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第59回「ランチタイムデモ」実施
好天に恵まれた15日、第59回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」(呼びかけ・憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が行われ、65人が参加しました。
出発に先立ち、藤井幹雄弁護士は「今日は、沖縄復帰記念日です。沖縄で生まれた義父は、今でも『戦争はだめだ』と口癖のように言い続けています。『戦争しなければ北方領土問題は解決しない』と暴言を吐いた議員は、戦争するということがどういうことか、本当に分かっているのでしょうか」と批判しました。
参加者は市役所前から京橋プロムナードまで「辺野古の基地は絶対ダメ」などを訴えて行進しました。
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安倍首相の事実誤認と問題法案の強行採決
4月26日、青年法律家協会和歌山支部の「憲法を考える夕べ」が開催され、東京新聞・望月衣塑子氏が「民主主義とは何か・安倍政権とメディア」と題して講演されました。その要旨を4回に分けてご紹介しています。今回は2回目。
望月衣塑子氏 ②
安倍首相は官邸会見で、辺野古埋め立ては環境への配慮をしているのかとの質問に、「土砂投入に当たりあそこのサンゴは移植している」と言ったが、琉球新報が「海域全体で7万4千群体の移植が必要だが、終了は9群体のみ。安倍首相は事実誤認である」と報道した。安倍首相は沖縄防衛局のレクチャーも受けずに発言している。それだけ沖縄の環境破壊に対して問題意識が薄く、軽薄であると感じた。安倍首相の「自衛官の息子が『お父さんは憲法違反なの』と目に涙を浮かべて言った」という発言も、元自衛隊空将・織田邦男氏が17年8月『正論』にかつて自分の息子に言われたことを書いたら、「安倍さんがそのフレーズを使うようになった」と言っている。何十年も前の話を今の話のように演出しているものだ。
沖縄県民投票は、7割が辺野古埋め立て拒否という民意が示された。5市が県民投票拒否ということで、3割の民意が示せないことになりかけたが、署名を集めた元山仁士郎氏がハンストを始め、「法の下の平等」を求めていることへの政府の認識を聞いたら、菅官房長官は「その人に聞いてくれ」ということだった。元山氏は「私を嘲笑い、政府の認識を本人に聞いてとはどういうことか。日本政府はどれだけ冷酷なのか。選んだ人はどう思うか」と発言しており、再度官房長官に質問したら、「それは沖縄のことですから」との答弁だった。
昨年12月に入管法の改正で外国人労働者5千人の受け入れがほとんど議論のないまま通ってしまった。外国人技能実習制度で年間6、7千人ぐらいが失踪している。野党は2870人の聴取票から今の問題点を議論しようとしたが、法務省は開示したが、コピーをさせず、野党は全部を数週間かけて写し取った。法務省は2.8%が最低賃金以下と発表していたが、実際は67.6%が最低賃金以下だった。失踪した人にも話を聞くと劣悪な環境で働いている人がたくさんいることが分かった。段ボール工場で働き、指を切断した中国人は治療費自己負担で本国に帰された。建設会社で鉄筋型枠を学ぶはずのベトナム人は福島の除染作業を強制された。ある中国人女性は朝の7時から夜の10時まで16時間も働かされていた。今はかつてほどの中国と日本の賃金格差はなくなっている。かつてはベトナム人には日本が一番だったが、今や韓国が外国人労働者の受け入れ体制を整えており、一番になっている。安倍政権は、労働力がほしいとばかり言っているが、労働力もひとりの人間であって、人権・労働環境にも配慮しなければならないという考えを置去りにしている。入管法は衆院で実質13時間の審議で強行採決され、「何をしっかり議論出来たのか」と質問すると、菅官房長官は「強行採決なんてしていません」という答弁だった。朝日、毎日、共同も「採決を強行した」と報道した。
漁業法改正も水道法改正も国民のためと言いながら一部の政治家とそれに繋がる官僚や民間人の利権のために民営化が進められている。自治体によっては水道料金の大幅な値上げや、水質悪化が起っている。今後はこういう問題も日本に押しかけてくるのではないか。漁業法も地元漁協への優先権付与が廃止され、大型の母船を持つ大企業に有利に、中小漁業者が衰退していく方向に改正案が通ってしまった。
統計不正も、昨年6月に名目賃金3.3%、実質賃金2.5%、21年ぶりに増加と発表した。日銀の統計委員会は内閣府や厚労省の統計を疑っており、データを出せと押し問答になっていた。18年1月新たな基準値を適用して2000円ぐらいアップされた。新たな基準値は過去には遡らない、日雇い労働者は外すなどの仕組みを考えて、確実に2000円ぐらい上がる仕組みになっていた。完全に作られた実質賃金上昇だ。15年1月は実質賃金は大幅に下がった。安倍政権では実質賃金は低下している。その9月に安倍首相が再選されたが、「GDP600兆円」と言い、10月には麻生財務相が「統計を改善せよ」と言った。そして16年6月に「600兆円への道筋」という題目で統計改革が打ち出され、17年2月には統計改革推進会議が設置され、その議長に菅官房長官が就任した。この流れは、官僚たちから言わせると官邸の盛り返しで、何とか統計を改革し実質賃金を上げようということが暗黙の了解になっていた。
社会部記者として生涯を通じてやらねばならないことは時の権力者や捜査機関側でさえもが、今何を最も隠そう、隠したいとしているのかを記者として取材によって事実を突き止め、明るみに出していく、これがやらなければいけないことだと思っている。取材でつくづく感じることは、記者会見での発表とは、当局の都合のいい事実の発表で、不都合な事実は隠したい。不都合な真実は何なのかを知るためには取材を繰り返し、キーマンを見つけ、何度も何度も諦めずに聞いていくこと。嘘をつかれて当り前。特捜部は16社から20社が聞くので、警察と違って特捜部の幹部は記者に嘘をついてもいいと言われている。とにかく真実を知るためには取材を繰り返し、ネットワークを作る。これによって段々幹部の嘘と本当の見分けがつくようになってくる。(つづく)
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【改憲問題対策法律家6団体連絡会作成】より <その1>
【Q1】なぜ、今、憲法を改正しようとしているのですか?
【A】 憲法9条を変えて自衛隊を正式の軍隊にするためです。「自民党Q&A」は「国民の意識や憲法を取り巻く環境が大きく変化し」、憲法が、「現状と合わなくなってきた」から憲法を改正する必要があるとしています。しかし、「現状と合わなくなってきた部分」に該当するものは、自民党が掲げる改憲4項目のうち、「自衛隊明記」による9条改憲だけです。他の項目は、この9条改憲にともなって必要なもの(緊急事態対応)か、憲法を変える必要のないものあるいはその合理的根拠に乏しいもの(合区解消・地方公共団体、教育充実)です。自民党の説明では、「国民の意識や憲法を取り巻く環境は大きく変化した」と言いますが、それらの内容やそれがなぜ改憲を必要とするのか、具体的な説明はほとんどありません。
【Q2】どのような憲法改正を考えているのですか?
【A】 改憲の項目は「①自衛隊の明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育充実」ですが、最も優先的な項目は、①の自衛隊明記、すなわち9条改憲です。「自民党Q&A」は、「日本が直面する国内外の情勢(安全保障環境の変化、大規模災害の発生、人口構造の変化など)を踏まえ」て、4項目を優先的項目としたと述べていますが、人口構造の変化などが、なぜ「合区解消・地方公共団体」や「教育充実」の改憲を必要とするのか説得的な根拠は述べられていません。結局、「安全保障環境の変化」を口実とした9条改憲と、それに密接に関連する緊急事態対応こそが、本当の意味での「優先的に改正すべき項目」として考えられていると思われます。
【Q3】条文イメージの位置付けはどのようなものですか?
【A】 条文イメージを示すことで、改憲論議を盛り上げ、他党を改憲論議の土俵に引き込むことが狙いです。「自民党Q&A」は、「この案をもとに衆参の憲法審査会で党の考え方を示し、憲法審査会で活発な議論」を行うためのものとしています。しかし、Q1・2で指摘したように、改憲を提起する具体的、現実的根拠はあいまいなままです。そうした中での条文イメージは、憲法改正原案の発議をすることができる衆参の憲法審査会での9条改憲の議論に他の政党や会派も巻き込むための「糸口」とすることが狙われています。
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冊子はA5判28ページ 1部100円(10部以上送料なし)
(申込先)安倍9条改憲NO!市民アクション
FAX:03-3303-4739 メール:fukuda@haskap.net
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【九条噺】
4月10日、ブラックホールの姿を初めて画像に捉えたと発表された。アインシュタインの一般相対性理論が巨大な重力を持つ高密度の天体の存在を予言してから約100年だ▼ブラックホールはその巨大な密度と重力により時空が湾曲した場所で、重力の強さから光すら脱出できないと言われる天体だ。今回のブラックホールは地球から5500万光年離れたM87銀河にあり、質量は太陽の65億倍もあるという▼この歴史的な成果は世界の8つの電波望遠鏡が連携し、200人もの科学者の国際チームが達成した。月にあるミカンの写真を撮るようなものだそうで、どのように画像化するのかは素人には理解すべくもないが、ブラックホールの周りを明るく照らすリング状のガスと中心部にある暗い〝影〟の画像のようだ▼一般相対性理論は方程式で表されるが、これまた素人にはなかなか理解できない。近年の観測技術の進歩によって100年前に一般相対性理論で予言された重力レンズや重力波が既に観測され、そして今回ブラックホールを画像にして、予言の正しさをまた証明した▼ところでアインシュタインの方程式には今ひとつ「世界で最も美しく恐ろしい方程式」というものがある。「E=mc2」で、原爆や原発を作り出す元になった方程式だ▼方程式に罪はないが、どう使うかが問題だ。間違った方向に使われると、とんでもないことになる。アインシュタインの理論は人類の民主的で平和な社会のためのものにしてほしい。(南)
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言葉 「2プラス2」
「2プラス2(2+2)」の正式呼称は「日米安全保障協議委員会」と言い(日豪、日露間などでも2+2と言うことがあります)、日本の外務大臣と防衛大臣、米国の国務長官と国防長官の4名が出席、安全保障問題などを話し合います。今の日米安保条約が署名された60年に設置され、開催時期は不定期で、日米両政府にとって安全保障上の重要な節目に開かれ、これまでに日米防衛協力指針(ガイドライン)の見直し、沖縄米軍基地の整理・縮小に関する日米特別行動委員会(SACO)の合意などが行われています。
97年に改定されたガイドラインは、「日本防衛」という建前を捨て、米国がアジア太平洋地域で戦争に乗り出せば「日本周辺事態」を口実に自衛隊が米軍を支援することを取り決めました。15年の「2+2」は、米軍支援の対象である「日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態」を「地理的に定められない」とし、「アジア太平洋地域を越えた地域」に拡大しました。そして、「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」の一つとして日本の集団的自衛権の行使を初めて盛り込み、その実効性を裏付けるために「安保法制」の制定に進みました。
今年4月の「2+2」は、宇宙・サイバーといった新たな戦闘領域を含む「領域横断作戦」を「中核的目標」だと強調しています。特に「悪意のあるサイバー活動」が、日米の脅威だと指摘。日本に対するサイバー攻撃は、日米安保条約第5条に基づく「武力攻撃」に該当すると初めて明記しました。「武力攻撃」と言うのなら、攻撃主体は国家が前提ですが、サイバー攻撃の主体が国家だと認定するのは容易ではありません。
このように「2+2」は、日本が米国と一緒になって世界で軍事行動をする方向をまとめる役割を果しており、その動向には充分な注意が必要です。
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