「九条の会・わかやま」 395号を発行(2020年03月13日付)

 395号が3月13日付で発行されました。1面は、安倍政権による戦前の賛美・戦争への道を糾弾 2.11和歌山市集会、第69回「ランタチタイムデモ」実施、世論調査結果(FNN・産経)2月22日~23日調査、九条噺、2面は、言葉 改憲「発議」(再掲)、パンフレット紹介『憲法、変える必要ありますか?(第2版)』  です。
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[本文から]

安倍政権による戦前の賛美、戦争への道を糾弾
2.11和歌山市集会




 「平和・人権・民主主義 2・11和歌山市集会」が和歌山市中央コミュニティセンターで開かれ、西尾泰広氏(関西勤労者学習協会理事)が「現代日本の原点~占領期を中心に日本現代史を考える~」と題して講演をされました。
 まずテーマとして、「悪政継続と憲法改悪か」「日本国憲法を実現する政治か」のせめぎ合いの中で、改めて現代日本の原点である「占領期」に焦点を当てると説き起こされました。講演内容は次の(1)から(4)を柱に多くの具体例で時代背景と事象の関係を述べられました。
 (1)「1945年まで」⇒日本の侵略=15年戦争で多数の犠牲者を出したことと、二度の世界大戦を経た世界が「戦争違法化」「国連憲章」などの平和確立を掲げたことが、日本国憲法の平和主義に影響した。具体例の中では、「日本の民間犠牲者は、防空法で逃げることが禁じられて被害が拡大した」が新鮮でした。
 (2)「日本国憲法制定」⇒敗戦で天皇制国家・軍国主義大国が破綻し、憲法の根本的変更が不可欠になったとして、ポツダム宣言受諾、占領、民主化と非軍事化、憲法制定という、かなり知られた内容を順に説明されました。この部分で再認識したり新鮮に感じた具体例は、ポツダム宣言の項目、占領は日本政府を残した間接統治方式、憲法研究会案の成立とGHQ草案への影響、大日本帝国憲法下の衆院総選挙、帝国議会での修正・追加、帝国憲法による改憲手続きなどです。この項のまとめ的に、日本国憲法はGHQ草案のままでなく日本人自身が審議して正式に決めた過程があり、GHQ案にも日本の民間憲法草案が影響したので、日本国憲法はただの押し付け憲法とは言えないことを述べられました。
 (3)「占領政策の転換」⇒米ソ対立の「冷戦」の激化に起因し、朝鮮半島の南北分断、中華人民共和国の成立を機に、日本の民主化をストップし「反共の防壁」として組み込む逆流の内容を話されました。1949年のドッジ・ラインと労働運動への抑圧、1950年の朝鮮戦争と日本の「基地国家」化、1951年のサンフランシスコ講和と安保条約、1952年の「独立」回復(基地国家、沖縄切り捨て)などが話されました。
 (4)「平和と民主主義をめぐるせめぎ合い」⇒憲法と安保条約の根本的矛盾の中で、1954年のビキニ被曝を機に、原水禁署名、第1回日本母親大会、第1回原水爆禁止世界大会などが、1955年の自民党の改憲方針にブレーキをかけ、60年安保闘争などの運動と世論で、安保に合わせた改憲を阻止してきたことを話されました。
 最後に「改憲をめぐるせめぎ合いが続くなか、平和、人権、民主主義の憲法を守っていこう」と訴えられました。
 質疑応答では「天皇の戦争責任が問われていない」「戦争責任を追及する点でドイツとの違い」などが話し合われました。



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第69回「ランタチタイムデモ」実施



 「3・11」9年目の3月11日、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」が呼びかける第69回「憲法の破壊を許さないランチタイムデモ」が、40人が参加して行われ、和歌山市役所から京橋プロムナードまで行進しました。
 出発に先立ち、藤井幹雄弁護士から「コロナウイルスによるイベント自粛の中で、私(藤井)が出場に備えてきた全日本トライアスロン宮古島大会まで中止となってしまいました。しかし、安倍改憲を許さない活動に自粛はあり得ません。コロナウイルス危機を奇貨として首相に独裁的な権限を集中しようと、焼け太りを狙う安倍政権をぶっ飛ばす声を和歌山から届けましょう」とのスピーチがありました。

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世論調査結果(FNN・産経)
2月22日~23日調査




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【九条噺】

 ラグビーワールドカップで日本の「ONE TEAM」という言葉が有名になった。野党連合が「ONE TEAM」のレベルに深化し、多くの国民が期待するようになれば、野党連合政権も見えてくるのではないだろうか▼過日見たNHKの番組で日本代表選手は言う。「チーム内では、誰もミスは責めない」「試合では、常に次のことを考えないといけない」「リスクを恐れないプレーが必要」「払った犠牲は周りには知られていない。信じているのは自分たちだけ」「みんなが同じ崩し方とか、同じ絵を見ている。一つの絵を描いて試合をしている」「天才でない人にも活躍の場はある」「何かを達成するためには互いに認め合うしかない」「みんながチームのため、誰かのために100%の力を出す」等々▼「同じ絵を見る。一つの絵を描く」とは、野党連合の達成目標、政策や実現方法を明確にし、野党連合のみんながそれをしっかり掴んでいることだと思う▼「互いに認め合う」とは、まさに野党間のリスペクトだ。「天才でない人にも活躍の場はある」とは、参加野党の大小やメンバーの力量の違いも認めるということだろう▼「誰かのために100%の力を出す」とは、野党連合の目標達成に最大限の努力をすることだろう▼野党連合も一歩一歩「ONE TEAM」に進みつつあるように見えるが、日本代表選手の思いを参考に、さらに取り組みを強化すれば、安倍政権をもっと早く追い詰め、政権交代に繋がるのではないかと感じた。(南)

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言葉 改憲「発議」(再掲)

  (朝日新聞)

 国会が憲法改正案を国民に提案し、国民投票を求めることを「憲法改正案の発議」と言います。憲法96条は「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」と手続きを定めていますが、発議までにはいくつもの段階があります。
 まず憲法改正原案の国会への提出です。議員が一定数の賛成者(衆院は100人、参院は50人)を得て行う方法と、衆院と参院にある憲法審査会が与野党の合意を前提に行う方法の2通りがあります。内閣は提出できません。
 改正箇所が複数ある場合、改正原案は「関連する事項ごと」に区分することになっていますので、別個のことをひとまとめにすることはできません。但し、どこまでを「関連する事項」と見るかは提案者や国会の判断に委ねられているという問題もあります。
 改正原案は法案と同じように衆参両院で審議されます。憲法審査会では過半数の賛成で可決されますが、本会議では、欠席議員を含む総議員の3分の2以上の賛成が必要になります。こうして可決された改正原案は国民投票にかける改憲案になります。国会は発議に合わせ、発議後60日から180日の間で投票日も議決します。
 一度の国民投票で、いくつの改憲案を発議できるかは法律に決まりはありませんが、過去の国会審議では、「3問から4問、ぎりぎり5問が限界」とされています。国民投票は、国民が国民主権を行使する手続きですが、国会が発議した改憲案への賛否しか示せないという限界もあります。また、「①自衛隊明記」「②集団的自衛権行使容認」といった複数の論点がある場合、「自衛隊明記」を問うだけでは、「集団的自衛権行使容認」の是非は判断できません。国民投票法付則には、改憲の対象となりうる問題について、国民の意思を問う「予備的国民投票」(憲法のある特定の規定を「こう改正すべきである」または「改正してはならない」のように、国民が憲法についてどう考えているのかを国会が把握する世論調査のような国民投票)の必要性を検討するとされ、これを使えば①②をそれぞれ問えますが、検討は進んでいません。
 国会が、論点を無理やりひとまとめにしたり、どうとでもとれる抽象的な改憲案を発議した場合、第三者機関が勧告、是正できるしくみを備える国もありますが、日本にはそうした仕組みがありませんので、改憲を発議する国会の責任がとりわけ重いと言わなければなりません。

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パンフレット紹介『憲法、変える必要ありますか?(第2版)』

  (朝日新聞)

 戦争をさせない1000人委員会が作成したパンフレット「憲法、変える必要ありますか?」(B5判・8ページ)は、この間、皆様に好評をいただき、増刷を重ねてまいりました。
 今回、あらためて内容を検討したところ、自民党がいまなお掲げ続けている改憲案へのコンパクトな批判としての意義を失っていないことから、執筆者の方々の監修のもと、いくつかの修正・変更を加えたうえで、<第2版>として発行しましたので、ぜひご活用ください。
戦争をさせない1000人委員会
【執筆者】 清水雅彦(日本体育大学教授)
      清末愛砂(室蘭工業大学大学院教授)
      飯島滋明(名古屋学院大学教授)
      藤本泰成(平和フォーラム共同代表)
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