「九条の会・わかやま」 343号を発行(2018年03月05日付)

 343号が3月5日付で発行されました。1面は、「八法亭みややっこの憲法噺」開催、「和歌山障害者・患者九条の会」憲法学習会開催、九条噺、2面は、「和歌山市ひがし9条の会」が第4回平和コンサート開催、権力と憲法を学ぶ『檻の中のライオン』著者 橋本で、「古座川9条の会」結成  です。
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「八法亭みややっこの憲法噺」開催



 2月24日、和歌山市勤労者総合センターで「憲法9条を守る和歌山市共同センター」の憲法学習会が開かれ、約200人の参加者で会場は満席となりました。講師の飯田美弥子弁護士は落語調の「八法亭みややっこの憲法噺」で、参加者を笑わせながら、分かりやすく、楽しく面白く、憲法とは何かを深く学ぶことのできた学習会でした。
 憲法噺は、まず「憲法とは何か」から話され、「『憲法』とは、国の形・あり様を決める法形態」であり、日本では最初の憲法といわれる聖徳太子が制定した「十七条の憲法」がある。そこには、「一に曰く、和を以って貴しとなし、逆らうことなきを旨とせよ」「三に曰く、詔を承わりては、必ず謹め」と、今どきの人は「詔(みことのり)って、どこの海苔?」などと言われると笑わせながら、要は天皇に逆らうなということだ。自民党改憲草案には「和を以って貴しとなす」がさらっと入っている。「国民は国に逆らうな」ということだと説明。
 「大日本帝国憲法」は、「大日本帝国は、万世一系の天皇これを統治す」と天皇主権を志向。立憲主義では、国は人権保障のために存在し、憲法で国家権力を分立させ、権力を縛るが、「大日本帝国憲法」の権力分立は見せかけであり、立憲主義ではない。「大日本帝国憲法」のもとでの、女性は無能力者とする男性中心社会、教育勅語や奉安殿などの教育統制、靖国信仰の強制、治安維持法による言論統制、「普通選挙」という名の「制限選挙」などを、具体的な事例を挙げて紹介されました。
 そして、「日本国憲法」で、やっと国民主権・三権分立が実現した。「日本国憲法」の理念は、「個人の尊厳原理」であり、第13条は「すべて国民は、個人として尊重される」「…幸福追求に対する国民の権利については、…国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定める。人権とは人が人であるだけで尊重されるものだ。人権保障は「自由」であり、国民主権は「民主」である。自由と民主は立憲主義そのものであり、そこにアジア太平洋戦争の反省に立って、平和主義を採用したのが先駆的だと解説されました。
 自民党改憲草案は、「日本国民は、国と郷土を誇りと気概をもって自ら守り、…」「日本国民は、よき伝統と我々の国家を末長く子孫に継承するために、この憲法を制定する」「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と、「国のために国民がある」と立憲主義を否定している。そして、「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」と、「公益及び公の秩序」によって人権を制約している。また、「天皇は、日本国の元首であり」としたり、「緊急事態」を創設したりと、民主政へ国が介入し、第2章を「戦争の放棄」から「安全保障」に改称し、「集団的自衛権」を導入し、平和主義を放棄していると批判しました。最後に「私が国の主人公だという自覚を持とう」と強調されました。
 口演後、同会場で「安倍9条改憲NO!『3000万署名』和歌山市民アクション」が交流集会を開き、9条の会・民主団体代表、和歌山大学生など12人が、「シンポジウムの計画」「画壇重鎮への呼びかけ人のお願い」「僧侶として他のお寺への訪問活動」「平和コンサートの開催」などの活動や憲法を守る思いなどを話されました。

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「和歌山障害者・患者九条の会」憲法学習会開催

 「和歌山障害者・患者九条の会」は、2月18日、和歌山市あいあいセンターで、由良登信弁護士を講師にお迎えして「改憲をめぐる情勢と今後の闘い」をテーマに学習会を開催、22名が集いました。
 昨年5月3日、安倍首相がビデオメッセージで述べた「9条に自衛隊の存在を明記すること」について、由良先生がその危険性をとても分かりやすく話して下さいました。
 条文案は、①9条3項「自衛隊は、前項(9条2項)の戦力には当たらない」、②9条3項「前項の規定は、自衛(または日本国の防衛)のための必要最小限度の実力組織を保持することを妨げるものではない」。いずれにしても、憲法に位置づけられた国家機関としての軍事組織が誕生することになる。しかし憲法上に「自衛隊」の定義がないため、この「自衛隊」は現在の自衛隊とは全く違った概念となり、集団的自衛権行使が制限なしに可能になる。そして最も恐ろしいのは、この軍事組織をコントロールする規定がない。軍隊は一度暴走すると止められない。安倍さんはそのことに気がついていないのではないか。
 また3000万署名に取り組むことについて、①署名してくれた人の意識が変わる(自分が選んだものはよかったんだという合理化機制の心理)、②署名に取り組む人の意識が変わる、③数の力(有権者の過半数)、の3つの効果があるそうです。
 学習会終了後、参加の皆さんが、JR和歌山駅前に移動して3000万署名の活動にも加わってくださいました。「戦争させない署名にご協力ください」などとマイクで訴えました。13人が参加して約1時間で31筆を集めることができました。継続すること、わあわあ騒ぐことが大切ではと感じた時間でした。(事務局の野尻誠さんより)



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【九条噺】

 夜、テレビを見ていて耳を疑った。トランプ大統領の「核態勢の見直し」を、河野外相は、「評価する」と言ったのだ。翌朝の新聞で確認したほどの驚きだ。「日本の外相なの?」という思い▼「核態勢の見直し」とは、核使用の条件を緩め、使いやすい核の開発を進めるということだろう。冷戦時のことと思っていた核軍拡競争の再燃になるのではないか▼使いやすくなった核を積んだ戦闘機が日本の上空を飛び交い、核を積んだ潜水艦が日本の港から日本海に出航する。考えただけでも恐ろしい▼しかし、非現実的なことと言えない恐れがある。米軍ヘリコプターから部品が子どもたちの上に落ちてきても、アメリカに何も言えないようなアメリカ言いなりの安倍首相や日本政府なのだから▼トランプ大統領に対し被爆者の方々や反核・平和団体から一斉に抗議の声が上がった。長崎被爆者協議会の会長は、「核兵器廃絶の世界の流れに逆行する蛮行だ」と強く抗議し「悪魔に魂を売り渡したということだ」と言った▼サーロー節子さんは、ノーベル平和賞授賞式の演説で、自身と多くの人々の被爆体験を語り、「核の傘」なるものの下で共犯者となっている国々の政府の人たちは、人類を危機に曝している暴力システムの不可欠の一部分だ。核兵器禁止条約に参加し、核による絶滅の脅威を永遠に除去してほしいと訴えた▼これらの言葉を胸に刻み、反核・平和の取り組みや、「アベ政治を許さない」の声を一層強くしていきたい。(真)

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「和歌山市ひがし9条の会」が第4回平和コンサート開催



 「和歌山市ひがし9条の会」は2月18日、東部コミュニティセンター(和歌山市)で、第4回平和コンサートを約60名の参加で開催しました。
 音楽をはじめあらゆる文化の活動は、平和な社会だからこそ自由に行えるし、その平和は憲法9条によって守られてきた。そのことをかみしめながら、好きな音楽を大いに楽しみましょう、ということで始めたコンサートです。
 にぎやかな南京玉すだれでオープン、掛け声や手拍子で客席もいっしょに楽しみました。  フォークソング、三線の演奏では、手作り楽器で拍子を取ったり、一緒に歌ったりして盛り上がりました。
 また、「うたごえオールスターズ」による自作の沖縄に心を寄せる曲が披露され、美しいハーモニーに聞き入りました。
 最後は「うたごえオールスターズ」のリードで、みんなで一緒にいろいろな歌を歌いました。演奏する人も客席も会場が一体となって終始盛り上がり、音楽で平和の尊さを心に刻む催しになりました。(会の日野のぞみさんより)

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権力と憲法を学ぶ『檻の中のライオン』著者、橋本で



 例え話と動物のイラストを使い、日本国憲法について分かりやすく解説した『檻(おり)の中のライオン』の著者で弁護士の楾大樹(はんどう・たいき)さん=広島弁護士会=による講座が17日、橋本市民会館(同市東家)で開かれた。憲法で保障された基本的人権を尊重し、国家権力にとって都合の良い改憲への動きに注意する必要があるなどの指摘に、家族連れら約70人が聴き入った。
 『檻の中のライオン』は、国家権力と憲法をそれぞれライオンと檻に例え、権力を法で縛る「立憲主義」の仕組みを紹介している。
 楾さんは、約2年前から著書を基に市民向け講座を全国で開催している。今回、橋本市内の子育てサークルなどでつくる実行委員会が企画し、県内で初めて開かれた。
 講座で楾さんは、小道具の人形などを使いながら、「ライオンに約束を守ってもらうために檻へ入れる」「檻を作ってライオンを見張るのは主権者である国民」などと語り、主な条文を説明。憲法改正などを巡る最近の政治状況についても話した。
 参加した、きのくに国際高等専修学校2年、渡辺幸樹さんは「政治家の言うことに耳を傾け、信頼できるかどうか判断したい」と話した。(毎日新聞和歌山版2月24日付)



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「古座川9条の会」結成

 2月25日、和歌山県東牟婁郡古座川町で「古座川9条の会」結成総会が開かれました。「古座川9条の会」を作ろうと言い出された餅すみ子さんが、経過報告をされ、「全国で9条の会が平和憲法を守る活動をしているのに、なぜ古座川に9条の会がないのか。何としても作りたいとの思いから、呼びかけ人を募り、15名の方が気持ちよく引き受けてくれました。今日を機会に『安倍9条改憲NO!』の声を、この古座川から大きく上げようではありませんか」と話されました。
 その後、DVD「9条改憲って何?」の視聴、結成総会の議事に進み、意見交換と取り組みの交流、当面の活動と申し合わせ事項の確認、役員の選出が行われ、代表委員に元古座川町議会議長の嶋原進氏と元玉川大学教授の安部直重氏が選出されました。
 「3000万署名」については、憲法記念日の5月3日までに全国で有権者の3割に当たる3000万人から署名を集めようとの呼びかけを古座川町に当てはめると、700人になり、「安倍9条改憲NO!」の署名を700筆集めようと話し合われました。

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(2018年03月05日入力)
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