「九条の会・わかやま」 361号を発行(2018年11月05日付)

 361号が11月5日付で発行されました。1面は、「第10回伊都・橋本9条まつり」開催、法律家6団体「改憲案国会提出反対声明」、訃報 「九条の会・わかやま」呼びかけ人 月山 桂 さん、九条噺、2面は、安倍9条改憲NO!を求めて 憲法についての雑感 「九条の会・わかやま」事務局・松本 真澄、守ろう9条 紀の川 市民の会「第15回憲法フェスタ」  です。
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「第10回伊都・橋本9条まつり」開催



 「憲法9条を守る伊都・橋本連絡会」は、好天に恵まれた10月21日、和歌山県かつらぎ町の「かつらぎ体育センター」で「第10回伊都・橋本9条まつり」を開催しました。
 舞台の午前の部は、下村克彦さんの開会挨拶で始まり、「やっちょん踊り(真田ちゃいるど)」「和太鼓演奏(きのかわ支援学校)」「レッツ・ダンス(橋本高校新体操バトン部)」「日本舞踊(つくしの会)」と演じられ、昼食休憩後の午後の部は、「金原徹雄弁護士の講演」「9条コーラス(はしもと9条の会)」「コーラス(チェルリコーラス・妙寺)」「吹奏楽(グリーン・ウインド・アンサンブル)」「銭太鼓(新婦人の会)」「お楽しみ抽選会(9条連絡会)」と続き、最後は富岡嬉子さんの閉会挨拶で終了しました。



 会場内には野菜・果物を始めいろんな物産の直売所も設けられ、賑わいました。
 「金原徹雄弁護士の講演」は、「これからの9条改憲NO!のたたかい~国民投票をみすえた運動を~」と題して行われました。



 金原弁護士は昨年5月3日の安倍首相の改憲提言や自民党が集約した「改憲4項目」の本命は9条改憲で、自衛隊明記の真の目的は、「専守防衛」の自衛隊を越えて、14年の「閣議決定」と15年の「安保法制」によって作られた「安保法制型」自衛隊を、合憲化するものだと説明。そして、改憲発議をさせないためには、まず、共闘できる可能性がある人を「改憲派」だとレッテル貼りをして、わざわざ「あちら側」に押しやる愚は避けること。世論喚起のためには、①3000万人署名の達成、②今まで話しかけたことのない層への働きかけ、③SNS活用の抜本的強化が必要だと指摘。もし、改憲が発議されたら、①国民投票運動は誰でもできる、②「買収」以外はほとんど罰則もない、③テレビ・ラジオのCMは投票日前14日間は禁止だが、それ以外の広告は何でも出来る、④改憲派は「改憲が否決されたら自衛隊が無くなるが、それでいいのか?」と国民を脅しにかかるので、我々も否決後の自衛隊のイメージをしっかりと持つべきだ、⑤国民投票は、自衛隊違憲/合憲の意見に拘らず「9条改憲反対」なら、理由は問わないので、柔軟な共闘をすべき、⑥各人が得意な分野・方法で訴え、新たな工夫を積み上げるべきだと訴えられました。

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法律家6団体「改憲案国会提出反対声明」



(6団体の記者会見)

 「改憲問題対策法律家6団体連絡会(社会文化法律センター、自由法曹団、青年法律家協会弁護士学者合同部会、日本国際法律家協会、日本反核法律家協会、日本民主法律家協会)」は10月26日、「自民党改憲案の臨時国会提出に断固反対する法律家団体の緊急声明」を発表しました。
 声明(大要)は、「安倍首相は、10月2日の記者会見で『憲法改正については、昨年の総選挙で、自衛隊明記を含む4項目を、国民の皆様に示し、力強い支持を得ることができた。総裁選でも勝利を得た』『国会の第1党である自由民主党がリーダーシップをとって、次の国会での改正案提出を目指していくべき』と語り、改憲への強い意欲を改めて示した。
 憲法改正は法律の改正に比べて高いハードルを設定している。これは、憲法が、個人の自由と人権を国家権力から不可侵のものとして保障する規範あり、国の最高法規とされていることから、高度の法的安定性が要求されているためである。国の最高法規である憲法が、時の首相の一存で、あるいは、多数派の国会議員の数の力で、軽々しく変更できるとなれば、国家権力を縛って国民の人権を保障しようとした立憲主義は無意味となる。国会に与えられた憲法改正の発議権は、最強の権力であり、濫用行使することは絶対に許されない。両議院は、当該憲法改正案の発議が、果たして立憲主義の原理から見て、必要であるのか、許されるのかを、慎重に真剣に議論し、その議論の過程を全国民に分かりやすく明らかにする重い責務を負う。国民的な議論が全くないまま、自民党改憲案の本質を国民に伏せて、憲法9条の2に自衛隊を書き加えても「自衛隊の権限・任務に変更がない」と国民を欺き、自民党改憲案を臨時国会に提出し、数の力で強引に来年の通常国会での憲法改正発議を狙うような暴挙は、立憲主義の破壊行為であり、絶対に許されることではない。
 安倍政権は、法曹関係者より憲法違反と指摘される数々の立法を、十分な審議もせずに強引に数の力で成立させてきた。民主主義国家の基盤を揺るがす事態が枚挙のいとまなく相次いでいる。国民の声に耳を貸さず、憲法を蹂躙し続ける安倍政権に、改憲をリードする資格はない。
 各種世論調査によれば、国民は憲法の改正を望んでいない。政府・国会に求められているのは、政治・行政の腐敗を正し、国民の政治への信頼を回復し、社会保障など国民生活に直結する施策の充実を図ることであり、憲法改正に前のめりになることではない。
 憲法9条1項・2項を維持しながら「9条の2」を創設し、「わが国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つため」に自衛隊を保持するとの条項を設けようとする。これらは、いずれも「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は認めない」と規定する憲法9条2項の空文化を狙うものである。そこでの「必要な自衛の措置」という文言は、フルスペックの集団的自衛権の行使を可能とすることになりかねず、15年に成立した安保法制が合憲化されるにとどまらず、憲法の平和主義の原理を捨てて、アメリカの指揮下で何時でもどこでも「普通に」戦争ができる国への転換を図るものである。6団体連絡会は、立憲主義を守り、安倍政権の改憲に反対する野党と市民とともに、断固として自民党改憲案の国会提出に反対することを宣言する」と述べています。
 緊急声明全文は下のURLから確認してください。
 http://home.384.jp/kashi/9jowaka/shinbun4/18ho-dantai.htm

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訃報
「九条の会・わかやま」呼びかけ人
月山 桂 さん




 当会呼びかけ人で「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」顧問の月山桂さんが11月1日に逝去されました。享年95。月山さんを喪うのは痛恨の極みです。謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。

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【九条噺】

 安倍首相は臨時国会の所信表明演説で、「国の理想を語るものは憲法です。憲法審査会において政党が具体的な改正案を示すことで、国民の皆様の理解を深める努力を重ねていく」「国民の皆様と共に議論を深め、私たち国会議員の責任を、共に果たしていこうではありませんか」と述べた▼安倍首相が言うように「憲法は国の理想を語るもの」なのか。日本弁護士連合会はホームページで、「憲法は、国民の権利・自由を守るために、国がやってはいけないこと(またはやるべきこと)について国民が定めた決まり(最高法規)です」「国民が制定した憲法によって国家権力を制限し、人権保障をはかることを『立憲主義』と言い、憲法について最も基本的で大切な考え方です」と、小・中学生にも分かるように説明している▼「改憲議論を進めるのが国会議員の責任」なのか。憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定める。憲法尊重擁護義務を課せられている国会議員の責任は、憲法を守ることで、改憲議論を進めることではない▼安倍首相は、「国民の皆様の理解を深める努力を重ねる」と言うが、憲法を最も理解していないのは安倍首相だ。憲法を守らない首相に憲法を語る資格はない。どの世論調査でも国民多数は臨時国会への改憲案提出に反対している。国民が望んでもいないのに首相が旗を振ること自体が立憲主義を蹂躙するものと言わねばならない。(南)

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安倍9条改憲NO!を求めて
憲法についての雑感
「九条の会・わかやま」事務局・松本 真澄


 憲法と私は同じ歳だ。意識するようになったのは中曽根内閣の頃からだったと思う。小学生の頃、憲法発布記念日と呼ばれる日があって、休日だった。憲法という名のつく休日が2回もあることを不思議に思ったこと、「発布」という聞き慣れない言葉が妙に心に残ったことを覚えている。
 教職員組合運動にかかわるようになって、「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンが教職員組合運動の魂ともいうべきものであることを知った。同じ頃、高知県の竹本源治さんの詩も知った。次のような詩だ。
  戦死せる教え児よ
逝(ゆ)いて還らぬ教え児よ
私の手は血まみれだ
君を縊(くび)ったその綱の
端を私も持っていた
しかも人の子の師の名において
嗚呼(ああ)!
「お互いにだまされていた」の言訳が
なんでできよう
慚愧(ざんき) 悔恨(かいこん) 懺悔(ざんげ)を重ねても
それがなんの償いになろう
逝(い)った君はもう還らない
今ぞ私は汚濁の手をすすぎ
涙をはらって君の墓標に誓う
「繰り返さぬぞ絶対に!」
 勤評闘争に至る逆コースといわれる時代に、戦争中教師であった竹本さんが、組合機関誌に載せた詩です。石川達三の「人間の壁」や先輩の先生方から聞かされて勤評闘争についてはある程度知っているつもりだった。しかし、その闘いに参加した教職員や地域の人々の胸の内に、このような思いが燃えたぎっており、「勤評は戦争への一里塚」というスローガンに結実していったことにまで考えが至らなかった。憲法や教育基本法には私が近づいたように思った。採用時に「憲法を守る」という誓約書に署名捺印が求められた。多くの書類の中の一枚ではなかったことを、この時、意識したのではないだろうか。
 だから、公務の仕事に就き、しかも権力を持っている安倍首相の改憲発議は絶対に許すことはできない。
 退職した私は、阪中重良さんから九条の会の事務局の仕事に誘われた。どれだけのお手伝いができるかわからないが、快諾した。自然の流れだった。
 憲法をめぐる思い出や接点は、まだまだあるなあと思う。多くの人々もきっとそうだろう。だから憲法を守る国民のエネルギーは大きいし、強いのだ。同い年の憲法が、元気に輝き続けるように、ささやかな力を出していきたい。(真)

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守ろう9条 紀の川 市民の会「第15回憲法フェスタ」

2018年11月11日(日)
河北コミュニティセンター(和歌山市市小路192-3)
★メイン会場(2F多目的ホール)      14:00~16:30
 第1部 ファミリーバンド「Crowfield(クロウフィールド)」
 第2部 講演 飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)
       「自民党改憲案にどう向き合うか~私たちの具体的な対抗策は~」
★DVD上映「いのちの海 辺野古 大浦湾」  10:30~11:45
★展示の部屋                10:00~13:45
★リサイクルひろば             10:15~13:00
★写真展示「ヒロシマ・ナガサキ 原爆と人間」 10:00~14:00

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(2018年11月05日入力 06日修正)
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