「九条の会・わかやま」 359号を発行(2018年10月14日付)

 359号が10月14日付で発行されました。1面は、第52回「ランチタイムデモ」実施、沖縄県知事に玉城デニー氏、なぜ、安倍首相は9条1項、2項を存置して自衛隊を明記する改憲案を出したのか?(渡辺治さん ①)、九条噺、2面は、安倍9条改憲NO!を求めて 憲法尊重擁護義務を無視する安倍首相に改憲を云々する資格なし 「九条の会・わかやま」事務局・南本 勲、言葉 「イージス・アショア」(2) です。
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第52回「ランチタイムデモ」実施



 朝のうちから降り始めた雨の中、第52回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(憲法9条を守る和歌山弁護士の会の呼びかけ)が行われました。雨の中での行進となってしまいましたが、「雨ニモ負ケズ」50人の市民が参加しました。前回(第51回・9月12日)と今回の1ヵ月の間には、9月30日の自民党総裁選挙で安倍氏の三選、9月30日の沖縄県知事選で玉城デニー氏当選という大きな動きがありました。
 今こそ玉城氏の勝利を引継ぎ、私たちが頑張らなければならない時だという意気込みで、和歌山市役所から京橋プロムナードまでデモ行進が行われ、「安倍9条改憲NO!」を訴えました。
 次回は11月12日(月)、次々回は12月10日(月)です。



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沖縄県知事に玉城デニー氏



 9月30日投開票された沖縄県知事選で、翁長雄志知事の遺志を継ぎ、辺野古新基地建設反対を掲げたオール沖縄・玉城デニー前衆院議員が初当選しました。玉城氏は前宜野湾市長の佐喜真淳氏(自民、公明、維新、希望推薦)に8万票差をつける、知事選で過去最多となる39万6632票を獲得しました。

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なぜ、安倍首相は9条1項、2項を存置して自衛隊を明記する改憲案を出したのか?
渡辺 治 さん ①




 安倍改憲提言が乗りこえようとした壁とは何でしょうか? それは市民と野党の共同でした。
 戦争法に反対する中で55年ぶりに「総がかり行動実行委員会」という形で、市民と野党の共闘が実現しました。この戦争法反対の市民と野党の共闘は、最初はいろいろな形でギクシャクはしましたが、戦争法反対をともにたたかう中で、野党間の共闘も強まり、戦争法が強行採決された後も、戦争法廃止の共同という形で発展しました。
 あれだけ多くの労働者、市民を結集してたたかわれた安保条約反対の安保共闘も強行採決された後、「煙が消えるように」運動は収束していきました。ところが今回の戦争法反対の運動は、戦争法が強行採決された9月19日に共産党が国民連合政権を訴えたことに象徴されるように、強行採決の後も継続し、戦争法廃止の共同に発展していきました。この戦争法廃止の共同は、政治を変えるということで、市民連合を生み、その努力によって、戦後初めての野党の共闘、選挙協力がつくられ、16年参議院選挙では32の1人区で野党共闘が成立し、11の選挙区で勝利したのです。
 マスコミはこれをあまり高く評価をしていませんでしたが、実はこれは自民党にとっても、安倍改憲にとっても、大きな打撃となるような共同でした。この共同の力によって、安倍改憲には2つの困難が生じたからです。
 一つは、憲法改正を国会で審議し、発議し、国民投票にもってゆく、全ての過程の中で最も重要な野党第一党の民主党-民進党が、改憲反対になってしまったことです。
 1996年に旧民主党が結党され、98年に現在の民主党が出来て以来、民主党は20年近く、かつて一度も憲法改正に反対を明言したことはありませんでした。ところが戦争法反対の共同を積み重ねる中で、今度の安倍改憲は結局戦争法で行われた自衛隊の海外での武力行使を合憲化するための改憲ではないかという認識が強まって、民主党始まって以来はじめて代表の岡田克也が、「安倍政権のもとで」という限定はつきましたが、「憲法改正に反対する」と明言したのです。そして16年参議院選挙の時には「3分の2を阻止する」というスローガンまで民進党は出しました。そういう中で、安倍改憲にとっての第一の困難は、市民と野党の共闘が、野党第一党を向こう側にやってしまったことです。この結果、国会での発議、特に改憲を実行するうえで、大きな障害物が出来てしまったのです。
 もともと改憲手続法を06年から07年にかけてつくる過程で、自民党の改憲派は、「この改憲は絶対に野党第一党と一緒にやらなければ出来ない。野党第一党を自分たちの側に巻き込んで改憲を実行しなければ出来ない」という考えに立って、改憲手続法の制定過程においても、緊密に民主党と連携をとりながら作ってきました。法案作成の最後の段階で民主党に小沢一郎代表が登場し、片や自民党政権には安倍晋三が登場するという中で、改憲手続法を自民党と民主党が共同で作っていくという作業は最後の段階で壊れてしまいます。自民党は強行採決によって法案を成立させましたが、それでも改憲手続法という法律は、国会の発議段階のところでは、与党と野党第一党の共同を緊密に意識した法律となっているのです。そうすることで、野党第一党である民主党、民進党を味方につけて、一緒に改憲を実行する。これが自民党改憲派の基本戦略だったのですが、これが壊れてしまったことが第一の困難です。
 これは改憲発議に非常に大きな困難を生じさせました。そのことは、今の憲法審査会でいかに自民党が苦労しているかに象徴的に現われています。(つづく)(月刊『憲法運動』18年9月・通巻474号より)

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【九条噺】

 自民党の総裁選は安倍3選で終った。安部首相は「党内の支持を得た」と改憲に一層前のめりだ。しかし、世論の多数は「改憲反対」「急ぐ必要はない」だ。改憲論者の2人が手法の僅かな違いで争うことしかできない総裁選は、政権党がいかに国民と乖離しているかを如実に物語った▼最後の街頭演説に、安倍首相が選んだのは秋葉原。彼にとって験のいい場所らしいが、私達には昨年の都議選で「こんな人達に負ける訳にいかない」と絶叫した場所として強く記憶に残っている▼宣伝カーの周りは警官やバリケードで固められ、シールをつけた支持者しか入れない。一般の聴衆は道を隔てた遠い所。そこで首相は「憲法改正に取り組む時を迎えた」と絶叫。異なった意見には聞く耳を持たず、同調する人には強い安倍という人を象徴しているような光景。遠くに押しやられても「安倍やめろ」のコールが起っていた▼現在を戦前と比較することがある。『1937年の日本人』という本には、1937年の朝日新聞を主な手掛りに、盧溝橋事件を境に国民が戦争に熱狂させられていった様子が論じられている。著者は当時の日本人の感覚を「平らな道を歩いていると思っていたら、いつの間にか下り坂になっていた」と書く▼今、私達は戦争放棄の憲法を持っている。この憲法を基準にして、理性的で研ぎ澄ました感覚で世の中を見なければならない。決して「いつの間にか…」と思わないためにと、強く思った総裁選だった。(真)

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安倍9条改憲NO!を求めて
憲法尊重擁護義務を無視する安倍首相に改憲を云々する資格なし
「九条の会・わかやま」事務局・南本 勲


 自民党総裁選挙で安倍首相が石破茂元幹事長を破り3選されました。選出後の記者会見で、総裁選で掲げた憲法9条に自衛隊を明記する9条改憲案について、「党内の力強い支持を得ることができた」と言っていますが、果たしてそうでしょうか。党員票では石破氏は45%で、あと5%多ければ逆転するのです。「下駄の雪」のような国会議員とは違い、安倍首相に対する現場(地方)党員の不信と批判は強いことを示しています。
 安倍首相は総裁選挙で「憲法改正に挑戦する」と、憲法99条で現職首相などに義務付けられている憲法尊重擁護義務を踏みにじる発言を繰り返しました。過日の自衛隊高級幹部会同では「全ての自衛隊員が強い誇りをもって任務を全うできる環境を整えることは、今を生きる政治家の責任だ。私はその責任をしっかり果たしていく決意だ」と述べ、憲法9条に自衛隊を明記する自民党憲法改正案を秋の臨時国会に提出する方針を示しました。安倍首相はこれまでの改憲発言は、自民党総裁としての発言で、総理大臣としての発言ではないなどとごまかしていますが、一人の人間を都合よく二人に分けるというペテンは通用しません。首相官邸のホームページには、自衛隊高級幹部会同で「自衛隊の最高指揮官たる内閣総理大臣として」高級幹部へ訓示したと明記されています。明々白々の憲法99条違反です。憲法尊重擁護義務を踏みにじる発言なのに、その自覚さえ全くありません。自衛隊員には宣誓で「日本国憲法及び法令を遵守し、…政治活動に関与せず」と日本国憲法遵守と政治的中立を厳格に求めています。その高級幹部への訓示で、最高指揮官の首相が改憲の持論を述べているのです。これは、自衛隊という実力組織を自分の改憲の野望の道具に使おうというものであり、「極めて異常で危険な動きだ」と言わなければなりません。
 かつて安倍首相は日本国憲法を「みっともない憲法」と評しました。このように、最初から憲法を守る気もなく、「みっともない」と言う安倍首相が「憲法を変える」と言えば、それは、日本国憲法の3原則、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」に手を付けようとすることは明らかです。「国民主権」「基本的人権」を制約し、特に「平和主義」については、「積極的平和主義」などとごまかしながら、何の制限もなく海外で「戦争する国」にしようという下心が透けて見えます。「安倍改憲」は絶対に許してはなりません。

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言葉 「イージス・アショア」(2)



 下のイージス艦の艦橋に張り付いている8角形の物体を「フェイズドアレイレーダー」と言い、このレーダーと高度な情報処理を組み合わせ、多数の目標を同時に探知・識別し、艦対空ミサイルを発射・誘導できるのがイージス艦です。イージス・アショアは、イージス艦のこのシステムを陸上に移したものです。
 上図のように弾道ミサイルが大気圏外(ミッドコース段階)を飛翔中に迎撃します。日本のイージス・アショアには、SM3ブロックⅠAより大型で長射程のⅡAを搭載し、2基を設置すれば日本全土をほぼカバーできると言われます。レーダーもさらに高性能なLMSSRが採用され、価格は2基で、維持・運用費などを含めると4664億円にもなります。施設整備費やミサイル購入費などで、総額がさらに膨らむのは必至です。
 イージス・アショアには、米軍と自衛隊が情報を共有できる新システム「共同交戦能力(CEC)」が搭載される見通しです。CECとは、精度の高い敵情報をリアルタイムで共有し、米軍と共同対処する能力のこと。米軍情報に基づき、自衛隊がミサイルを迎撃し、その逆も起ります。米軍は日本近海に自国のイージス艦を配備しなくてもミサイル迎撃ができるようになり、これは、日本国憲法が禁じる集団的自衛権行使になります。
 弾道ミサイルの100%撃墜は不可能と言われます。米朝首脳会談などでミサイル危機は低下しています。こうなると、「弾道ミサイルは必ず日本に飛来する」「ミサイル迎撃システムは必ず迎撃に成功する」という『神話』が前提の防衛力整備と考える以外にないバカげた計画と言わねばなりません。



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(2018年10月14日入力)
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