「九条の会・わかやま」 380号を発行(2019年08月20日付)

 380号が8月20日付で発行されました。1面は、「第15回戦争体験と平和への思いを語り継ぐ会」開催 九条の会ゆら、「ビキニ事件」を第五福竜丸だけに矮小化してはならない(岡村 啓佐 氏)、九条噺、2面は、言葉 「憲法審査会」(3)、DVD紹介 『デニーが勝った!』、カンパのお願い   です。
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「第15回戦争体験と平和への思いを語り継ぐ会」開催
九条の会ゆら




 8月4日、「第15回戦争体験と平和への思いを語り継ぐ会」を、80人の参加で開催しました。
 今回も宣伝活動に力を入れました。第1回からの参加者名簿を参考に直近の5回に参加いただいている方に紹介ハガキを発送しました。A2判の大型ポスターはAコープ正面の入口ドアに、来た時も帰る時も、どちらからもよく見えるように両面貼り合わせでポスターを貼らせていただきました。そのほか、役場前の喫茶店、中央公民館と地区会館など全部で10カ所に、A4判ラミネートポスター約60枚は各地区内の掲示板などに貼り出し、それに新聞折込みを併用し、最後は展示用に焼夷弾の残骸を提供してくれた日高川町の人のことを紀州新聞に取材してもらって、3日前の新聞一面に大きく載せていただきました。
 当日は、玉置光代さん指揮の年金者女性コーラスは『あの子はたあれ』『歌の町』『見上げてごらん夜の星を』『ぞうれっしゃよ走れ』『憲法九条五月晴れ』を会場の参加者と一緒になって歌い、記念講演の湯川逸紀さんは、湯川さんのお母さんが、亡くなるまで大切にしていた戦没学生であった弟の山根明さんの絵や「きけわだつみのこえ」に収録されている手記に基づいて戦争の悲惨さを話されました。最後は平尾容子さんたち「ゆらの朗読グループ」による平和を願う絵本『ばらの祈り』の群読が行われました。
 1時半に始まって4時近くまで2時間半に近い集会でしたが、途中で立つ人もなく、全員耳を傾けてくれていたので内容的にも成功したと考えています。なお、私たちはお寺の住職や教会の牧師さんたちに支えられてきたこともあって「カンパ」などの革新団体用語は使わず、貧者の一灯をイメージする御芳志と呼んでいますが、その御芳志と、軍事戦跡ウォーキングマップ(これは500円以上のご芳志をいただいた希望者にお渡ししている)の合計は2万円を超えましたが、すべて皆様方のご協力のおかげと感謝しています。(会代表の池本護さんより)

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「ビキニ事件」を第五福竜丸だけに矮小化してはならない

 7月27日、「戦争展わかやま2019」で「高知平和資料館・草の家」副館長・岡村啓佐氏が 「『ビキニ事件』と日本の戦後~消されたマグロ漁船員たち~」と題して講演をされました。その要旨をご紹介します。

岡村 啓佐 氏



 本日は次の5点を伝えたい。①「ビキニ事件」は、ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下実験と、その後の米ソの核開発競争上の事件。②「ビキニ事件」による核被災船は、第五福竜丸だけでなく延べ1000隻にも及び、今も未解決事件である。③日本政府が「ビキニ事件」を利用し、「戦犯の解放と仮釈放」を求め、200万ドルで手打ちして政治決着した。④「ビキニ事件」後の反米感情を相殺するために「原子力の平和利用」が持ち込まれてきた。⑤731部隊の戦犯免責→原爆投下実験後の調査→「ビキニ事件」→福島原発事故と、根っこでつながっていた。
 厚木に降り立ったマッカーサーはヒロシマ・ナガサキの原爆の効果を確かめる任務を密かに帯びていた。そして、「ゼネラル・イシイ(731部隊長)はどこにいるか」が最初の言葉だった。生物化学戦の情報を得るべく731部隊関係者を免罪していく伏線でもあり、免罪された彼らが「国立予防衛生研究所(予研)」の幹部として「原爆症調査研究協議会」に連なり、原爆投下後の調査、「ビキニ事件」に関わっていく。
 ソ連がアメリカに先駆けて53年8月実用的な水爆実験に成功した。アメリカは「キャッスル作戦」で54年3月1日から5月14日まで6回の水爆実験をビキニ環礁等で実施した。威力は48.31メガトン、広島型原爆の3200倍だった。周辺に「死の灰」が降り注ぎ、3月16日読売新聞に「邦人漁夫、ビキニ原爆実験に遭遇」「23名が原子病」と報道され、世界的ニュースになった。アメリカは「ビキニ事件」を小さく早く政治決着させようとした。3月16日、日本政府は「ビキニ事件」の対応を「原爆症調査研究協議会」にさせることとし、24日に外務省が日米非公開会議を開催、日本側は小林六造(予研所長)、小島三郎(予研副所長)らが参加した。「ビキニ事件」は原爆投下と同様に軍事機密として元731部隊関係者に対応させ、隠ぺいの役割を担わせた。55年1月4日、日米両政府は「アメリカの法的責任は問われず、慰謝料として200万ドル(7億2千万円)が支払われた」との交換公文で政治決着した。第五福竜丸事件だけに矮小化され、他の漁船の被災を闇に葬った。
 85年、高知県幡多高校ゼミナールの生徒たちが、長崎で被爆し、ビキニ水爆実験で被災して入水自殺した藤井節弥さんを知った。「ビキニ事件」は第五福竜丸だけではなかった事実に衝撃を受けた高校生たちは、県内各漁港に向かい、元マグロ漁船員の証言を積み重ねた。86年山原健二郎衆議院議員(共産)が国会で高校生の調査資料をもとに文書開示を求めたが、厚生省は「資料は残っていない。新たな調査は困難」と答弁、その後も「55年の日米交換公文で解決済み」と繰り返した。ところが、2013年NHK広島放送局がアメリカ公文書館で「ビキニ事件」資料を発見し、政府は2014年9月隠ぺいしてきた延べ556隻の資料を公開した。しかしこれは、放射能魚を廃棄した延べ992隻の6割にも届かない。
 アメリカは水爆実験後、日本での反核世論の高まりを防ごうと「水素爆弾及び関連した開発に関する日本人の好ましからざる態度を相殺するための合衆国政府の対策」を54年4月に打ち出した。平和的原子力博覧会の開催、原子力平和利用の推進、第五福竜丸以外の被災者の病因は珊瑚の粉塵とする、水爆開発に関する日本人の動向を監視する等だった。55年~57年「原子力利用平和博覧会」が広島など全国11カ所で開かれ300万人が入場した。「平和利用」の推進役として、A級戦犯でCIAのエージェント正力松太郎は100万ドルの資金提供をもとに日本テレビを作り推進役を担った。正力の片腕が中曽根康弘だ。7月2日付の毎日新聞が「原子力発電時代来る」の特集をしている。原子力を夢のエネルギーに描き、「電気料は2千分の1に」「ビルの地下でも発電」と記す。この頃のメディアは原発への夢を刷り込み洗脳した。日本中に54基を超える原発が建設された。そして2011年3月11日、東日本大震災で福島第一原発が爆発した。事故から8年、放射能汚染の実態、健康被害はいまだに隠され、事故の終焉は見えない。「ビキニ事件」で核兵器への怒りが広がり、55年の母親大会、原水爆禁止世界大会につながった一方、危機感を持ったアメリカが持ち込んだのが「原子力の平和利用(原発)」であり、福島原発事故につながることを忘れてはいけない。(おわり)

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【九条噺】

 愛知県立大学・久保田貢教授が「若者はなぜ安倍政権を支持するのか」について書かれている▼教授は、「若者の多くは政権の政策への判断が出来なくなっている」「小中高校で社会を見抜く『知』が十分に育まれておらず」「学習指導要領は政権の政策に沿ったものとなり、平和、人権、社会、歴史など研究に基づく授業をすると、教師や学校に激しい攻撃が起こることがある」▼「狙いは教師を委縮させ、政権の政策と異なる教育を封じ込めることにある。教師が『問題』を避けようとすれば、ますます学習指導要領や教育委員会が推奨する授業になる」「教師は多忙で、自由な研修権も奪われ、教育内容が統制的に定められている」▼「多くの若者は、社会を見抜く『知』を得ないまま良質なジャーナリズムに触れる機会も乏しく、インターネットやSNSの歪んだ情報に影響を受けている」「『知』が十分に育まれていないので、政策について判断が出来ず、とりあえず現政権を支持しておいた方が楽だ、と考えても不思議はない」と言う▼だが、若者は「自分たちの生活を良くしたい」と考えないということはないだろう。若者に「安倍政権を変えない限り、国民にとって何も良くならないどころか、ますます悪くなる。君もその国民の一人だ」ということを理解してもらう必要があるが、どんな方法が効果的か、難しい課題だ▼つまるところは、若者とうまずたゆまず、彼らの関心事の解決策を分かりやすく対話し続ける以外に方法はないのだろう。(南)

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言葉 「憲法審査会」(3)

 「憲法審査会」は、07年、憲法改正手続法(国民投票法)の成立を受けて出来たもので、衆参両院それぞれにあります。「憲法審査会」は憲法改正原案と改正発議の審査を行います。審査会の委員は衆議院が50人、参議院が45人。国会内会派の所属議員数に応じてそれぞれ委員が割り当てられます。衆院では国会議員100人以上、参院では50人以上の賛同で憲法改正原案が提案され、衆参両院の憲法審査会で改正原案をそれぞれ審議し、過半数で可決し、国会本会議で総議員の3分の2以上が賛成すれば、改正案を国民に発議します。
 安倍首相は憲法審査会に改憲案を示すことが「国会議員の責任」であるかのように言っていますが、先の参院選で、自民・公明・維新などの改憲勢力が「3分の2議席割れ」になったのは、性急な改憲に賛成出来ないという国民の審判です。世論調査でも、優先すべき政治課題で「改憲」をあげるのはたった3%です。安倍首相は憲法審査会での議論の加速に固執しますが、それこそ民意無視です。
 そもそも、首相には「憲法尊重擁護義務」(憲法99条)が課されている以上、首相として改憲を口にすることは許されません。また、改憲手続法や国会法では、憲法改正の発案は国会には認められていますが、内閣や首相にはその権限はありません。発案権がないのに、具体的な憲法改正を呼びかける安倍首相の行為は、憲法尊重擁護義務、憲法改正手続きに違反するものです。
 今、憲法を改正しなければならないという国民的課題は何もありません。一旦土俵に上げると後は数に任せた採決強行が待ち構えています。憲法審査会を開催するということは、安倍首相が目指す改憲実現へと道を開くことに他なりません。

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DVD紹介 『デニーが勝った!』



政府の推す佐喜真氏が圧倒的に優勢と言われた沖縄県知事選挙。しかし、8万票の大差で玉城デニー氏が当選。その内側に迫る。ゆるぎない民意を生み出したものは何なのか。知事選挙から見える県民の思い。涙、笑い、感動。今こそ、沖縄の底力に出会ってほしい。
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2018年10月完成/森の映画社/59分
監 督:藤本幸久・影山あさ子
DVD:個人視聴用 5,000円、上映権付 10,000円
申込み:FAX 03-3269-8296
    メール morinoeigasha-tokyo@blue.ocn.ne.jp
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───── カンパのお願い ─────
【振込先】(銀行)紀陽銀行 (支店)紀の川支店
     (種類)普通預金 (口座番号)672078
     (口座名義)九条の会・わかやま

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(2019年08月20日入力、09月01日一部修正)
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