「九条の会・わかやま」 369号を発行(2019年03月05日付)

 369号が3月5日付で発行されました。1面は、人心一新のスローガンで野党がひとつになればよい(小林 節 氏 ③ )、自民党 改憲「Q&A」作成・配付、九条噺、2面は、書籍紹介 『平和憲法の破壊は許さない』なぜいま 憲法に自衛隊を明記してはならないのか   です。
    ――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]

人心一新のスローガンで野党がひとつになればよい

 1月19日、和歌山県民文化会館大ホールで「危ないぞ!みんなで止めよう安倍壊憲 1・19和歌山県民のつどい」が開催され、慶応大学名誉教授・小林節氏が「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」と題して講演をされました。その要旨を3回に分けてご紹介しています。今回は3回目で最終回。

小林 節 氏 ③



 安倍首相はいろんなことを考えている。自民党では過半数が安倍首相の下で政治家になった人だ。要は選挙制度のトリックで1人区は相対的多数が全部取ってしまう。何故小選挙区制にしたかだが、「激動する時代にてきぱきと政治が出来る。しかししくじったらすぐに政権交代が出来る」ということだった。51%と49%の間で2%の移動で政権交代ができる。2%は簡単な話だ。統計上、選挙では1割は前回と違った行動をしている。だから、変な政治をしたらすぐに政権交代出来るからよいと思ったが、自民党と公明党が癒着したため、公明党の票が政策や人によって移動しない自民党票の一部になってしまった。戦争法の時、公明党は権力をともにするためには、政策を度外視すると言った。野党なら細かいことを言うことはない。あの恐ろしい絶対権力を倒すために私たちも彼ら並みに賢くやろうということでよいのではないか。政策、政策と言うが、これほど国民が大変になっている時代、どの党にもいろんな意見があるが、政策こそ国会で議論し、その都度決めればよい。選挙というのは政策選択だけではない。人心一新というカードがある。人を代えることで、我々の気持で、政治も経済も大きく変わる。いくら政府が財政出動でお金をばら撒いても、信用出来ないからお金を貯めておくという話にもなっている。人心一新のスローガンで野党がひとつになればよい。安倍首相を取り替える、政策は改めて議論しようということでもよいではないか。自民党の中だって基本政策は割れている。野党の基本政策が割れていても恥じることではない。政治家は身近な有権者に弱い。自民党は憲法改正をしたいが、それ以上に政権を継続したい。憲法改正が今ダメだったら安倍4選を考えて、また3分の2を取り直して、また憲法改正をと考えている。先般、安倍お友だちを憲法改正シフトに揃えたが空気はよくならなかった。憲法を知らない人を揃えてもダメなのだ。
 そこで、世論が憲法改正もよいのではないかとちょっとでも揺れたら、同日選挙が来ると思う。国民投票法は費用とか文書とか戸別訪問とか一切無制限だ。同日選挙になると自民党が一番たくさんの候補者を持っている。その候補者が戸別訪問をすると、これは恐ろしい話だ。今我々がやるべきことは、憲法改正というバカバカしいことをやめようという空気をつくることだ。
 今自民党が考えている憲法改正項目は4つあるが、3つはダミーだ。9条1項の戦争放棄は、パリ不戦条約の侵略戦争は放棄するということで、自衛戦争は放棄していない。自衛戦争は擁護しているが、2項は軍隊、交戦権を否定しているので、戦争は出来ない。戦争法でもその辺は曖昧になっていて、「みんな仕事で武器を持って行きなさい。使いたかったら自分で責任を取りなさい」ということになっている。自民党改憲案は1項2項はそのままで、3項で自衛のために必要な自衛隊を持つとなっている。自衛隊は言葉の上では憲法違反ではない。仕事は自衛のために必要なことをする。攻めてはいけないが、襲われたら最低限守ることは出来るという解釈で、自衛隊の行動は必要最小限の軍事行動だった。それが必要な自衛を行うとなった。こうやって火事場泥棒のように自衛隊の権限を拡大する。1項で自衛戦争は除き、侵略戦争は放棄する、でも、2項で戦争の道具と権限がないから戦争は出来ない。だから、国の中で第2警察・自衛隊が敵を追い払うことは出来るという扱いになっていたものを、それを必要な自衛は出来るとしたら、必要な自衛戦争は出来るということになり、自衛戦争には政府が必要と認定すれば海外派兵も含まれる。3項が出来ると、新しい法が古い法を否定する。日本人は新しい条文を入れると古い方は削ることが多いが、残しても、1項2項に何と書いてあっても、政府が認定すれば必要な自衛は何でも出来る。このいかさまを覚えておいて心配な人は拡散してほしい。そして本当に野党が人心一新で楽しくまとまって、自民党があまりにもやり過ぎだということが伝われば、選挙に行く人が1割増えたら勝つことが出来る。そういう運動をみなさんにしてほしくて今日のお話をさせていただいた。(おわり)

    -----------------------------------------------------------------------------------------------

自民党、改憲「Q&A」作成・配付





 自民党憲法改正推進本部は、自民党の改憲条文素案について「日本国憲法改正の考え方~『条文イメージ(たたき台素案)』Q&A~」を作成し、党所属国会議員に配布しています。
 Q&Aは、「総論」「各論1『自衛隊明記』について」「各論2『緊急事態対応』について」「各論3『合区解消・地方公共団体』について」「各論4『教育充実』について」と「現行憲法との対照表」の15ページ、全21問になっています。
 総論Q1の「なぜ、今、憲法を改正しようとしているのですか?」では、「憲法が施行されてから70年以上が経ち、国民の意識や憲法を取り巻く環境は大きく変化していますが、これまでに一度も改正されたことがなく、現状と合わなくなってきた部分もあります。そうした部分について手当てするために、憲法を改正する必要があると考えています」と述べています。また、各論1Q5の「自衛隊を憲法に明記する必要はあるのですか?」では、「自衛隊の諸活動は、現在、多くの国民の支持を得ているにもかかわらず、自衛隊については、①合憲と言う憲法学者は少なく、②中学校の大半の教科書(7社中6社)が違憲論に触れており、③国会に議席を持つ政党の中には自衛隊を違憲と主張するものもあります。自衛隊について一部に違憲との意見があることは、法治主義・立憲主義の観点から大きな問題があります。そこで、自衛隊を憲法に位置づけ、『自衛隊違憲論』を解消するために、今、憲法を改正する必要があるのです。また、この改正は、我が国の安全保障を確固たるものにすることにもつながるものであるとも考えています」と述べています。
 しかし、改憲条文素案は、9条に「必要な自衛の措置をとることを妨げず」「内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」という条文を付け加えていますが、Q&Aは、「9条1項・2項を一字一句変えずそのまま維持するとともに、自衛権行使の範囲を含め…これまでの憲法解釈についても全く変えることなく、国民に信頼されている等身大の自衛隊をそのまま憲法に位置付けようとするものです」と説明しています。戦力不保持と交戦権の否認を明記した憲法に自衛隊を書き込めば、9条の空文化につながり、海外での武力行使が無制限になってしまうことには、全く説明も言訳もありません。
 安倍首相は昨年、憲法審査会に自民党案を提示しようとしましたが失敗し、今年になって巻き返しに出ています。そして、自民党大会で市町村の「6割以上が自衛隊員募集の協力を拒否している」ので、自衛隊を憲法に明記しなければならないと主張しました。名簿を強制的に集めることが、9条改憲の狙いの一つであることを「告白」しています。Q&Aは自民党議員を安倍改憲に総動員するツールとして送付されたものです。
Q&A全文はここをクリック→ http://home.384.jp/kashi/9jowaka/pdf/jobun-image-QA.pdf

    -----------------------------------------------------------------------------------------------

【九条噺】

 天皇の代替りに伴い元号に関する世論調査が毎日新聞から発表されている。元号と西暦のどちらを使うかでは、30年前の調査は、「主に元号」64%、「元号と西暦と半々」24%、「主に西暦」10%だったが、今回の調査では、それぞれ34%、34%、25%と西暦が大幅に増えている▼筆者が勤務した企業では50年も前から西暦だった。生年月日、伝票、報告書なども西暦で、銀行や官庁提出書類では「今年は昭和何年だ?」と新聞などで確認したものだ▼ところで、1989年は元号では何年か? 答は昭和64年で、平成元年だ。こんなややこしいことも起る。元号と西暦との換算は簡単ではない。万国共通の西暦にすべきだ▼元号とは、君主が特定の時代に名前を付ける行為で、君主が空間だけでなく時間まで支配するという思想に基づく。元号は中国から取り入れたが、今や中国も周りの国々も使用していない。使用するのは日本だけだ▼皇族の秋篠宮眞子さんが「出会いは2012年」と発言して、保守派の一部に衝撃が走ったそうだ。新元号は4月1日に発表されるが、「日本会議」は新天皇の「即位」後に新元号を決定し公布するが本来の姿だと文句を言っている。このように元号は天皇制を支えるものだ▼今や天皇は象徴に過ぎない。元号は元号法に規定されているだけで、公的機関は元号を使用すると定めた法律はない。この際すっきりと止めてしまったらどうか。それが国民主権、民主主義国家の在り方だろう。筆者はそう思うが如何か。(南)

    -----------------------------------------------------------------------------------------------

書籍紹介 『平和憲法の破壊は許さない』なぜいま、憲法に自衛隊を明記してはならないのか



 いま国会では、統計不正が大きな問題になっていますが、安倍政権は早くも幕引きを図ろうとして、昨年に引き続き、強引な国会運営を強行しています。安倍改憲は順調に進んでおらず、2020年の新憲法施行は難しいという風評もありますが、本書では、安倍首相の言動や2014年の集団的自衛権行使容認や安保法制、特定秘密保護法、昨年末の入管法などの強行採決等々の事例や改憲発議の時間は十分ある根拠から、「安倍総理は何が何でも2019年通常国会で強行してくると考えざるを得ない」理由をあきらかにし、その危機感から緊急出版されました。
 また、安倍改憲の「自衛隊明記」の意味することや「平和憲法」の歴史的意味や世界で果たすべき役割などについても明らかにしています。
------------------------------------------------------------------------------------
【構成】
はじめに「自衛隊明記」改憲の危険性迫る
第1章:「自衛隊明記」改憲が強行される具体的根拠
第2章:憲法への「自衛隊明記」は何を意味するか
第3章:解釈改憲と「自衛隊明記」改憲による憲法破壊の手法
第4章:「自衛隊明記」改憲阻止のため私たちがなすべきこと
第5章:平和憲法「破壊」のあとの日本はどうなるのか
第6章:平和憲法の成立とその社会的意義
第7章:憲法改悪に向けての歴史的変遷——軍事立国への衝動
第8章:安保法制違憲訴訟はなぜ提起されたか
第9章:司法の現状と問題点
第10章:国民と世界へのメッセージ
------------------------------------------------------------------------------------
発行:(株)日本評論社
   TEL:03-3987-8611 FAX:03-3987-8593
著者:寺井一弘・伊藤真・小西洋之
判型:A5判、116ページ
出版:2019年1月30日
定価:800円+税

    ―――――――――――――――――――――――――――――
(2019年03月05日入力)
[トップページ]