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「語り継ぐ戦争と平和資料展」開催
「日高町平和を願う9条の会」
8月15日「日高町平和を願う9条の会」は、「語り継ぐ戦争と平和資料展」を開催しました。150名の方が参加され、若い人も多く見かける展示会となりました。
特攻隊員だったことを30年間、誰にも話されたことがなかった花道柳太郎さんが会場に車椅子で来られ、見学の人たちと写真撮影ができました。
昨年6月「戦争の実体験を聞くつどい」を開催しましたが、話してもらえる人が極端に少なくなっており、12月に「戦争の悲惨さを次世代に語り継ごう」と「アピール」を発表しました。「今、戦争の悲惨さを次世代に伝えることは、待ったなしの状況に置かれています。私たちは体験者として『戦争』を語り継ぎ、後世に残さなければなりません。戦争に関する遺品や手紙、写真などを『発掘』する作業を始めなければならないと考えています」とのアピールを発表し、調査を進め展示会開催に至りました。戦争体験者は故人となっていたり、遺品が「処分」されていたりで、75年の歳月は「遺品」の探し出しに様々な困難をもたらしましたが、多くのみなさんの協力で沢山の「遺品」が集められました。
「戦死者への天皇からの賞状・勲章」「出征兵士や特攻隊員への寄せ書き」「千人針」「改正治安維持法資料」「靖国神社からの合祀通知」「文部省発行の中学生向け『あたらしい憲法の話』」等々が寄せられ、解説文をつけて展示しました。
34名の方から感想文が寄せられました。「全国の隅々まで戦争に組み込まれ拒否できない戦前の状況がしっかり伝わってきた」「終戦記念日にふさわしい展示に感激した。これだけの多くの資料が集まっていることに驚き、今を逃がすと戦争を伝える生々しい資料が散ってしまうと思った」「ものすごく分かりやすかった。実物が置かれていて、戦争は二度としてはだめだということが伝わった」等々の感想が寄せられました。
自民党は敵基地攻撃能力保有の提言を安倍首相に提出、安倍首相は、国家安全保障会議(NSC)での議論を開始すると表明しています。「戦争できる危険な国」に変えようとする動きが強まってきている今、「二度と戦争はダメ」の声を広げ、「展示会」に参加されたみなさん、若いみなさんとともに戦争の悲惨さを語り継ぐために、多くのみなさんに伝え、資料の収集を進め「資料館」ができるようにしたいと思います。(会の事務局長・埋橋忠彦さんより)
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みなべ「九条の会」が終戦の日の街宣活動実施
戦後75回目の終戦記念日の8月15日、みなべ「九条の会」は結成以来続けてきた終戦記念日の街宣活動を実施しました。午前中は旧南部川村、午後は旧南部町に街宣車を繰り出して訴えました。
「今日、8月15日は75回目の終戦記念日です。今、新型コロナウイルス感染症が再び、多くの国民の生命や暮らしを脅かしています。一刻も早く収束させなければなりません。先の戦争で犠牲となられた方はみなべ町に814名おられます。この方たちが亡くなられた無残な状況と家族の悲しみは変わることはありません。政府の行為によって戦争を二度と繰り返させないため、日本は憲法9条で『戦争はしない』『戦力は持たない』と約束したので、戦後75年間戦死者はゼロなのです。朝日新聞世論調査では、憲法9条を変える必要がないという人は65%です。しかし、安倍首相は『総裁任期が終わる21年までに、何としても新しい憲法を施行させたい』とひたすら『改憲』の道を走っています。国民の願いから外れたこのような『改憲』を許すわけにはいきません」と訴えました。(会の平野憲一郎さんより)
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【九条噺】
つい先日「温故知新」に二通りの解釈があることを知った。昔の事を調べて現代に生かすという意味で理解してきたが、前に学んだ事を繰り返し習熟して新たに悟るとの意味もあった。外出自粛で在宅が長い折から『論語』関係の本を手にして学んだことだ▼そう言えば、最近必要があって昔のことわざを見ていく中で、現代に復活させたら面白いだろうと思う一句を見つけたので紹介したい。平安時代の『蜻蛉日記』に出てくる、正月に女の子が一年の幸福を祈って「天地(あめつち)の袋」という小さな袋を縫って唱えた縁起の良い和歌の一節だ▼その歌は「天地を袋に縫ひて幸を入れて持たれば思ふことなし」というものだ。「天地」とは「上下」のことだろう。「袋の天地(上下)を縫って、その中に幸いを入れておいたら心配事はない」という願いは良く分かる▼筆者はこの歌の「天地を袋に縫ひて」を「自分を取り巻く天と地の全ての幸いをしっかり縫い付けて」としたらどうだろうと考えてみた▼昨今、天にも地にも幸いと言えない事が多いが、「天地の幸い」を現代に当てはめると、地は新型コロナ禍の終息、経済と人々の暮らしの復興、紛争のない国際社会等々、天は弾道ミサイル廃棄、地球温暖化解消、核兵器廃絶等々が主な幸いか▼現代の幸いは簡単には袋に封じ込められないが、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する」(日本国憲法前文)方向で各国が協調する中にこそ活路がある。 (柏)
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由良町の戦跡見学ガイド 元教師の池本さん作成
和歌山県由良町文化財保護審議会委員で元教師の池本護さん(「九条の会ゆら」事務局長)が、町内の軍事戦跡を小冊子にまとめた。若い世代に学んでほしいという。戦争とは、どこか遠くの戦場だけのことではなく、24時間365日いつもいつも理不尽な死を突きつけられることであると。
教師時代は人権・平和学習に力を入れてきた池本さん。現地調査に加えて、町誌や戦争体験者の証言録を読みこんで「由良町内の軍事戦跡見学ガイド」(B5判・15ページ)を編んだ。地理をつかみやすいようにと各戦跡を航空写真にちりばめたカラーの「ウォーキングマップ」も折りこんだ。
池本さんや記録によると、由良町の軍事戦跡は大別して二つある。一つは紀伊防備隊の関係。日本が中国への全面侵略を始めた1937年に用地工事に入って39年に発足した防備隊は、今の町役場・由良中・海上自衛隊由良基地あたりにあって紀伊水道を守った。まわりには弾薬庫群や給水施設・陸軍燃料廠などが配されていた。米軍機に襲われて由良湾に沈んだ防備隊所属の海防艦30号の記録も小冊子に収めた。
もう一つが45年から急造された特攻基地群だ。「本土決戦」と、竹やりや出刃包丁までをも持ちだしての「国民抗戦」が叫ばれていた敗戦必至の状況のもと、特攻ボート「震洋」の格納トンネル群や、人間魚雷「回天」を配備する基地が造成されていった。
ひょうひょうとした池本さんの口調が一転するのは、これらの自殺を前提とした兵器や作戦の訓練に若者が駆りだされていたことを語るときだ。中でも、由良町神谷の海岸で秘密訓練があった人間機雷「伏龍」にふれるとき、絶句する。
潜水具を着けて水深5~7メートルの海底に整列した少年たちが、先端に機雷をつけた約2メートルの竹ざおで米軍の船底を突いて爆破させる――非科学性と人命軽視を凝縮してどこまでもばかげたものだった。指導教官が少年たちを「消耗品」と言っていたことが池本さんを打ちのめす。「みんな人間として扱われていなかった」。
池本さんの戦争の記憶も「生活」とともにある。父親が兵に取られたあと、一家は母親と子ども5人で疎開暮らしを強いられた。和歌山市の大空襲では、辺り一面焼け野原となった。日ごろ威張っていた警防団の大人は真っ先に裏山に逃げたこと。焦げた瓦の色。焼けた米や牛のにおい。食糧難だったのに誰もそれを食べようとしなかったこと。戦後の極貧生活。どれも脳裏に焼きついている。
池本さんは「戦争という名の下で非人間的な訓練をさせられる。死んで当たり前と猛烈なしごきを受ける。それを誰も反対しない。戦争とは、戦場で撃たれて死ぬことだけではない。死の淵に毎日直面することです」と話している。
小冊子は学校や図書館に配った。希望者に無料で送る。池本さん(0738・65・1273)へ。(朝日新聞和歌山版8月10日付)
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池本さんの戦跡ガイド制作は、6月4日付401号で「日高新報」の記事を紹介しました。朝日新聞和歌山版が詳しく報じましたので、再度お知らせします。
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言葉「防衛白書」
防衛白書とは、防衛省・自衛隊の現状について防衛省が発行している政府公式の報告書です。1970年に初めて刊行され、76年以降毎年発行されています。内容は、世界の軍事情勢、日本の防衛政策の基本方針、日本防衛の現状と課題、周辺国の軍事情勢、国民と防衛、資料等に大別されています。
7月14日、2020年版の防衛白書が公表されました。A5判約100ページから出発した白書は、今やA4判600ページ近くになりますが、議論が分かれるテーマについて、国民の判断材料となる情報が十分公表されているかは全く心もとない状況です。
「イージス・アショア」断念については、防衛省と安倍首相の発表内容をそのまま掲載しただけで、経緯の検証や責任の所在もあいまいなままです。
沖縄の普天間基地の辺野古移設も、軟弱地盤改良工事に12年、9300億円が必要と言いながら、普天間の「一日も早い全面返還の実現に向けて全力で取り組んでいく」と、全く説得力に欠ける記述しかありません。
米国については「中国を抑止するため、インド太平洋地域の安全保障を最重視する姿勢を明確にしており、同地域に戦力を優先的に配分する方針を示している」と指摘し、米軍プレゼンス(国外に影響を及ぼす能力)の具体例として、F35B機の岩国配備や、F35B機の運用能力を強化した強襲揚陸艦の佐世保基地母港化などを挙げています。
新型コロナ感染拡大は、「安全保障の課題」「国際社会の連携課題」と位置づけていますが、国際協力が求められている中で、中国が「偽情報の流布など様々な宣伝工作も行っていると指摘される」と記し、警戒感を示し、中国を東シナ海などで力を背景とした一方的な現状変更の試みを継続していると批判しています。一方で、新型コロナ感染対策で国際協力に背を向ける米国については、日米同盟と自衛隊の一層の強化という軍事協力で応じる旧態依然の姿勢を鮮明にしています。
さらに、中国公船による尖閣諸島周辺での日本領海への侵入や日本漁船への接近・追尾などに触れ、「一方的な現状変更の試みを執拗に継続しており、強く懸念される状況」だと表明しています。
白書は、自衛隊がF35B機を運用するため「いずも」型護衛艦を空母化することをわざわざコラムで取り上げています。空母化は「島嶼防衛」を口実にしたオスプレイや長距離巡航ミサイルの導入などと併せ、中国に対抗する米軍の配備の強化に連動していることは明白です。
安全保障政策は、軍事だけではなく、外交や経済、感染症対策も含めた総合的な政策が必要です。安倍政権下で創設された国家安全保障会議(NSC)の比重が増しており、安全保障政策の全体像を知る上で、安倍政権中枢の動向に関わる情報も、白書に最大限開示される必要があります。国民の理解と支持を得ることが防衛白書創刊の原点だと言うのなら、今こそそこに立ち返らなければなりません。
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