「九条の会・わかやま」 412発行(2020年11月07日付)

 412号が11月7日付で発行されました。1面は、「第17回憲法フェスタ」開催 守ろう9条 紀の川 市民の会、菅首相は憲法が保障する「学問の自由」を理解していない 小林節・慶応大学名誉教授、九条噺、2面は、「第12回9条平和まつり」開催 「憲法9条を守る伊都・橋本連絡会」、リーフレット紹介『「敵基地攻撃能力」っていったいなに?』、核兵器禁止条約が発効へ、カンパのお願い   です。
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「第17回憲法フェスタ」開催
守ろう9条 紀の川 市民の会


 11月3日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第17回憲法フェスタ」が和歌山市・河北コミュニティセンターで開催され、125人が参加しました。
 午前10時から「展示の部屋」では、会員の人形・押し絵・書画・着物リフォーム・絵手紙など、数多くの趣味の作品が賑やかに展示され、会員同士が交流しました。


(展示の部屋)

 隣の「映像の部屋」では午前10時30分からDVDの上映が行われました。今年は53年日教組作品『ひろしま』が上映されました。日本映画史上最大級のスケールで原爆投下直後を再現した映画で、出演者は実際の被爆者ら8万8千人の市民です。


(映像の部屋)

 10年から実施している「リサイクルひろば」も、10時15分から開かれました。いらなくなった物をみんなが持ち寄り、気に入った物があれば「タダで」持って帰ってもらうというもので、好評を博しています。


(リサイクルひろば)

 午後1時30分から多目的ホールでのメインプログラムです。最初に原通範代表から開会挨拶があり、原代表は「安倍政権から菅政権に変わり、一番気になることは日本学術会議の推薦者105名から6名の任命を拒否した問題だ。スポーツでは『オフサイド』という言葉がある。自分の居るべき場所を離れるということで、紳士は不正をしないということを教えるために出来たルールだが、菅首相のやったことはルール違反で『オフサイド』と同じだ」と訴えられました。


(原通範代表)

 次はボーカルユニット「クリスマスローズ」の3人がオカリナ、ギター、ピアノで素晴らしい演奏を繰り広げました。演奏された曲は、「花はどこへ行った」「竹田の子守唄」「もみじ」「里の秋」「アメージンググレース」「おかげサンday」の6曲でした。


(クリスマスローズ)

 続いて、「紀の川 市民の会」の会員であり、「和歌山県原水協」の副理事長でもある白井春樹さんが、今年開催された「核兵器廃絶の運動(オンライン原水禁世界大会)」の報告をされました。その中で、10月24日に批准国が50カ国に達し、1月に発効する「核兵器禁止条約」への日本の批准を強く働きかけようと呼びかけられました。


(白井春樹氏)

 最後は、立命館大学教授(憲法学)・君島東彦氏の講演が行われました。演題は当初の「コロナと憲法」に「日本学術会議問題とは何か~『戦後』が終わり『戦前』となったのか」を追加し、2本立てで行われました。
 君島氏は、「コロナと憲法」では、安全保障とは本来軍事ではなく、「不安、心配がない」ことを意味する。新型コロナから人々の命を守ることは安全保障の核心的問題だ。憲法13条「生命権」と25条「生存権」が問われる。憲法に「緊急事態条項」を加える必要は全くない。次の感染症拡大を防ぐためには野生動物と人間が正しく共存する「環境的平和」を進める必要があると説明されました。日本学術会議問題は憲法が保障する学問の自由、思想良心の自由、言論の自由に立脚するのが学術会議だ。総理大臣が会員を任命するということは形式的なものだと確認されている。内閣法制局は解釈を変更したと言っていない。安倍首相の介入以来法制局は適正に機能していない。内閣が拒否理由を説明しないので、内閣が推進する法案・政策などに反対する者を排除したと考えざるをえない。これは全体主義に向っているのではないかと話されました。


(君島東彦氏)

 講演要旨は次号以降に掲載予定です。


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菅首相は憲法が保障する「学問の自由」を理解していない
小林節・慶応大学名誉教授




 マスコミの中から3社だけ選んでの「グループインタビュー」で、菅首相は、日本学術会議の被推薦者6人の任命を拒否した「理由」として、官僚が用意した文書を読んで、次のように繰り返したとのことである。
 いわく、学術会議の会員は、「広い視野を持ち、バランスの取れた行動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべき」だと。
 記者会見でこのような文書を何回も読み上げて恥じない首相は、絶望的に無教養である。私も法政大学で教壇に立ったことがあるが、あの伝統ある大学を卒業した「法学士」でありながら、首相は憲法23条が保障している「学問の自由」の意味を全く知らないようである。そのような首相に人事権で縛られて、このようなインチキ答弁書を書かされる官僚の立場は惨めであろう。仕事とはいえ、自覚して、天下に向けて「嘘」の回答を書かされたのだから。
 「学問の自由」の保障とは、学者が学問的良心に従って行った言動の評価は、まずは学者同士の討論に委ね、最終的には歴史の判断に委ねるべきで、間違っても時の「権力者」が介入すべきではない……ということである。
 にも拘らず、今回、菅首相は、特定の学者の言動について、「広い視野を持っているか?」「バランスの取れた行動であるか?」について自分の権限で判断したと告白し、その結果、「国の予算を投じる機関(の構成員)として国民に理解される存在『ではない』」と評価した……と認めたのである。
 問題は、無教養な菅首相にはそのような判断を下す能力が事実としてないことではない。問題は、仮に菅氏が高い実績の学者(例えば法政大学長)であったとしても、同時に、「首相」という権力者の地位にある間はそのような判断を下す「資格」が憲法により禁じられている……という自覚がないことである。
 にもかかわらず、高い実績の学者たちが全国から会議に集まるために1人につき月2万円余の交通費を用意する程度のことを逆手に取って学術会議に介入しようとするとは、「選挙に勝った者には何でも従え」という、政治権力者の思い上がり以外の何ものでもない。(日刊ゲンダイDIGITALより)

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【九条噺】

 「令和おじさんが携帯電話代を下げてくれる」「地方出身のたたき上げ」と鳴物入りで菅義偉首相の政権が出発した▼九条改憲に執着した安倍前首相が体調を理由に辞職し、長らく政権の官房長官を務めた菅氏が後任に就いた。菅義偉首相は「安倍政治の継承」を掲げる▼安倍政治とは何だったのか。安保関連法制(戦争法)の強行、米兵器爆買い、アベノミクスでの不景気と貧富の差拡大、森友・加計・桜を見る会疑惑、自殺者を出した公文書改竄隠蔽、巨額買収選挙への関与疑惑など、平和と国民生活と民主的手続きを壊す悪政の見本市だった。その継承は、失望と反発が待っているだろう▼早くもつまずいたのが「日本学術会議会員任命拒否問題」だ。同会議は、日本学術会議法に基づいて1949年に設立された国立アカデミーで、総理大臣が所轄、日本の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする▼ホームページに多くの「勧告、答申、提言」がある。それらは各種センターや研究所の設立、原子力3原則(民主・自主・公開)、南極観測への貢献などに結実した▼今回の任命拒否は、推薦制移行後も守られてきた総理大臣の形式的任命の重大な変更であり、6名が何故不適格かの説明もない。戦争法など政府に批判的な学者への狙い撃ちが疑われる。マスコミも批判し国会で野党が追及している。学問の自由の圧殺は国の発展を妨げるものだ。(柏)

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「第12回9条平和まつり」開催
「憲法9条を守る伊都・橋本連絡会」



(紙芝居で平和を訴える参加者)

 市民団体「憲法9条を守る伊都・橋本連絡会」が17日、九度山町人郷の町立文化スポーツセンターで、第12回9条平和まつりを開いた。約50人が集まった。  連絡会の植西祥司・共同代表はあいさつで、安倍晋三政権の7年8カ月を「21世紀型の富国強兵路線だった」と批判。「憲法を尊重して生活に生かしていくことに希望がある」と語った。
 参加者はその後、憲法共同センター(東京)が作ったDVD「9条改憲って何?」「憲法と自衛隊」を鑑賞し、9条に自衛隊を明記する改憲案や、立憲主義の考え方について学んだ。(下地毅)(朝日新聞和歌山版10月19日付)

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リーフレット紹介『「敵基地攻撃能力」っていったいなに?』



 菅政権は安倍前首相の「置き土産」である「敵基地攻撃能力」の保有の検討を始めました。2020年12月までに方向性を示すとしています。憲法違反・国際法違反の「先制攻撃」である「敵基地攻撃能力」の保有は許されません。「やられるまえにやってしまえ」と「敵」が我が国への攻撃に着手したと判断し、先に攻撃するものです。しかし、判断は難しく、一歩間違えば、全面戦争です。この危険極まりない「敵基地攻撃能力」の保有について、一緒に考えてみましょう。
●A3判両面四つ折り
●頒価1部15円(多部数割引あり)(送料別)
●ご注文は憲法会議まで (FAX:03-3261-5453)
        (メール: mail@kenpoukaigi.gr.jp

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核兵器禁止条約が発効へ

 10月24日、核兵器の保有や使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約が、発効に必要な50カ国・地域の批准に達しました。90日後の来年1月22日、史上初めて核兵器を非人道的で違法とする国際条約が発効します。核兵器を非人道兵器とする国際規範ができることで「核なき世界」に向けた新たな一歩が始まります。日本は、核軍縮の進展に向けて核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を担うと表明してきました。それなら、戦争被爆国の日本はまっ先に批准をしなければなりません。高齢化が進む被爆者の思いに日本が応える道は、条約批准以外にありません。

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カンパのお願い
振込先
(銀行)紀陽銀行  (支店)紀の川支店
(種類)普通預金  (口座番号)672078
(口座名義)九条の会・わかやま

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(2020年11月06日入力)
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