「九条の会・わかやま」 391号を発行(2020年01月12日付)

 391号が1月12日付で発行されました。1面は、「改憲発議に反対する全国緊急署名」Q&A  安倍9条改憲NO!全国市民アクション、安倍9条改憲NO!を求めて 日米同盟に翻弄される血縁者  「九条の会・わかやま」事務局・奥野和博、九条噺、2面は、言葉「戦争違法化」、【事前予告】和歌山市ひがし9条の会「第6回平和コンサート」  です。
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[本文から]

「改憲発議に反対する全国緊急署名」Q&A
安倍9条改憲NO!全国市民アクション


 「改憲発議に反対する全国緊急署名」を始めるに当って、これまで取り組んできた3000万署名運動の成果と問題点、今後の運動の進め方などについて、事務局に寄せられているいくつかの質問に「Q&A」の形でお答えします。

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①「新しい署名」を始めたのはどうしてですか。

 先の参院選で改憲派が発議可能な3分の2の議席を失ったにもかかわらず、安倍首相は臨時国会終了後の記者会見(12月9日)で「必ずや私の手で(改憲を)成し遂げていきたい」と語り、自らの自民党総裁任期の2021年9月までに実現する決意を語りました。
 この安倍首相がめざす改憲スケジュールからみて、安倍改憲をめぐるたたかいは2020年の通常国会、臨時国会、2021年の通常国会の間に「改憲発議」と「国民投票」を許すかどうかの正念場になりました。この安倍首相の企ては絶対に阻止しなければなりません。
 安倍首相はこの記者会見で「時がきたと考えればちゅうちょなく解散総選挙を断行する」とも述べました。この期間に衆議院議員総選挙に踏み切る可能性が濃厚です(2022年まで参議院議員選挙はありません)。改憲派は時期と条件を選んで、改憲を訴える総選挙を断行することができます。首相はそこで圧勝すれば、自らが企てる改憲が世論に支持されたと強弁し、改憲に反対している野党を分断し、両院で改憲に賛成する議員を3分の2以上確保し、ありとあらゆる手段を使って改憲発議を実現しようとするに違いありません。
 この新しい「新しい段階」に入った安倍改憲策動に際し、総がかり行動実行委員会と全国市民アクション実行委員会は従来取り組んできた署名にかえて、あらためて「改憲発議阻止」に焦点を合わせた全国緊急署名運動への取り組みを呼びかけ、いっそう大きな運動の展開をめざしています。

②この署名の目標や期限はありますか。

 安倍首相は自らの自民党総裁任期の2021年9月までに改憲を実現するといいます。これを阻止して、この国が「戦争する国」への道を歩むことを止めたいと思います。目標はこの「安倍改憲を阻止するまで」ですが、とりわけ2020年は総選挙も予想され、ここで勝利し、改憲発議を阻止することが大きなポイントだと思います。
 今回は特に全国的な数字の目標は立てません。それぞれの組織やグループが、それぞれの事情に合ったやり方で目標を立てるなどして取り組んでいただきたいと思います。
 この間の2年にわたる署名運動の大変な努力のなかで、多少疲れてお休みしていた組織や市民の皆さんにも、再度、安倍改憲発議阻止の決意を固めて立ち上がっていただき、ともにより大きな運動を作り上げたいと願っています。

③なぜ「改憲発議阻止の緊急」署名なのですか。

 改憲をめざす安倍首相は、当面、憲法96条が定める「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」にしたがって、国会発議に全力をかけてくるでしょう。「発議阻止」、これこそが当面する「緊急の課題」です。私たちはここに課題を絞った署名運動を展開することを通じて、より多くの人びとと対話して、世論を変え、安倍改憲反対の立憲野党を激励し、後押しして、市民と野党の共闘で衆参両院で改憲派に3分の2の議席をとらせないようにしなければなりません。そうすれば安倍首相らの改憲の企ては必ず破綻するでしょう。

④「安倍9条改憲NO!3000万署名」の成果はどういうものでしたか。

 「せっかく頑張って署名に取り組んできたのに3000万署名運動は無駄だったのですか」という声も聴きました。いいえ、決してそんなことはありません。
 2017年秋に呼びかけられた「安倍9条改憲NO!全国統一署名(略称3000万署名)」は全国の市民によって熱心に取り組まれ、以降の2年間で約1000万名分を集めて国会に提出しました。この力が全国の草の根に強固な改憲反対の世論をつくり出し、立憲野党を励まし、国会の憲法審査会での自民党改憲案などの審議を実質的に阻止し、2年余りにわたって安倍9条改憲の発議を阻止し続けてきました。そしてその力が先の参議院選挙で、改憲勢力3分の2割れを勝ち取った原動力であったことは明らかであり、3000万署名運動の成果はたいへん大きなものがありました。

⑤3000万署名の集約と国会提出について

 従来の「安倍9条改憲NO!」の署名は、一応2019年の年内を区切りとしており、第201回通常国会の早いうちに請願署名として国会に提出します。しかし、これ以降も引き続き集まってきたものは随時集約して国会に提出します。決して無効になることはありません。みなさんのお手元に集まってきた署名はセンターにお送りください。

⑥3000万署名運動の反省点はどういうものがありましたか。

⑦集計の報告に生じたダブルカウントに、今後はどのように対処しますか。

⑥⑦は下の「Q&A全文」のURLをクリックして参照してください。

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Q&A全文→ http://kaikenno.com/?p=1242
署名用紙 → http://kaikenno.com/wp-content/uploads/2019/12/全国緊急署名.pdf

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安倍9条改憲NO!を求めて
日米同盟に翻弄される血縁者
「九条の会・わかやま」事務局・奥野和博


 私の娘は、夫の仕事の関係で種子島に孫2人とともに住んでいる。島には宇宙航空開発機構(JAXA)のロケット発射基地があり、今まで二度訪れてロケットの発射を見に行った。残念ながら二度とも悪天候のため打ち上げは延期され、あえなく帰る羽目になった。しかし、基地の近くにある資料館で見たロケット発射の臨場感あふれる大音量と映像で十分満足であった。
 話は変わるが、今までも何度となく辺野古の埋め立てで新たな米軍基地を造るという話が出る度に、オスプレイの基地を他の場所に移せないかという話があった。その度に遡上に上がった一つが島の西方12キロにある馬毛島である。辺野古の代替基地になるならと私も少しは理解をしていたが、辺野古は予定通り造り、なおもその上に馬毛島に米空母艦載機の陸上離発着訓練(FCPL)、いわゆるタッチ・アンド・ゴーの候補地として島を買い取るという政府の対応は、どうしても同意し兼ねる。
 20数年前、米軍・自衛隊共用の三沢飛行場(民間機が戦闘機の離発着の合間を縫って使用が許されている)で帰りの飛行機を待っている時、米軍の戦闘機が離陸していった。その時の騒音たるもの言葉に出来ないくらいものすごいものであった。待合室の窓がビリビリと振動し、隣の人との会話さえ出来なかったのを今でも記憶している。タッチ・アンド・ゴーは戦闘機がその推力を弱めることなく地面に着地するやいなや離陸するというものであり、その騒音は察して余りある。
 また、話は変わるが、私の甥は訳あって山口県萩大島で漁師をしている。そこに降って沸いたのが対岸の阿武町にある陸上自衛隊むつみ演習場への陸上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」の配備計画である。強力な電磁波が朝鮮半島に向けて照射されると聞いている。地元では反対運動が結成されているらしいが、今後どうなるかはわからない。
 私の血縁者が日米同盟に翻弄される日が近づいてきている。今こそ憲法9条を守るということが大切になっているように思う。

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【九条噺】

 安倍政権は自衛隊の中東派遣を12月27日閣議決定した。「イランとの友好関係を損なわないよう、米国主導の『有志連合』には加わらない」という体裁を採っているが、トランプ政権への配慮を優先する決定だ▼今回の「有志連合」の発端は、トランプ政権が昨年、イランの核開発を制限する多国間の合意から一方的に離脱したことにある。今回の事態は米国が招いたことであり、その打開は、米国側からの歩み寄りが不可欠だ▼「米国の同盟国であり、イランとも友好関係を保つ日本」と言うのなら、日本には仲介者として出来ることがあるはずで、中東派遣ではなく、外交努力を徹底することこそ、日本が選ぶべき道だ▼にも拘らず、安倍政権は自衛隊を派遣するという。しかも、その根拠は防衛省設置法4条にある「調査・研究」だ。日本関係船舶の護衛をする訳ではなく、目的はあくまでも安全確保に必要な情報収集態勢の強化だという。これなら防衛大臣だけの判断だけで実施が出来、国会承認は必要ないからだ。何のために何を「調査・研究」するのか▼と、考えていたところに1月3日、トランプ大統領の指示で米軍がイラン革命防衛隊幹部を空爆で殺害するという事態が引き起こされた。この国連憲章を無視した米国の先制攻撃によって、米国とイランはまさに一触即発の危機となり、自衛隊の派遣は、一層無謀で危険極まりないものとなった▼閣議決定は直ちに撤回し、自衛隊の中東派遣は中止しなければならない。(南)

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言葉「戦争違法化」

 第1次世界大戦の破壊のすさまじさに直面して、1928年パリ不戦条約によって戦争制限が規定されるようになりました。「非とされる戦争」と「是とされる自衛権行使としての戦争」の区分けが行われました。しかし、戦争は違法とまではされず、自衛権行使の戦争は合法とされました。
 第2次世界大戦後の国連憲章で、国連の目的と一致しない武力による威嚇または武力の行使が禁止されました。国連憲章では、武力攻撃を受けた場合の自衛権の行使を、第51条で「この憲章のいかなる規定も、国連加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安保理が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安保理に報告しなければならない」と定めています。自衛権の行使でも、安保理が武力攻撃に対して必要な措置をとるまでの間だけであり、直ちに安保理に報告しなければならないとしています。武力攻撃は違法であるが、違法な武力攻撃への自衛権の行使であっても限定的なものになっています。
 国連憲章は、戦争を違法化し、そして、「平和に対する脅威・破壊・侵略行為」に対して「国際の平和・安全の維持・回復」を目的として、国連が軍事行動を行う「集団安全保障体制」の仕組みを設けました。  しかし、問題点は自衛権を「個別的自衛権」だけでなく「集団的自衛権」も認めていることです。国連憲章制定時、すでに米ソの対立は決定的になっており、米国は他の国々と一緒に戦うことを法的に可能とする根拠を設けておく必要があると考え、そのために編み出されたのが「集団的自衛権」でした。「集団的自衛権」はベトナム戦争をはじめ「戦争違法化」の抜け道として戦前の軍事同盟と実質的に変わらないものとして米ソ両国などに利用されてきました。
 今回のトランプ大統領のイラン攻撃は国連憲章を無視した先制攻撃で、国連憲章のどこを見ても容認出来るものでなく、厳しく非難しなければなりません。

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【事前予告】 和歌山市ひがし9条の会
      「第6回平和コンサート」




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