「九条の会・わかやま」 365号を発行(2019年01月01日付)

 365号が1月1日付で発行されました。1面は、国民投票で「今なら勝てる」と思わせない取り組みを(飯島 滋明 さん ③)、那賀郡の会「第14回好きなんよ9条まつり」開催、九条噺、2面は、太平洋戦争勃発の日に街宣活動 みなべ「九条の会」、朝日新聞世論調査(12月18日)  です。
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国民投票で「今なら勝てる」と思わせない取り組みを

 11月11日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第15回憲法フェスタ」が開催され、名古屋学院大学教授(憲法学)・飯島滋明さんが「自民党改憲案にどう向き合うか~私たちの具体的な対抗策は~」と題して講演されました。要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は3回目で最終回。
飯島 滋明 さん ③



 日本の侵略戦争によって近隣諸国の民衆は2000万人から3000万人が犠牲になり、日本の犠牲者は310万人、こうして第2次世界大戦は5000万人から8000万人が犠牲になった。武力で平和は作れないことは第1次世界大戦でも経験している。それで、国際連盟やパリ不戦条約が作られた。それを真っ先に破ったのが日本で、8000万人とかの犠牲者が出てしまった。今、国連憲章では「武力不行使の原則」が決められている。16年12月には「平和への権利宣言」が国連総会で採択された。
 侵略戦争を起した日本軍の上層部は、国民に対しては「国のために死ね」という教育をしながら、いざとなれば真っ先に逃げた。満州ではソ連軍が侵攻し、軍人や役人はすぐに逃げ、残された女性、子ども、老人はソ連軍に蹂躙された。沖縄では県民に徹底抗戦を命じながら、いざとなると自分たちは逃げてしまい、県民の4人に1人が犠牲になった。今、憲法前文は「日本国民は、…政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」と、「国民は政府に戦争させません」と書いている。そうは言っても、中国や北朝鮮は脅威ではないかとの議論が出てくる。もし、中国と日本が戦争になれば、アメリカは日本から撤退する。アメリカは中国が日本に80発の核攻撃をすると思っている。これは防ぎようがないのが分かっていながら、中国と戦争をしようと思っている方がよほど「平和ボケ」だ。武力衝突になれば尖閣だけで済む訳がない。中国、北朝鮮が脅威なら日本海側に集中する原発の再稼働などあり得ない話だ。また、サイバー攻撃は防ぎようがないのだから、中国と戦争するなどと考えるのではなく、如何に戦争をさせないか、外交努力をどうするかを考えるべきだ。80年代にソ連の脅威をあげていたが、ソ連が日本を攻撃する計画などなかったことは分かっていた。同じことを中国や北朝鮮にやっている。軍隊にとって一番の脅威は敵がいないことだ。だから、仮想敵を作る。それに合せて憲法改正の必要があるのかは考える必要がある。
 憲法改正阻止に向けてどうするべきか。9条を変えてはいけないが、「緊急事態条項」などの9条以外の項目をあまり軽く考えないでほしい。憲法9条は「戦争をするか、しないか」の話だが、「どのようにして戦争をするのか」では「緊急事態条項」が必要となる。実際に戦争をする場合は戦場に行かせたり、物を取り上げたりする必要があり、それを可能にするのが「緊急事態条項」で、戦争に直結するものだ。「教育の無償化」と言われると乗ってしまう人が多いが、本当に「教育の無償化」をしたいのなら、法律を作ればいいだけの話だ。むしろ、国のために死ぬのは尊いことだといった思想教育のために憲法改正が使われる危険性がある。「合区解消」は、産経新聞ですら「合区対象県には自民党の強固な支持基盤があるという現実を前に、自民党は党利を図っているとみられても仕方ない」と言っている。自民党を勝たせるための憲法改正に850億円も使って実施するのかということになる。
 国民投票だが、1933年7月にヒトラーが作った4つの法律のひとつが「国民投票法」だ。ヒトラーは国民投票を使って独裁を生み出した。国民投票で負ければ、例えば、イギリスのEU問題でのキャメロン首相、イタリアの憲法改正問題でのレンツィ首相は直ちに首相を辞めた。安倍首相が憲法改正の国民投票をして、否決されたら、タダで済む訳がない。主権者に否決されたら当然辞めることになり、憲法改正は当分できなくなる。そうであれば、彼らが憲法改正を国民投票に掛けるのは「今やれば勝てる」と思った時、そしてメディアがそれに乗ってしまった時になるので、そこを警戒する必要がある。19年7月の参院選で3分の2が取れると自民党も思っていない。自・公で3分の2が取れないと、改憲発議ができなくなるので、5~6月に何が何でもやってしまおうと安倍首相が考えている可能性がある。国民投票ではテレビCMで大量の宣伝が行われる可能性がある。日本の政財界は改憲に賛成だから多額の金を使って改憲賛成をやりまくる可能性がある。フランスやスイスではこのようなCMは一切禁止になっている。若者は新聞を読んでいないが、ネットで情報を得ている。ネットでは散々デマが流されており、これにどう対応するのかを考える必要がある。憲法改正をさせないためには、国民投票で権力者に「今なら勝てる」と思わせないために、できるだけ多くの学習会、デモなどで反対の声をあげる必要がある。全国で声が広がれば国民投票がやり難くなるかもしれない。万一国民投票に持ち込まれても、それを否決する体制が必要だ。市民には「よく分からない」という人が多いと思う。この人たちに分かり易い説明をすることが一番重要だ。以前この場に来られた日体大教授・清水雅彦氏が言われるように、「一人で行くのではなく、誰かを連れて行く」ことが必要かと思う。新聞などより身近な人の方が影響力が強いという研究もある。みなさんも憲法改正はこんなに危険だということを周りに分かり易く伝えることが必要だ。(おわり)

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那賀郡の会「第14回好きなんよ9条まつり」開催



 12月16日、「九条を守ろう」那賀郡の会は「第14回好きなんよ9条まつり」を、紀の川市桃山会館で開催しました。朝は寒さも厳しかったですが、ホールの中は熱気にあふれ、150名近い参加者で成功することができました。
 開会は、「九条を守ろう」那賀郡の会の呼びかけ人の一人である増田博さんのあいさつではじまりました。
 平和のリレートークでは2人の方が発言されました。「桃山9条の会」の赤山さんは、9月に行われた沖縄県知事選挙の応援で沖縄へ行った感想から、辺野古基地移転に関して、安倍首相の強行策を絶対に許さない運動を全国で広げようと訴えました。また、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の畑純一弁護士は、この臨時国会で自民党の改憲案を発議させなかったのは国民の力であるし、来年の参議院選挙も野党共闘で勝利し、発議をさせない状況を作ろう。もし発議されたとしても国民投票では、国民の過半数がNO!という判断を下すように運動をしていこうと力強く訴えられました。
 舞台発表は、楽器の演奏、歌・ダンス、教師による寸劇、小学生による落語も披露され、バラエティーに富んだ発表は大きな拍手喝采を受けました。恒例のビンゴ大会・抽選会などでも楽しむことができました。また、各団体による模擬店には、おいしい食べ物や野菜、手作り品の販売もあり、バザーも行われ、にぎわいました。
 「安倍9条改憲を許さない」那賀連絡会の事務局からは、「3000万署名を引き続き行っていこう」と訴えました。(会の事務局長・部家司好さんより)



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【九条噺】

 政府は、新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」と、今後5年間の装備品の見積りを定めた「中期防衛力整備計画」を閣議決定した▼それには、「いずも」型護衛艦2隻(「いずも」と「かが」)を改修する事実上の空母化が明記された。「いずも」は全長248m、全幅38mの海上自衛隊最大の艦船で、空母のように艦首から艦尾までがつながった飛行甲板を持っており、それに「短距離離陸・垂直着陸機」の「F35B」を搭載しようとしている▼「F35B」は、精密誘導爆弾などを搭載し、国際水域から他国の地上を空爆する強襲能力に優れた対地攻撃機であり、艦上での運用を前提とした最新鋭ステルス戦闘機だ。エンジン排出口を下向きに可変でき、その他の装置を併せて短距離離陸・垂直着陸ができる。「いずも」は、垂直着陸時にエンジンから出る熱に耐えられるように甲板の耐熱性を高める改修が求められている▼従来より、「専守防衛」の方針のもとで日本は「攻撃型空母」は持てないとしてきた。政府は批判をかわすために、戦闘機は常時搭載しないとか、呼称を「空母」ではなく、「多機能の護衛艦」などとごまかそうとしているが、「いずも+F35B」は、誰が見ても他国への攻撃も可能な「攻撃型空母」で、「専守防衛」からの逸脱だ▼岩屋防衛相は、「いずも」を米海兵隊の「F35B」が使用することもあり得ると認めている。「いずも」の改修は米軍と一体となって海外での武力行使を一層進めるものと言わなければならない。(南)

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太平洋戦争勃発の日に街宣活動
みなべ「九条の会」




 みなべ「九条の会」は憲法と重要な関りがある、5月3日の「憲法記念日」、8月15日の「終戦記念日」、12月8日の「太平洋戦争開戦の日」の3つの日に、結成以来継続して街宣活動を行っています。
 77年前の12月8日、日本は太平洋戦争に突入しました。「12月8日は太平洋戦争が始まった日です。77年前、日本がハワイの真珠湾を攻撃し、泥沼の戦争へと突入していった日です。この戦争によって、日本国民をはじめ、アジアの多くの人々に地獄の苦しみと犠牲を与えました。みなべ町でも、清川で83人、高城で75人、上南部で189人、旧南部町で467人、合せて814人もの戦死者を出しました。終戦に際し、日本は『二度と戦争はしない。戦力は持たない』と世界に誓いました。その誓いが憲法9条です。みなべ『九条の会』は、何としても今の憲法9条を守りぬき、子どもや孫たちの日本の未来に『戦争ができる憲法』は渡したくないと活動しています。みんなの力で72年間守り続けてきた憲法9条を守り抜きましょう」と、安倍改憲の動きが強まる中、今年もみなべ町全域で朝9時から午後3時半まで町民の皆さんに訴え続けました。 (会の平野憲一郎さんより)

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朝日新聞世論調査(12月18日)



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(2018年12月31日入力)
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