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第40回「ランチタイムデモ」実施
総選挙公示日翌日の10月11日、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」が呼びかけた第40回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」が行なわれ、80人が参加しました。
市役所前での出発で藤井幹雄弁護士は、「9条破壊は許さない。戦争法は廃止しかない。国民を裏切る議員はいらない。憲法を無視する議員はいらない」と総選挙での審判を訴えました。
参加者らは「戦争する国絶対反対」「みんなの力で内閣変えよう」などと訴え、京橋プロムナードまで行進しました。
次回は、11月15日(水)です。
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九条の会「全国交流討論集会」開催
3000万署名運動成功めざす
九条の会主催の「全国交流討論集会」が10月8日開かれ、全国20都府県、23分野の会から158名が参加しました。
開会あいさつをした小森陽一事務局長は、今回の総選挙では9条の原点が問われているとし、全国の九条の会はどのような役割を果たしていくか、3000万署名をどう展開していくか、交流したいと述べました。
つづいて、世話人の山内敏弘一橋大学名誉教授が特別報告をおこない、「安倍首相は自公与党だけでなく、希望の党、日本維新の会を含めた形で9条改憲をもくろんでいる」としたうえで、「3項加憲」をとなえる安倍9条改憲は、徴兵制・軍事的強制の合憲化、基地建設のための強制的土地収用、軍事機密の横行、軍産学複合体の形成、「死の証人」誕生などにつながるものであることを強調しました。
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憲法に自衛隊が入ると、軍事の体制作りに進む
9月20日、和歌山弁護士会主催の憲法学習会が開催され、学習院大学教授(憲法学)・青井美帆さんが「安倍首相の新たな改憲提言について」と題して講演されました。その要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は2回目。
青井 美帆 氏 ②
今は、一旦改憲に動き始めたら、後で振り返ると全く意味の違うものになってしまうという途上にある。何か一つが起ったから法律が変わるというのではなく、次々と法律が作られ、複数回を経て最終的にはがらっと変わるという性格のものだということに注意を喚起したい。「戦争を許さない」ということを否定することに繋がり、それでよいのかを正面から問われることなく、変わっていく。今、なされようとしているのは「変わりません」の繰り返しの結果として、変わっているのだ。麻生氏の「ナチスに学んだらどうか」の発言を思い出す。当初はナチ党に対する支持は低かったのに、短期間に立法権限すら与えてしまった。ワイマール憲法は知らない間に性格が一変してしまっていた。同じような手口を今我々が見ているのだろう。こういう手法での憲法改正は絶対にしてはいけない。憲法は長いスパンで国の在り方を定めている。改正要件も厳しいものだ。次の世代、次の次の世代にも関わることだから、真面目に考えることが必要とされるのが憲法であり、我々の先人も真剣に議論し、そのように扱ってきた。にも拘らず、「変わりません」を繰り返し、国会答弁で何も答えず、いつの間にか憲法の規範が180度変わっているのは恥ずかしいことだ。どのような立場に立とうとも、そのような形で変えるのは、愛国的であればある程、恥ずかしくて出来ないことではないのか。
なぜ大規模な憲法改正に必然として繋がっていくのか。それは9条の下で積み上げてきた「辻褄合わせ」が破綻するからだ。9条は、統治の仕組みの中から、軍に関わる規定を消去している。軍に関わる規定がない状態で、警察予備隊、保安隊、自衛隊と、防衛の組織を作ろうとすると、どう説明するのか、防衛の組織はどのように位置付けたらよいのかという問題が起る。自衛隊をどう位置付けるかは意外と大変だった。政府は普通の行政作用(国や地方公共団体の活動)だと説明した。伝統的な軍ではないが、日本独特のものとして展開する余地を持っている説明方法だったかもしれない。行政権については、憲法65条で「行政権は、内閣に属する」と定め、憲法73条で内閣の仕事を定めているが、9条があるために軍に関わる権限はない。そこで、「他の一般行政事務」に防衛行政を入れている。これは行政各部(普通の国家機関【○○省】)と同じということだ。自衛官は公務員としても基本線は普通の公務員と同じだ。普通の軍隊なら敵前逃亡は死刑をもって臨んでいる国が多いが、日本の自衛隊法では懲役7年だ。自衛隊が特殊な組織だということを根拠づける憲法の規定がないからだ。表立って言えないのが日本の防衛法制の極めて特殊な点だ。
9条の2の2項には指揮監督権について「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有し」としている。今の自衛隊法7条と同じだ。憲法72条は内閣総理大臣の職務を定めているが、「内閣総理大臣が行政各部を指揮監督する」という規定があり、これの確認に過ぎず、自衛隊法7条で新しい統帥権を作っている訳ではないと説明してきた。これまで9条の下で軍に関わる権限がなかったからこそ、普通の行政権として説明せざるを得ず、特殊性は表立っては強調出来なかった。全くして来なかったかといえばそうではなく、余り国民から見えない形で特殊性は次第に大きくなっている。特定秘密保護法はそういう意味で大きなパンチ力を持った。9条があるから特別扱いは出来ないという考え方は急速に減っていると思う。加憲提案は自衛隊とか最高指揮監督権というものに憲法的根拠を与えるべくなされているというところにポイントがある。
自衛隊を書き込むということはどういうことか。9条の2で、「我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織としての自衛隊」とか、「自衛隊の指揮監督権」という言葉を憲法に用いると、他の行政作用とは別の特別なものがあるということになる。一般行政作用に還元できない国家作用の特殊性を正面から認めることに他ならない。憲法上の正当性を持った機関として位置付けることに限りなく近くなる。自衛隊という言葉が特殊性を表すものとして入ってしまうと、どんな特殊性があるのかという問題に移っていくはずで、自衛隊を書き込むだけでは終らない。これは「必要最小限度の実力組織」というような切り方では任務、権限、作用(活動)を憲法の観点から確定するには充分ではない。大日本帝国憲法にあったような権限がどうなるのか、軍法会議がなくて、そのような実力組織を持つことが出来るのか、市民法(個人の利害・自由に基礎を置く法)の世界を否定しないと軍事組織は維持できない。否定するためには市民法の観点から決定するような言葉を拒否し、軍事に関しては自分たちで決めなくては完結しないということになる。軍刑法、軍法会議が必要だと言った時に、憲法改正をしないと軍法会議を持つことはできない。憲法76条で特別裁判所は設置できない。「自衛隊」とか「必要最小限度の実力組織」という言葉を入れたところで完結しない。(つづく)
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【九条噺】
毎日新聞は直近の世論調査で、10~30代の比較的若い世代で政治意識が保守化し、内閣支持率は40代以上の3割台に対して20代以下と30代は4割台だと指摘している▼ジャーナリスト・津田大介氏は、「スマホ、ツイッターの利用者が急増する中で、SNSの予測以上にネガティブな側面が目立つようになった。人を排除してはばからない極端な人だけがネット社会で大きい顔をしている。意見の多様性が抑圧され、信じたい嘘が事実に勝る『ポスト真実』の時代を迎えている」「ツイッターは局地的なことを速報で拡散するには向いている。信憑性はともかく、強く短い言葉で『こうだ』と言い切る単純明快な情報がウケている」と言う▼氏は、「安倍さんを支持している、特に若い人たちに言いたいのは、多様な情報源を確保してほしいということです。ネットは便利だけど、本を読むことを大事にしてほしい。そして現地へ行くこと。ネットにも本にも書かれていない事実が現地にはあります」と▼勿論、SNSに罪はなく、便利なツールであることは論をまたない。要は、上手に使いこなすのも、踊らされるのも私たち人間だ。氏は、私たちひとりひとりが意識して、フィルターバブル(インターネットの検索エンジンにより、利用者が望む情報ばかりが選択的に提示され、望まない情報から遠ざけられ、思想的に社会から孤立する現象)の壁を打ち破っていかない限り、安倍さんのような政治は何度も登場しますよ」と警告する。(南)
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(事前告知)「9条の会共同講演会」
和歌山市とその周辺の「9条の会」など25団体が共催で講演会を開催いたします。多くのみなさまのご参加をお待ちしています
日時:2017年11月4日(土)午後2時30分~
会場:和歌山県JAビル11階会議室(JR和歌山駅前)
演題:「自衛隊を憲法に明記させてはならない ~安倍改憲を許すな~」
講師:愛敬 浩二 先生(名古屋大学大学院法学研究科教授、憲法学、「九条の会」世話人)
入場無料
共催25団体(50音順)
●岩出市九条の会●きび9条の会●9条ネットわかやま●九条の会・うちた●九条の会・きし●九条の会・わかやま●9条を守れ「戦争法」廃止海南海草共同センター●「九条を守ろう」那賀郡の会●キリスト者9条ネット和歌山●憲法9条を守る有田共同センター●憲法九条を守るわかやま県民の会●雑賀9条の会●四ヶ郷9条の会●名草9条の会●広川憲法9条の会●守ろう9条 有功・直川の会●守ろう9条 紀の川 市民の会●よみきかせ9条の会和歌山●和歌山うたごえ九条の会●和歌山県自治体関係者九条の会●和歌山市ひがし9条の会●和歌山司法9条の会●和歌山市役所・水道局退職者9条の会●和歌山障害者・患者九条の会●和歌山中央医療生協・九条の会
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