「九条の会・わかやま」 331号を発行(2017年9月12日付)

 331号が9月12日付で発行されました。1面は、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会」結成、安倍9条改憲を阻むために全国の九条の会はたちあがりましょう 2017年9月6日 九条の会事務局、九条噺、2面は、「9条の会共同講演会」開催、「市民アクション」中野で始動、9条3項追加は 自衛隊を海外で自由に武力行使させるためのもの(川村俊夫氏・憲法会議代表幹事)   です。

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[本文から]

「安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会」結成



 安倍政権による憲法9条改憲に反対する市民らが、新団体「安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会」を結成した。呼び掛け人らが4日に東京都内で記者会見し、「来年5月までに3千万筆の請願署名を目指す。改憲への動きを終わらせたい」と語った。
 5月に安倍晋三首相が憲法に自衛隊を明記して2020年施行を目指すと表明したのをきっかけに、臨済宗相国寺派管長の有馬頼底さんや作家の澤地久枝さん、作家・作詩家のなかにし礼さん、神戸女学院大名誉教授の内田樹さんらが呼び掛け人となり、市民団体や法律家団体などが賛同した。
 会見で、呼び掛け人の一人の評論家、佐高信さんは「再び戦争をしたい人たちを阻止していきたい」と訴えた。賛同団体の戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会メンバーの菱山南帆子さんは「北朝鮮のミサイルに対抗するものは平和外交しかない。不安をあおるのではなく、対話で平和を。憲法はそのための武器だ」と訴えた。
 実行委には、これまで他団体と共同行動をしてこなかった九条の会も参加。同会の事務局を務める渡辺治・一橋大名誉教授は「従来は地方の九条の会との調整や連絡を重視していたが、会の存立に関わる重大な転換点なので」と強調した。実行委は8日に東京・中野でキック・オフ集会を開き、活動を本格化させる。(東京新聞9月5日付)
《発起人19氏(敬称略)》
有馬頼底(臨済宗相国寺派管長)、内田樹(神戸女学院大学名誉教授)、梅原猛(哲学者)、落合恵子(作家)、鎌田慧(ルポライター)、鎌田實(諏訪中央病院名誉院長)、香山リカ(精神科医)、佐高信(ジャーナリスト)、澤地久枝(作家)、杉原泰雄(一橋大学名誉教授)、瀬戸内寂聴(作家)、田中優子(法政大学教授)、田原総一朗(ジャーナリスト)、暉峻淑子(埼玉大学名誉教授)、なかにし礼(作家・作詞家)、浜矩子(同志社大学教授)、樋口陽一(東北大学・東京大学名誉教授)、益川敏英(京都大学名誉教授)、森村誠一(作家)

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安倍9条改憲を阻むために全国の九条の会はたちあがりましょう
2017年9月6日 九条の会事務局


 安倍首相は、日本国憲法施行70周年の5月3日、あえて挑戦するように新たな改憲の提言を行いました。今回の安倍改憲は、9条1項、2項を残しながら、新たに自衛隊保持を憲法に明記することで、9条を根本的に変質させ日本を「戦争する国」に転換しようという重大なねらいをもっています。森友、加計学園にみられる行政の私物化、自衛隊日報隠し、共謀罪法案の強行採決などとどまることを知らない悪政に対する怒りが噴出し、都議会議員選挙で安倍自民党は大敗し、その後も安倍政権は支持率の低下が続いていますが、首相は改憲を強行する決意を変えていません。憲法と日本の進路は今、戦後最大の岐路を迎えています。
 安倍改憲を広範な共同で阻もうと、総がかり行動実行委員会をさらに広げ、19名の発起人の訴えに基づき「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が発足し、3000万署名を軸に安倍改憲を阻む行動が呼びかけられています。
 九条の会は、結成以来憲法を改変するさまざまな企てに反対する行動の先頭に立ってがんばってきましたが、共同の行動のよびかけに名前を連ねることは控えてきました。9人のよびかけで発足した九条の会の役割は、あくまで全国7000余にのぼる九条の会の交流や連絡調整に当たることにあり、その多様な活動を縛ることは避けたいという思いからでした。
 しかし、安倍改憲の企てを阻むことは、2004年に九条の会が出発したそもそもの目的にほかなりません。そこで、会事務局は、よびかけ人と世話人の了解もいただいて、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」に組織として参加し、他団体と協力して活動する決断をしました。安倍改憲を阻むため、全国市民アクションの一員として全力をあげる決意です。
 この重大な局面に立って、安倍改憲を阻む大きな共同の闘いを起こすため、全国の九条の会のみなさんに、以下の3つの行動に立ち上がることを訴えます。
 1 すべての会が、学習会を持ち、市民とともに、安倍9条改憲の危険性を改めて確認しましょう。
 2 全国市民アクションが掲げる3000万署名を達成するために、会毎に目標をたて、戦争法廃止2000万署名の経験を生かしながら、全国津々浦々の草の根で宣伝と対話を広げ署名の輪を広げましょう。
 3 それぞれの地域で他団体と協力し合って市民アクションを立ちあげ、安倍改憲阻止のための市民アクションの取り組みに積極的に参加し、共同の輪を広げましょう。

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【九条噺】  13年10月、(佐)氏は九条噺に関東大震災について次のように書いている▼「俳優座・千田是也の芸名に直接係る恐ろしい事件を知った時はさすがに驚いた。関東大震災の最中、亀戸で『朝鮮人が井戸に毒を入れた』とのデマがささやかれてただちに『自警団』が結成された。軍部等の調査で捏造だと判明したにも拘らず、内務省が全国知事に『鮮人の行動に対して厳密なる取締りを』などと打電したのである。警察と自警団らが在日と思われる人たちを訪問、発音がおかしいと『鮮だ、こりゃ』と言って殺害してまわったのである。その時、千田是也も間一髪『鮮だ、こりゃ』から逃れられたのだ。しかし殺害された朝鮮人は6千人とも言われている。千田是也は、怒りを込めて芸名を『鮮だ、こりゃ(千田是也)』とした」と▼千田是也の名は「千駄ヶ谷のコリア」との説もあるようだが、それはともかくとして、地震で亡くなった10万人余と、日本人に虐殺された6千人を犠牲者として同列に論ずる欺瞞は許す訳にはいかない▼今年9月1日の朝鮮人虐殺犠牲者を追悼する式典に、小池百合子都知事は、「犠牲となった全ての方々への追悼を行っていきたい」と、朝鮮人虐殺者への追悼文を送らなかった。これは、集団による他民族虐殺犠牲者を、意識的に自然災害死のなかに埋没させる悪質なレトリックだ。小池都知事は、歴史修正主義者、排外主義者として、日本国民はもとより、近隣諸国や世界からも厳しい批判を受けざるを得ないだろう。(南)

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「9条の会共同講演会」開催

和歌山市とその周辺の「9条の会」が講演会を共催で開催いたします。域内のみなさまはもちろんのこと、域外のみなさまも是非ご参加ください。
日時:2017年11月4日(土)午後2時30分~
場所:和歌山県JAビル11階会議室(JR和歌山駅前)
講師:愛敬 浩二 先生(名古屋大学大学院法学研究科教授、憲法学、「九条の会」世話人)
演題:「自衛隊を憲法に明記させてはならない ~安倍改憲を許すな~」



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「市民アクション」中野で始動

 安倍政権による憲法9条改憲を阻止しようと、さまざまな市民団体が集結した「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」のキックオフ集会が8日、東京都中野区の「なかのZERO」で開かれ、約1500人が参加、立ち見や会場外のロビーで訴えを聞く人もいた。
 発起人の一人で経済学者の浜矩子同志社大教授は「安倍政権は、広範な連帯が起きるのを恐れている。一緒に声を上げよう」と呼び掛けた。市民アクションは、5月に安倍晋三首相が自衛隊を憲法に明記し2020年の施行を目指すと表明したのに対して、臨済宗相国寺派管長の有馬頼底さんや作家の澤地久枝さんらが呼び掛け、結成。来年5月3日までに3千万人分の署名を集め、改憲案を国会提出させないことを目指す。11月3日には国会周辺で大規模集会も予定している。(東京新聞9月9日)
署名用紙 http://www.9-jo.jp/index/170906abe9joukaiken-NOsyomei.pdf



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9条3項追加は、自衛隊を海外で自由に武力行使させるためのもの
「憲法講座」でのあいさつから抜粋して要約させていただきました。

川村俊夫氏(憲法会議代表幹事)

 これまでの自民党の改憲案、特に第9条については、大体似たようなものでした。現在の9条1項「…武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という規定はほぼそのまま残し、2項「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」は削除し、代わって、「自衛軍」や「国防軍」を設置するという規定を置いています。
 これに対して、今回の安倍首相の9条改憲案は、現在の1項はもとより、2項もそのまま残し、新たに何らかの形で自衛隊に関する明文規定を加えるというものです。安倍首相は、自衛隊の「合憲化」をはかるためと言っています。果たしてそうでしょうか。
 安倍首相が今回こういう新しい案を言いだしたのには台本があります。改憲右翼団体の日本会議でシンクタンクの役割を果たしている日本政策研究センター・伊藤哲夫代表の「2項を削ることには国民の抵抗が大きい。だから2項はそのまま残して、3項に自衛隊に関する規定を設ける」というものです。安倍首相はこれをもって、「9条の平和理念については未来に向けしっかり堅持する」「今までの政府解釈を1ミリも変えない」とぬけぬけと言っております。
 日本政策研究センターは説明のなかで、「3項を加えて2項を空文化させるべきである」と述べているのです。つまり2項を残したままで3項を加えれば、2項は意味をなさなくなるというのです。これは、法律の世界の話ですが、最初にできた法律と後にできた法律が矛盾する場合、後にできた法律を優先するというルールがあります。従って、自衛隊の規定を3項に設ければ実質的に2項は意味を持たない、そういう趣旨です。
 それは何よりも、今まで自衛隊を設置し、戦争法を国民の反対を押し切って強行しましたが、自衛隊が海外に出ていって行動するには、やはり「自衛隊は軍隊ではない」「海外では武力を行使しない」というこれまでの縛りが効いており、戦闘地域では任務を行なえません。9条への自衛隊の書き込みは、これらの制約をすべて取り払おうというものです。
 ただこの方式は「加憲」と言われます。しかも日本政策研究センターの文書は、「加憲」は3分の2の重要な一角たる公明党の主張に単に適合させるだけではないと言っています。ですからこれを取り入れることによって公明党をしっかりと改憲の陣営に取り込もうということです。
 また、「護憲派にこちら側から揺さぶりをかけ、彼らに昨年(15年)のような大々的な『統一戦線』を容易には形成させないための積極的戦略でもある」と述べています。つまり、自衛隊が合憲か違憲かということだけで争えば、専守防衛、あるいは災害救助のためなら自衛隊はあってもいい、ということが国民多数派になる。そういう「現実」に合わせた形で、国民は「戦後レジームからの脱却」というような誘いにはのってこないことを認めたうえで、彼らが仕掛けてきた新たな攻撃の罠であると私たちは考えています。
 「加憲」戦略は決して自衛隊の合憲化をはかることが目的なのではなく、9条2項を棚上げして、自衛隊の海外での武力行使の自由化をはかるためのものであるということを、いち早く宣伝し、安倍9条改憲反対の包囲網をつくっていく必要があると考えています。

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(2017年09月12日入力)
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