――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]
みなべ「九条の会」が大型看板設置
みなべ「九条の会」は、地元の会員さんの協力で、みなべ町西本庄に大型看板を設置しました。高城方面から降りてくる途中、左側によく見えます。
---------------------------------------------------------------------------------------
由良の戦跡見学ガイドを制作
「九条の会ゆら」事務局長・池本護さん
戦争の悲惨さを再認識してもらおうと、由良町里、元高校教師の池本護さんが冊子「由良町内の軍事戦跡見学ガイド」を300部制作した。
B5判サイズ、15ページ。大谷弾薬庫群跡(阿戸)、陸軍燃料廠跡(吹井)、海防艦三十号の激戦跡(糸谷)、特別攻撃艇「震洋」と「回天」の格納トンネル群(神谷)など解説を交えて掲載。「由良町内戦争軍事遺跡巡りウォーキングマップ」も写真入りで紹介している。
池本さんは「町内の戦跡を見学に来る人も多く、その際に役立ててもらいたい。戦時中、人命軽視の苛烈な訓練が行われていたことなどを知ってほしい」と話している。
冊子は希望者に進呈。申し込み方法など詳しくは池本さん℡0738・65・1273。
(日高新報5月2日付)
---------------------------------------------------------------------------------------
会紙400号発行に寄せて
当会呼びかけ人・副島昭一さん
会紙300号発行は2016年6月12日でした。それは閣議決定による集団的自衛権の承認、安保法制化=戦争立法の採決強行の翌年でした。その時に寄せた文章に、私は「この間に進んだ顕著なこととしてメディアの劣化があります。とりわけNHKニュースの、安倍政権の広報機関化したとしか思えない報道ぶりは多くの人が指摘しているとおりです。『アンダーコントロール』の嘘と裏金での五輪招致、この問題にもメディアは及び腰ですが、日本の恥として世界史に残ることになるのではないかと危惧されます」と書いていました。
4年の歳月が過ぎ、新型コロナ蔓延の現在も状況は基本的に変わらず、その延長上にあることがわかります。安倍首相が周辺を腐敗させるその感染力は新型コロナに劣らず、官僚組織の腐敗が進行して忖度官僚が幅をきかせ、データ改竄や記録の破棄を続け、危機への対応能力、将来を見すえた政策立案能力を著しく低下させています。あげくの果てに、コロナの対応に協力一致が何よりも欠かせないこの時期に、検察庁改正法案の成立を図ろうとしました。この法案は、広汎な人々の反対で阻止することができました。SNSによる反対の意志の表示がこれほどの力を持つことは私も予想できませんでした。
新自由主義の市場原理主義により、公営事業の民営化を推し進め、公務員を削減して医療施設の廃止統合を進めてきました。このしわ寄せが今回のコロナ危機で一挙に表面化したと思います。コロナ後の社会は市場原理主義とは縁を切り、とりわけパンデミックに対応できる医療体制を常に整備しておくことが必須です。軍事費の拡大は人々の生命・生活を守るための予算措置の障害になります。すべての人々の健康で文化的な生活を保障し、戦争を放棄する憲法の意義はコロナ危機を契機に高まったと言えるでしょう。憲法は古くなったのではなく、コロナ危機を契機にますますその輝きを増してきていると思います。
さて、私がこの会の創立呼びかけ人の1人になって14年になります。当時こんなに長く続くとは夢想だにしませんでした。呼びかけ人のうちにはすでに黄泉の国に旅立たれた方もおられます。私自身も正直この種の文章を書くことにためらいがあります。今後、この会の存続のためには、創立呼びかけ人とは別に、これからの会の運動を呼びかける新しい方が必要だと思っています。
---------------------------------------------------------------------------------------
【九条噺】
今スポーツはほとんど試合が止まっている▼選抜高校野球に始まり、プロ野球、大リーグ、サッカーJリーグ、ラクビー・トップリーグ、スーパーラグビーなどもストップ。大相撲も5月場所は中止、夏の全国高校野球大会も中止と決まった。プロ野球、Jリーグ、大相撲は6月下旬以降再開されるらしいが、無観客試合だ▼例年、筆者は朝のBSで放送される大リーグ中継で、大谷翔平、田中将大、ダルビッシュ有、前田健太らの日本人選手を応援していた。今年の大谷選手は二刀流での活躍を、新たに参加した和歌山県出身の筒香嘉智選手の活躍も期待していた▼CATVで放送されるラグビー・トップリーグやスーパーラグビーのサンウルブズの試合は録画して、後でワールドカップの応援よろしく缶ビールを手に楽しんでいた▼今年は全てがダメだ。楽しみを奪った元凶は新型コロナウイルスであることは言をまたないが、このウイルスがこんなに力を持つのはその「実力」だけなのか▼新自由主義経済の下、世界的に医療機関統合という名の病床削減、医師などの人手不足で診療体制が維持できない状況がある。元来医療には市場メカニズムはなじまない。医療体制を立て直し、世界中が緊密に手を組んで感染症に対抗しなければならないのに、台湾のWHOオブザーバー参加を容認しない中国も問題だが、トランプ大統領のようにWHO脱退などと無茶苦茶なことを言っていたらスポーツどころか、人類の生存が危うくなる。(南)
---------------------------------------------------------------------------------------
本紙は和歌山の人々を『九条論・噺』で繋ぐジャーナルだ!
「守ろう9条 紀の川 市民の会」代表・原通範さん
400号の発行を祝う
『九条の会・わかやま』は、2006年6月20日に創刊されて以来、14年目の今年5月にいよいよ400号とのこと。誠におめでとうございます。
概ね年間28.6紙、1カ月2.4紙。考えてみれば、凄まじい発行回数であるとともに、内容でも、全国の憲法9条に関わる記事(情勢や9条に関する理論、反憲法的動きの問題点批判など)を分かり易く解説していただくとともに、県内各地で開催される9条関係の行事や特筆すべき事例紹介をA4判両面にビッシリと書き込まれ、正に質的にも素晴らしい内容だと言えます。ホームページでは、1号から400号までの14年間の『内容』をクリックすると各号で何が問題とされたのかが掴めるところは、とても素晴らしいです。
私たち「守ろう9条 紀の川 市民の会」は2007年の第3回(2年目)総会のことが初めて取り上げられ、それ以降、春に行われる「総会」、秋に行われる「憲法フェスタ」を毎回取り上げていただいています。そして、どの行事でも私たちの会は県内外から講師をお招きし講演会を開催しており、その講演内容をしっかりと紹介していただいています。おかげで、私たちの会ではニュースの定期的な発行が滞ることなどもありましたが、ニュースが発行できた時は、『九条の会・わかやま』紙で紹介された講演要旨をダイジェスト的に紙面に活用させてもらうケースがほとんどだと言って過言ではない状況です。
なお、個人的なことですが、先般4月26日に発行された398号で紹介されていた昨今のコロナ禍のドサクサの中で、安倍政権が改憲への足固めとして利用する「緊急事態宣言と緊急事態条項との違い」と「検察庁法改正案の問題点」についての紹介・解説の記事には大いに感銘を受けました。
おかげで、私自身の「改憲発議反対の全国緊急署名」を知人や同級生にどう働きかけしていこうかと悩み、戸惑っていたのですが、早速コロナ禍にかこつけて「『緊急事態宣言』から『緊急事態条項改憲』へ」と画策する安倍改憲批判を添え、この署名のお願いをしたら、早速たくさんの署名が知人たちから寄せられつつあります。その意味でも、本紙は無くてはならない情報紙です。
---------------------------------------------------------------------------------------
ツイッターデモの拡散力 人が集まれない時代の市民運動
上智大学国際教養学部教授・中野晃一さん
9日からツイッター上で「#検察庁法改正案に抗議します」という投稿が相次ぐ、大規模な「ツイッターデモ」が起きました。街頭での抗議行動のように同じ場にいることができないかわりに、インターネットは時として比較にならない拡散力を発揮することを、目の当たりにした気がします。
実現したのは、街頭とネットが連動した抗議行動の文化とネットワークがあったからです。日本では03年、イラク戦争への抗議の頃からネットを通じて集まった若者がデモをするようになり、11年の反原発、15年の安保法制反対のデモが生まれました。世界でも、中東の民主化運動「アラブの春」や米国の「オキュパイ・ウォールストリート」、台湾や香港、韓国での市民運動なども、ネットとの連携がなければありえませんでした。
集会やデモといった路上での抗議運動には何世紀もの歴史があり、民主主義と一体で、近代史を形成してきました。人がリアルな場に集まることのインパクトは大きく、それ自体ができない現状は、市民運動にとって大変な試練です。
それと比べて「ネットでの運動はまだまだだ」と言い始めたらきりがありません。ただ、リアルな空間で数百万人が同時に声をとどろかせることは不可能ですが、ネットならできました。今回の「ツイッターデモ」も一人の市民のツイートが瞬く間に広がり、著名人が加わることでさらに共鳴していったことも見逃せません。市民がムーブメントを作って自らがメディアになり、運動を広げていくという意味では、ネットも路上での抗議行動も同じです。
今後、感染症という脅威を乗り越える上で、市民社会と国家権力がせめぎ合う状況が続きます。緊急事態条項を創設する改憲案をはじめ、情報も権力も一元化した強力なリーダーシップに持ち込もうとする権力側の動きにどう対抗するか。SNSを使ったバーチャルな社会での議論が、実社会に影響を与えていく必要があります。
昨年の香港での反政府デモでは、香港出身の映画俳優ブルース・リーの格言「Be Water(水になれ)」がモットーとなりました。水はコップに注げばコップの形に、ボトルに注げばボトルの形になるし、気体にも固体にもなる。それにならい、特定のリーダーを置かず、ネット上で議論しながら臨機応変に運動を展開しました。
今回、我々は家にこもらざるをえなかった。でも運動のあり方は一つではない。試行錯誤しながら今できる方法で声をあげ、また集まれる時に向けてつなげていく。必要に迫られてではありますが、市民運動を広げていく機会になると思います。(朝日新聞5月17日付)
---------------------------------------------------------------------------------------
朝日新聞世論調査(5月25日)
|