「九条の会・わかやま」 418発行(2021年01月27日付)

 418号が2021年1月27日付で発行されました。1面は、総がかり「19日行動」実施、和歌山でも「9の日行動」、改憲発議反対! 菅政治を転換させよう 事実を知って声を上げる 「九条の会・わかやま」事務局・柏原 卓、訃報 「九条の会・わかやま」呼びかけ人 梅田恵以子 さん、九条噺、2面は、傲岸で不遜な安倍前首相の答弁 小林節・慶応大学名誉教授、核兵器禁止条約が22日に発効、書籍紹介『緊急事態と憲法』  です。
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[本文から]

総がかり「19日行動」実施



 総がかり行動実行委員会と全国市民アクションは1月19日夜、今年初めての「19日行動」を国会議員会館前で行い、社会民主党、沖縄の風、立憲民主党、日本共産党の国会議員があいさつをしました。
 総がかり行動実行委員会共同代表の小田川義和さんが主催者あいさつ。「菅政権は本気でコロナに立ち向かう気概が見えない。入院を拒否したら罰則など悪夢の自公政権だ。市民と野党の共闘で菅政権に代わる政権にするために力を尽くそう」と呼びかけました。
 「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会の野平晋作さんは、辺野古埋め立て反対の辺野古ブルーアクションの取り組みなどを紹介。「総がかり行動との共同で官邸前行動も検討している。これからも協力をお願いする」と呼びかけました。
 安保法制違憲訴訟の会の有岡佳次朗弁護士は、「22地域で25の裁判がたたかわれている。今まで出ている判決では憲法判断には触れず、戦争が起きていなければ影響はないというものだ。21日にオンラインで集会を行う。引き続きご支援を」と訴えました。
 ICANの松村真澄さんは、「1月22日に核兵器禁止条約が発効する。日本は署名も批准もしようとしていないが、世論は批准すべきだと訴えている。私たちの運動の成果で国会議員の意識も変化している」と報告しました。
 行動提起を、憲法9条を壊すな!実行委員会の菱山南帆子さんが行いました。

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和歌山でも「9の日行動」



 「憲法九条を守るわかやま県民の会」と「憲法9条を守る和歌山市共同センター」は9日、JR和歌山駅前で宣伝行動を行いました。コロナウイルス感染症で医療崩壊、失業や廃業・倒産が相次ぎ、自殺者が増えているのに、菅政権の無為無策・後手後手政治が「人災」と言われる状況になっていると告発。命や医療、雇用、営業よりも軍拡に過去最高の5兆3235億円の軍事予算を計上し、国民投票法案を成立させ改憲発議を狙い、桜を見る会疑惑封じなど憲法破壊、政治私物化の菅政権を批判し、「今年は総選挙の年です。菅政権を終わらせ、憲法が活きる新しい政治を実現しましょう」と訴えました。

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改憲発議反対! 菅政治を転換させよう
事実を知って声を上げる
「九条の会・わかやま」事務局・柏原 卓


 2021年を迎えたが、昨年は任期内の改憲に固執した安倍晋三首相がついに体調不良を理由に辞職し、安倍後継を掲げた菅義偉首相で新年になった。
 安倍長期政権の悪事をざっと思い出すだけでも、特定秘密保護法、安保法制強行、アメリカ製高額兵器爆買い、アベノミクス失敗と貧富格差、森友加計疑惑、河井案里・克行議員支援疑惑、黒川検事長定年延長、桜を見る会疑惑、無責任な新型コロナ対策など数多い。にも拘らず高い支持率を続けていた。しかし黒川定年延長へのネット批判爆発、桜を見る会と前夜祭の公職選挙法違反疑惑、コロナ無策批判で支持率も下がる中で辞職に追い込まれた。それでも病気で同情を買って支持率回復を次期首相にプレゼントするしたたかさだった。
 菅首相は現在、新型コロナ感染急増でGoToキャンペーンが一斉停止に追い込まれ、支持率も急落した。一国の首相なら国民の苦難軽減を第一に考えて、まずコロナを押さえ込む、それが何よりの経済回復策になると考えるべきだが、観光業への配慮が目立って、優先すべきコロナ対策、即ちPCR検査、医療補償、休業補償に予算を使おうとしていないことは明らかだ。疫病対策と経済回復の板挟みでどちらも出来ていない。
 読者の皆さま周知のことを長く書いてしまったが、提案したいことは「事実を知る」だ。表題の「改憲発議反対・菅政治転換」にも言える。
 改憲発議については、改憲制度と各党の態度を知ることが必要だ。制度では憲法96条(改正手続)と国民投票法を押さえておくべきだ。各党は、自民と維新が改憲勢力、公明は9条改憲に慎重、他の野党は9条改憲反対だが、立民・国民は改憲論議を否定しない。自民は執拗に衆参の憲法審査会を動かそうと図っているが、憲法改正原案をまとめる審査会を動かす目的は9条改憲であり、動かすべきではない。巷間「菅首相は安倍後継として改憲を目指す振りをするが本気ではない」と観測する向きもあるようだが、安易な楽観論は避けるべきだ。
 菅政治の転換については、注文が山ほどある。「9条改憲をせず平和な日本、有効なコロナ対策を提案し予算を使え、学問の自由と科学技術の発展で豊かな日本を」と言いたい。これを実現するには良い政府に取り換えるしかなさそうだ。有権者が「事実を知って」声を上げていくことが力になる。安倍政権を世論が退場させたのは一つの証拠だ。

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訃報
「九条の会・わかやま」呼びかけ人 梅田恵以子 さん




 当会呼びかけ人、和歌山県文化賞受賞者で随筆家として和歌山の「食」や「味」「歴史」を題材にした執筆に励まれた梅田恵以子さんが1月14日に逝去されました。享年89。謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。

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【九条噺】

 12月6日、JAXAは「はやぶさ2」の試料カプセルの回収に成功した▼174万㎞の距離からカプセルをオーストラリアの砂漠の150×100㎞の範囲に着地させるという難しいミッションだった。大気圏突入時、角度が浅いと大気に跳ね飛ばされて地球に帰還出来ず、深いと空気抵抗が大き過ぎて燃え尽きてしまうという▼「2」は、カプセルを地球に向けて分離すると「本体」は地球から離脱し、「1998KY26」という直径30mの小惑星に向け出発した▼「2」の試料採取目標は0.1gだったが、54倍の5.4gも採取出来た。10年前の「はやぶさ1」が採取した試料は0.1㎜以下の微粒子ばかりだったが、今回は10㎜近いサイズも多数あり、世界中の研究者が得意分野について多角的に分析が出来るとのこと。期待が高まる▼ところで、「2」が探査した「リュウグウ」はC型小惑星、「1」が探査した「イトカワ」はS型小惑星と言う。生命に必要なのは液体の水だ。何故地球に多くの水が存在するのか、有機物はどうして出来たのか。それは46億年前に誕生した地球に、その後多くの小惑星が衝突して小惑星から水と有機物がもたらされたとの説がある。C型小惑星は水や有機物に富んでいると言われ、試料の分析で水の惑星・地球と生命誕生の謎に迫れることだろう▼「2」が新たな探査に向った「1998KY26」は、地球と火星の間を公転する小惑星だが、地球に衝突する可能性もあるという。衝突回避の手段の解明も期待したいものだ。(南)

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傲岸で不遜な安倍前首相の答弁
小林節・慶応大学名誉教授




 「桜を見る会」に招待された安倍晋三後援会関係者の前夜祭の費用を安倍事務所が補填していた事実が明らかになったので、安倍前首相は、衆参両院の議院運営委員会に出席して、過去の国会答弁の誤りを認め、謝罪した。
 その際に、前夜祭の経費を安倍代議士側が補填したということは、自分の金で自分の選挙区の有権者を「もてなした」以上、公選法違反の「寄付(利益供与)」ではないか? と野党議員が問うたところ、安倍代議士の答弁は次のものであった。
 いわく、「私は、何か利益を供与して当選しなければならない立場では全くない。自分の選挙のことは考えない状況にならないとそもそも自民党総裁にはなれない。私もこれまで9回選挙を戦ったが、常に圧倒的な勝利を与えられている」。この事実を報道で知った時、私は、正直、「安倍代議士は頭がおかしくなったのか!?」と疑った。
 まず、これは、「いかなる名義をもってするかを問わず」と公選法で絶対的に禁止されている(199条の2)「寄付(選挙区内での利益供与)」(179条)をしたことを確認されたのであって、同法で別に禁じられている「買収(当選を得る目的で有権者に利益を供与)」(221条)をしたかと問われたわけではない。
 にも拘らず、安倍代議士は、「自分は選挙に強いから有権者を買収する必要などない」と言い放った。この答えは質問と噛み合っておらず、つまり、質問には答えずに単に見当違いな自慢話をしたということである。  ところで、国家的功労者を慰労する行事に自分の選挙区民を団体で招待した首相の行為は、首相の管理下にある公金を私的に流用した横領(刑法252条)であり、国のために事務を処理する首相がその任務に反して国に損害を与えたのだから背任(同247条)であり、明白な職権濫用(同193条)である。だから、「桜を見る会」に自分の後援会員を大量に招待したことこそ首相による犯罪である。
 それを恬(てん)として恥じず、筋違いな自慢話をした安倍代議士は、実に傲慢で不遜である。(日刊ゲンダイDIGITALより)

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核兵器禁止条約が22日に発効

 史上初めて核兵器を全面的に禁止する「核兵器禁止条約」が1月22日に発効しました。
 条約は、あらゆる核兵器の開発・実験・生産・保有・使用を許さず、核で威嚇することも禁じた初めての国際条約で、国連加盟国の6割に当たる122カ国・地域が賛成して17年7月に採択されました。批准国が50カ国・地域に達したため、法的な効力を発することになったものです。核軍縮の交渉義務を課す代わりに米ロ英仏中の5カ国だけに核保有を認める「核不拡散条約(NPT)」とは発想が異なり、核兵器そのものを非人道的で不法と見なすものです。
 核兵器廃棄の検証など核廃絶を進める具体的な方法は、発効から1年以内に国連事務総長が招集する締約国会議で決めるとしています。法的拘束力が及ぶのは批准国だけで、条約に背を向ける核保有国やその同盟国の日本・NATO諸国などは縛られませんが、「核は違法」という規範が広がることで、核保有国は核兵器を持ち続けることへの説明責任が強まります。
 唯一の戦争被爆国の日本政府が条約に背を向けているのは恥ずかしい限りです。世論調査では「条約に参加すべき70%、必要ない17%」で、国民の声は圧倒的に「参加せよ」です(毎日新聞11月14日)。  この条約は国連憲章の目的の実現に貢献するとしています。目的は「われらの一生のうち二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救う」です。私たちは、条約の署名、批准を求める運動を大いに強化しなければなりません。

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書籍紹介『緊急事態と憲法』



 新型コロナ感染拡大に伴う昨年4月の「緊急事態宣言」で、市民生活は事実上規制されました。本書はこの過程を憲法の視点から検証。宣言発出要件の曖昧さ、補償の不十分さ、自由の大幅制限などを指摘します。さらに「宣言」とは別物ですが、自民党改憲案にある「緊急事態条項」に言及。緊急事態を口実に人権や立法・司法を停止し軍事力も使った統治を狙うもので、憲法の停止を意味します。これを自民党が改憲の突破口にしようとしてきた歴史も紹介。
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著者:右崎正博(著)、大江京子(著)、永山茂樹(著)
判型:A5判、102ページ 定価:1,100円(税込み)
初版年月日:2020年12月22日
学習の友社 電話:03-5842-5641 FAX:03-5842-5645
      メール :tomo@gakusyu.gr.jp

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