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和歌山県福祉バスで巡る春の交流ハイキング
「和歌山障害者・患者九条の会」が戦跡ツアー実施
「和歌山障害者・患者九条の会」は、好天に恵まれた3月24日、27名が参加して、日高方面の戦跡をめぐるツアーを行いました。和歌山県の福祉バス利用は申し込みが多く抽選に当たるのが難しいのですが、今回はちょうど良いタイミングに恵まれました。
現地の戦跡の案内役に美浜町三宝寺の住職をされている湯川逸紀さんと平和委員会の小田憲さんにお願いしました。
最初に訪れたのは御坊市の日高別院。この寺には先の戦争で没収されて戦後戻ってきた釣鐘があります。戦時中、別院の釣鐘も武器をまかなうために供出され、瀬戸内海の島に集められたそうです。武器弾薬に使用可能かどうかの検査判定のために小さな孔が釣鐘の側面に5つほどあけられました。結果、使用不可の判定。終戦を迎え、戦後、釣鐘を引き取りに行ったとのこと。今もその孔を残しており、私たちは鐘楼に上がり実際に梯子をかけてもらって、その孔に触れる体験をしました。戦争は、平和を祈るはずの寺にまで強制力が及んだ歴史をうかがい知ることができます。「ゴーン」と一人ずつその鐘を撞き、穏やかな鐘の音が春麗らかな空に響きました。
美浜町・煙樹ヶ浜に建つ記念碑は、32(昭和7)年この浜で米軍を迎え撃つための大演習を4人の皇族が見学したことを記念しての碑だといいます。太平洋戦争もまだ始まらない時期、すでに本土決戦を予測していたのかと驚きました。本ノ脇の地下壕、入山のトーチカも案内していただきました。地下壕は山の斜面に掘られ、入口は狭いのですが奥に進むと背丈ほどの高さがあります。これらは45(昭和20)年6月頃に完成し、いずれも紀伊水道からの米軍上陸を阻むために作られた設備だそうです。多くの穴が海を見下ろす傾斜地に掘られ、兵隊が潜んでゲリラ戦を予定していたといわれます。実際に使われたことはなく、70年以上を経た今もなお、本土決戦を本気で想定していた歴史の事実を私たちに教えてくれています。
新たな発見や学びの多い充実した一日を共有して帰路につきました。大勢で、移動の困難もある私たちをサポートしていただいた湯川さんご夫妻、小田さん、当日同行いただいた中西さんに重ねてお礼を申しあげます。(会の事務局・野尻誠さんより)
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青法協憲法記念行事「憲法を考える夕べ」(予告)
民主主義とは何か 安倍政権とメディア
講師 望月衣塑子(もちづき・いそこ)氏
1975年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、(株)中日新聞に入社、東京本社に配属。東京地方裁判所・東京高等裁判所での裁判担当、経済部記者などを経て、現在東京新聞社会部記者。
著書『武器輸出と日本企業』(2016年、角川書店)『新聞記者』(2017年、角川書店)
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2019年4月26日(金)開場 午後5時30分 開演 午後6時00分
和歌山県民文化会館小ホール
(和歌山市小松原通一丁目1番地 電話:073-436-1331
入場無料・予約不要(先着順)
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主催 青年法律家協会和歌山支部
問い合わせ先
和歌山市南材木丁二丁目38 電話:073-488-3090
ふたば法律事務所(弁護士 太田達也)
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2019 HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama(予告)
餅まき
平和賞授与式
ブース
焼き鳥
おにぎり
かすうどん
のみもの
雑貨 etc
ステージ
よさこい
フラダンス
朝鮮学校(伝統音楽)
紀北農芸太鼓
高校生バンド etc
パフォーマンスも餅まきも楽しみ! みんな来てね!
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NHKEテレの番組「にほんごであそぼ」レギュラー出演中
うた・ヴォイス
おおたか静流
東京都出身。7歳よりクラシック声楽家に師事。
ジャズ・民族音楽の洗礼を受けノンジャンルに至る。これまでにオリジナルアルバムを21枚リリース。映像・絵画・朗読・ダンスとのコラボレーション等、ジャンルや国境を越えた音楽活動を展開。代表作「花」や「千と千尋の神隠し挿入歌・神々さま」等をはじめCM600曲以上を七色の声で歌い上げる。
即興のワークショップ「声のお絵かき」を主宰。
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日時:2019年5月3日(金・祝)10:00~15:00 *入場無料
場所::和歌山城西の丸広場 *和歌山市役所向かい *小雨決行
HAPPY BIRTHDN憲法in Wakayama 2019実行委員会
【お問い合わせ】トライ法復事務所 〒640-8152和歌山市十番T12番地 十番丁ビル4階
TEL:073-428-6557
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【九条噺】
「はやぶさ2」が2月21日、小惑星リュウグウへの着陸に成功した。3億4千万㎞かなたのわずか直径6mの場所に探査機自らの制御で着陸し、試料採取に成功した模様と聞くと驚く他ない。後1回の着陸にも成功し、試料が無事地球に届くことを期待したい▼10年6月13日の「はやぶさ1」の帰還を思い出す。「1」は大気圏に突入し燃え尽きるが、試料のカプセルは地上に届けた。その場面はテレビや映画で見たが、燃え尽きる「1」を見ていると、何故か人間のように思えてきて、涙が出る思いがした▼この大気圏突入をインターネット中継したのが和歌山大学の尾久土(おきゅうど)正己教授ら和大撮影チームだった。JAXAから「生中継の予定はない」と聞き、目標地点に時間通り落下する確証はなかったそうだが、オーストラリアのウーメラ砂漠で見事成功。生中継は63万人が視聴、「宇宙につながった気がした」「和大、感動をありがとう」と称賛の声が溢れた▼尾久土教授は「安保法制の廃止を求める和大有志の会」の呼びかけ人。戦争につながる政治にも批判の声を上げ、かつ夢あることにも取り組まれており、しかも和歌山と聞くと非常にうれしくなる▼「1」の奇跡的帰還がなければ、「2」の計画は塩漬けになっていたに違いない。政府は、衛星・小天体の探査計画を持つらしいが、単に構想を言うだけでなく、ばかげた「戦闘機の爆買い」などをやめ、予算や人員養成など、もっと真剣に下支えしなければならない。(南)
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言葉 緊急事態条項(2)
「緊急事態条項」とは戦争・テロ・大規模災害などの非常事態が発生した場合に、政府や国会の権限を一時的に強化する規定と言われます。現在、日本国憲法には定められていません。日本国憲法に緊急事態の規定がない理由について、憲法制定時の担当相・金森徳次郎氏は、「言葉を非常ということに借りて、それを口実に(権利や自由が)破壊されるおそれが絶無とは断言し難い」と説明しています。
自民党は12年の憲法改正草案に緊急事態条項を盛り込んでいます。外部からの武力攻撃や内乱、大規模災害などが生じた場合、首相が緊急事態を宣言。国会を通さずに法律と同じ効力を持つ緊急政令の制定や人権の制限ができる内容です。戦前、ドイツのワイマール憲法下では大統領が緊急命令を頻発し、ナチス独裁に道を開きました。
そこで自民党は他党の理解も狙い、昨年3月、大災害時の国会議員の任期延長や政府による緊急政令を可能にする次の「限定的」な案をまとめました。「大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる」「内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない」「大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の3分の2以上の多数で、その任期の特例を定めることができる」というものです。
緊急時に「行政」に強大な権限を与えたことによるリスクは、米国で現実に起きています。トランプ米大統領は、議会承認を得ず、メキシコ国境の壁建設費約80億ドルを捻出するため、大統領権限で国防総省などの予算を組み替える「国家非常事態」を宣言しました。大統領の「国家非常事態宣言」を無効にするため、連邦議会上下両院が可決した決議に拒否権を発動したのです。「たとえ国家の緊急事態にあっても、大統領がとった措置が正当なのか、チェックされるのが伝統」という米国でもこのような状態です。
日本の最高裁は、政治的な問題を避けてきて、大統領命令に対しても物を言う、米国の連邦最高裁のような伝統を作ってきませんでした。従って日本の司法に緊急事態宣言の正当性を審査する機能は期待できません。「国会の承認」も首相を支える与党が多数を占めた国会では議論は形式的になり、首相の判断を追認するだけです。案は、「大地震や他の異常かつ大規模な災害」というだけで、自然災害に限定していません。国民保護法には「武力攻撃災害」という表現があり、武力攻撃の場合も「災害」に含めています。法律に反する政令制定権を認めているので、内閣も立法機関になり、三権分立がふっ飛びます。緊急事態を理由にさらに強い憲法上の権限を首相に与えると、それを乱用されるリスクの大きさは米国の比ではありません。(朝日新聞3月26日付等を参考に)
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元号に罪ないが、政治ショー化フェアでない
思想家の内田樹氏(神戸女学院大学名誉教授)
元号そのものに罪はないが、元号という全国民が用いる文化的な制度について、特定の政治勢力に配慮し、冷静で丁寧な学術的検証が省かれたという疑念は拭えない。
問題は、政権が元号発表を政治ショー化したことだ。首相や官房長官ら現政権側が大量にメディアに露出し、お祭り気分をあおることで、政治的な難問は棚上げされた。「めでたい時にやぼなことを言うなよ」ということなのだろうが、お祭り騒ぎに紛れて、今、日本が直面している諸問題を忘れることは政権担当者には許されないことである。また、統一地方選の最中でありフェアでない。元号のような文化的な制度にこのように露骨に政治的な策略を絡めたことについては、私は元号擁護論者として強い不快感を覚えている。
「平成」から「令和」に元号が変わっても日本が「落ち目」局面であることに変わりはない。少子高齢化で経済成長はもう期待できない。資源の再分配はうまくいかず、格差は拡大し続けている。しかし、多くの国民の目には、これからの日本社会の鮮明なイメージが提示されていない。これからどうなるのか、ある程度はっきりした見通しが立つなら、たとえそれが厳しい現実であっても、それに対処すべく工夫のしようもあるが、先行きについて「大本営発表」的な空語しか語られないと、不安になって、手持ちの資源を抱え込んで、現状維持のまま立ちすくむしかない。それでは状況は悪化するばかりである。(朝日新聞4月2日付より)
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書籍紹介 『「戦争は違法」の世界の流れと日本国憲法9条』
昔、戦争をすることは「国家の主権」と言われた。今、「戦争は違法」である。人類の英知により世界は変わった。
【主な内容】
グローバルな視座で憲法9条をみる時代イメージ/中世から近世にかけての戦争「正当化」の論理/戦争違法化と集団安全保障/国際連合と集団的自衛権/日本国憲法9条と国連憲章/各国、各地域にひろがった平和への取り組み/9条を生かしてこそ「戦争は違法」を現実のものに
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発行:学習の友社
TEL:03-5842-5641 メール:tomo@gakusyu.gr.jp
著者:川村俊夫(憲法会議代表幹事 )
判型:A5判、113ページ 出版:2019年3月13日
定価:1,200円+税
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