「九条の会・わかやま」 319号を発行(2017年3月21日付)

 319号が3月21日付で発行されました。1面は、渡辺治さんを迎えて「市民のつどい」開催、「和歌山障害者・患者九条の会」春の学習会を開催、九条噺、2面は、第33回「ランチタイムデモ」実施、和歌山で「共謀法反対」街頭宣伝スタート、「9条地球憲章の会」発足  です。

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渡辺治さんを迎えて「市民のつどい」開催



 3月11日、田辺市の紀南文化会館で、「渡辺治さんの講演と安倍政治を語る市民のつどい」が300人近い参加者を集めて開催されました。
 講師の一橋大学名誉教授・渡辺治さんは、「市民と野党の共闘で、くらし・平和・憲法を守り生かす政治の実現を」と題して、次のように語られました。
 先の参院選では、改憲勢力が3分の2を占める一方、初めての野党共闘が成立し、32の1人区のうち11で勝利を収め、安倍改憲を阻む力が芽生えるという2つの顔が見えた。
 このたたかいは、1960年の安保闘争以来55年ぶりの共闘で、60年安保闘争の時とは違った3つの特徴を持っている。第1は、安保や自衛隊について反対、賛成の立場を越え、「安倍がめざす日本に反対」という点で共闘が成立し、「立憲主義を取り戻す」という点で広がったこと。第2は、60年安保は首都と大都市中心の運動だったが、今回は共闘が市民を励まし、新しい組織、運動、地域の立ち上がりを生んだこと。第3は、戦争法強行採決後、「総がかり」の運動は戦争法廃止を実現する市民連合に発展し、戦後初の選挙共闘につながったこと。その結果は、勝利した11選挙区に特徴的に現れているが、自民党の「金城湯池」の地方選挙区で、1+1=2ではなく、3、4にもなることが示された。ただ、参院選の結果は、安倍政権を倒す状況には至らなかった。それは、受け皿組織はできたが、受け皿そのものが十分ではなかった。その1つは、複数人区での共闘が成立しなかったという弱さ。あと1つは、自公の受け皿「戦争する国とアベノミクスの格差と貧困拡大の料理」に対し、「平和の料理」しか盛りつけることができず、「くらしを守る」という2つの柱を打ち出し、押し出すということにはならなかった。
 安倍の悪政を止める共闘から、安倍政治に代わる政治をつくる共闘への飛躍が、今、求められている。参院選で作った共闘の受け皿を、もっと豊かな強いものにしていこう。そのためには、「中央」の状況づくりを待つのではなく、地方から、地域から状況を積み上げていこう。次の衆院選でそのような共闘状況が実現すれば、政治は大きく変わる。そのことに一番危機感を持ち、怯えているのは安倍晋三自身である。今後、政界、財界、それにアメリカは、市民と野党の共闘の分断に狂奔するだろうが、それを跳ね返していく強力な力を蓄えていこう。
 講演の後、4人の方から、「格差と子どもの貧困」「介護保険改悪と高齢者福祉」「競争と管理の学校教育」「原発再稼働は許さない」との、意見表明があり、野党では共産党、社民党の代表が紹介され、民進党はメッセージを寄せました。
(田辺9条の会・田所顕平さんより)

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「和歌山障害者・患者九条の会」春の学習会を開催



 3月12日、「和歌山障害者・患者九条の会」は「和歌山市ふれ愛センター」で春の学習会を開催、37名が参加しました。
 東日本大震災から6年。橋本から参加された会員が、震災からの希望をテーマに作詞作曲した歌をギター演奏に乗せて披露してくれました。
 学習会の講演テーマは「平和でなければ障害者は生きられない~安倍政権と社会保障・社会福祉の行方」、講師は「障害者(児)を守る全大阪連絡協議会事務局長」の塩見洋介氏でした。
 昨年7月に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で発生した殺傷事件に対して、政府は入院治療の問題や施設防犯の対策といった対応しかしていない。障害があっても等しく人権が尊重され、障害のない人との平等を実現する障害者権利条約を否定する事件として総括されず、政府の背景にあるのは障害の自己責任論。公共のサービスを後退させ、その隙間に民間ビジネスを参入させて、福祉サービスを物の売り買いのように自由にし、人々の間に格差、分断を生んでいく現在の資本主義、新自由主義の構造を分かりやすく話していただきました。社会保障、社会福祉の発展はその国民の運動の強弱によって左右され、同時に平和を保障する運動につながっていると強調されました。
 どうすれば変えられるのか。個人が声を上げ始めている。原発反対や沖縄基地建設反対などの運動が組織動員ではない「私は」という個人の立ち上がり、メッセージ発信が多くの人々の共感を呼んでいる。社会保障、社会福祉分野でも一人一人が声を出し合ってしっかり議論し、つながっていくことが大切と話されました。
   障害者が生き難い社会は健常者にとっても生き難い社会です。人を人として認め合うために、生存権と平和を守り、障害者権利条約を根付かせる本会の取り組みが今こそ重要性をおびています。初めて参加された方も多く、参加者の疑問や意見に塩見講師の追加の話が重なって時間ぎりぎりまで意見交換は活気に満ちた会となりました。
(会の事務局・野尻誠さんより)

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【九条噺】

 森友学園の小学校開設は一旦断念したが、土地問題とともに大問題は、塚本幼稚園の異様な教育だ。運動会で園児に「日本を悪者として扱っている中国、韓国が心改め、歴史でうそを教えないようお願い致します」「安倍首相がんばれ」「安保法制国会通過よかったです」と言わせていた▼さらに、園児に「教育勅語」を暗唱させているという。「教育勅語」を読んでみた。「爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ德ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ…」。読むことすら難しい。「父母に孝行、兄弟仲良く、夫婦仲むつまじく」とあるが、「危急の事態には、永遠に続く皇室の運命を助けねばならない」に勅語の根本の目的がある▼安倍首相は「私の考え方に非常に共鳴している方」、妻・昭恵氏は「この幼稚園でやっていることが本当にすばらしい」と評価してきた。稲田防衛相は8日、「(教育勅語が)全く誤っているというのは違う」と語った▼教育勅語は、国民を侵略戦争に駆り立てる教育の象徴であり、現代の公教育にあってはならないものだ。教育勅語は「基本的人権を損ない、国際信義に疑いを残す」として48年に衆参両院で排除・失効が決議されている。それを首相や大臣が「すばらしい」「誤っていない」などと言うのは憲法99条違反として追及しなければならない。(南)

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第33回「ランチタイムデモ」実施



 好天に恵まれた3月14日、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」が呼びかけた第33回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」が行われ、70名の方が参加しました。
 和歌山市役所前での出発にあたり藤井幹雄弁護士は、南スーダンPKOに派兵している陸上自衛隊を撤収させることが決まったと報告し、「9条改悪など、時代を戦前に戻そうとする動きが噴出している。南スーダンからの撤収というこの流れを止めてはいけない」と訴えました。
 この日はいつもの「憲法の破壊を許さない」という主催者横断幕に加えて、「憲法9条は世界の宝」という「ポングリ9条連横断幕」も登場。先頭を行進しました。さらに今回も「反対です共謀罪『話し合う』ことが犯罪に」の横断幕も登場。「9条守れ」「共謀罪絶対反対」などを訴え、京橋プロムナードまで行進しました。
 次回(第34回)は4月10日(月)です。

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和歌山で「共謀法反対」街頭宣伝スタート



 3月9日午後6時から、JR和歌山駅前で、和歌山県の「総がかり行動実行委員会」が主催する「『共謀罪』を国会に上程するな!緊急宣伝行動」が行われました。  厳しい寒さの中、約30名が出来上がったばかりのチラシを配付し、「共謀罪NO!実行委員会」と「総がかり行動実行委員会」が共同で呼びかける「共謀罪創設反対緊急統一署名」に取り組みました。
 約1時間の宣伝行動の間、参加者が交代でハンドマイクを持ち、なぜ共謀罪に反対するのかという思いを訴えました。先頭を切ってスピーチした金原徹雄弁護士は、「安倍政権は『オリンピックのための〝テロ対策〟』と言っているが、①国際組織犯罪防止条約を批准するために共謀罪など必要ない。共謀罪を作らずとも、世界の大半の国々は批准している。②国際組織犯罪防止条約は、マフィアなどの国際的な犯罪組織を効果的に取締るための条約であり、テロ対策とは何の関係もない。③日本はテロを防ぐ13の条約全てを批准し、国内法も整備している。「東京オリンピックのためのテロ対策」というのは『3重の嘘』だ。政府が示した当初の法案には、テロの『テ』の字もなかった。これがテロ対策ではないことの何よりの証拠だ」と、安倍政権を告発しました。

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「9条地球憲章の会」発足



 憲法9条の精神を生かした「地球憲章」の策定を目指す市民有志が15日、「9条地球憲章の会」を発足させ、国内外に賛同を呼び掛けた。現時点で10カ国・地域の有志から賛同が寄せられているといい、インターネットやSNSを通じて運動を広める計画だ。
 活動の中心を担っているのは、平和を目指す市民団体や学者、弁護士ら。世界から戦争をなくすには、戦力不保持を柱とする9条を世界に広げるしかないと考え、世話人会をつくって趣意書を英語、中国語など8カ国語に翻訳してきた。
 賛同者は15日現在で国内127人と、欧米、アジア、アフリカなど海外27人(在外邦人も含む)に達しているという。
 5月に都内でシンポジウムを開き、論点整理をスタート。小グループに分かれて作業を進め、日本版の地球憲章をまとめる計画。海外の賛同者にも各国版をつくってもらう。ゆくゆくは「世界共通版」の作成や、国連が採択する公的な憲章も目指したい考え。中心的なメンバーは15日、東京都内で記者会見。堀尾輝久・東大名誉教授は「(日本国憲法は)一国平和主義でなく、戦争への反省を深めながら新しい世界をつくろうと呼び掛けている。9条の精神で、非戦、非武装、非核の世界をつくりだそう」と市民が地球憲章をまとめる意義を訴えた。
 浦田賢治・早稲田大名誉教授は、米トランプ政権誕生など不安定な国際情勢に触れ「憲法9条の理念を普遍化することは、人類史的な役割がある」と強調。弁護士の笹本潤氏は「軍隊が海外に出るのを止める規範は、9条しか実例がない。広める必要がある」と述べた。
(東京新聞3月17日付)
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(2017年03月21日入力)
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