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「守ろう9条 紀の川 市民の会」第13回総会開催
(原通範代表)
「守ろう9条 紀の川 市民の会」は4月1日、和歌山市・河北コミュニティセンターで、56名の参加のもと第13回総会を開催しました。
原通範代表は、「森友学園問題は安倍首相夫妻が暗に影響を与えていたということがはっきりし、安倍首相退陣への追い風が吹いてきている。本日の講演での提起を受けて、私たちも身近なところで憲法の問題について話していくことが大事だ」と挨拶しました。
続いて、立命館大学教授(憲法学)植松健一氏が「安倍首相はなぜ憲法を変えたいのか~私たちの生活はどうなるのか~」と題して講演をされました。植松教授は、憲法とは「この国のかたち」という意味で、内閣は人事権を持っていても、恣意的な行使は出来ない。日本銀行や内閣法制局などの自立性、大学・報道機関・農協などの自治、集団的自衛権の不行使などは守らなければならないが、安倍政権はそれらを全て壊してきている。安倍政権の背後には、「米国の権益」「グローバル企業」「復古的・右翼的勢力」があり、「米国の権益」のためには軍事的大国化型改憲=制約のない集団的自衛権行使、9条の完全破棄が狙われている。「グローバル企業」のためには新自由主義型改憲=健全財政条項、道州制や戦略特区、参議院の見直し、社会権規定の削除などが狙われている。「復古的・右翼的勢力」のためには復古的改憲=天皇元首化、家族・愛国心条項、政教分離緩和、個人尊重規定の改廃、「公益」による人権制限などが狙われている。と解説しました。憲法12条は「自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」としており、「不断の努力」は「普段の努力」でもある。立憲主義を維持するために、他者に対する「共感力」をもって対応しようと訴えられました。
総会議事は昨年度の活動報告、会計報告、本年度の活動方針、予算が承認され、運営委員を選出して終了しました。(講演要旨は次号以降に紹介予定)
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「くしもと9条の会」第3回総会開催
3月12日、「くしもと9条の会」は第3回総会を28名の参加で串本町文化センターで開催しました。
オープニングのギターと二胡による演奏に引き続き、伊藤真氏のDVD「憲法ってなあに?憲法改正ってどういうこと?」を視聴しました。伊藤氏は「憲法は人権を保障するために国家権力を制限するもの。自民党改憲案は、国民に多くの義務を課し、国民の上に国家をおく規定になっている。国防軍について、『国を守るために軍隊が必要だ』という声もあるが、それには『専守防衛を旨とする自衛隊があるじゃないですか』と答えてください。国防軍は、アメリカと一緒に戦争したいだけです。日本を守るためではない」と、現憲法がもつ人類の英知と自民党改憲案の危険性を再認識させてくれました。
次に、「市民連合わかやま・くまの」の岡さんに市民連合について話していただきました。「市民連合とは、立憲野党と協力し、各選挙で野党統一候補を当選させるための、自由な個人と市民運動団体の集まりである。一人ひとりの主体的な行動こそが誇りであり、隣の人と手をつなぎ強くなることが大切である」と、一人ひとりが集まり、大きな雲のような運動体になっていく活動だと話されました。
総会では、末永共同代表が挨拶で「私は憲法9条に守られてきた世代です。次の世代に担わせていく必要があります」と、この運動の重要性を問いかけ、来賓の「くまの平和ネットワーク」の粟本さんは、「憲法を巡る情勢は厳しいが、現行憲法を自分の言葉で多くの方に伝えていくことが大切です」と話されました。
その後、事業報告、方針及び会計関係、会則改正、3人の共同代表体制での推薦役員などが提案通り承認されました。(「くしもと9条の会」会報9号・3月26日より)
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【九条噺】
「未来のための公共」という組織が結成されたという。政治について気軽に話し合う場所として若い人たちを中心とした市民団体のようだ▼3月半ば、初めての行動として国会前抗議行動が取り組まれ、若者がマイクを握った。主催者の一人は「『これおかしくない?』と思った時に不安や違和感について話せる場所がほしい。政治の問題を私だけで考えるのではなく、私たちで考えたい」▼数日後、結成の経過を説明する記者会見が開かれた。「さまざまな政治課題で行動していく。『私』の声を何より大事にしたい。シールズの復刻ではありません」と。国会開会中の毎週金曜日に抗議行動が取り組まれる▼森友学園問題、自衛隊の日報問題、100時間未満の残業を容認する長時間労働の答申案等々、安倍政権の進める政治のおかしさは、枚挙にいとまがない。若者だけでなく、違和感を持つ人は大勢いることだろう▼「もし政治がこんな体たらくになっていなければ、私が今日ここに立つことはなかったでしょう」と参加者の一人は言う。「主権者の一人ひとりが自らの言葉で政治を語り、社会を形作っていく…」若者たちのこんな言葉を読んでいると、「敷きブトン」の小さな小さな一片だと思う私は胸が一杯になる。日本の民主主義は広がり、深化しているおもいが実感できる。「高齢者」も『私』の声を大事にしながら、若者たちと手をつないでいきたい。(真)
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「未来のための公共」発足
政治へのささいな疑問、語れる場に
政治への不満や、社会でおかしいと思うことを伝えていこうと、新しい市民団体「未来のための公共」が3月17日発足し、同日夜に東京・永田町の国会議事堂前で初の集会を開いた。安全保障関連法への抗議活動をした学生団体「SEALDs(シールズ)」の元メンバーらも設立に関わったが、テーマは限定せず、より幅広い活動をめざすという。
「未来のための公共」によると、集会には約2500人が参加した。発足メンバーの一人、都内の大学生馬場ゆきのさんは、集会でマイクを握り、「安保法には反対だったけど、自信を持って言える考えもなく、行動しなかった。でも、未熟な自分がスピーチすることで、誰でも声をあげる権利があると伝えられると思った」と語った。ほかにも高校生や保育士の男性、野党の国会議員ら約10人が次々に壇上にあがった。それぞれが取り上げたテーマは、学校法人「森友学園」への国有地売却問題や、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ法改正案など、様々だった。
「未来のための公共」は、安倍政権をめぐる問題が次々に注目される一方、市民運動が盛り上がっていないとの問題意識を持ったシールズの元メンバーらが集まり、発足準備を進めた。めざすのは「参加しやすい集会」。政治問題などに抗議する従来の集会では、皆で「反対」を叫んだり、強い口調で批判を繰り返したりする場面も多かったが、より多くの人が参加しやすいように、そうした活動は少なくする方針だ。参加者のささいな疑問も語れる場にするという。
馬場さんは「政治に興味はあるけど、デモや集会に行く勇気はなかった、という人たちも参加できるような場にしたい」と話す。
(朝日新聞デジタル3月18日)
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言葉「国会議員の任期延長」
国会議員の任期は憲法45条と46条で定められています。従って、国会議員の任期は憲法を改正しない限り変更できません。「国会議員の任期延長」は、東日本大震災のような大規模災害が起きて選挙ができない場合に備えて、憲法で規定されている議員の任期や選挙期日に特例を設けるという内容です。一見、問題がなさそうに見えるので、自民党の「お試し改憲」の第一弾として浮上しています。
しかし、国会議員の任期が切れると、首相や大臣がいなくなるわけではありません。首相や大臣は、国会議員でなくなっても、次の内閣総理大臣が任命されるまで引き続き仕事をすることになっています。行政は動き続けるし、政令や通達も出せ、予備費も使えます。できないのは法改正と新法の制定だけです。
では、国会議員の任期が切れると国会は何もできないのか?
①参議院議員の任期満了の場合。衆議院は問題なし。半数の参議院議員は残っており、定足数は3分の1なので参議院も開けます。②衆議院の解散の場合。憲法54条2項に「参議院の緊急集会」という制度があり、参議院だけで国会の代わりができ、臨時の措置をとることができます。③衆参同時選挙の場合。これも参議院の緊急集会を開くことができます。④衆議院議員の任期満了の場合。「憲法54条2項が『衆議院が解散されたときは』と定めていて、『任期満了のときは』ではないので、緊急集会を開くことはできない」と改憲派が言い立てているのです。
④の場合、もし大災害が衆議院の任期満了の前で発生したら、まだ任期があるので、国会を緊急に召集すればよいし、便宜的に衆議院を解散する方法もあります。任期満了後に発生したら、改めて期日を定めて行う繰延投票で対応するとか、解散ではないが、「参議院の緊急集会を開くことができる」と解釈して緊急集会を開く方法もあります。
この「国会議員の任期延長」は、改憲だけを目的にした「ためにする」議論です。もっと大きな問題は、そのときの総理大臣や与党の判断で、「緊急事態」と政府が宣言し続ける限り、いつまでも任期が延長され、いつまでも選挙が行われず、同じ顔ぶれの国会で法律がつくり続けられ、政権を自由に延命できる恐れがあります。こうなれば、国民主権の侵害であり、国会議員主権になってしまいます。ときの政権に濫用される危険性をもっています。
(弁護士・小口幸人氏の論考を参考に)
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書籍紹介 『13歳からの日本国憲法』
改憲論議が盛んな今、本当に改憲は必要? その前にもっと日本国憲法を知ってほしい! 日本国憲法をよ?く見ると、じつはいろいろなところに、とっても深い意味がちりばめられています。例えば、「人」でなく「個人」という表現をつかっていたり、国会を「国権の最高機関」と定めたり。難しい言葉だらけだけど、その意味を読み解くと、大日本帝国憲法の反省から権力が暴走しないよう、細心の注意と工夫がされていることがわかります。本書では、日本国憲法の「中身」にとどまらず、そこに隠された真意まで読み解き、日本国憲法のすばらしさを再発見します。(かもがわ出版のHPより)
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発行所:㈱かもがわ出版
監修者:上田勝美
発行日:2017年03月17日
価 格:1,600円+税
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