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安倍退陣!和歌山緊急デモ実施
3月31日、「数え出したら切りがない数々の憲法無視の政治と、置き去りにされる私たち。強行採決の繰り返しによる民主主義の破壊。森友問題、さらには加計問題。私たちの方を向いた政治を実現させるために一緒に歩きましょう」と呼びかける「安倍政権の退陣を求める和歌山緊急デモ」が行われました。
約100人の参加者は、満開の桜が舞い散る中之島公園から和歌山ビッグホエール前まで、1時間をかけて歩き、「さよなら、バイバイ、安倍政権」とコールし、合間には何人かのスピーチもありました。
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「憲法はいま、戦後もっとも重大な岐路に」
九条の会がアピール発表
憲法改正に反対する「九条の会」は30日、「憲法改正案を示し、改正実現を目指す」と明記した自民党の運動方針が25日の党大会で採択されたことを受け、東京都内で記者会見した。「憲法はいま、戦後もっとも重大な岐路に直面させられている」とのアピールを発表した。
同会は4月7日東京都北区で1000人規模の集会を開き、改憲発議の阻止を目指す「3000万署名」への協力を呼びかける。(毎日新聞3月31日付)
アピールはここをクリック → http://home.384.jp/kashi/9jowaka/9jo-apeal/18appeal.htm
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9条改憲は積み残された課題を突破する手段
3月24日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」第14回総会で、三重短期大学教授(憲法学)・三宅裕一郎さんが、「憲法9条が果してきた役割 ~『自衛隊』の明記によって何が変わるのか~」と題して講演されました。その要旨を3回に分けてご紹介します。今回は1回目。
三宅裕一郎さん①
自衛隊を憲法に明記すると何が変わるのか。15年9月に国民の大きな反対の中で安保法制が可決された。しかし、安保法制が出来ているにも拘らず、憲法改正が進められているのは何を意味するのか。安保法制は出来たが、9条を変えなければ実際の狙いを達成出来ないような、積み残された課題が残されている。
1点目は、海外での自衛隊の全面的な軍事行動は依然として否定されている。安保法制で集団的自衛権行使が認められたが、それは自国防衛を柱とした限定的なもので、地球の裏側まで行って米軍と一緒に集団的自衛権を行使することが可能とはならなかった。自衛隊の後方支援活動が広がったが、限定的な条件が付けられている。フルスペックの集団的自衛権行使や多国籍軍への参加も認められていない。自衛隊は安保法制によって権限・任務・範囲が広がったが、依然として他国並みの軍事行動は出来ないという縛りがかけられている。
2点目は、民間企業などを動員する枠組みは日本有事に限定されており、集団的自衛権にまで拡大出来ていない。安保法制には「事態対処法」が含まれ、個別的自衛権が発動されている場面で、国民や民間企業に何らかの協力の責務が課せられている。ところが集団的自衛権行使の場面を指す「存立危機事態」での民間企業の動員は依然として除外されている。ただ、「存立危機事態」と日本有事の「武力攻撃事態」は、法律上は別の概念だが、実際には政府は2つの事態は併存すると答弁している。従って、集団的自衛権行使の場面などでも民間企業などに協力が求められることは十分に想定される。
3点目は、私たち市民を含めて「反対」の声を封殺することが出来なかったことだ。安保法制が出来て3年近くになるが、依然として反対する市民の取り組みは全国で続いている。典型的なのは全国で24件も安保法制違憲訴訟が行われ、原告は現在7254名に上っている。このような動きは安保法制を円滑に運用したい側にとっては決して軽い話ではない。
積み残された課題を突破するためには、もはや唯一無二の手段としての9条改憲に行き着くことになる。換言すれば「決して憲法は死んでいなかった(渡辺治さん)」ということだ。9条が機能していたからこそ、安保法制には条件を付けざるを得なかった。ここを突破しなければ政権側は安保法制で全面的に達成したかったことが出来ないということになる。
自衛隊加憲によってどんなことが可能になるのか。安倍首相は「一切今までと何も違いはない」と言うが、何も違いがないなら何故憲法に書き込む必要があるのかという話になる。国民投票に850億円もかけて、何も変わらないことを憲法に書き込むという馬鹿げた話はない。何が可能になるのか。
1点目は、憲法改正を円滑に進めるために公明党を改憲の側に引き入れるための改憲案を準備する必要がある。この公明党を懐柔することが自衛隊加憲によって可能になってくる。公明党は14年の衆院選のマニフェストで「1項、2項を堅持した上で自衛のための必要最小限度の実力組織としての自衛隊の存在の明記について『加憲』の論議の対象として慎重に検討する」と述べていた。これは安倍加憲論と軌を一にするものだ。
2点目は、「今までの自衛隊を憲法に書き込むだけだから」と言われると「何故それがまずいのか」という声にぶつかり、それに対応出来ないという声を聞く。これが自衛隊加憲論阻止の一番のネックになるのは間違いない。従来の9条が残る訳だから、自衛隊を書き込むことについて、国民的なアレルギーは緩まってしまうと言える。高村副総裁は「2項削除では当面国民の理解は得られない。1、2項を維持し自衛隊を明記するなら、十分に国民投票に耐えられると思っている」と言っている。日本政策研究センターは「その狙いはまさしく国民のアレルギーの低下だ」と言っている。
3点目は、自民党の9条改憲条文案には「自衛隊」という言葉が入る可能性が高い。この「自衛」というものを根拠にして、これまで認められないとされてきた戦力保持の拡大に繋がる可能性が極めて高い。自衛隊加憲は自衛隊の存在だけではなく、自衛隊の何らかの任務についても言及される可能性が極めて高い。3月15日の条文案では「必要最小限度の実力組織として、…自衛隊を保持する」となっていた。22日の案では大きく改悪され、「必要最小限度の実力組織」が削除され、それに代り「必要な自衛の措置を取ることを妨げない」、そういう自衛隊を保持するという文言で進んでいるようだ。「自衛権」の国際的なスタンダートには集団的自衛権も含まれる。しかし政府は、9条の下で持てるのは専守防衛の必要最小限度の実力組織としての自衛隊なので、それを踏み越えるような集団的自衛権を日本は行使できないという立場を、14年の閣議決定まで採り続けていたが、自民党はそれ以前から集団的自衛権を含むという解釈を採り続けてきた。もし、自民党の考え方に従うのであれば、「自衛」という言葉は、他国並みの軍事力の保持を可能にする。従来は「性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる攻撃的兵器、例えば、ICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母」は認めないとしてきたが、これらを「自衛」の名の下に保持が可能になってくる。護衛艦「いずも」を攻撃型空母に改造する計画が着々と進んでおり、こういうことが正面から認められるということになってくる。「非核三原則」を廃棄し、自衛のためなら核兵器の保持も認められるという解釈の方向に道が開かれかねない。(つづく)
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【九条噺】
4月4日の朝日新聞に、元内閣法制局長官・宮崎礼壹氏が、安倍9条改憲の狙いについて書いておられる▼氏は、「安倍首相が『否決されても自衛隊の合憲性は変わらない』『改憲しても自衛隊の権限は変わらない』と言う自民党案は、その趣旨が不明確で、問題が多い」「憲法に自衛隊を位置づける改憲論は、50年代の鳩山一郎内閣の頃からあったが、それは個別的自衛権を認める専守防衛の自衛隊であり、安倍政権が14年の閣議決定で集団的自衛権行使を認めた自衛隊ではない」と指摘する▼「集団的自衛権の本質は『他国防衛権』で、自国防衛という自衛権とは異質、憲法9条の理念とは対極にある」「安保法制という形で集団的自衛権行使が認められた段階になって憲法に自衛隊を明記することで、集団的自衛権行使も憲法上、問題ないと国民に認知させること」が安倍政権の狙いだと言う▼「集団的自衛権の行使容認に国民の信認を得たいなら、安保法制の効力をいったん停止し、行使が必要かを国民投票で問うて賛成が上回れば、そこで安保法制を再起動させるのが筋だ」と言う▼それをやらないのは「自衛隊への素朴な愛着と信頼に乗じ、集団的自衛権の行使について国民の承認を取り付けようとしている」。自衛隊を加憲すれば、「1、2項は『立ち枯れた懐かしの記念碑』として残るだけ」と氏は指摘する▼改憲を言うのなら論点は明確でなければならない。論点が不明確なまま戦争をする国に行かせる訳にはいかない。(南)
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自衛隊明記で「徴兵制が合憲に」 九条の会が集会
安倍晋三首相が憲法改正に強い意欲を示す中、改憲に反対する「九条の会」は7日、1000人規模の集会を東京都北区で開いた。同会の世話人で憲法学者の山内敏弘・一橋大名誉教授は、自民党の条文案通りに自衛隊の存在を9条に明記すれば、「徴兵制が合憲になる」との見解を示した。
集会は改憲発議の阻止を目指して開催された。憲法学者ら9人が壇上に立ち、自民党案の問題点や今後の運動の進め方などを報告した。
冒頭、小森陽一事務局長が自民党の条文案について問題提起。自民党案は「9条の2」として「国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として…自衛隊を保持する」との条文追加を提案している。
これに対し、小森事務局長は「日本語をゆがめた形で自分たちの意図を実現しようとしている」と批判。「これまでの自民党の主張によれば『必要な自衛の措置』には集団的自衛権も入る。自民党の改憲案にどれだけ危険な内容が含まれているか、多くの国民に伝えなければならない」と訴えた。
続いて、同会の呼びかけ人と世話人がリレートークを行った。
世話人の山内名誉教授は、自衛隊の存在を明記することによって、なぜ徴兵制が合憲になるかを説明。「これまで徴兵制が違憲だと言われてきた理由は、憲法の定める『公共の福祉』に合致しないからだが、自衛隊が明記されれば、憲法上の公共性を持つ。従って自衛隊の役務は『公共の福祉』に合致し、(国民への)役務の強制つまり兵役に服させることは、何ら『公共の福祉』に反しないことになる」と述べた。
リレートークでは、「単に自衛隊を合憲にするだけなら賛成してもいいのでは」との質問にどう答えればいいかの提案もあった。憲法学者の愛敬浩二・名古屋大教授は「現状を『1ミリも変えない』改正なら本当に必要なのか、逆に質問してほしい」と呼びかけた。改正のための国民投票が衆院選並みに600億円超かかるとみられるためだ。さらに、集団的自衛権の行使を巡り、過去と現在の政府解釈が異なったり、最近は敵基地攻撃にも使える空母の保有構想が出たりしていることから「『現状』は次々に変わる。『1ミリも変えない』憲法を本当に作ることができるのか」と疑問を呈した。(毎日新聞デジタル4月7日)
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