「九条の会・わかやま」 367号を発行(2019年02月15日付)

 367号が2月15日付で発行されました。1面は、安倍政権は憲法をぐちゃぐちゃにしたが 憲法はまだ生きている(小林 節 氏 ① )、「和歌山市ひがし9条の会」が第5回平和コンサート開催、九条噺、2面は、第56回「ランチタイムデモ」実施、自民の自衛隊明記「9条の2」案は平和主義骨抜き表現だらけ  です。
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[本文から]

安倍政権は憲法をぐちゃぐちゃにしたが、
憲法はまだ生きている


 1月19日、和歌山県民文化会館大ホールで「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」が開催され、慶応大学名誉教授・小林節氏が「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」と題して講演をされました。その要旨を3回に分けてご紹介します。今回は1回目。

小林 節 氏 ①



 ここ和歌山は安倍チルドレンの一人が頑張っており、基礎票だけを足したら勝ち目はないように見える。しかし、5割の棄権者から1割でも入ると十分に勝負出来る。政治を見捨てている5割の人たちに、「今度は何か出来る。一矢報いてやろう」という気にさせて、野党がつまらない順番争いとかプライドを捨て、納得して一つにまとまって動き出せば、後は候補者の魅力があれば勝てる。これが経験則だ。今でも安倍政権は有権者の25%にしか支えられていない。自公と野党の票は40数%で拮抗している。だから野党が円満に手を取り、ひとつになって、有権者が期待できるような候補者を立てれば、眠っている人は起きてくる。そのような認識を持っていないと、選挙制度のトリックで45%の得票で75%の議席を取られることになる。
 この状況に慣れてしまった安倍政権は憲法をぐちゃぐちゃにしてしまっている。しかし、これは法律とか彼らの行動でやっているのであり、憲法そのものはまだ生きている。憲法を無視する政治がまかり通っているだけで、野党が小さ過ぎるだけで、政権交代をしたら一気に憲法違反の法律は全部廃止したり、修正したり出来る。行政はやめさせればよいだけの話だ。安倍首相は憲法を壊した上で、今度は憲法自体を変えようとしている。これをさせてしまうと、これを取り返すのはおおごとだ。だから、今この瞬間がとても大事だ。
 特定秘密保護法が作られた。これは、世界で稀に見る悪法だ。自由と民主主義を標榜する普通の国にはこんな悪い法律はない。アメリカでは、大統領が罪を犯して秘密にしても30年経てば事実は自動的に出てくる。歴史の教訓として次の時代に生かせるようになっている。日本では秘密にする期限がない。特定秘密保護法によって権力者は永遠に自分の不正を闇に葬ることができる。これは民主国家ではない。我々主権者には表現の自由があるが、その前提として知る権利があって当り前だ。憲法21条の表現の自由は当然に知る権利を含んでいる。これを安倍政権は否定した。
 戦争法についてだが、日本は9条があるから戦争は出来ない。国際社会には中央立法府はない。国連は言いたいことを言い合う場で国会ではない。世界には中央立法府も、中央大統領も、中央裁判所もない。国際司法裁判所はオランダのハーグにあるが、例えば、日本が一度も自ら手放すと言ったこともなく、有史以来ずっと行政支配してきた土地をどこかの国が自分のものだと言ってきた時、日本が国際司法裁判所に行こうと言っても相手がイヤだと言えば裁判にならない。その意味で国際社会は非常に原始的な社会だ。だから最後は軍事力で話をつけるということになり、それが戦争だ。日本国内に戦争はないが、国際社会には戦争があって、戦時国際法がある。戦争のやり方、武器をもって殺し合うルールがある。誰でも知っている国際法では、戦場で軍人が民間人を撃ったら戦犯になるが、軍人を撃ち殺しても違法にはならない。通常は人が人を殺したら違法になるが、軍人が戦場で軍人を殺したら勲章をもらえるかもしれない。人が人を殺して片方は犯罪になり、片方は褒賞の対象になる。これが戦争というものの法的効果だ。戦争をするために国には何が必要か。軍隊を出すのと宣戦布告だ。憲法9条2項は「陸海空その他の戦力は持たない」と軍隊は持たないと言っている。日本は出す道具がない。戦争をしたくても出来ない。「交戦権は行使しない」と、日本はやりたくても戦争する道具も法的資格もないから、国際社会で戦争に出て行けない。これが戦後自民党と内閣法制局が確立してきた真っ当な考え方だった。ところが、日本の安全保障に重要な影響があると政府が認定したら海外派兵が出来るという法律を作った。戦争が出来ない国が、戦争が出来るという法律を作ったから、我々は戦争法と言う。安倍首相は戦争法を作り、戦争が出来ない国が戦争出来るという、絶対に憲法につながらないことをやってしまった。憲法は権力者を縛るものだ。人間は不完全なものだから、やってはいけないことが分かっていながらやってしまうことがある。不完全な人間が共同生活をしているから法というルールがあって、平和・秩序が保たれている。ジョージ・ワシントンは18世紀に世界で最初に民主国家を作った時、国の運営のために、国民はワシントンにアメリカの最初の王様になってほしいと言った。ワシントンは、我々は王様と貴族という為政者と戦って国を作ったから、王国を作ってはいけない。みんなで相談して、任期を決めて、会社のように国を運営しようとした。そしてワシントンはキングではなくプレジデントとなった。普段、民法、刑法にしばられていた人たちが国の権力者になるということは、軍隊を持つ、警察を管理する、中央銀行を管理することになり、ただでさえ危ない人間がとてつもない権限を持ったらもっと危ない。だから前もって憲法という約束で権力者の手を縛ろうと憲法を作った。(つづく)

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「和歌山市ひがし9条の会」が第5回平和コンサート開催



 2月10日「和歌山市ひがし9条の会」は東部コミュニティセンターで、「第5回平和コンサート」を開催しました。
 3年連続出場の若林さんは先ず「花」「早春賦」を熱唱。「ユーアーマイサンシャイン」は平和の歌で、選挙では平和につながる清き1票を投じようと話されました。  初登場の「スコップみだれ組」のみなさんは、「ヤン坊・マー坊の歌」の踊りと「浪花節だよ人生は」をスコップと栓抜きのバチを使って力強く演奏されました。「スコップも楽器になるんやなぁ」とビックリしたり、感心したりのひとときでした。



 続いて「MAYAHUACA(マヤウァカ)」の皆さんが、お揃いのポンチョ姿で、フォルクローレ(アンデスの音楽)を演奏。有名な「コンドルは飛んで行く」やエクアドルなどの曲も披露してくれました。楽器の紹介もあり、その地域で使われているマンドリン、尺八に近い音色のケーナ、山羊の皮で作ったボンボや、アルパカの爪で作られたという鈴のような珍しい物もありました。「天空の城ラピュタ」より「君をのせて」など日本の曲も披露され、どれもすばらしい演奏でした。参加者から「どこかでライブしていないの」の質問があり、4月13日四季の郷で出演されるそうです。最後に、「ふるさと・かあさんの歌・四季の歌」などを合唱しました。
 「今、9条があるからこのような催しを楽しむことができる。3000万署名をがんばって、改憲NOの声を示そう。来年もよろしく!」と呼びかけて散会しました。(会の神谷米子さんより)

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【九条噺】

 日本の最も寒い時期は、大寒(1月20日)から立春(2月4日)の間だそうだ。今後徐々に暖かくなるのだろう。毎日「寒い寒い」と言っているが、子どもの頃は雪が積ったのに、今や我家周辺で積ることはめったにない。地球温暖化は確実に進んでいるようだ▼グリーンランドには地球の海面を約7m上昇させる氷があり、その融解は03~12年の間に4倍も加速しているそうだ。すぐにすべての氷が溶けるという訳ではないが、海面上昇が進むと国土が水没する国もあるだろう。急激な地球温暖化が大きな原因の一つだ▼地球温暖化の原因はCO2排出の増加だ。世界気象機関はCO2排出は14~16年は横ばいだったが、18年は2%以上増加する見込みだと報告している。石炭、石油、ガス使用が増加しているからだという▼17年のCO2排出量の国別ランクは①中国9・2G(ギガ=10億)㌧②米国5・1G㌧③インド2・3G㌧④ロシア1・5G㌧⑤日本1・2G㌧だ。ところが16年の国民1人当りでは②米国⑥日本⑨中国となる▼中国は9位だから許されると言うつもりは全くないが、許し難いのはトランプ米大統領だ。パリ協定から離脱を表明し、CO2削減を「バカげた規制」、北米寒波には古き良き地球温暖化を活用しようと言っている▼デンマークは電力の4割を風力でまかなっている。日本の技術力をもってすれば、環境に充分配慮した自然エネルギーへの転換を大幅に進められるはずだ。これこそ真の世界への貢献だろう。(南)

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第56回「ランチタイムデモ」実施



 2月13日、第56回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ・憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が行われ、70人の市民が参加しました。出発前の挨拶で、藤井幹雄弁護士は、池江璃花子さんの白血病公表について、桜田五輪担当相が「ガッカリしている」と述べたことに憤慨し、不適格者を任命した安倍首相を厳しく批判しました。
 参加者は市役所前から京橋プロムナードまで、「憲法守れ」「9条守れ」と訴えて行進しました。  次回は3月13日(水)です。

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自民の自衛隊明記「9条の2」案は
平和主義骨抜き表現だらけ


 安倍首相は、国会答弁で「国会で真摯な議論を深めることが必要で、私たちにはその義務がある」とまで言い出しました。首相が特に重視するのが、自衛隊の存在を明記する「9条の2」の新設です。短い文章の中に、憲法の平和主義を骨抜きにする表現が驚くほど多く盛り込まれていると専門家は危惧しています。日本体育大の清水雅彦教授(憲法学)の指摘を基にした東京新聞掲載の「逐語解説」をご紹介します。

自民党改憲条文案「9条の2」の問題点(東京新聞2019年1月7日付)



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(2018年02月15日入力)
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