「九条の会・わかやま」 352号を発行(2018年07月13日付)

 352号が7月13日付で発行されました。1面は、九条の会を加えた共闘で安倍改憲を阻止しよう(渡辺治さん ④)、第49回「ランチタイムデモ」実施、「やった~目標3000筆を超えたよ」「憲法九条を守ろう・みなべ町民の会」、九条噺、2面は、書籍紹介『自民党改憲案にどう向きあうか』  です。
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九条の会を加えた共闘で安倍改憲を阻止しよう

 5月19日、プラザホープ(和歌山市)で「We Love 憲法~5月の風に~」が開催され、一橋大学名誉教授・渡辺治氏が「かつてない市民と野党の共同で安倍改憲にNOを!」と題して講演をされました。その要旨を4回に分けてご紹介しています。今回は4回目で最終回。

渡辺治さん ④



 安倍首相は、「1項、2項の平和主義を残すから、9条に自衛隊を明記しても1ミリも変わらない」「自衛官に誇りをもって活動してもらいたい」と言う。1ミリも変わらないなら明記する必要はない。これは真っ赤な嘘で、根本的に変わる。安倍首相は根本的に戦争をする国になれることに確信を持っている。
 第1に、9条が根本的に変わる。1項、2項だけなら、紛争の解決は「武力によらない平和」しかない。だから9条は世界の市民に強いアピール力を持っている。3項に自衛隊や軍隊を持てると書くと、「武力による『平和』」ということになる。これが後から入ると、こちらが優先する。そうすると9条が変わるだけでなく、日本国憲法全体が根本的に変わってしまう。日本国憲法が世界の憲法と違う一番大きな特徴は戦争と軍隊を予定していないことだ。法の下での平等とか、人権は例外なく日本国民に適用されるが、軍事組織を憲法に明記すると、日本国憲法の原理・原則に対する重大な例外・異物が憲法の中に押し込められることになる。法の下での平等は軍人に対しては例外となる。軍法や軍法会議がなければ海外で戦争することはできない。日本は憲法で軍法も軍法会議も認められないが、自衛隊が憲法で認められれば、軍法も軍法会議も必ず認められる。世界で侵略戦争をする時は戦場に兵士を縛り付けるために軍法も軍法会議も絶対に必要だ。
 もっと大きく変わるのは、自衛隊の姿が根本的に変質することだ。安倍首相は国民の9割が自衛隊を支持していると言うが、国民が支持する理由は、はっきりしている。自衛隊は何に役立っているかという世論調査での圧倒的トップは災害復旧支援だ。第2位は、はるかに低く国の安全を守ることだ。自衛隊が信頼されているもうひとつは、海外で人殺しをしないことだ。この2つは9条の下で、政府が自衛隊は軍隊ではないと証明するために、渋々行ってきた努力の結果だ。安倍首相はそんな無駄な努力をしないで、自衛隊は合憲だと書けば自衛隊を大きく変質させられると考えている。9条に自衛隊を書いた途端に国民が信頼する自衛隊の姿は必ず変わる。これは9条2項が死ぬことだ。9条2項が持つ自衛隊を規制する力がなくなるからだ。
 安倍改憲が抱える一番の困難は、市民と野党の共闘だ。安倍改憲を阻むにはこの市民と野党の共闘をもっと広く、強いものにしなければならない。昨年9月、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が総がかり行動を中心に作られ、かつてない市民の共同を作り出している。1つは、今までの安倍改憲を苦しめた共闘は総がかり行動実行委員会と市民連合の共同だった。しかし、もっと昔から改憲を阻む活動をしている九条の会がある。九条の会は、04年から14年間活動しているが、共同の呼びかけに応えたことはない。それは、全国7500の会を代表する組織ではないからだ。九条の会は連絡組織の役割と情報の交換をやってきた。総がかり行動実行委員会から戦争法廃止2000万人署名を呼びかけられても、応えられない。今回、初めて共同呼びかけ団体になった。7500の九条の会には共通する一点、「9条改憲反対」がある。ここでは全国の会を代表できると考えた。総がかりの共同と九条の会の共同が初めて地域で一緒になる、これがかつてない安倍改憲包囲の市民の共同の第一の特徴だ。2つは、「市民アクション」が3000万人署名を提起している。3000万はとんでもない数だ。先の総選挙での投票数は5600万人、その3分の2を集め、国民投票でも勝てるということだ。総選挙の立憲・共産・社民の3党を合わせても1680万人で、全く足りないということになる。自民・公明などに投票した人も巻き込んで、安倍改憲NO!で頑張らなければ3000万にはならない。3000万人署名が2000万人署名と決定的に違うのは、戦争法の時は毎日のようにテレビや新聞が報道してくれたが、安倍改憲はそうではない。しかし、この1カ月変わってきている。安倍改憲NO!の声は大きくなっているので、是非取り組んでほしい。
 私が一番強調したいのは、「憲法は死んでいない」、それどころか、「日本国憲法は日本の軍事化を妨げる大きな力となってきた」ということだ。今年、憲法は71歳だ。日本国憲法は生まれた時から何度も殺されかけながら、国民の力によって生き長らえてきた。その結果日本は、世界の中でほぼ唯一戦争しない国として71年を迎えることが出来た。この憲法を100歳以上に続けていくのか、それとも普通の戦争をする国になるのかが問われている。その意味で今年こそが正念場だということを訴えたい。(おわり)

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第49回「ランチタイムデモ」実施



 和歌山大空襲から73年目の7月9日、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」が呼びかける第49回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」が行われ、70人が参加しました。
 前日までの悪天候が嘘のように晴れ渡り、汗が吹き出す暑さの中、参加者全員で和歌山大空襲犠牲者と西日本豪雨災害犠牲者に黙祷を捧げました。藤井弁護士は「豪雨災害の中、安倍首相らは飲み会をしており、国民の命を守らない政権が憲法を変えたらどうなるのか」と批判しました。黙祷後、和歌山市役所から京橋プロムナードまで、「安倍改憲絶対許すな」「安倍政権から命を守ろう」と訴えて行進しました。
 次回は広島原爆犠牲者慰霊の日8月6日(月)に実施されます。

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「やった~目標3000筆を超えたよ」
「憲法九条を守ろう・みなべ町民の会」


 みなべ町の人口は約1万3000人。「憲法九条を守ろう・みなべ町民の会」では、『3千筆を超える署名を集めよう』を合言葉にいろんな取り組みをしてきました。
 「みなべ町民の会」のことを簡単にご紹介します。新婦人の準支部が2つ、年金者組合、国賠同盟、和教組みなべ地区、共産党みなべ町支部、みなべ「九条の会」の「7団体」を束ねています。この会は、昨年11月16日に結成し、先日6月21日には8回目の代表者会を開きました。
 この「みなべ町民の会」で相談を重ね、着々と実行してきました。
 取組んだことをご紹介します。
①町民のみなさんへのアピール文を作成しました。町内で活躍されている42人の賛同者も名を連ねました。
②アピール文と署名用紙と返信封筒を町内全戸に手配りで届けました。
③署名集めを具体的に進めるため、町内35区のどこに誰が入るかを決めました。
④地方紙「紀伊民報」の紙面を買い取り、「9条改憲NO!の署名にご協力を!」と呼びかけました。
⑤署名統一行動もしました。
まだまだいっぱいあります。
 取り組みを振り返れば、「ようやったな~」です。みなべ町内をてくてく歩いた1歩1歩。書いてもらった1筆1筆。安倍総理が最も恐れていることです。「憲法は変えないで」という町民の民意作りのための1筆1筆です。
 本日7月1日の署名教は、目標を上回り、約3140筆となりました。これからもまだ増やします。
 安倍改憲勢力は、今しかない改憲のチャンスを絶対に手放しません。数の力で強行してきます。みなさん!署名の数をもっともっと女性の力で増やしていきましょう。 (7月1日開催・第63回和歌山県母親大会での、みなべ「九条の会」事務局・栗山和歌子さんの取り組みの発表より)
 7月6日現在では3211筆になっているとのことです。(みなべ「九条の会」会報104号より)



(栗山和歌子さん)

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【九条噺】

 6月12日の夜のニュースは米朝会談一色。トランプ大統領と金委員長の握手と笑顔が、これでもかというほど繰り返し写し出される。両国は半世紀以上も休戦状態なのだ。「ならずもの国家」や核実験等、互いに敵視政策を続けてきたのだ。握手と笑顔は何度も繰り返す値打ちがあるだろう▼「平和と繁栄に向けた両国国民の願いに沿って新しい米朝関係を確立する」「朝鮮半島に永続的で安定した平和体制を構築する」と、共同声明は言う。「具体性に乏しい」とか「トランプの譲り過ぎ」とかいう論調もある▼しかし、しかしである。半世紀以上も敵対関係にあり、戦争への不安が常にあった両国が、話し合いのテーブルに着いたのだ。トランプ大統領の言う「プロセスの始まり」は、大いにうなずける。話し合いを積み重ね、朝鮮半島の非核化と平和体制への構築の歩みが始まり、北東アジアの平和体制へのプロセスが始まることを切に願う。韓国は言うに及ばず、中国やロシアが「歓迎」の声明を出していることにも励まされる。日本も「イージス・アショア」などと言っていないで、この平和の流れに積極的に関わってほしいと思う▼「よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないことをきめたのです。おだやかにそうだんして、きまりをつけようというのです。…」(昭和23年文部省発行の『あたらしい憲法のはなし』)の一節を思い起こす。(真)

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書籍紹介『自民党改憲案にどう向きあうか』



 自民党は精力的に改憲論議をすすめ、このほど「改憲条文素案」をまとめました。今後、①自衛隊明記、②教育環境整備、③参議院合区解消、④緊急事態の4本柱を「憲法改正原案」にしていく作業を行います。
 素案の各条項の狙いを徹底的に分析し、この改憲が日本の将来にとって本当に意味あるものかを考えます。自民党改憲条文素案やその方向性が有する問題を社会に提起するのが法の専門家としての社会的役割と考えて刊行したのが本書です。(㈱現代人文社のHPより)
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第1部 そもそも憲法とは?
第2部 自衛隊の憲法明記で何が変わるか
第3部 その他の改憲で何が変わるか
第4部 憲法改正国民投票ってなんだ
第5部 改憲は自分に関係ないと思っているあなたへ
年表  改憲をめぐる動き
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発行所:(株)現代人文社  TEL:03-5379-0307
     FAX:03-5379-5388 メール: hanbai@genjin.jp
   著 者:清末愛砂(編著)、石川裕一郎(編著)、飯島滋明(編著)、池田賢太(編著)
出版日:2018年05月20日  価格:1,000円+税

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(2018年07月13日入力)
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