「九条の会・わかやま」 406号を発行(2020年08月10日付)

 406号が8月10日付で発行されました。1面は、第74回「ランチタイムデモ」実施、被爆体験をオーラルヒストリーとして伝える 核戦争防止医師の会が平和講演会、「20日以内に召集」と書いているのに!?、九条噺、2面は、「イージス」破綻逆手に軍拡加速 自民党「敵基地攻撃能力」保有を狙う・「抑止力向上」提言(要旨)、パンフレット紹介 『敵基地攻撃論批判「「専守防衛」の〝見える化〟を」』、JNN世論調査(8月3日) 内閣支持率・新型コロナ対応   です。
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第74回「ランチタイムデモ」実施



 75年目の「広島原爆の日」の8月6日、第74回ランチタイムデモ(「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」呼びかけ)が行われ、50人の市民が参加しました。
 デモの出発に先立ち、和歌山城西の丸広場で藤井幹雄弁護士は、「今日は、広島に原爆が投下された日。20万人が犠牲になった。今日は、慰霊の意味を込めて歩きましょう。あれから75年、人類は平和に尽力してきたが、今、その流れが揺らいでいる。核に脅えることのない未来をつくるために、私たちはしっかりしなければならない」と訴え、原爆の犠牲者に黙祷をささげて、京橋プロムナードまで「安倍9条改憲NO!」を訴えて行進しました。
 報道によれば、安倍首相は6日、広島市で行われた平和記念式典での挨拶で、核兵器の開発や保有、使用を全面禁止する「核兵器禁止条約」に言及しませんでした。同条約に触れないのは、国連で採択された17年7月以降で4年連続。「核兵器のない世界」と抽象論を語っても、被爆75年の節目の今年も具体的な道筋や方策を示さないということは、核兵器廃絶など全く考えていないと言わざるをえません。

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被爆体験をオーラルヒストリーとして伝える
核戦争防止医師の会が平和講演会




 「核戦争防止和歌山県医師の会」は7月18日、和歌山県JAビルで平和講演会「きのこ雲の下で起こっていたこと-オーラルヒストリーとして伝える」を開催しました。
 講演した元TBSアナウンサー・久保田智子氏は、1945年8月6日、広島に原爆が投下されたということは日本人なら誰もが知っている事実だが、原爆の被害がいかに激しいものだったかを、映像や数字などで示すだけでなく、一人ひとりの被爆者個人の人生に被爆がどのような意味を持ったのかを考えながら、被爆者の話をじっくり聞いて記録するオーラルヒストリー(口述歴史)の方法で伝えれば、より具体的・立体的に見えてくるものがあり、語る人によって描かれる被爆の実相は大きく変わると述べられました。
 原爆投下について、米国のトルーマン大統領(当時)はスピーチで、「破壊したのは建物であって、人的被害はなかった」ように扱ったと指摘されました。
 一方、被爆者が声に出せなかった思いについて、被爆した後の暮らしや子どもを被爆2世にしてしまったことへの葛藤などを紹介されました。被爆者が「平和が大切」と言ったとき、戦争を体験していない世代の、平和を失ったらどうなるかの思いと被爆者の思いには溝があると指摘されました。
 「今はまだ証言が聞ける」と、聞き手を増やすことや、たくさん話してもらう・たくさん聞く対話を継承することを呼びかけ、きのこ雲の下で起こっていたことを次世代にどのように伝承していくかを考えることの重要性を強調されました。

「20日以内に召集」と書いているのに!?

 新型コロナの感染拡大が起こっているのに、安倍首相は閉会中審査にも出席せず、国民への説明責任を果たしていません。野党5党派は7月31日、憲法53条に基づく臨時国会召集要求を提出しましたが、自民党は応じず、国会を開こうとしません。
 ところが、12年の自民党改憲草案は、第53条に「要求のあった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない」と付け加えています。都合が悪くなると自らの約束も反故にするようです。

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【九条噺】

 新型コロナウイルス感染症が全国で急拡大し、第2波の様相を呈している。第1波は4月7日の緊急事態宣言による国民の自粛努力で一定の収束を見た。政府は5月25日緊急事態宣言を解除した。単に自粛を解除し経済活動を再開させると、人の接触が増え感染が再拡大することは自明だと言わねばならない▼この間にやらねばならなかったことは、PCR検査を戦略的に拡大し、感染実態の把握、特に無症状感染者の発見と保護・隔離を進めることだった。政府はそれを怠り、制限を解除するだけでなく、7月22日からは「GoToトラベル」で感染再拡大の方向にアクセルを踏んだ▼東京・新宿の検査スポットの陽性率は33%という。陽性率がここまで高くなるとその地域で市中感染が広がり、ウイルスが蔓延しエピセンター化する危険な状況だと言う▼エピセンターとは、クラスター(感染者集団)が出続けて止められない大規模なクラスターが起っている状況のことだそうで、既に各地に形成され始め、そこから感染が広がっているという▼感染拡大防止と経済活動の再開が同時に行えるのなら、そんないいことはないが、それは難しいだろう。今必要なのはPCR検査を拡大し、徹底した補償と自粛要請だろう。現に夏の観光シーズンで規制を緩めたヨーロッパでは感染者が再び増加している▼政府は日本医師会長、東京都医師会長らの専門家の訴えや国民の要求を真剣に受け止め、感染再拡大防止に全力をあげねばならない。(南)

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「イージス」破綻逆手に軍拡加速
自民党、「敵基地攻撃能力」保有を狙う


 自民党政調審議会は8月4日、党ミサイル防衛検討チームがまとめた敵基地攻撃能力の保有を含む抑止力向上の提言を了承しました。検討チーム座長の小野寺元防衛相らが同日、安倍首相と菅官房長官に提言を手渡し、内容を説明しました。
 政府は提言を踏まえ、国家安全保障会議(NSC)を開催し、「国家安全保障戦略」の初改定を進める方針で、「敵基地攻撃能力」保有がどのように盛り込まれるか注視が必要です。
 提言は、党内の慎重な意見に配慮し「敵基地攻撃」という表現を避けつつ、弾道ミサイル技術が向上していることを踏まえ、他国の領域内でも迎撃できる能力を持つよう求めています。政府は従来、敵基地攻撃能力は憲法上は認められるが、政策判断として保有しないという立場です。小野寺氏は「政府は一貫して踏み込んだ考え方を示してこなかったが、政策転換を積極的に後押ししたい」と述べました。
 安倍首相は官邸で記者団に「政府の役割は、国民の生命と平和な暮らしを守り抜いていくこと。今回の提言を受け止め、しっかりと新しい方向性を打ち出し、速やかに実行していく考えだ」と強調しています。会談では、配備を断念した地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の代替策の検討を先行させ、その後に敵基地攻撃能力保有の是非を含めて議論していく考えを示しました。
 自民党は第2次安倍政権の発足以降、二度にわたり敵基地攻撃能力の保有を政府に提言していますが、防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」には反映されていません。
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「抑止力向上」提言(要旨)
【現状認識と課題】日米同盟の下では、「わが国は防御、米国は打撃」が基本的な役割分担とされてきた。しかし飛来するミサイルの迎撃だけを行っていては、防御しきれない恐れがある。日米の基本的な役割分担は維持しつつも、日米の対応オプションが重層的なものとなるよう、わが国がより主体的な取り組みを行うことにより、抑止力を向上させる必要がある。
【提言】イージス・アショア代替機能を確保すべく早急に具体案を示すべき。極超音速兵器や無人機のスウォーム(大群)飛行等に対応するため、地上レーダーや対空ミサイルの能力向上等が必要。米国の統合防空ミサイル防衛(IAMD)との連携を確保し、極超音速兵器等の探知・追尾のため、低軌道衛星コンステレーション(監視衛星群)や滞空型無人機の活用等も検討すること。
 憲法の範囲内で、国際法を遵守しつつ、専守防衛の考え方の下、相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力の保有を含めて、抑止力を向上させるための新たな取り組みが必要。従来の政府の立場を踏まえ、相手国国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる攻撃的兵器を保有しないなど、自衛のために必要最小限度のものに限るとの従来方針を維持し、政府として早急に結論を出すこと。
 宇宙、サイバー、電磁波領域も含め、必要不可欠なISR(情報収集、警戒監視、偵察)の能力や政府としての情報機能の強化も検討すること。今後の取り組みについて国民の理解を得られるよう、丁寧な説明の努力を全力で行うこと。戦略的コミュニケーションを外交と一体となって推進すること。拡大抑止の信頼性の更なる強化を含む日米同盟の一層の強化等に取り組むこと。(「提言」(要旨)」は朝日新聞8月1日付より)

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パンフレット紹介
『敵基地攻撃論批判 「「専守防衛」の〝見える化〟を」』




 敵基地攻撃の要件は、①急迫不正の侵害が行われた ②必要最小限の措置をとる ③他に手段がない としており、防御の手段があるのに、侵略国の領域内の基地をたたくことは自衛の範囲に入らないとしています。
 2014年7月に安倍政権が閣議決定した集団的自衛権の行使容認に基づけば、先制攻撃による敵基地攻撃が法理的には可能となります。平和憲法の理念から当然逸脱するのはもちろん、「抑止力」を拡大させる軍拡競争の泥沼に陥り、他国との軍事的緊張を高めることになるのは明らかです。
  これまでの防衛政策の基本であった「専守防衛」の枠すらも超えて拡大する安倍政権の防衛政策は極めて危険です。
 【内容】:どこから来たのか?「敵基地攻撃論」議論の沿革/21世紀初頭の逆転劇 法理上から政策へ/敵基地攻撃:どんな兵器が選定されるか?/どう対抗していくか
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編集発行:立憲フォーラム
著  者:前田 哲男
体  裁:A4判 40ページ
発 行 日:2020年7月31日
頒  価:100円(送料別、10部以上送料無料)
申し込み:立憲フォーラム(担当:福田)
     FAX:03-3303-4739
     メール:fukuda@haskap.net

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JNN世論調査(8月3日)





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