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「守ろう9条 紀の川 市民の会」第14回総会開催
3月24日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」は、和歌山市・河北コミュニティセンターで第14回総会を開催しました。総会では、三重短期大学教授(憲法学)・三宅裕一郎さんが「憲法9条が果してきた役割~『自衛隊』の明記によって何が変わるのか~」と題して記念講演をされました。
(原代表)
開会に当り、代表の原通範さんは、「今日は安倍9条改憲の実態をしっかりと学びたい。私自身も、憲法に書き込まれる自衛隊は、災害救助や日本本土への攻撃から守るためだけでなく、アメリカを守るために戦闘することも可能な自衛隊であること、そして、後で憲法に書き加えた自衛隊は、戦力不保持・交戦権否認の2項に優先され、2項が空文化することを書いて友人に3000万人署名を訴えている。送ってくれない人も多いが、現在ぼつぼつと署名が返ってきている。森友問題での追及に期待を寄せつつ、今日の総会を機に私たち9条の会も本腰を上げた運動に拍車をかけたい」と挨拶しました。
(三宅裕一郎さん)
続いて、記念講演に移り、三宅裕一郎さんは、「何故今も明文改憲が指向されているのかは、2015年の戦争法でも変えることが出来なかったことがあるからだ。それは海外における全面的な軍事行動が否定されており、また、何より反対の声を封殺できなかったことだ。安倍政権はもはや唯一無二の手段として9条改憲に進まざるを得なくなっている。自衛隊加憲で何が可能になるのか、公明党の懐柔、国民のアレルギー緩和、自衛を根拠とする戦力保持の拡大などであり、そして、これは単に憲法に自衛隊を書き込むだけでなく、さらなる軍事的改憲への呼び水、新たな改憲への『終りの始まり』である。一般論的には『軍事』を憲法に書き込むと、軍事に対するコントロール機能を果すが、軍事に関して『ゼロ』の日本国憲法では『軍事の権力拡大規範』につながるだけだ。自衛隊の本質は、『自衛隊は国家を守るために敵を殲滅する存在』であり、『国民はその環境づくりの役割を担わされる存在』である」と説明され、さらに「9条改憲との両輪として『緊急事態条項』創設が狙われている。『緊急事態条項』は大規模自然災害に向けた備えではない。『災害対策基本法』など、その法制度は既に出来ている。にも拘らず有効な措置が取れないのは、事前の準備不足に原因がある。私たちは、自衛隊加憲が、『忘却の彼方にあった〝軍事〟を社会に浸透させる』『9条2項削除など次の改憲への足がかりになる』『戦争協力・動員を正当化する』という問題として捉える必要がある」と訴えられました。(講演要旨は次号から3回に分けて掲載予定)
(金原徹雄さん)
(萩田信吾さん)
続いて、総会議事に移り、金原徹雄さん(運営委員)から、「私たちを取りまく情勢」、萩田信吾さん(事務局長)から、2017年度の活動内容と決算、2018年の活動計画と予算が報告・提案され、承認されました。そして、原代表から2018年度の運営委員候補が提案され、承認されました。
(山﨑和友さん)
最後に、山﨑和友さん(運営委員)が閉会挨拶として、「今日のメンバーだけでなくもっと多くの人が活動するためにはどうしたらよいのかを考えなければならない。戦争法反対の運動では国会前は人で埋め尽くされた。何かをしなければならないという人はたくさんいる。私たちは子や孫が生きる日本をどうするかで、何かをしなければならない。革新的な人だけでなく、ある時は良心的な保守とも連携して世の中を変える必要がある。今の世の中がよいと思っている人は少ない。政治を改竄(かいざん)しようとしている政権をのさばらせるのは主権者・国民として恥だ。このような政権を一日も早く退陣させて、まともな日本にするために一緒にがんばりたいと思う」と訴えられました。
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「北朝鮮、自衛隊、憲法9条」の学習会開催
有田9条連絡会
3月17日、湯浅町で「有田9条連絡会」主催の「なるほど なっとく! 北朝鮮、自衛隊 そして憲法9条」と題した学習会が開かれました。講演内容は、3000万人署名を進める運動の中で求められたものです。
講師の飯田光徳さん(「日本コリア協会・大阪」理事長)は、ボリュームのあるレジュメに沿って、大阪弁まる出しの話し方。さすがに「しんどい」高校ばかりで日本史を教えられていただけに、聞き手を惹きつける「技」をお持ちでした。
何人かの感想を紹介します。
◎「北朝鮮は何をするかわからん。怖いぞ!いつミサイル飛んでくるかわからんぞ!」と脅されている私たちに、冷静になってフェイクを見抜く力をつけなさいと言ってくれているような学習会でした。
◎(北朝鮮のことで)へえー、そうだったんだと今日初めて知ったことが多かった。ちょっと朝鮮半島のことが自分の中で近くなった気がする。
◎日本がアメリカから買う戦闘機に乗るパイロットがかぶるヘルメットが、一個4500万円もするという話がおもしろかった。
◎マスコミをフル動員して「北朝鮮の脅威」を宣伝している。そしてこの脅威を安倍政権は「9条改憲の絶好のチャンス」だと思っている…。こんなことは絶対許さない。
◎安倍改憲の狙いがよくわかりました。自衛隊を憲法に書き込むということがとても怖いことだということがわかりました。
◎「核兵器よりさらに強力な平和のための抑止力の意味を持つ日本国憲法」という先生の言葉に『ハッ』として『ジーン』ときました。この憲法を守らなければなりません!
(「有田9条連絡会」の五島栄次さんより)
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【九条噺】
9月の自民党総裁選挙で地位を固めると見られ、2020年に自衛隊を9条に加える改正憲法施行を目標としていた安倍首相、ここに来て猛烈な批判を浴び支持率も下がり始めた▼3月16日の朝日新聞「時時刻刻」が手短に状況を記している。「森友学園をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題が、安倍晋三首相がめざす憲法改正に影を落とし始めた。自民党憲法改正推進本部は15日、全議員が参加できる全体会合で9条改正を議論。首相の唱える自衛隊明記案でのとりまとめを図ったが、先送りに。他党も改憲に後ろ向きになり、首相の悲願に暗雲が垂れ込めている」と▼自民党推進本部で多様な9条改憲案との報道を見たときは、改憲機運を盛り上げる手法かと思ったのだが、安倍加憲案でまとまらず安倍離れと見られるとの観測に納得した。安倍離れを促進しているのは言うまでもなく、森友問題での野党の結束した追及と市民の運動の盛り上がりである▼人々の怒りの原因は、国有財産を不当に安売りし、その背後に首相夫妻の存在が働いたことを、公文書改ざんによって国会と国民に隠し通そうとした犯罪行為である。こんな目に見える不正・不公平はたいへん分かりやすい。怒りが盛り上がる所以である。ぜひ退陣まで追い込み、20年改憲の野望を頓挫させたい▼首相が友達に利益をはかる一方、自民党国会議員が政府に批判的な前川喜平氏の授業に文科省を通じて圧力をかけた。これも批判を浴びている。(柏)
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安倍首相、党大会で発議に執念!
25日に都内で開催された自民党大会で、安倍首相は「いよいよ、結党以来の課題である憲法改正に取り組む時が来た。9条改正案をとりまとめていく」と憲法改正への〝執念〟を示しました。さらに、安倍首相は憲法学者の多くが自衛隊の存在が違憲だと指摘する状況に終止符を打つと述べ、「これが今を生きる政治家、自民党の責務であり、敢然とこの使命を果たして新しい時代をつくりあげていこう」と呼びかけました。
また、二階幹事長は改憲4項目の条文案がまとまったと24日に報告した素案をもとに報告し、「案をもとに衆参両院の憲法審査会で議論を深め、各党の憲法改正原案を策定し、憲法改正の発議を目指す」と語りました。採択された2018年度運動方針では第1項目で改憲をあげ、「建設的な議論を重ね、改正案を示し、憲法改正の実現を目指す」としました。そして、各都道府県連・選挙区支部で研修会を開催し、改憲推進の国民運動を積極的に展開するよう訴えました。自民党は財務省公文書改ざん問題で、国会が混乱し、支持率が低下しても改憲に突き進む決意です。なお、連立政権を組む公明党の山口那津男代表があいさつ。公文書改ざん問題については「ていねいに課題解決に取り組むときだ」と述べる一方、改憲については言及しませんでした。(憲法しんぶん速報版3月27日号)
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世論調査結果
安倍首相は、憲法9条を改正し、自衛隊の存在を憲法に明記することを提案しています。あなたは、安倍政権のもとで、こうした憲法の改正をすることに、賛成ですか。反対ですか。
賛成 :33%
反対 :51%
その他・答えず:16%
(朝日新聞3月19日付)
3月の主な内閣支持率
(毎日新聞3月19日付)
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9条の碑、沖縄に次々建立
沖縄7カ所目、本土は9カ所
沖縄本島北部にある人口3千人あまりの大宜味(おおぎみ)村の役場敷地内に「憲法9条の碑」が建った。改憲論議が盛んになる中、碑には戦時中、米軍に沈められた疎開船から生き残った女性や、戦争の悲惨さを知る村長らの強い思いが込められている。
碑は高さ約2メートル。9条の1、2項全文が刻まれている。その上に「命(ぬち)どぅ宝」(命こそ宝)という文字を、平和の象徴のハトが9羽で囲むデザイン。昨年12月26日に除幕された。建立に尽力した一人が、元教諭で村在住の平良啓子さんだ。
戦時中の1944年8月、沖縄から本土に向かう疎開船「対馬丸」に乗船。約1800人が乗っていたが、米潜水艦に撃沈された。対馬丸記念館(那覇市)によると、学童784人を含む1400人以上が亡くなった。国民学校4年生だった平良さんは、6日間漂流し、無人島に流れ着いて助かった。こうした経験から「戦争は絶対に許されない」という信念がある。「大宜味村憲法九条を守る会」の世話人代表も務める。沖縄県では85年以降、「9条の碑」が各地ででき、平良さんも「村に欲しいなあ」と思っていた。(朝日新聞デジタル3月30日付)
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