「九条の会・わかやま」 327号を発行(2017年7月3日付)

 327号が7月3日付で発行されました。1面は、第8回「呼びかけ人懇談会」開催 九条の会・わかやま、「和歌山障害者・患者九条の会第11回総会」開催、九条噺、2面は、「第13回戦争体験と平和への思いを語り継ぐ会」開催 九条の会ゆら、憲法施行70年「九条の会」講演会(伊藤真さん、内橋克人さん)、安倍内閣支持率 7社全て下落   です。


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第8回「呼びかけ人懇談会」開催
九条の会・わかやま




 6月25日、シティイン和歌山で第8回「呼びかけ人懇談会」が開かれ、呼びかけ人の江川治邦さん、副島昭一さんと事務局員4名が出席しました。
 まず柏原事務局長から、安倍首相が改憲案を年内に提出し、来春の国会発議を目指しているとの報道を引いて、情勢を見据えた運動が必要だということ、10月末か11月初に和歌山市周辺の「9条の会」の共同企画を計画し、講師の依頼に入っていることを報告しました。
 次に配布資料に基づき、前回から1年半の会務報告を行いました。また「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」から申し入れのあった、「安倍首相による改憲発言についての共同声明案」の説明を行いました。呼びかけ人から「もう少し分かりやすく」との意見があり、文言修正を含めて共同声明に加わることが了承されました。
 続いて、参加者が自由に話し合い、次のようなことを申し合わせました。
 ①「当会も発足11年を超えて呼びかけ人も高齢になっている。当初の呼びかけ人以外に運動を呼びかけていく人を補充しては」との提起を受け、人選のイメージ・名称なども話題にしたのち、事務局で他府県の状況も確認しながら、今後検討を進めていく。
 ②「メディア対策を重視すべき」との提言があり、積極的に地方紙や全国紙和歌山支局などに情報提供していく方向を確認する。
 ③安倍改憲案(9条1項・2項をそのままにして、3項に自衛隊を書き込む)について、そのようにすると、どんな問題があるかを、分かりやすく知らせていくべきだという課題を確認する。

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「和歌山障害者・患者九条の会第11回総会」開催



 6月25日、和歌山市ふれ愛センターで「和歌山障害者・患者九条の会第11回総会」が開催され、23名の会員が参加しました。
 第11回総会では、「私たちは障害を作り出す最大の原因である戦争に断固反対。民主主義を破壊し、戦争への道につながる共謀罪法を廃止することを求める」内容の特別決議を採択し、首相官邸に送ることを決めました。
 続いて行われた記念講演は「共謀罪法は戦争への道」と題して、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟和歌山県本部会長の鶴田至弘さんを講師にお迎えしました。
 共謀罪法は、1925年に作られ国民を戦争に導いた「治安維持法」の現代版であることを分かりやすく解説してくださいました。治安維持法も成立時は「一般市民は関係ない」と政府は答弁していましたが、やがて戦争に反対する者をどんどん捕えていき、終戦までに全国で約70万人が検挙されたそうです。テロを防止する法律は我が国にはすでに13本もあるそうです。共謀罪法はテロ対策ではなく、政府に逆らう者を捕えるためのものです。この法律を作らせたのは「日本会議」という組織で、国会議員の281人もが入っているとのこと。本当にテロを防ぐには、他国の戦争に干渉しないこと、そして憲法9条を国に守らせることが何よりも大切だと強調されました。
 「今後は共謀罪法を発動させないこと。そのためには、皆が『ワーワー』騒ぎ続けることが重要」、そして「憲法改正の発議をさせないこと。『九条を守れ』の声は未だ国民多数。そこに確信をもって皆で力を合わせれば負けることはない」と力強く締めくくられました。
(事務局の野尻誠さんより)

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【九条噺】

 現代版治安維持法・「共謀罪」法が強行成立させられた。戦前の治安維持法が数々の思想・言論弾圧を引き起こし、あまたの犠牲者を生み出した稀代の悪法であることは論を待たない▼金田法相は6月2日の衆院法務委員会で、治安維持法は「適法だった」「謝罪の必要はない」と言い切った。あいた口が塞がらないとはこのことか。この大臣は過去への反省が全くない。法相として、能力も資格も皆無と言わざるを得ない。そもそも安倍政権は治安維持法を悪いものとは考えていない▼1976年9月、当時の三木武夫首相は、治安維持法は「こういう民主憲法のもとに考えれば我々としても非常な批判をすべき法律であることは申すまでもない」と厳しい見方を示している。戦前の反省を踏まえれば当然の見解だ▼日本に比べてドイツは徹底して過去と向き合い、ナチスに殺されたユダヤ人の追悼モニュメントをベルリンの中心部に作り、歴史教科書では加害者だった事実を詳しく取り上げている。ナチスに迫害された犠牲者には連邦補償法を制定し、2010年までの補償総額は約8・9兆円にもなっている。イタリアでも反ファシスト政治犯には終身年金を支給するなど、世界中で戦後補償が解決しているのに、安倍政権は補償するどころか反省もしていない▼故ワイツゼッカー元ドイツ大統領は「過去に目をとざす者は現在にも盲目となる」と言った。現在に盲目な安倍首相や金田法相は即刻退陣してもらわねばならない。(南)

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「第13回戦争体験と平和への思いを語り継ぐ会」開催
九条の会ゆら




「九条の会ゆら」主催の「第13回戦争体験と平和への思いを語り継ぐ会」が24日、由良町中央公民館で聞かれた。昭和20年の和歌山大空襲を取り上げ、焼き払われた和歌山市内の様子など写真で紹介したほか、戦争をテーマに書かれた絵本の群読、自衛隊派遣などについて意見交換し、平和への思いを再確認した。
 開会挨拶に続き、日高地方の女声コーラスの有志が「アメイジング・グレース」などを歌い、池本護・事務局長が「和歌山空襲と自分たちの戦争体験」と題し、和歌山空襲が起った当時の写真を紹介。空襲で焼き払われた和歌山市街や焼失した和歌山城の天守閣跡、砂浜に乗り上げた揚陸艦から出てくる米軍車両などをスクリーンに映し、自身の幼少期の思い出もまじえ解説。大惨事となった沖縄戦も取り上げ、米軍による艦砲射撃、多くの犠牲が出たひめゆり部隊、家族を失い墓の入り口で救出を待つ幼児の姿などの写真も映し、改めて戦争の悲惨さを伝えた。
 続いて、地元の女性たちが絵本「ちいちゃんのかげおくり」を群読。空襲で焼け出された女児・ちいちゃんが空腹に耐え生きながらえようとする当時の多くの戦争孤児の姿を描いた物語に来場者は聞き入ったほか、憲法九条をめぐる国内の情勢を参考に戦争について意見交換も行った。(紀州新聞6月27日付)

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憲法施行70年「九条の会」講演会
「日本国憲法施行70年『九条の会』講演会」が6月2日に開催され、呼びかけ人・世話人の10人のリレートークが行なわれました。その要旨を順に「九条の会ニュース」275号からご紹介しています。今回は7、8人目。

まずは改憲発議を許さない世論を
世話人・弁護士 伊藤真さん




 私たち法律家にとって、日本国憲法とその前と最も違うのは、裁判所に違憲審査権を与えたことです。法律家はこれを使って、裁判所の力を借りて私たちの責任を果たす。その裁判を出来ないようにしてしまう一番手っ取り早い方法は、憲法を変えてしまうこととして、5月3日の安倍首相のメッセージがあったと私は思っています。
 しかし、専守防衛の自衛隊を明確にしておく、災害救助で活躍する自衛官の思いも含めて、9条に明確に規定した方が良いのではないかと考える方もおられるかもしれません。しかし、戦争法が通った後の自衛隊を憲法に書くことは、海外に出ていって、人を殺し、殺される自衛隊を、憲法に明確に位置付けてしまうことを意味します。九条の会は、自衛隊についての考えも様々だと思いますが、海外で戦争する自衛隊だけは勘弁してくれとの一点では、皆さん一致できるのではないでしょうか。
 2020年には施行と言っていますから、これから憲法改正の動きが活発になるかもしれません。まずは発議をさせないことが重要です。人を殺し殺される、そんな自衛隊を憲法の中に入れてしまうこと、本当にいいんですか、ということを、多くの皆さんたちに伝え、仲間を増やしていただきたい。

安倍首相の支持率が低下しないのは
世話人・経済評論家 内橋克人さん




 私が日頃接している方から、安倍首相の支持率はどうして下がらないのかと聞かれます。私たちは正しい主張をしているつもりですが、どうして人々に届かないのか、みなさんに問いかけたい問題点です。
 私は来月、85歳になります。空から焼夷弾が降ってくる。担架に乗せられた負傷者の腹から腸が出ている。それから、大空襲の下を逃げまどいました。戦争の全てを体験してきました。なぜ、支持率が下がらないのか。戦争を知らない軍国少年が増えてきたんです。そういう人々が、今、9条を骨抜きにし、憲法を潰そうとしている。
 あるとき私は、尊敬する先生に、どうして人間は愚かなことを繰り返すのかと尋ねました。その先生は、それは人間が死ぬからだと。空襲などの体験の当事者が死んでいく。だから、愚かな人々が再び同じことを繰り返すと言われました。
 日本人の本性があると思います。1つは頂点同調。てっぺんに同調する。哲学者の久野収さんが、そういう本性が日本人にあると指摘なさった。2つ目は熱狂的等質化現象。同じ質になろう。異端者を排除しようとする欲求です。この2つから脱却しなければならない。

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安倍内閣支持率、7社全て下落

 メディア各社の世論調査で安倍内閣支持率が急落。毎日新聞、ANN(テレビ朝日)、NNN(日本テレビ)では不支持が支持を上回り、7社平均で8・6ポイントの下落となりました。一番大きな下落は読売新聞の12ポイント減。その読売新聞でも、政府・与党が「共謀罪」法について「国民に十分に説明した」は12%、「そうは思わない」が80%で、圧倒的多数となりました。



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(2017年07月03日入力)
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