意見書では、処罰の対象となる「組織的犯罪集団」の定義について、「具体的な要件が明示されず、政府が説明しているように、テロ組織や暴力団などに限定されるとは読み取れない」としています。
 また、「準備行為」の解釈についても、「犯罪が実行される危険性が高まるような行為に限らず、われわれが日常的に行っている行為も含まれる」として、犯罪を共同で実行する意思を持っただけで処罰される、かつての「共謀罪」と実質的に変わらないとしています。
 日弁連の山口健一副会長は「多くの人に共謀罪の問題点を知ってもらいたいと思い、このタイミングで見解を表明した。各地で世論に訴えていきたい」と話しています。
(NHKニュースWEB2月23日)
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(全文は下のURLをクリックしてください)
意見書全文→ http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2017/opinion_170217_02.pdf

 意見書は、共謀罪法案の基本的な問題点として、①共謀罪法案は、現行刑法の体系を根底から変容させるものとなる。②「組織的犯罪集団」と規定しても犯罪主体が適切に限定されない。③「計画」の要件が存在しても犯罪の成立が適切に限定されない。④「準備行為」の要件は適切に機能しない。⑤構成要件の人権保障機能が阻害されるおそれがある。また、国連の組織犯罪防止条約との関係では、①「予備」、「陰謀」、「準備」の段階の処罰立法が既になされている。②テロ対策のための立法がなされてきた。③条約の一部留保を行う余地がある。④テロ等対策の必要性があれば、個別・具体的な立法で対応すべきである。
 以上から、テロ対策自体についても既に十分国内法上の手当はなされており、テロ対策のために政府・与党が検討・提案していたような広範な共謀罪の新設が必要なわけではない。また、国内法の整備状況を踏まえると、共謀罪法案を立法することなく、国連越境組織犯罪防止条約について一部留保して締結することは可能である。もし、テロ対策や組織犯罪対策のために新たな立法が必要であるとしても、政府は個別の立法事実を明らかにした上で、個別に、未遂以前の行為の処罰をすることが必要なのか、それが国民の権利自由を侵害するおそれがないかという点を踏まえて、それに対応する個別立法の可否を検討すべきであり、個別の立法事実を一切問わずに、法定刑で一律に多数の共謀罪を新設する共謀罪法案を立法すべきではない。
 よって、日弁連は、いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する。

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【九条噺】

 森友学園が豊中市の国有地を小学校用地として破格の安値で購入した際、政治家の力が働いた疑惑が膨らむ一方だ。評価額から8億円もの不明朗な値引きは、説明なしに納税者は納得できない。財務省が書類を破棄したとしており、関係した政治家や役人と学園が公の場で事情を述べるしかない▼問題の小学校は「瑞穂の國記念小學院」という神道教育を理念とする学校とホームページにある。同学園が運営する塚本幼稚園の講演で首相夫人昭恵氏は、教育方針に共感を示し「首相も同感」とまで述べ、小学校の名誉校長も引き受けていた。首相夫妻とのこうした特別な関係が背景にあったことが想像される▼学園理事長の籠池氏と安倍夫妻を結びつけるのは、自民党改憲案が目指す古色蒼然とした軍国日本への方向だ。瑞穂の國すなわち神国日本への志向と、国民が国家に対して種々の義務を負う改憲案の滅私奉公の志向とが重なる▼しかし塚本幼稚園の運動会で園児に「安倍首相がんばれ」「安保法制国会通過、よかったです」と言わせ、教育勅語の暗唱をさせるなどの実態が報じられると疑問や批判が広がった。日本会議が週刊文春に「籠池氏は大阪代表でなく運営委員。日本会議大阪は森友学園土地取得とは無関係」と抗議し、二階俊博自民党幹事長が「いささか時代錯誤」、下村博文幹事長代行「名誉校長就任は不適切」など▼前記の国有地値引き疑惑を徹底解明しつつ、接点にある改憲の問題点も明かしていきたい。(柏)

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共謀罪「一般市民、監視下に」、日弁連が勉強会



 日弁連は1日、共謀罪の構成要件を厳しくした「テロ等準備罪」を新設する法案に反対する勉強会を衆議院議員会館で開いた。矢野真之副会長はあいさつで「一般市民が(捜査機関の)監視下に置かれる可能性がある法案を認めるわけにはいかない」と述べた。
 共謀罪法案対策本部副本部長の海渡雄一弁護士は「現行刑法の体系を根本から変容させてしまう」と批判。「テロに関連する多くの予備罪や準備罪が作られている。テロ組織がやりそうなことで、予備段階で処罰されないものはない」と強調した。
 民進党衆院議員の山尾志桜里氏も参加。「LINE(ライン)など、共謀の手段はなんら限定がなく危険だ」と訴えた。(共同通信3月1日)

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市民団体も集会



 犯罪の計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案に反対する市民団体や日本弁護士連合会が1日、都内で集会を開いた。政府は「テロ等準備罪」という呼称を使うが法案に「テロ」の表記がないことや、対象が277罪に上ったことなど、批判が相次いだ。
 参議院議員会館で開かれた集会では、浅田和茂・立命館大教授(刑法)が、過去に3度廃案になった共謀罪と比較し、「名前をかけ替えただけだ」と批判。政府が「一般市民は処罰の対象にならない」と説明していることについても、浅田教授は「対象は極めて広範囲になる」と指摘した。
 元NHKプロデューサーの永田浩三・武蔵大教授は、戦時下で言論弾圧に猛威をふるった治安維持法を引き合いに、「社会の矛盾に声をあげる人の輪を『共謀』と呼ぶ時代は、決して過去のことではない。共謀罪はメディアの弾圧にもつながる」と指摘した。
 日弁連が開いた学習会では、矢野真之副会長が「一般市民が監視のもとに置かれる危険性がある」と述べた。参加した野党議員からは「テロとは関係ない罪が多く含まれる」などの声が上がった。(朝日新聞デジタル3月2日)

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安倍首相「必ず憲法改正したい」

 安倍晋三首相が会長を務める超党派の保守系政策集団「創生日本」が4日夜、都内のホテルで会合を開いた。出席した衛藤晟一・首相補佐官によると、首相は今年が憲法施行から70年の節目にあたることに触れ、「憲法改正に向かって総力を挙げて頑張ろう」とあいさつし、改憲への強い意欲を示した。「憲法改正が議論できる環境を作りたい。必ず憲法改正をしたい」とも述べたという。(朝日新聞デジタル3月5日)

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こんなことも共謀罪!
(東京新聞2月24日付)



★新聞社が大臣宅に記者を張り付かせ、取材拒否にあっても必ず事実関係の確認を求めることを編集会議で決定、記者が大臣宅の割り出し作業を始めた(組織的強要罪の共謀罪)
★上場企業の大手電機会社の役員らが、株価維持の目的で業績不振を隠すため、利益を上乗せした有価証券報告書を作ることを部下に命じた(金融商品取引法違反の共謀罪)
★市民団体が、自衛隊官舎に「殺すな」と書かれたステッカーを貼り付けることを計画し、そのステッカーを買うためにATMから出金した(建造物損壊罪の共謀罪) (パンフレット『一からわかる共謀罪』より)

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書籍紹介 『つながり、変える 私たちの立憲政治』



 市民連合・立憲デモクラシーの会の呼びかけ人として、野党共闘の流れを牽引し続けている上智大学教授・中野晃一さんの最新刊です。市民による後押しで、日本の政治史上初めて参議院1人区全てで実現した野党共闘。市民連合や立憲デモクラシーの会を通じてその流れを主導した著者が、選挙戦の分析と総括を踏まえ、衆院選へ向けた粘り強い市民参加と、その先にある「個人の尊厳を守る政治」の具体像を力強く語ります。
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発行所:㈱大月書店
著 者:中野晃一
発行日:2016年10月20日
価 格:1,300円+税

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(2017年03月10日入力)
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