「九条の会・わかやま」 373号を発行(2019年05月12日付)

 373号が5月12日付で発行されました。1面は、「HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama」開催 憲法の72歳の誕生日をみんなで祝う、政府の会見は 世の中の事実を国民に知らせるためにある(望月衣塑子氏 ①)、【九条噺】、2面は、9条を守る大切さを訴える みなべ「九条の会」がピースアピール&街宣活動実施、憲法施行72年集会に6万5000人   です。
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「HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama」開催
憲法の72歳の誕生日をみんなで祝う




 絶好の天気に恵まれた憲法記念日の5月3日、和歌山城西の丸広場で、日本国憲法の誕生日を祝い、楽しく過ごす第6回「HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama」が開催されました。並んだテントに、子どもの遊びコーナー、署名コーナーなどとともに、うどん、焼き鳥、焼きそば、おにぎり、飲み物、お菓子、沖縄物産、雑貨などの店も出て、参加者は買ったり、食べたり、演奏などを聞いたりと思い思いに楽しみました。



 開会に当り藤井幹雄弁護士は、「ここ数年、日本国憲法が目指す平和が崩されかけてきましたが、より一層平和な世界、平和な日本を作っていくために、今日一日皆さんと共に、日本国憲法の72歳を祝いたいと思います」と挨拶しました。



 中央ステージでは、高校生のバンド、朝鮮初中級学校の生徒の民族楽器の演奏、ハワイアンフラ、平和の祈りのダンス、高校生の和太鼓演奏、親子バントの演奏、おおたか静流さんのライブの演奏・演技が披露され、大きな拍手や声援が送られました。最後にお菓子まき、餅まきが行われ、終了しました。



 途中、「9条ネットわかやま」が設定する「わかやま平和賞」(第5回)が、和歌山大空襲の紙芝居を制作・上演し続けてこられた山本喜美子さんに贈られました。

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政府の会見は、世の中の事実を国民に知らせるためにある
 4月26日、青年法律家協会和歌山支部の「憲法を考える夕べ」が開催され、東京新聞・望月衣塑子氏が「民主主義とは何か~安倍政権とメディア~」と題して講演されました。その要旨を4回に分けてご紹介します。今回は1回目。

望月衣塑子氏 ①



 私は17年6月から菅官房長官の会見に乗り込むようになった。この会見は政治部の記者クラブが主催している。私は社会部の記者として、モリトモ、カケなど一連の事件を取材する中で、官邸中枢部でとんでもないことが起きつつあるのではないかと危機感を抱き、官邸の会見に行くことになった。安倍首相に聞きたいと思ったが、東京新聞の政治部の記者でも幹事で代表質問の役割を取れないと聞けない状態だ。ぶら下がり会見でも言い放しで、番記者でも殆ど聞けない状況だ。それならと官邸を実質的に仕切っている菅官房長官の会見に乗り込むことになった。18年9月以降、沖縄のことを聞くように努めていた。12月14日、辺野古での土砂投入が始まり、赤土の土砂投入に沖縄防衛局が違法性を確認出来ていないのではないかという質問を26日にぶつけた。その2日後、東京新聞に対して抗議文が突き出された。「望月の赤土に関する質問は事実無根である。何故このような質問をするのか。何度も注意しているのに改善されていない」というものだった。官邸記者クラブにも「事実に基づかない質問は謹んでと要望してきた。このままでは会見の意義が損なわれ、内外に誤った事実認識を拡散する。度重なる問題行為をしていることに記者クラブとして問題意識の共有をお願いしたい」という申し入れが来た。記者クラブは、これは受け取れないと突き返したら、記者クラブの横にあるボードに貼り出された。ある記者がこれは言論弾圧・知る権利の侵害にしか見えないと、雑誌にリークし世の中に伝わるようになった。そして、この文書に対して新聞労連が抗議声明を出し、この文書は知る権利への弾圧、政府のメディアコントロールに他ならないと各紙が大きく批判の社説を上げ、官邸への抗議が集中した。26日は「赤土が広がっている」と言っただけだが、本当に事実誤認なのか。安倍首相や菅官房長官は地元の首長の了解を得ていると言っているが、唯一、仲井真知事時代に埋め立てを承認しただけだ。しかし、「埋め立て土砂に赤土が含まれる割合は概ね10%」に止めることを前提として操業したが、実際の現場を見ると赤々とした土砂が大量に使われていた。10%では殆ど白色だ。沖縄県は承認事項を守っていないということで、現場の立ち入り検査やサンプル提供などを12月21日以降繰り返し防衛局に求めているが、今も全く回答がされていない。赤土は海水面に溶け出すと非常に広がり、環境に悪影響を及ぼし、厳しく取り締まろうとやっている。ところが那覇空港延伸工事ではしっかりと立ち入り調査もさせ、サンプル提供もしている。実際に辺野古で立ち入り検査を認め、サンプル提供をすると、10%が全く守られていないことが明らかになり、県側から埋め立てストップをかけられることを国が恐れているからだ。これこそ事実誤認だ。妨害は1年半以上続き、8月には今井総理筆頭秘書官が自分の番記者に対して「望月と南を何とか出来ないのか」と言った。8月末には官邸側が「幹事役の記者には何回でも質問させるが、望月の質問だけは制限したい」と打診をしてきたらしい。私は幹事の記者に抗議したが、「それは官邸側が言ってきただけで、各新聞社は承認している訳ではない」と言っているが、この後は手を上げても指されなくなり、実質的に承認してしまったという状況が始まっている。中でも沖縄に関する質問を投げると、異様な妨害行為があからさまに始まっていた。1分半の質疑の間に7回も「簡潔に」などと叫んでおり、12月末には抗議文が貼り出された。これは、私や他の記者への精神的圧力であり、政府が言っていることが事実だということに会見の場をさせたいのだと思う。「望月の質問は主観に基づき、客観的中立性に欠く表現だ」という紙が来たり、表現の自由に矛先を向けた抗議が9回ほど来ている。会見は何のための会見かと聞くと、「あなたに答える必要はない。政府の見解を述べる場だ」とか言っているが、それだったら、紙に書いて投げればいい。政府の会見は政府のためではなく、メディアのためでもなく、世の中の事実を国民に知らせるために、私たちの知る権利を行使するために会見の場がある。
 遥か前からテレビ各局の記者に圧力がかかっていた。14年11月に選挙の報道に関して、「公平・公正・中立な報道」という萩生田文書を番記者に突きつけた。各社が一緒になって抗議声明を出せばよかったのだが、電波法を握られているという構造的な弱みがあり、まとまってやらなかった。政権側がテレビや新聞を何とか支配しようとあからさまに行動を起してくる時こそメディアはそもそも何のためにここにいるのかと、存在意義を問い直し、それはおかしいときっちり抗議をしなければ、彼らの思うままになってしまうと感じていた。18年12月、新聞労連が抗議声明を出して以降、いろんな団体が官邸に抗議し、東京新聞に激励があり、3月14日に官邸前で初めて現役記者の抗議デモが行われた。以後、会見の妨害行為がなくなった。政府がやっていることに納得がいかないということを記者がしっかり一丸となって示すアクションの大切さを感じた。(つづく)

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【九条噺】

 新元号騒ぎには辟易するが、「令和」は万葉集が典拠だとかで、万葉集やその関連書物に関心が集まっているそうだ▼万葉集には農民や防人の歌も多数収められており、天皇が時を支配する元号よりは遥かに庶民的だ。「令和」の典拠の序文は山上憶良の作だという説もあるという▼山上憶良で思い出したことがある。筆者が中学3年生の時、社会科のS先生から憶良の「憶良らは今は罷(まか)らむ子泣くらむそれその母も吾(あ)を待つらむそ」という歌を教えられたことがある。憶良は「貧窮問答歌」が有名だが、先生は万葉の時代のみならず、今も貧困の問題はあり、憶良のように貧しい人たちに心を寄せ、家族に思いを馳せるようにしなければいけないと言いたかったのだろう▼その先生は日本国憲法前文を暗唱するようにという指導もされた。貧困の問題とともに憲法が示す理想の実現をということだろう▼10年前に中学卒業50周年同窓会が開かれ、健在だったS先生と再会し、酒を飲み交しながら話した。「先生は我々に憶良や憲法前文を暗唱させたが、覚えていますか」と問うと、「与謝野晶子もやったよ」との話。「君死にたまふことなかれ」のことだ▼筆者が冗談で「先生が憲法前文を暗記させたから、僕は今『九条の会』をやらねばならなくなったじゃないですか」と言うと、S先生は非常に喜ばれた。家族にやさしく、貧しい人に心を寄せ、戦争に反対し、国民主権と民主主義を守ることに努力することを今一度再確認する一日だった。(南)

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9条を守る大切さを訴える
みなべ「九条の会」がピースアピール&街宣活動実施




 憲法記念日の3日、みなべ「九条の会」は、午前中はスーパーマーケット前でピースアピール、午後はみなべ町内を回る街宣活動を実施し、憲法9条を守る大切さをアピールしました。
 「今日5月3日は72回目の憲法記念日です。この72年間、日本は他国に戦争を仕掛けたことも、他国から仕掛けられたこともなく、殺し殺される戦争をしていません。私たちは、日本に『憲法9条』がある幸せを絶対に手放したくありません。今日は全国で『憲法9条を守ろう』と一斉に行動に立ち上がっています」と、9条改憲反対を訴えました。(会の平野憲一郎さんより)

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憲法施行72年集会に6万5000人



 日本国憲法施行から72年となる憲法記念日の3日、東京都江東区の有明防災公園(東京臨海広域防災公園)で護憲派の「5・3憲法集会」が開かれた。約6万5千人(主催者発表)の参加者が、安倍晋三政権が2020年を目標に進めようとしている9条改憲に、「許すな改憲発議」と反対の声を上げた。
 司会の講談師神田香織さんは、新元号の「令和」が連日のニュースをにぎわしていることに触れ「異常な改元騒ぎの陰で何が起きているのか。手を打たなくては」と呼び掛けた。
 登壇した音楽評論家の湯川れい子さんは「私は83歳だが、9条を守るため残り時間をかけたい。あらゆる理屈を超えた日本、世界の宝だ」と決意を表明。沖縄・辺野古新基地建設をめぐる県民投票の会代表の元山仁士郎さんは「反対が圧倒的なのに工事は進んでいる。なぜ民意は反映されないのか。民主主義って何なのか」と疑問を投げ掛けた。集会後、参加者は「憲法守れ」と声を上げながら周辺をデモ行進した。(東京新聞5月4日付)

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(2019年05月13日入力)
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