「九条の会・わかやま」 329号を発行(2017年8月12日付)

 329号が8月12日付で発行されました。1面は、「戦争展わかやま2017」開催、「9条3項という戦略 - 安倍提案批判」(植松健一氏 ①)、九条噺、2面は、第38回「ランチタイムデモ」実施、紀州おどり「ぶんだら節」「九条連」12年連続出場!、  九条の会新作ポスター 「安倍9条改憲は戦争への道」完成   です。

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「戦争展わかやま2017」開催



 「平和のための戦争展わかやま2017」が7月29日~30日、プラザホープ(和歌山市)で開催されました。



 29日午前中は、4Fホールで、生協コーラスみらいの歌声でオープニングし、講演した沖縄平和市民連絡会の村上有慶氏は、「私たちの今の気持ちは、チムグリサ(=肝苦さ=心が痛む)と述べ、退職した高齢者が中心となり、炎天下に座り込んだり、資材を運ぶトラックの前に立ったり、少しでも工事を遅らせることを考えている。地元の人は非暴力を徹底している」と訴えました。午後は、「ピースライブ&トーク」が行なわれ、各グループの歌とトークを楽しみました。



 2Fのギャラリーでは、和歌山大空襲、戦前の監視社会、戦争に抵抗した人々、誇るべき私たちの日本国憲法などの展示とともに、写真家・山城博明氏の「抗う島沖縄」のパネル展が実施されました。



 30日午前中は、2F多目的室で「群読」や「戦争体験の語り」が行なわれました。戦争体験では、「シベリア抑留体験」とともに、「九条の会・わかやま」の呼びかけ人・江川治邦さんが、小学生の時の45年7月9日「和歌山大空襲」の恐怖の体験を語りました。和歌山市の南端の地に避難していても、何人もの人が亡くなり、市内中心部では和歌山城が最初に炎上し、その後、20平方メートル当り6発にも相当する約800トンの焼夷弾が降り注ぎ、2万戸以上の家屋が焼失し、1千人以上の人が亡くなった実態を紹介。「私たちは何としても憲法9条を守り抜かねばならない」と訴えました。



(戦争体験を語る江川さん)

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「9条3項という戦略 - 安倍提案批判①」

 『青年法律家』(7月25日発行)から、立命館大学法学部教授(憲法学)・植松健一氏の「『9条3項』という戦略-安倍提案批判」から抜粋して、2回に分けて転載させていただきます。今回は1回目。

植松健一氏 ①



 今回の安倍首相の提案(以下、安倍提案)は、9条1項・2項は変えずに、3項で自衛隊を規定するというものだ。まず、提案が自衛隊合憲化をターゲットに据えたことの意味を考えてみよう。  「9条の下でも自衛隊は合憲で、集団的自衛権の限定行使も可能」とする現政権の立場からすれば、フルスペックの国防軍の創設ではなければ、改憲の必要性はないようにみえる。3項追加で自衛隊を合憲にしても、それだけで集団的自衛権行使が合憲になるわけではないから、後者の合憲性をめぐる対立は解消されない(対立解消には、安保関連法の存立危機事態の要件のようなものを憲法に書き込むことが必要だが、国民投票での否決のリスクを考えれば、困難であろう)。9条の規範構造を真面目に考えれば、2項を残す以上、3項がいう「自衛隊」とは権限上も装備上も「戦力」に該当しない組織でなければならず、世界有数の軍事力である現在の「自衛隊」が3項によってただちに合憲化される保障もないはずだ。
 では結局、安倍提案によって何を獲得したいのか。もちろん、改憲派政治家としての首相の野心や政権の求心力の維持のためといった個人的動機もあるだろう。だが、改憲戦略としてみた場合、この自衛隊条項こそが、改憲要件緩和や緊急事態条項などの紆余曲折の上、ついに発見した「究極のお試し改憲」だという点が重要だ。つまり、安倍提案のとおりに改憲を一度「体感」した国民は、第2弾(例えば軍事裁判所設置など関連規定の追加)、第3弾(9条2項削除と国防軍規定)を抵抗なく受け入れるという筋書きがそこにある。自民党内には従来の議論がスキップされたことに批判の声もあったが、徐々に安倍提案でまとまりつつある。安倍提案があくまで「お試し改憲」であることを、みな弁えているからである。安倍提案は、「加憲論」の公明党の賛成を得やすい一方、安保関連法制定の際に向けられた「解釈改憲ではなく正々堂々と改憲を問え」「憲法は専守防衛しか認めていない」といった批判への応答にもなっており、安保関連法反対層に分断のくさびを打つことができる。なるほど周到である。
 他方、3項追加だけなら現状維持にすぎないのかといえば、そうともいえない面もある。まず、自衛のための実力の保持を3項が認めることで、一切の戦力を禁止したはずの2項の意味は決定的に変容し、1項の「目的を達成するため」の戦力の禁止という(かの芦田修正解釈に近い)意味しか持てなくなる。これでは侵略戦争のみを禁じたパリ不戦条約の水準に逆戻りで、もはや「平和憲法」と称するに値しない。(つづく)

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【九条噺】

 東京都議選での自民党の惨敗要因は、「THIS」だ、秋葉原街頭演説だとか言われるが、真の敗因は、安倍政権の国民を無視した公私混同の政権運営への怒りだろう▼早稲田大学教授・水島朝穂氏は、氏のHPで、「自民党への怒りの『即席の受け皿』となった『都民ファーストの会』は55議席で第一党になったものの、そのうちの39人は新人で、当選以外の共通目的がない人々だというのを忘れてはいけない。『小池チルドレン』というよりも『小池ベビー』に近い。早晩、不祥事や失言などで何人かが消えていくだろう」と指摘されている▼8月6日の毎日新聞によれば、東京都議選で当選した127人の都議に「安倍政権を評価するか」「憲法改正に賛成か」と尋ねたところ、都民ファースト議員50人は無回答で、理由は、ほとんどが本部が指示した模範回答と全く同じだったという。彼らは自ら考え、答えることも出来ない「ベビー」なのだ▼水島氏は、「小池氏は常に時の最高権力者に寄り添い、乗り換え、人を手段として使い、切り捨て、のし上がってきた。安倍政権の傲慢政治への怒りの『即席の受け皿』となったことは確かだが、小池という人物とその今後の歩みには『猛毒』が含まれている。とりわけ、憲法との関係では、安倍首相の改憲路線の『遊撃隊』として位置づけられるだろう」と指摘。古賀茂明氏によれば、「『都民ファースト』は期間限定の『海の家』。その目的は『改憲ファースト』」と指摘されている。(南)

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第38回「ランチタイムデモ」実施



 8月10日(木)、高温注意情報も出た炎天下の猛暑の中、第38回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」が行われ、50人が参加しました。参加者は「安倍改憲を許さない」というシュプレヒコールをしながら、和歌山市役所前から京橋プロムナードまでを行進しました。  次回は9月14日(木)、次々回は10月11日(水)です。

 

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紀州おどり「ぶんだら節」
「九条連」12年連続出場!


 第49回「紀州おどり」が8月5日に開催され、今年も「九条連」が参加しました。横断幕や平和幟とともに青い法被の参加者たちが踊りながら、けやき大通りを進みました。放送席から「おなじみの九条連は50名の参加です」「『憲法9条を守る和歌山弁護士の会』と『 9条ネットわかやま』は、憲法9条を大切にして平和を守ろうと活動しています」「憲法9条のありがたさを思いながら元気いっぱい踊ります」と紹介されました。



 

 

 

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  九条の会新作ポスター
「安倍9条改憲は戦争への道」完成




8月中旬から申込受付開始(メールかFAXで)
1枚100円(〒別) 10枚以上割引きあり

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(2017年08月12日入力)
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