「九条の会・わかやま」 390号を発行(2020年01月01日付)

 390号が1月1日付で発行されました。1面は、いま新たに改憲発議に反対する全国緊急署名を開始します 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会・安倍9条改憲NO!全国市民アクション、安倍9条改憲NO!を求めて 日本国憲法前文に誓って行動しよう 「9条の会・わかやま」呼びかけ人・江川 治邦、年賀状、九条噺、2面は、言葉「憲法審査会」(3)、共同通信世論調査(12/14~15)  です。
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[本文から]

いま新たに改憲発議に反対する全国緊急署名を開始します
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
安倍9条改憲NO!全国市民アクション


 安倍晋三首相らが企てる9条改憲に反対しているすべてのみなさん
 先の参院選で改憲派が発議可能な3分の2の議席を失ったにもかかわらず、安倍首相は臨時国会終了後の記者会見で「必ずや私の手で(改憲を)成し遂げていきたい」と語り、自らの自民党総裁任期の2021年9月までに実現する決意を語りました。
 この改憲スケジュールからみて、安倍改憲をめぐるたたかいはいよいよ最大の山場にさしかかったというべきでしょう。2020年の通常国会と臨時国会で「改憲発議」を許すかどうか、さらに2021年通常国会会期中に安倍改憲国民投票を許すかどうかの正念場になりました。この安倍首相の企ては絶対に阻止しなければなりません。
 安倍首相はこの記者会見で「時がきたと考えればちゅうちょなく解散総選挙を断行する」と述べました。この期間に衆議院議員総選挙に踏み切る可能性が濃厚です。改憲派は時期と条件を選んで、改憲を訴える総選挙を断行するでしょう。そこで圧勝することによって、安倍改憲が世論に支持されたと強弁し、改憲に反対している野党を分断し、両院で改憲に賛成する議員を3分の2以上確保し、改憲発議に踏み切ろうとするにちがいありません。
 事態は緊急です。いまこそ、安倍改憲に反対するすべての人々は共同し、全国の草の根から運動をおこし、世論を盛り上げ、総選挙に際しては安倍改憲に反対する野党と連携して改憲派を徹底的に孤立させる必要があります。
 9条を始めとする自民党の改憲案は絶対に阻止しなくてはなりません。それは日本を米国との同盟の下で「海外で戦争をする国」にするための改憲です。2020年の防衛省予算案は5兆3千億円を超え、過去最大となりました。
 自民党9条改憲案は、「必要な自衛の措置」として「戦争する国」にむけ集団的自衛権の全面行使をも可能とするものです。 すでに「防衛大綱」などによって9条の空洞化が進んでいますが、この動きを止めなくてはなりません。緊急事態条項導入案は、軍事的な緊急事態に内閣の権限を拡大し、人権の大幅な制約を可能にする危険性があります。大地震などの自然災害の対応についてはすでに充分な法律が整備されており、憲法に置く必要性はありません。さらに、合区に関する問題の解決は公職選挙法等の改正で可能であり、自民党の改憲案は投票価値の平等を侵害するなどの危険性があります。教育の充実に関する改憲案は、教育が「国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担う」として教育への国家介入を正当化する危険があります。教育の充実は国会と内閣がその気になれば、法律や予算措置で可能です。自民党の4項目改憲案は、いずれも改憲の必要性・合理性を欠くうえに、日本国憲法の基本原理である平和主義、主権在民、基本的人権の尊重を破壊するものです。
 2017年秋以来、安倍首相による9条改憲を阻止するため、広範で多様な人々を結集して「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が結成され、3000万人を目標にした9条改憲に反対する一大署名運動(安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名)が展開されました。この運動は約2年間にわたる全国の津々浦々での大きな取り組みとなりました。構成している労働団体は組合員、家族、地域署名を、市民団体や地域の諸団体は、それぞれの形態・やり方で、あるいは自治体・地域ごとに獲得目標を決め、戸別訪問にも取り組みました。すでに住民の8割の署名を集めた地域もあります。さらに多くの団体により、街頭・駅頭で宣伝活動と合わせた定期的な署名運動が取り組まれました。全国に署名運動が広がり、対話が進むことによって、「安倍改憲反対」「9条を守れ」の声が市民に確実に届き、組織や地域に広がり、世論を大きく変えてきました。この署名運動に、多くの仲間の皆さんが参加し、すでに1000万筆に迫る署名を集めたこと、これが全国の草の根に強固な改憲反対の世論をつくり出し、立憲野党を励まし、国会の憲法審査会での自民党改憲案などの審議を実質的に阻止し、2年余りにわたって安倍9条改憲の発議を阻止し続けてきました。そして先の参議院選挙で、改憲勢力3分の2割れを勝ち取った原動力であったことは明確であり、3000万署名運動の成果を高く評価する必要があります。
 いま、安倍改憲のスケジュールにとって決定的な山場を迎えました。私たちは安倍首相らによる改憲暴走の動きに痛打を浴びせて、安倍改憲と「戦争する国」の企てを阻止しなくてはなりません。この重大な時期に際し、全国市民アクション実行委員会は、従来取り組んできた署名にかえて、あらためて「安倍9条改憲反対!改憲発議に反対する全国緊急署名」運動への取り組みを呼びかけます。
 「安倍首相の下での改憲には反対だ」という点は全国の市民の多数の声であり、国会内の立憲野党すべての一致点です。この声をさらに大きな力に変え、世論を強め、安倍首相らの改憲を食い止めたいと思います。この2年にわたった粘り強い草の根の市民の努力を再始動させ、もういちど行動の力に変えましょう。態勢を整え、この新しい署名を軸に全国の津々浦々で、市民の一大対話運動を繰り広げましょう。そのための共同こそが、この社会の未来を平和で、希望ある社会に変える力となるに違いありません。
 私たち市民はこの国の主権者です。この国の未来は私たち自身の手で切り開かなくてはなりません。そのためにこそ、私たち主権者の名において、いまこそ全力をあげて改憲発議を阻止するために立ち上がりましょう。
2020年1月1日

署名用紙→ http://kaikenno.com/wp-content/uploads/2019/12/全国緊急署名.pdf
よびかけ→ http://kaikenno.com/wp-content/uploads/2019/12/協力よびかけ文案新.png

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安倍9条改憲NO!を求めて
日本国憲法前文に誓って行動しよう
「9条の会・わかやま」呼びかけ人・江川 治邦




 敗戦直後、和歌山空襲で避難して命拾いをした和田川の堤に立ってみた。そこから北西に目をやると、焼け落ちて楼閣のない和歌山城が、右手奥に僅かなセメントを残した鉄骨で丸正百貨店が判別できた。東側には焼け跡の中に和歌山駅がポツンと見える。戦中に召集された新兵を、家族や隣人が「勝ってくるぞと勇ましく、誓って故郷(くに)を出たからは、手柄立てずに死なりょうか」と、涙を隠して歌いながら日章旗を振って勇壮らしく見送った駅である。その周辺は焼け野原と化していた。時が経つにつれて駅前にバラックの闇市が建ち、その辺りに傷痍軍人が「異国の丘」を歌いながら鉄兜を裏返して物乞いをしていた。しかし、敗戦直後の混乱期とはいえ、市民には何か明るさが漂っていた。「やっと戦争が終った・生きていた・もう二度とあんな戦争はイヤだ」と言える自由と実感の明るさである。そんな市井の人々も平和憲法を快く受け入れたのは当然である。
 しかし、日本の高度経済成長とともに新憲法に対する思いや学習が希薄化し、ノンポリ化が進み、政治に対する批判精神が薄れ、その隙間をぬって戦争ができる国に逆走されつつある。安倍首相は積極的平和主義を唱えながら戦争ができる枠組に執着して防衛予算を増幅させ福祉予算を抑えている。本来の積極的平和主義とは真逆である。先般アフガニスタンで銃撃を受けて死亡した中村哲医師の医療活動や灌漑事業こそが積極的平和主義である。氏は「敵を作らず、平和な信頼関係を築くことが一番の安全保障だ」「軍事力があれば我が身を守れるというのは迷信だ」「9条がバックボーンとして僕らの活動を支えてくれた」と吐露していた。ノーベル平和賞を受賞すべき人であった。
 私たちは、日本国憲法前文に書かれた精神を十分に理解し、人類の平和共存に向けたこの普遍的な憲法で、崇高な理想と目的を達成し、国際社会で名誉ある地位を占める努力が求められる。
 今のグローバルな世界では政治が司る外交(国際)だけでは不十分である。インターネットを駆使した市民間交流(民際)を高めて行く必要がある。私は常にスカイプを使って世界各国のエスペランチストと世界の出来事について交流をしている。令和の時代は、権力者の言動に忖度して安穏に装う自立なき「美しい日本」ではなく、個々人が自由に輝き、異質な他者との共生の中で、世界平和を構築する時代であって欲しい。

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【九条噺】

 「アインシュタインの最後の宿題」と言われた重力波の観測に16年2月米国チームが初めて成功したことは、同年3月の「九条噺」で紹介した▼それは米国の2州に設置された重力波望遠鏡LIGO(ライゴ)によるものだった。LIGOはその後、相次いで重力波の検出に成功。17年8月には、イタリアにVIRGO(バーゴ)が建設され、以来、毎週のように重力波が検出できるようになったという▼日本にも19年10月4日、ニュートリノ観測装置もある岐阜県神岡鉱山跡地に人類4台目の重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)が完成した▼重力波望遠鏡が観測する時空の歪みは、地球と太陽の距離が水素原子1個分変化する程度だそうだ。そのため、少し離れたところを人が歩くだけで装置が揺れ、正確な観測ができないという。KAGRAは感度を高めるため、岩盤の固い地下に設置し、装置の鏡をマイナス253度に冷却して熱振動の影響も抑えるなど、先行する重力波望遠鏡にない特長を持っているそうだ▼重力波が来る方向の確定には、少なくとも3台以上の同時観測が必要で、日・米・欧が協調すれば、重力波源の方向を割り出すことができる。従来の光やX線などの電磁波を使う観測とは異なり、重力波は、あらゆるものを貫通し、一度発生すると減衰はしないので、電磁波での観測では不可能な宇宙誕生の瞬間に近い時代にまでさかのぼって宇宙を観測することができるようになるかもしれないという▼夢多い話だ。(南)

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言葉「憲法審査会」(3)

 憲法審査会は、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範・総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議または国民投票に関する法律案等を審査する機関で、07年8月に設置されました。
 臨時国会の閉幕以降、安倍首相は次の通常国会での改憲議論の進展を要求し、21年9月までの自民党総裁任期中の改憲を「必ずや私の手で成し遂げたい」と強い執念を示しています。そもそも首相には憲法99条で憲法尊重擁護義務が課せられており、国会での改憲議論を迫るのは憲法違反の行為です。憲法改正の発案は内閣や首相にはその権限はありません。
 世論調査では、安倍首相の下での「憲法改正」に反対が54.4%(賛成31.7%)で、反対が賛成の約2倍に近い状況です。
 一旦改憲案を憲法審査会に上げると、後は数に任せた採決強行が待ち構えています。憲法審査会を開催するということは、安倍首相が目指す改憲実現へと道を開くことに他なりません。

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共同通信世論調査(12/14~15)



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