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危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲
「1・19和歌山県民のつどい」開催
1月19日、和歌山県民文化会館(和歌山市)で「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」が開催され、県下から900人が参加しました。
開会前の会場内では、約3年間の和歌山県内の9条を守る様々な活動の映像約100枚が10分近くのスライドショウとして映写されました。
プログラムは、当会・事務局長の柏原卓さんの開会挨拶で始まりました。柏原さんは、「参加者のみなさんが『危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲』を周りに広めよう」と訴えました。その後、立憲野党6党からのメッセージが披露されました。
第1部は、「芸人9条の会」の桂文福師匠(和歌山県紀の川市出身)が相撲甚句、河内音頭、9条新作落語を披露しました。文福師匠は、「最も大事な憲法とかけて、何ととく、かつての西鉄ライオンズの聖地ととく、その心は『平和第九条』」などと笑わせながら、「日本の窮状を救うには、絶対九条が必要」と笑いの中で訴えられました。
第2部の講演では、慶応大学名誉教授・小林節氏が、特定秘密保護法、戦争法、共謀罪、労働法制改悪、入管法改正、モリ・カケ問題など、安倍政権による憲法破壊が進んでいる。安倍改憲提案の本命は、「必要な自衛を行う自衛隊を保持する」を9条に加憲し、専守防衛、海外派兵の禁止の9条2項を否定し、米軍の二軍化を図るものだと批判されました(小林氏の講演要旨は次号以降に掲載予定)。
第3部は、龍絃会の津軽三味線演奏と、この日のために結成された和歌山ピースバンドが「イマジン」「この島~日本国憲法の歌」など4曲を演奏しました。その後、子ども、パパ、ママたちがステージに上がり、「あの青い空のように」を歌いました。最後に「つどいからのメッセージ」が提案され、採択されました。
「安倍改憲阻止、安倍政権退陣」への決意を固めるつどいとなりました。
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「九条の会呼びかけ人」梅原猛氏死去
「九条の会」呼びかけ人・梅原猛さんが1月12日、死去されました。93歳。謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。1月14日付の毎日新聞からご紹介します。
哲学者の枠にとどまらない、膨大な日本文化の集積から、独自の「梅原日本学」を築いた梅原猛さんが亡くなった。イデオロギーを嫌い、学問を愛した人生だった。
哲学との出合いは旧制八高(現名古屋大)時代。ハイデガーやニーチェへの理解を深める傍ら、西田幾多郎、田辺元、和辻哲郎ら京都学派に興味を持ち、京大哲学科に進む。死を見据えたうえで存在とは何かを考える立場の礎には、名古屋大空襲や徴兵など、自身の苦い経験があった。
日本文化への探求を深め、広げていった。「今までの日本研究は総合的な視野が欠けていた。『日本のことなんかやるのは反動だ』と左寄りの批判があった」。学生運動が盛り上がった時代の世相には距離を置きつつ、権力者に対する舌鋒は鋭かった。国際日本文化研究センター創設にあたり、中曽根康弘首相に恩義を感じながらも「私と中曽根さんとは政治的信条を異にしている。憲法改正に私は反対。この日文研では政治が文化に奉仕している」と誇った。「美しい国」を掲げた安倍晋三首相に対しては「確かに日本は美しい。しかし美しい日本人とは? 東条英機ですか? 小泉純一郎? そうではない。菅原道真であり、世阿弥であり、千利休だ。彼らはみな権力に抹殺された」。2004年には「九条の会」設立呼びかけ人の一人にも名を連ねた。
ユーモアに満ちた言説で知られ、07年の同センター設立20周年の記念あいさつでは「若いときは(柿本)人麻呂や聖徳太子の霊が乗り移っていろんな本を書いたんですが、ただ今、世阿弥の霊が乗り移った」と笑わせた。また「80になってやっと本当に学問が楽しくなった。100まで生きるのは無理か知らないが、生きて挑戦したい」と学問への尽きぬ思いを語った。
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【九条噺】
安倍政権の暴走が際立った臨時国会。改憲シフトまで敷き改憲案の国会上程を狙ったが、野党の結束とそれを支えた国民の運動が彼らの狙いを押し返した。2019年は安倍政権に決着をつける年にしたい▼『戦争経済大国』を読んだ。著者はジャーナリストの斎藤貴男氏。戦後史と同時代史だと考える彼にとって、ノーム・チョムスキー氏と辺見庸氏の対談を読んで「胃の腑に落ちた気がした」という▼チョムスキー氏は「戦後の日本経済の復興は徹頭徹尾、米国の戦争に加担したことによるものだ。米国の覇権の枠組みの中で国家を再建しようとした」と言い、辺見氏は「畏敬の念を感じた」という箇所を読んだ時のこと▼斎藤氏は9条改憲が声高くなってくる中で、この文章が重く響いてきたという。高度経済成長の恩恵によって育った自分は、朝鮮半島やベトナムの人々の生命と引き換えにあったのではないか。『戦争経済大国』はこういう問題意識で書かれた▼朝鮮特需はよく言われる。が、ベトナム特需はあまり語られないが、その勢いは「凄まじいものだった」という。兵器産業は言うに及ばず、観光業に至るまで日本の儲けぶりを、ジャーナリストの取材力を駆使して明らかにしていく▼9条はアジアの多くの人びとの生命の中で育まれたものなのだ。そして、9条改悪を許さないということは、私たち一人一人の生活を見つめ直すことと深く結びついているのだと思う。この本を一読されることをお勧めしたい。(真)
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第55回「ランチタイムデモ」実施
1月16日、今年最初の第55回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ・憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が実施され、60人の市民が参加しました。比較的穏やかな天候のこの日、市役所前から京橋プロムナードまで、「憲法守れ」「9条守れ」と訴えて行進しました。
デモ終了後の京橋プロムナードで、19日の「県民のつどい」に、周りの多くの方に声をかけて、参加してくださいとのお願いがありました。
次回は2月13日(水)、次々回は3月13日(水)です。
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言葉「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」
「防衛計画の大綱」は、自衛隊の役割・具体的な体制、主要装備の整備目標の水準などを示す日本の防衛に関する中期的な基本指針のことです。「中期防衛力整備計画(中期防)」は、「防衛計画の大綱」に基づいて策定され、5年間の防衛費総額と主要装備の整備数が具体的に盛り込まれ、これをもとに各年度の防衛力整備が実施されます。概ね5年毎に改定されています。
1976年の「大綱」では「基盤的防衛力構想」が示されました。自衛隊は、潜在的な敵を明記せず、役割を日本防衛に限定し、日本周辺に「力の空白」を生じさせないために「必要最小限の軍事力」の保持、いわゆる「専守防衛」を定義したものです。
10年の「大綱」では「基盤的防衛力構想」を見直し、「動的防衛力」が打ち出されました。「朝鮮半島、台湾海峡、北方領土問題等、主権・領土問題などの不確実性」への多様な対応のために機動力と即応性をより高めるとし、アジア太平洋地域、さらには地球規模での自衛隊の展開を想定したものです。13年の安倍内閣の「大綱」では「統合機動防衛力」が示されました。そして18年の新「大綱・中期防」は、「多次元統合防衛力」の構築を掲げ、「従来とは抜本的に異なる速度」で軍事力を強化するとしています。同時に、安保法制=戦争法と一体である「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の下での日米軍事協力のさらなる強化をうたっています。
特に目立つのが、「イージス・アショア」の整備、F35ステルス戦闘機の147機体制、「いずも」型護衛艦の空母化、長距離巡航ミサイルの導入など、今後5年間で27兆4700億円とし、14~18年度を2兆8000億円も上回る規模で、軍事緊張を高める大軍拡になっています。
そして、トランプ米大統領の言いなりに、米政府から直接兵器を買う有償軍事援助が急増しています。19年度は過去最大の7013億円で、18年度に比べ3千億円近く増え、安倍政権発足前の12年度の1380億円の約5倍にもなります。高額兵器代金は、複数年の分割払いになりますので、将来の予算を圧迫し、なし崩し的な防衛費の増大につながります。20年度以降に支払われる後年度負担は2兆5781億円で、実に年間の防衛予算の半分に迫ります。
今回の「大綱・中期防」は、「専守防衛」を建前としてきた自衛隊を、米軍と一緒になって「海外で戦争できる軍隊」へと大きく変貌させるものです。
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書籍紹介『戦争をなくすための平和学』
「戦争のない世界」の実現可能性を人類が培ってきた〈運動・思想・構想〉に焦点を当て、理論的・実証的に追究する。実践的学問である平和学の今日的課題を探究するとともに、私たち市民一人ひとりの役割と課題にも言及する。
【1部】平和とは何か(平和学とはどのような学問か、平和概念の歴史的展開、平和主義の概念)【2部】非暴力の思想と運動(非暴力抵抗の進展、ガンディーの非暴力主義、M.L.キングと公民権運動、ジーン・シャープの非暴力理論)
【3部】戦争をなくすための思想と構想(戦争はなぜ起こるのか、世界連邦思想の検討、非暴力防衛の可能性、日本国憲法の平和主義、地球市民社会と平和構築)
【著者紹介】寺島 俊穂(テラジマ トシオ)
1950年東京都生まれ。1978年慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。現在、関西大学法学部教授、法学博士
(当会呼びかけ人・江川治邦氏ご紹介)
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発行:(株)法律文化社
京都市北区上賀茂岩ヶ垣内町71
TEL:075-791-7131 FAX:075-721-8400
著者:寺島 俊穂
判型:A5判、242ページ
出版:2015年11月 定価:2,500円+税
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