「九条の会・わかやま」 411発行(2020年10月16日付)

 411号が10月16日付で発行されました。1面は、和歌山県福祉バスで巡る秋の交流ハイキング「和歌山障害者・患者九条の会」、市民連合が要望書 野党共闘の共通政策目指す いのち最優先の政治を、九条噺、2面は、みなべ「九条の会」117回目のピースアピール、菅内閣誕生で完成「2012年体制」の悪夢(2)上智大学教授・中野晃一氏、書籍紹介 『忘れない、許さない! 安倍政権の事件。疑惑総決算とその終焉』  です。
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[本文から]

和歌山県福祉バスで巡る秋の交流ハイキング
「和歌山障害者・患者九条の会」




 「和歌山障害者・患者九条の会」は9月27日、参加者19名で、伊都郡かつらぎ町天野(あまの)の里、丹生都比売(にうつひめ)神社を見学する和歌山県福祉バスを利用したバスツアーを行いました。
 現地では、「天野の里づくりの会」会長の谷口千明先生より神社にまつわる歴史、天野の里の説明を聞くことが出来ました。神社に参拝し鳥居の柱に触れ田園風景を楽しみ穏やかな一日を堪能しました。
 古代、朝鮮半島より渡来した人たちの中で、水銀の採掘に携わる人々によって祀られたのが各地の丹生神社と言われています。丹生都比売神社は、全国に約180社ある丹生都比売を祀る神社の総本社。創建は高野山開創より古く、空海は金剛峯寺の建立に当たり丹生都比売神社から神領を譲られたそうです。その際、空海は高野御子神(狩場明神)と丹生都比売神(丹生明神)の化身とされる2匹の犬に山へ導かれたと伝わっているそうです。
 谷口千明先生よりこうした興味深いお話をたくさん伺いました。天野の里は標高が高く、吹く風もひんやりと秋の深まりを感じました。天野のトマト、柿、栗を土産に、今回はコロナの影響のため4月実施予定の延期リベンジとなりました。参加者は検温、マスクの着用、車内では二人で並んで座らないなど、コロナの感染対策を万全に行いつつ、みんなの強い思いが一つになって有意義な交流のひとときを作り上げたように感じる一日となりました。(事務局・野尻誠さんより)

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市民連合が要望書 野党共闘の共通政策目指す
いのち最優先の政治を


 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)が9月25日、次期衆院選で野党が共闘する際に掲げる共通政策の方向性について、15項目の要望書をまとめ、発表した。「立憲主義の回復」や「いのちを最優先する政策の実現」などで、各地で野党共闘として具体的な政策を策定する場合のたたき台にしてほしいという。
 要望書は「いのちと人間の尊厳を守る『選択肢』の提示を」と題し、新型コロナウイルス感染の拡大で明らかになった、従来の経済システムからの転換を強く求めている。市民連合は、昨年の参院選でも1人区を中心に野党統一候補の擁立を促し、13項目の共通政策を示した。

 ●選挙ではさらに具体化

 今回の要望書について、山口二郎法政大学教授は「各地で運動している人々の意見を踏まえ、参院選での13項目をバージョンアップした。衆院選で野党が協力する際の『立ち位置』を示したもの。基本的理念ともいえる」と説明した。選挙が近づいた時には、今回の内容を踏まえて、もっと分かりやすく、具体的な政策を掲げることになる。
 この日、立憲民主党と日本共産党、社民党に要望書を手渡して懇談。「各党とも、おおむね方向性は一致している」という。今後、国民民主党やれいわ新選組にも要望することにしている。国民民主党との間で政策の方向性が一致できるかどうかについては「合意できない部分があってもやむを得ない。しかし、候補者として勝つためには野党が一本化しなければならず、15項目全てでなくとも、ある種の共通政策で結集できるものをつくっていきたい」と述べた。
 総がかり行動実行委員会の共同代表も務めている高田健氏は「菅政権に対峙して、平和で、生活が豊かで、権利が保障される国にしたい。その意思を確認した上で、今度の総選挙では、市民と野党が共闘し、一緒に政治を変えていく」と語った。(機関紙連合通信ニュース9月29日付)



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【九条噺】

 秋の花と言えば、すぐ目に浮かんでくるのはコスモスだろう。今やすっかり日本の自然・風土に溶け込み、日本の花かと思ってしまうが、メキシコ原産で新大陸発見の後にスペイン人が持ち帰り、日本には1879年頃に渡来したという▼コスモスはキク科・コスモス属の植物。学名は「Cosmos bipinnatus」。「Cosmos」とは「宇宙」のことで、和名は「アキザクラ(秋桜)」。キク科の植物は、双子葉植物で最も進化した植物とされている。世界では約2万種があり、日本では約360種が自生しているという▼ちなみに、単子葉植物で最も進化した植物はラン(蘭)科植物で、世界に1万5千種、日本に約230種があるという。鑑賞価値の高いものが多く、栽培や品種改良が進められている▼コスモスはピンクや白に加えて濃赤、黄やオレンジ色、複色が登場し、年々カラフルになっている。近年、休耕田などでコスモスを栽培することが流行っており、秋を満喫させてくれる▼四方が開けた広い所で栽培されるコスモスが、一番美しさが発揮されるのではないかと思う。和歌山県有田川町の標高600mにある「鷲ケ峰コスモスパーク」は、コスモスを鑑賞し、和歌山市、淡路島、徳島県まで望むことが出来るところだそうだ▼コスモスの英語の花言葉は、「peace(平和)」「harmony(調和)」だそうだ。この花言葉は、我々がいつも望んでいる世界の理想をあらわす言葉そのものだ。コスモスを愛でつつ、平和・調和へ進めていきたいものだ。(南)

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みなべ「九条の会」 117回目のピースアピール



 みなべ「九条の会」は10月11日、町内のスーパーマーケット前で、会員19名により通算117回目のピースアピールを実施しました。
 「みなべ『九条の会』は、『永久に戦争はしない』と決めた憲法9条をどうしても守り通したいと活動を続けています。どうしてこのような活動を始めたのでしょうか。それは、『憲法9条を変えたい』と画策をしている人たちがいるからです。つい先日まで総理大臣を務めた安倍晋三氏もその一人でした。そして、その後を引き継いだ菅首相も、安倍政治を丸ごと引き継ぐことを明言しています。私たちは、『憲法9条は今のまま大切に守り育てていきたい』と願っています。町民のみなさん! どうかお力をお貸しください」と訴えました。(会の平野憲一郎さんより)

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菅内閣誕生で完成「2012年体制」の悪夢(2)
上智大学教授・中野晃一氏




(410号から続く)

 ■2012年体制の本質と懸念

 もちろん根本的な違いは、民主党が政府与党一体化や政治主導によって二大政党制の一方を担うことを目指して挫折し3年3カ月で下野したのに対して、第2次安倍政権が7年8カ月も続き、かつ第1次政権の時から、「政権」たることに満足せず「戦後レジームからの脱却」をうたったように、「体制」変革までも射程に入れていたことである。
 つまり安倍は、12年12月に民主党政権とともに二大政党制が崩壊した際に政権復帰を果たし、官邸支配と呼ばれる強権的な仕方で、不都合な公文書の隠蔽、改ざん、廃棄までも自ら犯すほどに官僚制を掌握、操縦した。
 その後も「1強体制」と言われるまでに与党内そして野党を圧倒したのみならず、マスコミを懐柔、圧迫してきた。さらには違憲の安保法制を強行しただけでなく、憲法53条に基づく臨時国会の開会請求を再三無視し、カジュアルに憲法違反を続けてきた。
 森友学園問題、加計学園問題、桜を見る会問題、検察幹部定年延長問題、カジノ汚職事件、河井夫妻による買収事件など枚挙にいとまがない数々のスキャンダルについて、法の支配をゆがめ、説明責任(アカウンタビリティー)の放棄を繰り返しても、菅官房長官が「全く問題ない」「適切に対応している」「その指摘は当たらない」と言えば済んでしまう、新しい政治体制(レジーム)―言うなれば2012年体制―を築いてきたのである。
 菅が、安倍や二階によって後継首相に選ばれたのは、安倍内閣が倒れても、安倍政権を存続させ、その取り組んできた体制変革を定着させるのに最適な人物だからにほかならない。
 安倍政権とそのミッションを引き継ぐ以外に当面存在基盤がない以上、まずは、菅内閣が安倍内閣にとって代わっただけで(用語法の変化を反映して菅政権との呼称が多用されるにしても)実態としては安倍政権がそっくりそのまま続くと言って差し支えない。
 しかし、もし継承したはずの政権枠組みが早晩崩れるようなことがあったら、菅内閣は短命に終わるだろう。他方、菅内閣が安定し長期化した暁には、安倍政権に始まった2012年体制が内閣の交代を経てもなお存続することになり、アカウンタビリティーのない政治がニュー・ノーマルとして常態化することになる。
 菅内閣誕生のご祝儀相場に便乗した早期の解散総選挙がうわさされるが、現在のタガが外れた政治体制の起点に民主党の崩壊があることを想起すると、新生・立憲民主党を中心とした野党共闘が有権者に対して選択肢を示すことができるか、日本政治は重大な岐路に立っていると言わざるを得ない。(おわり)(「市民連合」のHPより)

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書籍紹介
『忘れない、許さない! 安倍政権の事件。疑惑総決算とその終焉』




安倍首相辞任 緊急出版!
 森友学園、桜を見る会、河合選挙買収、黒川検事長…安倍政権の相次ぐ不祥・疑惑事件を総棚卸。安倍自民党の政治的体質、ここに極まれり。転換期の今、民意に寄り添う清潔・公正な政治を!
[第1章] 「お友達」行政と公文書改竄・廃棄~財務省の「森友学園」事件
[第2章] 公金の私物化と裏金~「桜を見る会」&「前夜祭」事件
[第3章] 自民党本部主導選挙と使途不明金~河井議員 夫妻「多数人買収」事件
[第4章] 政治的な検察官人事~黒川検事長の定年延長と検察庁「改正」案
[第5章] 安倍政権の政治的体質と自民党の変質~保守からの右旋回
[終 章] 国民置き去りの新型コロナ対応と支持率の低下~政治的体質が招いた終焉
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著者:上脇博之
A5判、208ページ  定価:1,900円+税
初版年月日:2020年10月10日
かもがわ出版
  京都市上京区堀川出水西入
  電話:075-432-2868 FAX:075-432-2869
(流通センター)京都市南区上鳥羽北塔ノ本町18
  電話:075-672-0034 FAX:075-672-0035

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